2 猫人の少女(脚本)
〇魔界
溢れ返っていたモンスターは消え
人影が一つ、立っていた。
始めこそ驚いたが、直ぐに立ち直り、間合いを取った
銀髪の少女「ウヴヴっ」
黒釜の少女が、ゆったりと一歩踏み出した
銀髪の少女「寄るな!」
銀髪を逆立て、牙を剥いて唸る
銀髪の少女「お前は何?」
銀髪の少女「さっきの奴ら、どうやってやっつけたの」
銀髪の少女「答えろっ」
黒髪を揺らして、少女は立ち止まった。
黒髪の少女「そう焦るな」
黒髪の少女「『猫人(ねこひと)』の少女」
銀髪の少女「『猫人』?」
黒髪の少女「人間は君たちのことを、そう呼ぶ」
銀髪の少女「勝手に呼ばないで!」
銀髪の少女「私はミムレット!ミムレットだ」
黒髪の少女「ミムレット」
黒髪の少女「私はハラン」
黒髪の少女「君と違って、人間だ」
ミムレット「人間・・・」
黒髪の少女ハランは、きびすを返した
ミムレット「あっ」
振り向くことなく歩み去る黒髪
ミムレットは、その背が荒野の砂塵に撒かれて消えるまで、見送った
ミムレット「・・・人間」
〇雷
「人間?」
ミムレットの脳裏に、閃く閃光がよみがえる
瞬く間に、モンスターをなぎ倒した姿
ミムレット「あれが?」
気が付くと、ミムレットは走り出していた。
〇闇の要塞
黒髪の少女ハランを追ってきたミムレット
ミムレット(よかった、バレてない)
ミムレット「モンスターは...」
ミムレットは耳をそば立てた
聞こえるのは荒野の風と、砂粒の当たる音
そして、薪をくべる音
ミムレットは、建物の側を何度か行き来してから、大きく息を吸い込んだ
〇闇の要塞
おこした火に薪をくべる手が、止まった。
ハラン「火に当たらないのか?」
ミムレットは文字通り飛び上がった。
ミムレット(どんな耳をしてるの)
とっさに、言い返した
ミムレット「行かない!」
一言口をつくと、次から次へと言葉が溢れた。
ミムレット「お前は何?」
ハラン「人間だよ」
ミムレット「嘘だ!人間が私の足音に気付くなんて」
ミムレット「人間・・・じゃない」
ミムレット「アイツらを消し飛ばしたのは、あんたでしょ」
ミムレット「人間は弱い」
ミムレット「アイツらに勝てるわけない」
ハラン「それでも、人間だよ」
黒髪の少女は、焚き火に向き直った。
薪の爆ぜる音と、風の音が混じり合う。
ミムレット「人間だとしても」
ミムレット「何で助けた?」
ミムレット「ココで何してる?」
ハラン「私は」
ハラン「この地を、さまよっている」
ハラン「君と同じく」
ミムレット「さま・・・よう?」


