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夏目心 KOKORONATSUME

16 良くある話その9(後編)(脚本)

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〇マンション前の大通り
  別の日。

〇おしゃれなリビングダイニング
岸本光徳「ん?」
岸本茜「良し!次は・・・」
岸本司「なぁ茜・・・後何回モンスターの交換するつもりだ?」
岸本司「これで8回目だぞ?」
岸本茜「まだ終わんないよ!出来て後13体はいるからさ!」
岸本司「えぇ!そんなにいるのかよ!?」
岸本司「もう機材貸すから勝手にやっててくれないか?」
岸本茜「えぇ、もうちょっと付き合ってよ!」
岸本司「勘弁しろよ・・・」
岸本光徳「お前ら、何してるんだ?」
岸本司「あ!親父聞いてくれよ!茜の奴がゲーム付き合えって言って離してくれなくて!」
岸本光徳「え?何でそんな事してるんだ?」
岸本茜「決まってんでしょ!兄貴だって偶には休みたいとか思ってるかもだからさ!」
岸本茜「久し振りに兄貴とゲームしようと思って引っ張り出したんだよ!」
岸本光徳「おいおい茜!司は受験生なの分かってんのか?司だって困ってる顔してるだろ?」
岸本茜「そんな事無い!兄貴だって偶には休まないと!」
岸本光徳「あぁ分からん奴だな!司が困ってんだろ!離してやれ!」
岸本茜「えぇちょ!そんな怒らなくても!」
岸本光徳「それで司が受からなかったら責任取れるのか!?そんなにゲームがやりたきゃ、」
岸本光徳「俺が相手になってやるからそれで我慢しろ!司を離してやれ!」
岸本茜「・・・わ、分かったわ・・・兄貴ごめん・・・」
岸本司「・・・分かってくれりゃ良いよ・・・じゃあ、これ置いてくから・・・」
岸本茜「・・・・・・」
岸本光徳「全く・・・何であんな事したんだ?」
岸本茜「あ、うん・・・兄貴大学受かったらこの家出てくって言うじゃん?」
岸本茜「だから、今の内に思い出作りたくて・・・」
岸本光徳「・・・今度はもっとマシなやり方考えろ・・・良いな?」
岸本茜「はーい・・・」

〇白いバスルーム
  それから、
岸本小雪「あらあなた、こんな所にどうしたの?」
岸本光徳「あぁ母さん、何か手伝う事でもねぇかなと思ってな・・・」
岸本小雪「手伝う事?特に無いわね・・・」
岸本光徳「あ、うん・・・そうか・・・さっき茜にも1人で良いって言われてよ・・・」
岸本小雪「ん?茜がどうかしたの?」
岸本光徳「あぁ、それがな・・・司の代わりに俺がゲームの相手しようとしたんだが、」
岸本光徳「1人で大丈夫って言われて断られちまった・・・」
岸本小雪「えぇ?何よそれ?」
岸本光徳「いやよう、1から10まで教えるのが面倒とかどうとか・・・」
岸本小雪「あらあら!でも最近のゲーム機って本当凄いわよね!」
岸本小雪「ネットに繋げられるし動画も見れるし、しかもどこへ行っても課金まで出来るし!」
岸本光徳「本当凄いよな・・・しかも内に限らずどこの子供も、」
岸本光徳「それに順応しちまうんだからよ・・・」
岸本小雪「本当、私達が古い人になっちゃったのかしらね?」
岸本光徳「かもな・・・それはそうと、最近思う事があんのよ・・・」
岸本小雪「思う事?何?」
岸本光徳「・・・あいつら、こないだまで幼稚園にいたよなって・・・」
岸本小雪「え?」

〇おしゃれなリビングダイニング
岸本司「父さん!サッカーのゲームで勝負しようよ!」
岸本光徳「お!サッカーか!良いぞ!それやったら外でサッカーするのはどうだ?」
岸本司「う〜んどうしようかな・・・ゲームしてから決める!」
岸本茜「ママ!これ読んで!」
岸本小雪「はいはい!でもママお片付けしてるからもう少しだけ待っててね・・・」
岸本茜「じゃあ手伝う!」
岸本小雪「あらありがとう!」

