【第3話】これが人生(脚本)
〇異世界のオフィスフロア
直美さんは正男の事をジーっと睨みつけている
直美「あなたは一体どうなりたいの?」
見た目、見た目って言ってるけど、そうよ見た目は大事よ!
そんなあなたも見た目で私の事を好きになったんじゃない!
直美「ろくに会話もした事ないくせに、私の事何も知らないでしょ?」
直美「結局、世の中もあなたも見た目が大事だと思ってるのよ!」
正男はハッとした
見た目だけで判断される世の中が嫌になっていた
しかし、そんな自分も直美さんの事を見た目で好きになっていたからだ
直美「私は今までずっと見た目だけで判断されてきて、たくさんの男達が寄ってきたわ」
直美「そんな私も見た目だけで相手を選び、恋愛ではことごとく失敗してきたの」
直美「だから私は見た目だけじゃなく、相手の中身も含めて好きになる事に決めたの」
正男「達也の中身も好き?」
直美「えっ!?何で達也?私、達也なんか好きじゃないけど・・・」
正男「じゃあ、この前のデートは・・・」
直美「は!?私が達也なんかとデート!?この前のはデートでも何でもないの!」
直美「私が達也に言いたい事があって、それで会って話をしただけよ」
直美「あなた達二人の関係の事よ」
正男「俺と達也の事!?」
直美「そうよ、あなた達は友達でしょ?」
直美「もっと友達の事を大切にしたら?って達也に説教をしてやったのよ」
正男「ちょっちょっと待って、達也が俺と友達!?」
直美「そうなんでしょ?達也が言ってたけど・・・」
正男「そっそう・・・友達・・・かな?うん・・・友達」
直美「職場に友達がいなかった達也が、あなたと親しそうにしている所を見て驚いたわ」
直美「だけど、達也のあなたへの態度が許せなかったの!」
正男「えっ!?達也が友達がいない!?てっきり達也は職場の人気者だと・・・」
直美「人気者なわけないでしょ!」
直美「達也はいつも見た目ばかり気にして、ろくに仕事もせず合コン三昧」
直美「イケメンだから、確かに職場の女性達には人気があったわ」
直美「でも男性達には評判が悪かったの」
直美「達也があなた以外の男性と、会話してるの見た事ないでしょ?」
正男「言われてみたら、見た事ないかも」
正男「常に女性達には囲まれていたけど、まさか男性達とは親しくなかったなんて・・・」
正男「だから合コンに誘える人が、俺しかいなかったのか・・・」
直美「それともう一つ、あなたは自分が損する人間だと思ってるわよね?」
正男「う、うん、思ってるよ」
正男「俺は皆からすると都合の良い人間なんだ」
正男「それで今日も三人分の仕事をしないといけなくて・・・断れない自分も情けないよ」
直美「皆は何であなたばかりに仕事を頼むと思う?それはあなたが信頼されているからよ」
直美「頼んだ仕事は絶対に断らず、真面目に仕事に取組み、」
直美「ちゃんとその日のうちに仕事をこなす事ができるあなたの事を、皆は知っているの」
正男「俺が皆から信頼されている・・・」
直美「そうよ、大事な仕事は信頼できない人に頼めないでしょ?」
正男「う、うんそうだね・・・てっきり皆に都合良く利用されているだけだと・・・うぅ・・・」
正男の目から、嬉しさで涙が溢れた。人生で初めての感情だった
今まで、悔しくて悲しくて辛い涙はたくさん流してきた。しかし今は違う
好きな人に認められて、今までやってきた事は間違いではなかったんだと思った
直美「さて、もう少し残業頑張りましょう!」
そして直美さんは、正男のデスクにある大量の資料を半分手に取り、
自分のデスクに戻って行った
正男「直美さん、ヒックヒック・・・仕事・・・手伝ってくれて・・・ありがとう・・・ヒック」
直美「いいのよ」
直美さんは一言クールに言葉を返し、仕事に取り掛かった
直美さんの手伝いもあり、正男は無事に三人分の仕事を終える事が出来た
〇オフィスのフロア
翌朝、直美さんが出社してきて正男の横を通り過ぎた
正男「あっ直美さんおはようございます!」
直美「・・・」
直美さんはそのまま自分のデスクに行ってしまった
正男「えっ・・・直美さん・・・怒ってる?」
次から次へと職場の男性達が直美さんに挨拶をするが、直美さんは無表情だ
達也「相変わらず直美さんって愛想悪いよな、」
達也「この前のデートでも感じ悪かったし、振ってやったよ」
正男「そうなんだ・・・」
直美さんに説教された事が余程面白くなかったのか、
達也は直美さんの事を振ったと、嘘をついた
〇異世界のオフィスフロア
達也「正男、昼ご飯一緒に行ってやってもいいぞ」
正男「う、うん。俺達・・・友達だからね」
達也「はぁ!?何で俺がお前と友達?」
達也「俺は、一人で寂しくご飯を食べるお前が可哀想だと思ったから誘ったんだよ!」
達也「それに、お前をご飯に誘う事で、女性達に優しい人って思われたいんだよ」
正男「う、うんそうだね」
達也は、直美さんには正男と友達だと言い、正男には友達じゃないと言っている
