かかし村

りをか

禁断の配信(脚本)

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〇山間の集落
  とある集落に、案山子で有名な村がある。
  有名な理由は、そこにある全ての案山子が
  本物の人間のように作られてるということ。
  また別の理由として、その村に
  足を踏み入れた者は
  二度と帰って来れないということ。

〇配信部屋
与野ヤヨミ「みんなぁ、今夜も『世のチャンネル』 観てくれてありがとですっ」
与野ヤヨミ「来週も世の中のこと、色々晒していくから ヨロシクねぇ」
与野ヤヨミ「だから、チャンネル登録といいねやコメント待ってまぁす」
  大学に通う与野ヤヨミはYouTuber。
  自身の暴露話しや、世間の話題を
  面白おかしく掻き立て、時には
  炎上動画などで再生回数を稼ぐ男である。
与野ヤヨミ「あ~あ、何か今一つ再生回数伸びねーなぁ。ひょっとして、みんな飽きてんのかなぁ」
与野ヤヨミ「よしっ、こうなったら視聴者から アンケートでも取るか」

〇配信部屋
  翌日
与野ヤヨミ「こんばんはぁ~ 今日の『世のチャンネル』ですが、 今回は緊急で動画を回してます」
与野ヤヨミ「お恥ずかしい話しなんですが、最近動画の 再生回数に大変伸び悩んでおります」
与野ヤヨミ「なので、皆さんにこういう動画を撮って ほしい等のアンケートを取ることにしました」
与野ヤヨミ「今から一週間、アンケートを受け付けるのでたっくさんの応募待ってまぁす」
  こうしてヤヨミは、一週間視聴者から動画に関するアンケートを募集した。

〇配信部屋
  一週間後
  ヤヨミは、視聴者からの
  アンケートに目を通す。
与野ヤヨミ「んだよ。 一週間待って、たったの5通かよ。 しかも、無茶振りのヤツばっかじゃん」
与野ヤヨミ「あ~あ、こんなんだったら最初から アンケートなんかしなきゃよかったなぁ」
  そう呟きながらアンケートを見ていると、
  一通のDMに目が止まった。
  初めまして。ヤヨミさん。
  いつも動画拝見しています。
  リクエストアンケートなのですが、
  ヤヨミさん、地図から消えた集落、
  通称『かかし村』を知っていますか?
与野ヤヨミ「・・・ん?カカシ村?聞いたことねぇな」
  とある集落に『かかし村』という案山子で
  有名な村があるそうです。
  そこには謎の噂があるらしく、ヤヨミさんにその真相を検証してほしいと思っています。
  よく知られている謎は、その村に一度
  入ったら、二度と抜け出せないそうです。
  しかも、奇妙な事に・・・
  住人は誰もいないのに、行くたびに
  リアルな案山子の数が増えているんです。
  僕も、そこの『かかし村』に
  足を踏み入れようとしたのですが、
  勇気がありません。
  でも、怖いもの見たさで
  その謎を知りたくてたまりません。
  なので、どうしてもヤヨミさんに
  追跡してほしいんです。
  ここで夜中に生配信をすれば、
  絶対にバズること間違いなしです
  ヤヨミさんを全力で応援しています。
  是非、よろしくお願いします!
与野ヤヨミ「ふ〜ん。カカシ村か。面白そうじゃん」
与野ヤヨミ「俺、ホラー実況は得意だからな」
与野ヤヨミ「前に、訳あり物件とか廃病棟や廃墟学校とか供養寺とか一人で撮影したからな」
与野ヤヨミ「よし、代わりに俺が潜入してやろう」
  ヤヨミは早速、その匿名希望に返事をした。
  アンケート、ありがとうございます。
  『かかし村』非常に興味が湧きましたので、
  是非、行かせて頂きます。
  場所等を後から教えて頂けると助かります。
  ヤヨミは、こうして
  『かかし村』に行くことを決意した。

