第118話 起点(脚本)
〇怪しげな酒場
2021年 イリノイ州 マディソン郡 イースト・セントルイス ギルド内
斎王幽羅「とりあえず見つけて来たけど···」
エンチャント魔導法士「なぜ皆さん酔いつぶれてるのですか?お酒弱いんでしょうか?」
斎王幽羅「あ、いや···俺が付き合わせちゃってですね···まぁともかく」
斎王幽羅「今後の拠点はこのギルドになります。名前がその···あれですが、関係は無いので」
エンチャント魔導法士「えぇ、最初は耳を疑いましたが···貴方の言う事なら信じましょう」
エンチャント魔導法士「目的は変わらずなのであれば···ひとまず酒を飲みましょうか」
(絶対止めなきゃいけないのに止めれない···)
斎王幽羅「飲みましょう飲みましょう!えーと最初は軽めがいいよね···」
斎王幽羅「すいませーん!『ファイアボール』くださーい!」
33度である
エンチャント魔導法士「では私は『ブラッディメアリー』で」
こちらは15度である
斎王幽羅「じゃあひとまず···乾杯ー!」
斎王幽羅「ぷはー!甘くておいしいなぁ···入ってるのシナモンかな?」
エンチャント魔導法士「いいですね···こちらはトマトの酸味とウォッカの苦さが合って美味しいですよ」
斎王幽羅「そっちも美味しそうですね!あ、ウィリアムさんって苦手な食べ物ありますか?」
エンチャント魔導法士「納豆ですね。未だに気持ち悪くて···」
斎王幽羅「あー分かります···そういえばウィリアムさんって出身何処なんですか?」
エンチャント魔導法士「イギリス生まれスペイン育ちです」
斎王幽羅「そうなんですね、何か訳があったりとかですか?」
エンチャント魔導法士「大した話ではありません。私は『不倫でできた子』で、父は大物政治家でした」
エンチャント魔導法士「母には告げず、生まれて少ししてから父が私を家から抱え教会の前に放置したそうです」
斎王幽羅「え···なんでそんな···不倫とはいえなんで子供を教会の前に?」
エンチャント魔導法士「60年代のイギリスは多様化と過激保守の対立が目立っていました」
エンチャント魔導法士「過激保守の父は世間体を気にし、『家柄と名誉』を守る為に行ったそうですが」
エンチャント魔導法士「結果的に母の告発で没落。移民に刺されて死んだそうですが」
斎王幽羅「それで···その···造形魔術を?」
エンチャント魔導法士「いえ、教会の紹介で魔術教会に案内されたのですが」
エンチャント魔導法士「私はある程度基礎魔術を学んだ頃、母の入院を知りましてね」
エンチャント魔導法士「入院していた母は···酸素マスクに点滴と抗生物質の管を繋がれ延命していました」
エンチャント魔導法士「それで私が感じたのは可哀想とか辛いだろうなとかではなく」
エンチャント魔導法士「『こんな状態になって死にたくない』と思ったんです」
斎王幽羅「それで造形魔術を···?」
エンチャント魔導法士「はい。元々他の魔術が下手だったのも相まって余計に···」
斎王幽羅「その···お母さんは今どうなさってるんですか?」
エンチャントはぐいっと残りを飲み干し斎王に返した
エンチャント魔導法士「『肺炎に苦しみながら生かされてます』」
エンチャント魔導法士「最後に見たのは1985年の秋でした。斎王···さんでしたよね?」
エンチャント魔導法士「『命とは何なのでしょうか?』」
斎王は顔を俯かせながら1口飲み唸りを上げる
もう一口飲み顔を上げ斎王はその質問を答える
斎王幽羅「あんま宗教とかよく分かんないからあれですけど···俺は命って」
斎王幽羅「『1つの輪』なんじゃないかな?って思います」
エンチャント魔導法士「輪···ですか」
斎王幽羅「始まりがあって、過程があって、終わりがある」
斎王幽羅「あらゆる物はこれに当てはまる。人間も星も宇宙も全部」
斎王幽羅「その中で造形魔術は終わりと始まりを繋げ 『命の形を変えられる』」
斎王幽羅「死人を生き返らせるってのはできないと思いますけど、形を変えて新しい命にする」
斎王幽羅「それが造形魔術なのかな?って思います。···あれ?死者蘇生出来ませんよね?」
この言葉は確信的だった。悩み迷い歩みを淀む今のウィリアムには
斎王の言葉は『救い』になった。
そんなウィリアムの目から落ちる物を誤魔化すように、斎王の酒を奪い飲み干し
この後斎王と飲み比べをするのであった
To Be Continued··· ··· ···


