僕と半分ゾンビな妹は対話でゾンビを理解する。

薊未ヨクト(あざみよくと)

【3期】ゾンビ軟禁事件(脚本)

僕と半分ゾンビな妹は対話でゾンビを理解する。

薊未ヨクト(あざみよくと)

今すぐ読む

僕と半分ゾンビな妹は対話でゾンビを理解する。
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇警察署の入口
???「お願いです! 僕を逮捕して下さい!」

〇オフィスのフロア
仁成 直哉(ひとなり なおや)「僕はっ・・・犯罪者なんですっ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「落ち着いて下さい。先程から言ってますが」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビ課は人を逮捕する部署ではありません」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「でも、僕はこの3年間──」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「ゾンビを軟禁してしまったんです!」
「な、軟禁・・・!」

〇ハイツ
仁成 直哉(ひとなり なおや)「ただいまー」

〇ダイニング(食事なし)
仁成 直哉(ひとなり なおや)「すみません、狭い部屋ですが」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「望。お客さんだよ」
ゾンビ「ううー」
樺島 ここね(かばしま ここね)「いま・・・笑った!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ぼ、僕もそう見えた」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「最近、望はよく笑ってくれるんです」
樺島 一心(かばしま いっしん)「彼女とは元々お知り合いで?」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「いえ、僕が名前を付けました」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「ゾンビにゾンビって呼ぶのも変ですし」
樺島 ここね(かばしま ここね)「うー、あー」
ゾンビ「あうあー」
樺島 一心(かばしま いっしん)「何か言ってる?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「『こんにちは』だって」
樺島 ここね(かばしま ここね)「この人、何の特異行動もしてない」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「主人が帰ってきて笑ったってのか?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ゾンビにそんな愛嬌あるかよ」
レックス 「レックス アイキョウ サイキョウ」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「主人なんてとんでもない」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「僕はただの、犯罪者です」

〇霧の立ち込める森
  3年前、僕は人生に絶望していました
仁成 直哉(ひとなり なおや)「・・・はぁ」
  『離婚届、書いてくれるわよね?』

〇明るいリビング
仁成 直哉(ひとなり なおや)「ど、どういうこと?」
仁成 素子(ひとなり もとこ)「仕事ばかりで家にも帰らない」
仁成 素子(ひとなり もとこ)「そんな人と結婚してても意味ないし」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「光輝はどうするんだ?」
仁成 素子(ひとなり もとこ)「大丈夫よ。だって・・・」

〇黒
仁成 素子(ひとなり もとこ)「もうすっかり結人くんと仲良しだもの」
横溝 結人(よこみぞ ゆいと)「親友のお前に悪いなとは思ったが」
横溝 結人(よこみぞ ゆいと)「寂しそうな彼女を放っておけなくてな」
仁成 素子(ひとなり もとこ)「ねー、再婚したらどこ行く?」
仁成 光輝(ひとなり こうき)「僕、バスリーランドいきたい!」
横溝 結人(よこみぞ ゆいと)「じゃあ、ロスなんてどうだ?」
仁成 素子(ひとなり もとこ)「それ、サイコー」
仁成 素子(ひとなり もとこ)「うふふふふ」
素子たち「あはははは」

〇霧の立ち込める森
仁成 直哉(ひとなり なおや)「家族のために働いて働いて」
仁成 素子(ひとなり もとこ)「あなたー、プラチナのピアスが欲しいの」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「働いて働いて」
仁成 光輝(ひとなり こうき)「僕、天体望遠鏡が欲しいー」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「何もーー残らなかった」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「もうこれで・・・」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「うわっ、ロープが!」

〇森の中
仁成 直哉(ひとなり なおや)「痛っ。いてて・・・」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「何かがクッションになってて助かった」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「あっ・・・!」
ゾンビ「うー」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「ゾ、ゾンビ!? ご、ごめんなさいっ!」
ゾンビ「うー」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「君も、ずっと一人で?」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「こんなところで、ゾンビになって・・・」
ゾンビ「あー」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「きっと、辛いことがあったんだろうね」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「ゾンビと死。どっちがいいのかな」
ゾンビ「うー」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「そうだね、僕はまだ死んでないんだった」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「まだ、生きてる」
ゾンビ「あうー」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「・・・あのさ」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「うち、くる?」

〇ダイニング(食事なし)
仁成 直哉(ひとなり なおや)「僕は彼女の手を引いて樹海を出ました」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「それ以来、一緒に暮らしています」
樺島 一心(かばしま いっしん)「とはいえ、ゾンビは勝手に歩くものです」
樺島 一心(かばしま いっしん)「彼女が出ていったりすることは?」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「いえ、一度も」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「仕事のときは家を施錠してはいますが」
樺島 ここね(かばしま ここね)「それなら多分」
樺島 ここね(かばしま ここね)「望さんは好きでここに居るんだと思う」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「どうかねぇ。そいつ、樹海に居たんだろ?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「社会から離れたかったんじゃねえのか」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「ぼ、僕もそう思います!」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「彼女の平穏を奪ってしまった・・・」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「どうする気だ?」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「彼女を樹海に返そうと思います」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「望はあの場所に居たかったはずなので」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あ、あなたはそれでいいの!?」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「僕はもう、たくさん助けてもらいました」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「望を、自由にしてあげたいんです」