〇山奥のトンネル
  一発逆転を狙うヤヨミは、
  視聴者から言われたルートを進んだ。
  深夜の山奥へと車を走らせる。

〇村に続くトンネル
  深夜2時、ヤヨミは山を越え谷を越え
  ようやく噂の村へと辿り着いた。
  電波が途切れ途切れの中、
  無理やり生配信を開始する。
与野ヤヨミ「こんにちはぁ。今日は場所を変えて、 とある村に来てまぁす」
与野ヤヨミ「今日来ている場所は、『かかし村』という 案山子で有名なところなんですが、」
与野ヤヨミ「消滅集落といって、誰も人がいない 集落だそうです」
与野ヤヨミ「何故ここに『かかし村』が出来たのか、 今日はそれを暴いていきたいと思いまぁす」
与野ヤヨミ「この不気味なトンネルの先に、村があるとの事なので、早速行ってみたいと思いまぁす」
与野ヤヨミ「・・・ん?」

〇寂れた村
  ヤヨミは撮影用のカメラを持って、
  村の様子を実況する。
  村の入り口、民家の庭、学校の校庭──
  いたるところに、異様なほど
  生々しい案山子が設置されている。
  よく見ると、案山子たちの
  服はどれも現代風で、
  中には──
  数ヵ月前に失踪した若手YouTuberが
  着ていたパーカーに酷似したものもあった
  「これ本物の人間じゃないか?」
  「ヤバいから逃げろ」
与野ヤヨミ「ハハハッ!!そんなん演出だろ!」
  ヤヨミは笑い飛ばし、配信の撮れ高のために
  さらに村の奥へと進んでいった。

〇村の広場
  村の広場に到着した瞬間、
  ヤヨミの背後から人影が現れた。
与野ヤヨミ「・・・誰ですか?」
  その人の手には、
  鋭く尖った大きな木製の杭と、
  太い針と麻糸が握られている。
「ヒイイイッ!!!!」
  逃げようとするヤヨミだが、
  スマートフォンの電波は
  完全に「圏外」になり
  配信は強制終了となっていた。
「お前が面白半分で晒した動画のせいで、」
「私の家族は、ネットリンチに遭い、 精神を病んでこの村の近くで首を吊った」
「お前は他人の人生を『消費する世見物(コンテンツ)』としてカカシのように扱ったんだ」
与野ヤヨミ「・・・どういうことだよ・・・?」

〇配信部屋
与野ヤヨミ「はーい!今回も初投稿して間もないですが、」
与野ヤヨミ「これからも「面白ければ何でもいい」を モットーに世間を晒していこうと思いまーす」
与野ヤヨミ「というわけで、新企画を立てまして、なんと」
与野ヤヨミ「「心霊スポット突撃」や「限界集落に不法侵入」という禁断の企画を配信しまーす!!」

〇寂れた村
「この場所は私の祖父母が住む家であり 私の故郷だ」
「だが、お前が「あの配信後」に」
「他の視聴者や荒らしが殺到して 落書きや放火をされ、住めなくなってしまった」

〇村の広場
与野ヤヨミ「・・・・・・」
与野ヤヨミ「ひょっとして、あんたがDMでこのネタを 持ちかけた張本人なのか?」
「ああ・・・」
  恐怖で動けないヤヨミの足を、容赦なく
  杭で地面に打ち付ける。
  暗闇の村にヤヨミの悲鳴が響き渡るが、
  助けは来ない。
「この村の案山子はね、」
「みんなお前みたいな 「他人の痛みが分からない人間」で できてるんだよ」
「形を整えて、ここに立てておくと、 良い鳥除けになるんだ」
  ヤヨミの口を麻糸で乱暴に縫い合わせ、
  叫び声すら上げられなくする。
  そして、彼の体に藁を詰め、じわじわと 『案山子』へと作り替えていく。
「次からは、お前らのせいで 誰もいなくなった村に、」
「今度はお前が案山子として永遠に立ち続けろ」

〇配信部屋
  数日後、ヤヨミのチャンネルに
  1本の動画が自動投稿された。
  『【最終回】かかし村で最高の動画が
  撮れました』
  映し出されているのは、夕暮れのかかし村。
  新しく増えた、口元を歪に縫われた
  案山子のアップ。
  その案山子の「目」だけが、
  カメラに向かって恐怖で
  キョロキョロと動いている──
  配信終了

コメント

  • カカシにされたYouTuberなんか鳥に突っつかれてそう…
    痛そう(>_<)

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