球~行き着く先は、世界の端~

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9 諍いという罪、消え去る罰(脚本)

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〇城門の下
ハパーランチア「おいで、ハパルム」
ハパルム「お兄ちゃん!待って」
  私は、兄のハパーランチアと共に、この街に住んでいた。
  食事を作ったり、誰もいない街を二人で散策したり──楽しかった。
  そんなある日
  招かれざる客がきた。

〇中東の街
ハパーランチア「困ります。勝手なことを言われちゃ」
男「何度も言うが」
男「こっちは、母ちゃんと子ども達を食べさせなきゃならねぇ」
男「お前達なら、どこででも生きていけるだろ?」
ハパーランチア「自分の「街」があるでしょう?」
ハパーランチア「どうして僕らの「街」に来るんです?」
男「俺たちの故郷の街はな、何にもないんだよ」
男「家もボロくて住みにくい、物資も古くて使いづらいもんばっかりだ」
男「ここは都会だろう?」
男「いいよなぁ・・・最新の物資も、食い物も、住む場所もある」
ハパーランチア「だったら、こうしましょう」
ハパーランチア「住む地区を分けて、物資も分け合いましょう」
男「分かんないヤツだな!」
男「ここは俺たちが住む、って言ってるだろうが!」
男「お前らが思ってる以上に、家族を食わすのはな、大変なんだぞ!」
  怯まずハパーランチアは言い返した。
ハパーランチア「足りますよ。食べ物も、服や建物も」
ハパーランチア「活用しても・・・いつの間にか、再現されて戻ってくるでしょう?」
男「時間がかかる時もある」
男「それに、いつまで再現されるか、分かったもんじゃねぇ」
男「子ども達も、ずっと腹を空かせてるんだ!」
ハパーランチア「だから、住む場所を分けて──」
男「物資はいくつ在っても足りねぇって言ってるだろうが!」
  男はハパーランチアに歩みより、怒鳴り付けた
男「こっちは、子どもが沢山(たくさん)いるんだ!」
男「だが、お前達はどこでだって生きていけるだろ?」
男「それに・・・お前らが俺達を嫌がって、攻撃してくるかも知れねぇ」
男「だから出ていけ!」

〇城門の下
  結局、二人は街を後にすることになった
ハパーランチア(仕方ない・・・俺やハパルムに襲いかかってくるかもしれないしな)
ハパルム「なんで出ていかなきゃならないの」
ハパルム「私たちの街なのに!」
  家族の、あまりにも身勝手な要求に、ハパルムは憤った。
ハパーランチア「ハパルム・・・ごめん。押し負けた」
  ハパルムは色々な感情が、ない交ぜになっていた
  「困っているなら助けたい」
  「なぜ、私たちを追い出すの?」
  「親の都合を押し通すために、子どもを盾にするなんて」
ハパーランチア「彼らが放棄した「故郷の街」に行こう」
  ハパーランチアは、地平線にぼんやり見える街の影を指差した。
ハパーランチア「荒野だと、モンスターが寄ってくるからね」
ハパルム「どうして、一緒に暮らしちゃダメなんだろう?」
ハパーランチア「・・・向こうにも、事情があるってさ」
  ハパーランチアは、自分より小さな妹の手を取り、街を振り返った。
ハパーランチア「あいつらの事情なんか、知ったことか」
ハパルム「お兄ちゃん・・・」
ハパーランチア「行こう、ハパルム」

〇先住民の村
  男の「故郷の街」は確かに不便だった。
  それでも工夫を重ねて、住みやすくしていった。
  食料を探すのも、物資を集めるの、冒険の「つもり」で楽しむようにした。
  しばらくして、ようやくハパルム達は街に馴染んだ
  なのに
男「出ていけ」
男「ここは俺たちの街だ」
  男とその家族は、自分の「故郷の街」へ帰ってきた。今はハパルム達が住んでいる街へ
  ハパルム達の街は、家族よりもっと「強い」やつらに牛耳られたらしい
男「ここは元々、俺たちの故郷だ!」
男「余所者は出ていけ!!」
  男はハパーランチアに詰めより、胸ぐらを掴んだ
  ザワリとした感覚が駆け巡った。
  宛もなく、新しい街を探す?
  また、コイツらが押し掛けてきたら?
ハパーランチア(どうするどうするどうする)
  掴み掛かられた恐怖
  止めない男の家族
  街の中で待っている、ハパルム
  我知らず、身体が動いた。
ハパーランチア「わぁぁああ!!」
  ハパーランチアは反撃した。
  鋭利な爪が、男の柔らかい肉を切り裂いた。
ハパーランチア「倒さなきゃ・・・倒さなきゃ・・・ コイツらも」
  ハパーランチアは、男の家族へ向き直った。
女「まずは話し合いましょう? それからでも遅くないわ」
ハパーランチア「倒さなきゃ・・・俺達を逆恨みするかも・・・倒さなきゃ」
女「来ないで──」
  倒れた3人の身体はやがて、泡のように分裂して地面に吸い込まれた。
ハパーランチア「倒さなきゃ・・・僕らの街を取り返さなきゃ」

〇先住民の村
ハパルム「お兄ちゃん?」
  泡の痕跡を見つけて、ハパルムは走り出した
ハパルム「お兄ちゃん、どこ?!」

〇城門の下
  泡の痕跡をたどって、故郷の街に帰ってきた。
  それはそれはたくさんの人が移住していて
  大人数の諍いが起こっていた
ハパルム「きゃあ!」
男「邪魔くさいガキだな!くそっ」
男「あ?何で猫人がこんな街中に・・・」
  男は、何者かの一撃に倒れた。
ハパルム「誰?」
  グズグズと定まらない影が、動かなくなった男の傍らに在った。
  一瞬、顔が見えた。
  穏やかな、兄の顔だ。そう見えた。そう見えて欲しかったのかもしれない。
ハパルム「お兄ちゃん?」
  暗い影は、形を取り崩しながら、街の中心へと引き返していった。
ハパルム「・・・嘘だ、嘘だ」
ハパルム「お兄ちゃん・・・まって」
ハパルム「まって、まってよ、嘘だ!!」
ハパルム「お兄ちゃん!!」
  かつて兄であったモンスターは、街の中へ歩み去った
  ハパルムは兄を呼び、叫ぶしかなかった。
  もう、聞こえていない叫びであっても。
ハパルム「うわぁぁぁあああ!!!!」

次のエピソード:10 スープ

コメント

  • 守るためにダークサイドに落ちていく!!
    憐れみと恐れのある感動的な物語でした!
    モンスターの正体は、そういうことなんですね…
    町の成り立ちも面白いですね。
    人間の願いと欲望を表してる感じがしました🤔
    深い話です。

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