第115話 1988の魔術師(脚本)
〇祈祷場
2021年 イリノイ州 マディソン郡 イースト・セントルイス ギルド内 地下
エンチャント魔導法士「お前の力で若返れだと?ふざけるなよ、畜生の分際で」
ライオネル・トンプソン「嫌ならいいんじゃない?私達協力しないだけだし」
斎王幽羅「待ってください。流石にちゃんとした理由がないと俺も納得できないです」
ライオネル・トンプソン「理由は1つ。姫の若返りは『脳にも作用させられる』からよ」
斎王幽羅「それってつまり··· ··· ···」
ライオネル・トンプソン「『若い頃のエンチャントと一緒に行動してもらう事になる』」
エンチャント魔導法士「理由になっとらん。それとこれは関係がないだろ」
ライオネル・トンプソン「じゃあ聞くけどアンタ、自分の若い頃の話してるの?」
ライオネル・トンプソン「自分がどういう人間だったかって、分かってもらおうとした事あるの?」
そしてエンチャントは続けようとしたライオネルの言葉を遮り
『もういい、さっさとやれ』と1歩前に出て、複雑な表情を見せた
そして斎王達に振り返り、一言呟いた
エンチャント魔導法士「斎王、皆···若い頃のワシは大分『ひどい』。あまり信用しすぎるな」
刑部が手をかざすと、白い霧がエンチャントを覆い姿が見えなくなる
数分後、霧が晴れた場所にはいつものエンチャントではなく『若いエンチャント』が
戸惑いの様子を見せながらそこに居た
ライオネル・トンプソン「じゃあ後はよろしくね?ひとまず私と皆でその魔術師っての探してみるから」
斎王幽羅「いや待ってください!どんな風な人とかわかるんですか!?というか俺らに丸投げだし!」
ライオネル・トンプソン「シャルルに聞けば分かることでしょ?それに」
ライオネル・トンプソン「『仲間』なんでしょ?私達より斎王くん達の方が一緒にいた方がいいと思うよ?」
ライオネル・トンプソン「私はそいつの事も知ってるし。そうよね?」
ライオネル・トンプソン「『ハゲワシのウィリアム』?」
斎王幽羅「は、ハゲワシ···?命の魔術師ではなく···?」
ライオネル・トンプソン「じゃ、よろしくねー!」
斎王幽羅「行っちゃった··· ··· ···え、えーと···どうしよう···」
鸞「ひとまずは··· ··· ···おい、アンタ『今は何年だ?』」
エンチャント魔導法士「今は『1988年』のはずですが···というかここはどこですか?」
エンチャント魔導法士「お教えいただけますか?銀髪が美しいレディ」
鸞「ワールドインパクト襲撃後だな。あの二人のことは伏せておいた方がいい」
斎王幽羅「だね···えーと···ここはアメリカにあるギルドの地下でして」
斎王幽羅「突拍子もない話ですが、その···エンチャントさん···?じゃない方いいよね」
斎王幽羅「ウィリアムさんの時代から『40年程未来』になります。変な話ですが···」
エンチャント魔導法士「そうなのですね···まぁそんな事もありますよね。未来ですし」
斎王幽羅「え、信じるんですか?」
エンチャント魔導法士「えぇ。神王さんが破壊王と戦ったり、初代の時代から苦戦していた存在」
エンチャント魔導法士「クラノミコクとの戦いもありましたし、不思議ではないですよ」
凪園無頼「クラ···?ってなーにー?俺知らねーんだけどー」
鸞「無理もないだろうな。教科書じゃ『邪神』としか表現されてないからな」
キング「は?マジかよ···邪神ってクラノミコクの事だったのか!?ヤベェだろそれ!」
凪園無頼「何が?教えてくんねー?」
鸞「日本神話で国産みの神であるイザナミは日本列島を産み、神を産んだ」
鸞「イザナミは火の神を産んだ際、死亡しイザナギが黄泉の国にイザナミを助けに行った」
鸞「だがそこで黄泉の国で腐ったイザナミを見て、イザナギは恐怖し逃亡」
鸞「『死は穢れ』という物がここで生まれ、本来はここからイザナギが地上に戻るんだが」
鸞「イザナミはこの行動に怒り、地上に向かう準備をする」
鸞「イザナミはやっとの思いで黄泉の国から出てきたが、そこで見た光景が···」
キング「スサノオの死体遊びとそれを穢れだと怒るイザナギだった」
鸞「それに更に怒ったイザナミは黄泉の国に引き返し、ヤマタノオロチを出産」
鸞「しかし、しばらく経っても戻ってこないので地上付近に行き様子を見ると」
キング「スサノオにヤマタノオロチは殺されていた」
鸞「それに遂には臨界点に達したイザナミが、産んだのが邪神クラノミコクとされている」
凪園無頼「え、じゃあさ···すっげー昔の邪神ぶっ殺すのにXヒーローって頑張ってたってワケ?」
鸞「あぁ。しかも封じ込める程度しか出来なかったのを『殴り殺した』のが」
鸞「『喧嘩王』神王雷華って事だ。まぁそれは置いておいてだ」