〇林道

〇森の中
仁成 直哉(ひとなり なおや)「ここだ・・・懐かしいね、望」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「君と初めて出会った場所だよ」
ゾンビ「うあー」
樺島 一心(かばしま いっしん)「仁成さん。お気持ちは変わりませんか」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「ええ。ここでお別れします」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「今までありがとう、望」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「君と暮らし始めて、僕は人生が変わった」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「仕事もちゃんと行けるようになったし」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「ご飯だって食べられるようになった」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「最低な離婚調停だって頑張れた」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「全部・・・全部、君のおかげなんだ」
ゾンビ「うーー?」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「君が居なくなるのは・・・さみしいよ」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「でもこれ以上迷惑はかけられない」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「僕に出来るのはこれくらいだ」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「どうか・・・うっ・・・元気で・・・っ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「仁成さん!」

〇車内
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「もう、いいのか?」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「いいんです! 出して下さい!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「・・・わかった」

〇林道
ゾンビ「あー・・・」

〇空

〇空

〇警察署の入口
アナウンサー「では、次のニュースです」

〇アマゾンの森
アナウンサー「山梨県の樹海で男性が救出されました」
アナウンサー「男性は一週間、樹海を彷徨っていました」
アナウンサー「仁成直哉さんは建設会社の職員で──」

〇オフィスのフロア
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「おい、こいつこの間の──!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「うん!」

〇田舎の総合病院

〇田舎の病院の病室
樺島 一心(かばしま いっしん)「仁成さん! 大丈夫ですか!」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「ゾンビ課の皆さん・・・」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「実は、ハイキングで足を滑らせてしまって」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・望さんを探しに行ったんですね」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「僕、バカですよね」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「今更わかったんです。彼女がどんなに大切か」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ゾンビは勝手に歩き回る」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「樹海でゾンビ探しなんて自殺行為だぜ」
レックス 「ゾンビトリガ ゾンビニナルゾ」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「仰る通りです」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「別れた場所に望はもう居ませんでした」
樺島 一心(かばしま いっしん)「いずれにせよ、ご無事で何よりです」
樺島 ここね(かばしま ここね)「望さんはどこに行っちゃったのかな」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「樹海で目的を思い出したのかもな」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「もう忘れたほうがいい」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「忘れられるわけないじゃないですか!」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「脚が治ったらもう一度探すつもりです」
樺島 ここね(かばしま ここね)「仁成さん・・・」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ちっ・・・付ける薬もねぇな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「はい、樺島・・・わかりました」
樺島 一心(かばしま いっしん)「付近の道路でゾンビが騒いでるそうです」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「なんだよ、忙しねぇな」

〇林道
警察官「避難は走らずにお願いします!」
警察官「樺島さん、近づかないほうがいいですよ!」
警察官「ゾンビは興奮して唸っています!」
ゾンビ「あうー!」
「・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「うう・・・。いえ、大丈夫だと思います」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ぐすっ・・・うんうん、そうだよね!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「さっき薬はないと言ったばかりだが」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「訂正する。見つかったな、薬」

〇ハイツ

〇マンションの共用廊下
仁成 直哉(ひとなり なおや)「送って頂きありがとうございます」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「でもこれって監視ですよね」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「また樹海に行かれちゃたまらんからな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「僕らが安心できたら帰りますから」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「僕の気持ちは変わりませんよ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「さ、それはどうだろうな」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「──?」

〇ダイニング(食事なし)
仁成 直哉(ひとなり なおや)「・・・!!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「管理人さんに鍵を開けてもらいました」
樺島 ここね(かばしま ここね)「『家族なら問題ない』って言ってたよ」
レックス 「モーマンタイ!」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「ど、どうして・・・!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「樹海の近くで騒ぐゾンビが居てな」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ネックレスを突き出して歩いてたんだと」
樺島 ここね(かばしま ここね)「通訳したら『帰りたい』って言ったの」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ここに連れてきたら、落ち着いたんだよ」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「あ・・・ああ・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「仁成さんと過ごした3年間は」
樺島 一心(かばしま いっしん)「彼女に確かな絆を作っていたのです」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「うう・・・」
ゾンビ「うー?」
仁成 直哉(ひとなり なおや)「ただいま、望」
ゾンビ「うー!」

〇ハイツ
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ゾンビになっても想いは伝わる、か」
樺島 一心(かばしま いっしん)「尾ヶ崎さん? 何か言いました?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「いや。こっちの話だ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「でもまあ今回は・・・良かったんじゃねえか」
樺島 一心(かばしま いっしん)「はい!」
  ゾンビ軟禁事件 完

次のエピソード:【3期OP】ゾンビ地区発砲事件

コメント

  • 望にも仁成にも帰る場所があった。
    2人の幸せを願いたいですね。

ページTOPへ