クラウン

山本律磨

畜生(脚本)

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〇オレンジ(ダーク)
  そうだ
  我らは物の怪
  我らは・・・睦まじく
  あの森で仲睦まじく
道化「・・・え?」

〇黒

〇グレー
  浄土院・薪小屋
  汗みどろとなって跳ね起きる道化
  削った薪を枕に戌丸
  坐禅を組んでいる英林
道化「・・・」

〇グレー
  庭
  月下、侘びた庭を徘徊する道化
英林「何をしている?」
道化「・・・」
道化「いやはや爽快爽快」
道化「イバリも出てすっきりし申した」
英林「随分と口が滑らかになってきたではないか」
道化「これも人交わりが賜物」
道化「何もかも猿真似にて、ご容赦」
英林「うぬは武士を侮っておろう」
英林「あるいは歯牙にもかけぬか?」
  道化、這いつくばり地に頭を擦りつけ
道化「この通りにございますれば。お許しを」
英林「舞はどこで身につけた?」
道化「舞などと・・・」
道化「あの関での見様見真似にて」
英林「何者だ、うぬは」
道化「ご覧の通り、骨と皮だけの道化・・・」
英林「答えよ」
道化「道化にございます」
道化「貴方様がそう呼ぶ限り、私は道化」

〇黒
  妻を失い、森を追われ、都に紛れ
  誰からも顧みられず、声もかけられず
  生きる為に芋や干し柿を盗み、
  団栗を拾い、木の根をかじり、
  果ては鼠まで喰らう有様
  まさに獣
  最早、己が人かどうかも分からぬ始末

〇グレー
道化「今はもうトミなどという妻が、 まことにいたのか否かも分かりませぬ」
道化「全て夢ではないのか」
道化「ただ『物の怪』と呼ばれるだけの夢」
英林「物の怪・・・」
道化「その言葉が頭にこびり付いて離れませぬ」
道化「現し世でも」
道化「夢でも」

〇オレンジ(ダーク)
トミ「お前は・・・物の怪じゃ」

〇グレー
英林「道化」
英林「今の世を、人をよく見ろ」
英林「川は干上がり土は枯れ家は蝗に食われ、 生まれ育った田舎を捨て都になだれ込む」
英林「重き税に喘ぎ、 稼いだ全てを野盗に奪われ、 何もかもを失い疾く浄土を待つ」

〇骸骨
  これが人の世だ

〇グレー
英林「武士とて同じ」
英林「家督を巡り家が割れ兄弟縁者が憎み合い、天下の往来で骨肉相食む諍いを繰り返す」
英林「安堵いたせ」
英林「うぬが物の怪ならば誰も彼もが物の怪」
英林「最早人界は畜生界と化したのだ」
道化「誰が・・・」
道化「一体誰がこんな世に・・・」

〇黄色(ディープ)
  所詮この世は・・・
大君「夢幻(ゆめまぼろし)」

〇グレー
道化「されど」
  道化、己がつむりの角帽子を被りなおす
道化「これが夢とこの世を結んでくれている」
英林「その角帽子が、か」

〇黄色(ディープ)
大君「・・・」
「御所様・・・」
「御酒がすぎまする」
大君「現し世に引き戻さないでくれよ」
大君「富子」
トミ「・・・」
  続

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