〇白いバスルーム
岸本小雪「確かに、全部が全部嬉しい事楽しい事ってばかりでは無かったけど、」
岸本小雪「気が付いたらもう10代後半なのよねあの子達・・・」
岸本小雪「洗濯物も大きくなって、2回位回さないと追い付かなくて・・・」
岸本小雪「昔だったら1回で済んだのにね・・・」
岸本光徳「そうだな・・・気付いたら勉強勉強ってなってて、司に至っては大学受験だ・・・」
岸本光徳「信じられるか?あんなに小さかった司が、これから大学受験して」
岸本光徳「一人暮らしにバイトまでしようって思ってるんだぜ?」
岸本小雪「本当よ!でもそれが時間の流れって言うのかしら?私達だってそうだったでしょ?」
岸本小雪「昔は本当に長い筈だった1年が、年を重ねるに連れて段々早くなってるのよ?」
岸本光徳「・・・確かにそうだ・・・このままの流れで行けば司もそうだが、いつかは茜も・・・」
岸本小雪「えぇ、出て行くわね・・・」
岸本光徳「・・・やっぱ出てくんだよな?」
岸本小雪「当然よ!私達親は子供より先に死ぬのは当たり前なんだから!」
岸本小雪「いつまでも親に甘えたりしてたら、イザって時に何も出来ないじゃない!」
岸本光徳「・・・そっか・・・そうだよな・・・」
岸本光徳「そうならない為にも、俺達はやれる事をやらないと行けないんだな・・・」
岸本小雪「えぇ、それまで身体に気を付けながら頑張ってね、お父さん!」
岸本光徳「・・・・・・」

〇おしゃれなリビングダイニング
岸本光徳「・・・・・・」
岸本司「あ〜飲んだ飲んだ!」
岸本茜「兄貴、これ終わったから返す・・・」
岸本司「あれ?もう終わったのか?」
岸本茜「まぁね、1人で操作して見たけど案外楽だったよ・・・」
岸本司「そっか・・・」
岸本光徳「・・・・・・」
岸本司「あれ?どうした親父?」
岸本茜「お父さん?」
岸本光徳「・・・司、やっぱここを出てくのか?」
岸本司「え?そりゃ受かったら出てくよ?もう決めた事だし・・・」
岸本光徳「そうか・・・茜、お前はこれからどうするんだ?」
岸本茜「あたし?まだ高1だから何とも・・・」
岸本光徳「そうか・・・まぁ、お前らが決めた事ならとやかく言わねぇ・・・」
岸本司「親父、急にどうしたんだよ?」
岸本光徳「どうもして無い・・・只、」
岸本茜「只、何?」
岸本光徳「辛くなったら、いつでも俺と母さんに頼れ・・・俺達はいつだって、」
岸本光徳「お前らの親で在り、味方だからな・・・」
「え?」
岸本光徳「まぁ、そう言うこった・・・」
岸本茜「え?何?何だったの?」
岸本司「いや、俺が聞きてぇよ・・・」

〇シックな玄関
岸本光徳「・・・たく、俺はあいつらに何言ってやがったんだ?らしくねぇと言うか・・・」
岸本光徳「でもそうか・・・いつか、いつか出てっちまうんだよな・・・」
岸本光徳「今それを考えたら、何だか悲しくなっちまったし、こんな顔見せられねぇ・・・」
岸本光徳「・・・・・・」
岸本光徳「・・・・・・」
岸本光徳「親が先に死ぬのは当たり前・・・か・・・」
岸本光徳「だったら、あいつらが自立出来る様にやってやろうじゃねぇか!」
岸本光徳「もう迷わねぇ!俺はぜってぇ、あいつらを自分で出来る様にしてやるよ!」
  良くある話、家族はいつまでも一緒に居られない。

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