正男「ほんと素直じゃないな・・・」
達也「何か言ったか?」
正男「何でもない」
達也「よし正男、今日こそは合コンに行くぞ!残業は断れよ」
正男「合コンはもう行かないよ」
達也「はぁ!?何でだよ!彼女欲しくないのか?」
正男「俺には合コンは向いてないよ」
達也「じゃあお前はこれからどうやって彼女を作るんだよ!」
正男「それは・・・勿論これから良い人がいれば自分から積極的にアタックするよ」
正男「だから合コンはもう行かない」
達也「お前・・・何か変わったな!?こんな奴だったか?」
正男は合コンの誘いをキッパリ断り、清々しい気持ちになっていた
この日も相変わらず残業を頼まれたが、出来そうな分だけ引き受け、あとは断った
〇異世界のオフィスフロア
キンコンカンコン~
次々と皆が帰って行き、この日も直美さんと二人だけの残業だった
直美「わっ!」
正男「うわぁ!!!」
直美さんが後ろからやってきて、正男を驚かせた。
すると正男はビックリして椅子から転げ落ちた
直美「アハハ」
正男「えっ!?直美さんが笑ってる・・・」
直美「そりゃあ私だって人間だから笑うわよ」
正男「そうだね、でも職場で笑ってる姿を見た事がなかったから・・・」
直美「だって私が愛想よくしてたら、余計と男達が寄ってくるでしょ?」
直美「だから職場では無愛想にしているの」
正男「そうゆう事だったんだ」
直美「そうよ。 その甲斐もあって、まだ私をデートに誘ってくる男はいないわ」
正男「デ、デート・・・」
直美「じゃあ仕事も終わったし、そろそろ私は帰るわね。さようなら」
正男「うん、さようなら」
正男は直美さんをデートに誘おうか迷ったが、誘わなかった
何故なら、外見だけで直美さんを見ずに、中身をもっと知りたいと思ったからだ
〇オフィスのフロア
翌朝、いつも通り直美さんが正男の横を通り過ぎた
直美「・・・」
正男「直美さんおはようございます!」
直美「・・・」
達也「正男、直美さんに無視されてるのに、何でニヤニヤしてるんだよ」
達也「気持ち悪い奴だな」
正男「いや、何でもない」
達也「お前何か最近明るくなったな、彼女でも出来たのか?」
達也「合コンも断ってたし、もしかして・・・」
正男「彼女なんて・・・違うよ」
達也「じゃあ恋してるのか?」
正男「いや、それは・・・ 俺はしっかり相手の内面を見て好きになるって決めてるんだ」
正男「だから・・・今の所、好きな人はまだ・・・いない?かな」
達也「何しょうもない事言ってんだよ、一番大事なのは外見だ!」
達也「俺は外見を磨いているから人生上手くいってるんだよ」
正男「でも直美さんの事は振ったんでしょ?」
達也「それは・・・あ、あの女はヤバい女だから・・・」
正男「そうかな?」
達也「何だよ!お前、直美さんの事何も知らないだろ!?」
正男「そうだけど」
達也「とにかく俺はあの女が嫌いだから振ったんだ!」
達也は直美さんに説教された事を恨んでるみたいだ
〇研究施設のオフィス
しばらくすると、朝礼が始まった
そしてフミ子さんと達也が前に呼ばれ、昇格発表が行われた
フミ子さんは、この会社に長年勤めている事と、
毎日ミスもなく、丁寧な仕事をしているという事だった
フミ子「私は長年、この会社に勤めてまいりました」
フミ子「常に会社の事を思い仕事をしてきて、貢献出来た事を、大変光栄に思います」
一方達也は営業成績がトップで、特に女性の顧客から評判が良いという事だった
達也「えーまだ入社して2年目ですが、常に真面目に仕事に取り組んできました」
達也「その成果が認められたのかなと思います。 これからも宜しくお願いします」
パチパチとまばらな拍手が鳴っている
やはりこの二人の昇格に納得のいかない人が多いみたいだ
〇オフィスのフロア
達也「ほらな正男、やっぱり俺の人生って楽勝だろ?」
達也「営業では、女の人は俺が頼むとすぐに契約してくれるんだ。 俺って得だろ?」
達也「今日は職場一可愛いと言われている、新人の女の子とデートに行くんだ」
正男「そうなんだ・・・」
達也「俺の人生って羨ましいだろ?」
正男「でも友達がいな・・・いや、何でもない」
達也「何だよ、やっぱりお前は変な奴だな」
フミ子「はぁー今日も定時まで仕事頑張らないといけないわね」
フミ子「あー忙しい忙しい」
〇会議室のドア
この後、正男は部長に呼び出された
フミ子さんに無理やり残業をさせようとした、という事でこっ酷く説教をされた
正男「はぁー全く!俺の人生はどうなってるんだよ!」
その時、直美さんが正男の横を通り過ぎてこう言った・・・
直美「これが人生よ」
正男「そうだよな、良い事もあれば悪い事もある。 これが俺の人生なんだ」
正男「ありがとう、直美さん」
正男は理不尽な世の中が嫌になっていたが、直美さんの言葉で気持ちが軽くなり、
前向きに生きて行こうと思った。
正男の人生はまだまだこれからだ・・・