鸞「聞きたいことはあるか?ここを出る前に現代のことを知っておいた方がいいだろ」
エンチャント魔導法士「そうですね···ではまず、ここは2021年のアメリカという事ですが」
エンチャント魔導法士「何を目標としているかをお教え願います」
斎王幽羅「俺達は現在この場所に現れるであろう3人の魔術師を探しています」
斎王幽羅「その3人の魔術師を打倒し、組織から信用を得て、敵組織WoOSを倒す」
斎王幽羅「これが現在の目標です。ですが、今組織の人が魔術師の居場所を探しているので」
斎王幽羅「しばらくは、ウィリアムさんの事を知ることに専念したいなって思ってます」
エンチャント魔導法士「なるほど···では次にですが、黒髪の素敵な貴方と銀髪の美しい貴女」
エンチャント魔導法士「そして青髪ロングのワイルドな貴方。3人には『ギルドマーク』がついてますが」
エンチャント魔導法士「ここのギルドメンバーという事でよろしいでしょうか?」
斎王幽羅「俺らは外部でここのギルドとは違うギルドです」
斎王幽羅「ギルドの名前はXヒーロー。俺は6代目マスターの斎王幽羅です」
エンチャント魔導法士「6代目ですか···貴方が6代目···」
斎王幽羅「あはは···喧嘩王に比べたら覇気もないし、強くないけど、皆に支えられながら」
斎王幽羅「なんとかマスターやってます。えへへ···」
エンチャント魔導法士「そうですね···確かに神王さんに比べたら覇気もないし、弱そうですが」
エンチャント魔導法士「貴方は皆に寄り添える優しい方だとお見受けいたします」
斎王幽羅「あ、ありがとうございます···えへへ···」
鸞「そしてここにいる俺と、斎王とキング以外は外様でXヒーローのメンバーじゃない」
鸞「元ヤクザの凪園、殺し屋のフェード、変化武器っていう特殊な種族のクロノスだ」
「ーーーー」
エンチャント魔導法士「外様ですか···考えられないですが、神王さんの事です。きっと許したのでしょう」
斎王幽羅「え、外部に協力してもらうってできましたよね···?ダメじゃなかったはず」
エンチャント魔導法士「仰る通りです。しかし、私の時代で力のある外様といえば」
エンチャント魔導法士「ヤクザ、裏の不動産屋、闇ギルド、あと参会の一文字族、大江鉄道くらいですかね」
斎王幽羅「大江鉄道···?なんだっけそれ···聞いたことはあるけど···」
鸞「国鉄と覇権を争ったとされる鉄道会社だ。明治時代からの組織で」
鸞「2000年頃に廃業したはずだ」
エンチャント魔導法士「え?大江鉄道が廃業···?あの大江鉄道が···?」
鸞「なんならダイエーやカネボウも廃業してるぞ。信じられないだろうが」
エンチャント魔導法士「あ、あのダイエーが···?あんな人気なのに···?」
斎王幽羅「まぁ色々あると思うので、とりあえず外に出てみましょう」
〇川沿いの道
マディソン郡 イースト・セントルイス 東側
イヴァン司教「割とあっさり入れましたね。しかし···これは···」
アークエンジェル魔導天士「『アジア人が多い』わね···ワールドインパクトも馬鹿じゃないし、対策はしてるはず」
アークエンジェル魔導天士「どうする?査問官ベリル。行動を起こせば敵が私達を特定するのは容易よ」
ベリル・ノエル「はぁ··· ··· ···代表からの命令はワールドインパクトを潰せって事だけど」
ベリル・ノエル「まずは観光だ···どうせ今何をしても意味なんてない」
ベリル・ノエル「それに俺の予想なら敵は『こちらの捜索』を始めてる。どっちにせよだ」
イヴァン司教「ほう···?私なら罠を張って行動制限掛けたいですが、理由は?」
ベリル・ノエル「捜索をしてるって事はそれぞれのルートがある。たとえ意識してなくても」
ベリル・ノエル「人間は習慣化したルートに依存し、その依存したルートを通りたがる」
ベリル・ノエル「それを把握し、ギルド位置を把握。時間帯は分散するだろうけど代表の話だと」
ベリル・ノエル「ワールドインパクトの構成員は80人。この街はやや広めだから捜索は30人を」
ベリル・ノエル「中距離間隔で行い、遠距離は街の人の情報を得るって感じだと思う」
ベリル・ノエル「この街はやや治安が悪い所から嘘情報で、情報料を貰おうとする奴もいる」
ベリル・ノエル「その為に情報精査も必要で、そこから考えると··· ··· ···」
ベリル・ノエル「一部隊目の捜索は『4~5時間』、二部隊目は『3~5時間』の間で交代しながら捜索」
ベリル・ノエル「そう読んでるよ··· ··· ···はぁ···」
イヴァン司教「なら今はその捜索部隊の特定とルート把握が先だと?」
ベリル・ノエル「そう··· ··· ···疲れたからカフェ入ろ···はぁ···」
To Be Continued··· ··· ···


