龍使い〜無間流退魔録外伝〜

枕流

第捌拾弐話 血筋(脚本)

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〇古びた神社
雀松司「俺は、朱乃がある程度成長するまでの間の代役なんだよ」
雀松司「本当の朱雀の宿主は、妹の方なんだ」
竹村茂昭「でも、司さんだって立派に戦えてるじゃないですか」
雀松司「いや」
  司は首を横に振る。
雀松司「俺が使えている朱雀の力は、本来の半分にも満たない」
竹村茂昭「そうなんですか!?」
  茂昭には信じられなかった。
  三郎を一時は圧倒するほどの力でも、本来の朱雀ではないというのか。
雀松司「その証拠が、これだよ」
  改めて袖を捲り、未だに消えない紋様を見せる。
雀松司「朱雀紋を発現させても、肉体が耐えきれずに出血してしまう」
雀松司「俺の身体が、朱雀の力に適合できていない証拠だ」
竹村茂昭「!!」
雀松司「だが、朱乃と同じ血を引くからこそ耐えることができている」
橘一哉「・・・」
  その言葉に、一哉は思う所があった。
梶間頼子「じゃあ、由希さんとカズが従姉弟同士なのも何か理由があるかもね」
橘一哉「・・・かもしれんね」
  頼子の言葉に頷く一哉。
雀松司「由希、というのは?」
橘一哉「青龍使いで俺の従姉です」
雀松司「・・・ああ、あの子か」
  龍使いの中でただ一人の年長者。
  そして四神の一角。
雀松司「そういえば、」
  司は思い出した。
雀松司「彼女とは如月堂での会盟以前に出会ったことがあったな」
橘一哉「え、そうなんですか!?」
  一哉は驚いた。
  それは頼子と瑠美と晃大も同じだった。
雀松司「朱乃が襲われた時に、偶々居合わせて助けてくれたんだ」
橘一哉「知らなかったな・・・」
  由希は一言も話してくれなかった。
  朱雀の宿主と出会ったのは重要案件の筈だが、龍使い同士の情報共有はされていない。
  魔族の情報ではないから、あえて言わなかったのかもしれない。
雀松司「そうか、彼女と君は従姉弟だったのか」
橘一哉「ええ」
  龍使いと四神が集まった時にも、その話はしていなかった。
雀松司「龍使いが二人いるとは、橘くんも特殊な血筋の持ち主かもしれないな」
橘一哉「かもしれませんね」

〇祈祷場
佐伯美鈴「仮初の羽類の皇と、虎の宿主、それに四人の龍か⋯」
  閉ざされた本殿の中で、美鈴は境内の様子を感じていた。
  普段訪れる者の無い八十矛神社の本殿は閉ざされている。
  普段であれば、管理人の美鈴が掃除をする時くらいしか開放されない。
  来訪者の様子の覗き見は憚られるため、今もこうして閉ざしたまま。
  視覚以外の五感を以て外の様子を感じるだけだ。
  それでも美鈴にとっては充分だった。
  目を閉じると同時に、髪の色が変わる。
  内なる力を目覚めさせたのだ。
  そして、目を開くと、瞳の色も変わっていた。
  更に、全身からもうっすらと光が放たれているように見える。
  これらの変化を感付かれないようにするための、本殿閉鎖でもあった。
佐伯美鈴「何が、あったの⋯?」
  今現在、社を訪れた者たちそのものではない。
  彼らに纏わりつく移り香を感じ取る。
  彼らが何に出会ったのか。
  何と接触したのか。
  美鈴が直に出会った限りでは、当たり障りのない些事ではない。
  青年・雀松司から感じた血の香り。
  龍使いの四人の少年少女たちと白虎の少年から放たれていた動揺。
  その全てが、ただならぬ出来事の存在を物語っている。
  特に、
佐伯美鈴「あんなにカズくんが揺らぐなんて」
  又従弟であり黒龍の宿主である一哉の明らかな異変。
  普段落ち着いている彼が、深刻な動揺をしている。
  表向きは平静を保っているが、雰囲気が明らかにおかしかった。
佐伯美鈴「どうしたというの⋯?」
  ・・・そう。
  佐伯美鈴は知っている。
  四神も、龍使いも、全て、知っている。
  だが、敢えてそれを隠し、手出しをしないでいる。
  今はまだ時ではない。
  然るべき時が来たのならば、彼女も正体を明かして彼らに合流するだろう。
  だが、今は、その時ではない。
  今はただ静かに、ひっそりと、こうして見守り続けるのみ。

〇センター街
三郎「ふむ⋯」
  三郎は再び街中を歩いていた。
  ひどい空腹を紛らわすために顔には笑みを浮かべている。
  その動きも、体力消費を抑えるために静かでゆっくりとしたものだ。
三郎「これは、なかなか」
  そっと腹に手をやる三郎。
  胃も腸も空っぽで、かなりお腹が凹んでいるような気がする。
  何より、締め付けられるような軽い痛みがある。
  胃が収縮しているのだ。
  端的に言って、空腹の極みだった。
  だが、それが却って嗅覚を鋭敏にしていた。
  その鋭敏な嗅覚が捉えたのは、
三郎「おや⋯?」

〇センター街
  学校からの帰り道。
  友達と別れた朱乃は、街中を一人で歩いていた。
  そんな中、
雀松朱乃「・・・?」
  気付いた。
  自分に向けられている、一つの視線に。

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