5 小手調べ~指輪と櫛~(脚本)
〇魔界
黒髪が柔らかく翻(ひるがえ)った
ハラン「こちらだ」
ミムレット「ヴぅ」
〇魔界
ハランの攻撃で砂塵が舞い上がり、ミムレットの視界を奪った。
ミムレット「グゥゥウ」
ミムレット「どこへ・・・?」
その時、足元がぐらついた
ミムレット「うっ?!」
派手に転んだミムレット
足元を見やると
たくさんの果物が落ちていた
ミムレット「あーあ」
ミムレットは、そのまま大きく伸びをして、地面に寝転んだ
やがて、靴の柔らかい音が近付いて来た
〇魔界
ハラン「おしまいか?」
寝転ぶミムレットの瞳に、黒髪がふんわりと映り込んだ。
ミムレット「ハラン」
ミムレット「お前、片手間に遊んでるでしょ」
ミムレット「ずっと澄ました顔してさ」
ミムレットは起き上がり、尻尾をゆらゆらと揺らした
ハラン「ふふ」
ハラン「同じように、動きたいか?」
ミムレット「コツがあるのか?」
ハラン「「球」の中での身のこなしを覚えれば もっと早く、力強く動ける」
ハラン「そう、例えば」
現れたモンスターを一瞥するハラン
ハランは顔色を変えず、モンスターをなぎ払った。
ミムレット(確かに強いけどさ・・・ コツの問題、じゃない気がする)
息一つ乱れていないハランを前に、呆れにも似た感情が過った。
ハラン「ん?」
ハラン「これは、君の指輪では? 地面に転がっていたよ」
ミムレットは慌ててポケットをひっくり返した。
〇要塞の回廊
二人は、拠点となる街へ戻ってきた。
ハランが言うところの「ミムレットの故郷」だ。
ハランは、身に付けていた組み紐をミムレットの指輪に通した。
ハラン「ほら、これで首にかけておくと良い」
ミムレットは、そろそろと手を伸ばし、組み紐に通された指輪を受け取った。
ミムレット「・・・いいのか?貰っても。 遠慮なんてしないぞ」
ハラン「組み紐か?また編めばいい」
ハラン「大切な指輪なのだろう? しっかり繋ぎ止めておかなくては」
ミムレットは、指輪をしっかりと首にかけて、胸元へ仕舞い込んだ。
ハラン「・・・その指輪、思い出の品か?」
ミムレット「ああ、これ?」
ミムレット「父さんの、指輪なんだよ」
ハラン「そうか。 大切なものなんだな」
ミムレット「大切?大切・・・かな」
ミムレット「父さんが身に付けてて・・・唯一残った物が、指輪だっただけだ」
ハラン「父君(ちちぎみ)も「球」へ?」
ミムレット「んーん」
ミムレット「死んじゃった。約束守って」
ハラン「約束?」
ミムレット「「死んでもアタシを守る」って約束」
ミムレット「父さんは約束を守ったんだ。 だから死んだ。それだけ」
ハランは瞳を大きくして、ミムレットのへたり込んだ耳を見た。
ミムレットはハッとしたように尻尾を立てると、ハランへ向き直った。
ミムレット「ね、ねえ!あんたにもあるの?アタシの指輪みたいな。父さんの一部みたいなものがさ」
ハラン「・・・あるよ」
ハランは、鎧の隙間から櫛を出して見せた。ツヤツヤとした、漆で仕上げられた櫛だ
ハラン「・・・姉君(あねぎみ)に、頂いたんだ」
ミムレット「あねぎみ?「姉さん」ってこと?」
ハランは口許を緩めた。
わずかに、はにかむような顔だった。
ハラン「よく・・・分かったな」
ミムレット「バカにするな!」
ミムレット「父さんのことを「ちちぎみ」って呼んだだろ?だったら「あねぎみ」は姉さんだ」
ミムレット「それくらい分かる!」
ミムレットは耳をキュッと後ろへ倒すと
狭い隙間に潜り込んでしまった
隙間を覗き込み、身を屈めたハラン
ハラン「すまなかった。本当に驚いたんだ。 他意はない」
ミムレットは返事の代わりに、尻尾を
タンタンと叩きつけた。
その後は、美味しそうな果物で釣っても、なだめても、機嫌はなおらなかった。
ハラン「困ったな・・・どうしようか」
ミムレット「シャァァア!」
ハラン「そうだ、面白い話でもしようか?」
ミムレット「だったら「球」について教えろ! この街のこと」
ミムレット「どうして、父さんの指輪があったのか」
ミムレット「どうしてアタシ以外、誰もいないのか」



やっぱりファンタジーっていいですね!!
世界観がとても気になります!
ケモナーと美女戦士がどう絡んでいくのか楽しみです😄
設定の謎も徐々に解けていきそうで心躍りますね。