学問ロボ 禁断の!奥村ペーターゼン

爆発屋そが

第五話 「ピクニックin死の谷」(脚本)

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〇岩山の中腹
  学内移動バスで一般キャンパスの最果てまで行き、徒歩で奥地に入ること1時間。
  そこは古い西部劇に出てくるような荒涼とした砂と岩石の世界で、目の前には深い谷が横切っている。
間宮景介「さあ着いたよ~!」
ディーシャ・バジュランギ「ピクニック! ピクニック!」
間宮景介「ディーシャさんが作ってくれたお弁当でお昼にしましょう」
奥山ペーターゼン「フッ、キサマはふざけているのか?」
奥山ペーターゼン「ピクニックへ行くからついて来いと言われて来てみれば、こんな殺風景な場所でメシを食うだと?」
間宮景介「あれ、もしかしてペーターさんは知らないんですか?」
間宮景介「ここはとても写真映えするスポットとして 女の子に大人気のスポットなんですよ?」
間宮景介「見てください、見事な谷です! 深い!」
間宮景介「お弁当のあと、一緒に記念写真を撮りましょう」
奥山ペーターゼン「フッ、くだらん。キサマひとりで撮れ」
間宮景介「そんなこと言わずに撮りましょうよ」
奥山ペーターゼン「断る」
間宮景介(くっ・・・なかなか手強いな)
間宮景介(キラキラキャンパスライフを手に入れるために、ペーターをこの死の谷に捨てるんだ・・・)
間宮景介(写真を撮ると言って谷のフチに立たせて突き落とせば、この深さなら登って来ることは不可能なはず・・・)
ディーシャ・バジュランギ「さあ、お弁当の準備ができましたん」
  そう言って、銀でできた4段重ねのランチボックスを開けていくと、赤茶色の炒めご飯、赤茶色の肉野菜炒めなどが姿を現す。
ディーシャ・バジュランギ「ワの国の大衆料理を日本の食材で再現したオリジナル弁当なの」
間宮景介「全部が赤茶色でおいしそう!」
ディーシャ・バジュランギ「早起きして作ったざます」
間宮景介(ディーシャさんには本当に感謝しかない)
間宮景介(ペーターを気にせず僕に話しかけてくれるし、こうやってお弁当まで作ってくれる)
間宮景介(いつか僕もディーシャさんに何かをしてあげられるようになりたいな)
奥山ペーターゼン「フッ、これがうまそうだと? どう見てもマズそうだ」
間宮景介「ちょ、な、なんてこと言うんですか!」
奥山ペーターゼン「俺にメシを食う機能は無いが、それでもこの弁当のマズさはわかる」
間宮景介「どう見てもおいしそうですよ!」
奥山ペーターゼン「フッ、絶対にマズい」
間宮景介「絶対においしいです!」
ディーシャ・バジュランギ「なあ景介・・・」
間宮景介「ディーシャさん、こんなやつの言うこと 気にしないでください」
ディーシャ・バジュランギ「せっかく作った弁当を食べもしないでマズいと言われるワは、アニメ的に言ったら悲劇のいじめられっコだな?」
間宮景介「そうです、かわいそうです!」
  ディーシャは急に無邪気で明るい笑顔になる。
ディーシャ・バジュランギ「うはっ! 憧れのシチュエーション!」
間宮景介「え!」
ディーシャ・バジュランギ「おいペーター、ワがもっといじめられっコ気分に浸れるようなアイデアはないのか?」
奥山ペーターゼン「フッ、そのクソマズい弁当を谷底へ投げ捨てるというのはどうだ?」
ディーシャ・バジュランギ「くぅー、シビれる展開じゃん!」
奥山ペーターゼン「景介、捨ててこい」
間宮景介「やです! そんなこと絶対にしません!」
間宮景介「せっかくディーシャさんが早起きして作ってくれたお弁当ですよ!」
奥山ペーターゼン「そのディーシャが喜んでいる。 どうせマズくて食えん弁当だ」
奥山ペーターゼン「ここで捨てるか帰って捨てるかの違いしか無い」
間宮景介「僕がちゃんと残さずに食べます! 絶対においしいですから!」
奥山ペーターゼン「フッ、では食ってみろ」
奥山ペーターゼン「残さずに食えたら記念写真でもなんでもやってやる」
間宮景介「言いましたね、約束ですよ!」
奥山ペーターゼン「フッ、食えなかった場合は?」
間宮景介「残ったお弁当を谷へ捨てます」
奥山ペーターゼン「フッ、いいだろう」
間宮景介「ディーシャさん、いいですね?」
ディーシャ・バジュランギ「ワは残さず食べてくれたら嬉しいし、いじめられっコ気分に浸れるのは楽しい」
間宮景介「わかりました!」
奥山ペーターゼン「フッ、ではさっさと食え」
間宮景介「ディーシャさん、いただきます」
ディーシャ・バジュランギ「めしあがレ」
間宮景介「まずこの炒め物から」
奥山ペーターゼン「フッ、バカめ」
  ぱくっ!
間宮景介「グハーーーーーーーー!!!!」
  ゴロゴロゴロゴロゴロ!
奥山ペーターゼン「フッ、何をのたうち回っている」
間宮景介(辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い!)
奥山ペーターゼン「マヌケめ。この弁当が激辛であることは ひと目見ればすぐに分かる」
ディーシャ・バジュランギ「ワの国は世界一辛いものを食べる国としてギネス挑戦中であるよ」
間宮景介「水! 水!」
ディーシャ・バジュランギ「飲み物は家に忘れて来ちゃっタ」
間宮景介「ひー!」
奥山ペーターゼン「フッ、勝負あったな」
間宮景介「はー、はー、はー・・・辛くておいしいです、ディーシャさん」
ディーシャ・バジュランギ「よかった! 日本人の辛さの好みが分からなかったから少し心配だったよ」
間宮景介「次に作る時は、もう少しマイルドにしてもいいかもしれません」
ディーシャ・バジュランギ「ナルホ!」
奥山ペーターゼン「フッ、汗が滝のようだぞ。 まだ続けるのか?」
間宮景介「当たり前です。ディーシャさんが作ってくれた料理はとてもおいしいですからね」
間宮景介「ちょっと辛いけど」
奥山ペーターゼン「フッ、死んでもしらぬぞ」
間宮景介「一気に行かせていただきます!!」
  パクパクパクパクパクパク
間宮景介「グワァァーーーーーーーー!」
  ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!
間宮景介(耐えろ耐えるんだ僕! 心頭滅却すれば辛いものも甘い! )
間宮景介(辛すぎてうまいもまずいもわからない!)
間宮景介「ハヒー・・・ハヒー・・・ハヒー・・・」
奥山ペーターゼン「フッ、全て食べきったようだな」
間宮景介「・・・ごちそうさまでした。 ようやく口の中が落ち着いて来ましたよ」
ディーシャ・バジュランギ「食べてくれて嬉しいぞ」
ディーシャ・バジュランギ「ワの国の人間でもここまで辛いものは食べないよ」
ディーシャ・バジュランギ「死んでしまうもの」
奥山ペーターゼン「フッ、とんだ殺人弁当だ」
間宮景介「約束どおり、記念写真を撮ってもらいますよ」
奥山ペーターゼン「ディーシャよ、すまーとほんを貸せ」
ディーシャ・バジュランギ「ほらよ」
奥山ペーターゼン「景介、こっちを向け」
間宮景介「なんですか・・・」
  パシャ!
奥山ペーターゼン「フッ、約束通り記念写真だ」
奥山ペーターゼン「俺と真っ赤なタラコくちびる野郎が写ってるぜ」
間宮景介「ちょっと待ってください。 谷をバックにして撮りたいんですよ」
奥山ペーターゼン「そんな事は知らん」

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