読切(脚本)
〇電車の中
私は今、
「運命急行」に乗っている。
〇電車の中
この電車はK駅を7月7日午後7時7分に出発した。
目的地は渋谷。
渋谷に着いたら、運命の人と巡り会えるらしい。
〇電車の中
電車には若い男女が大勢乗っている。
みんな、運命の人に出会いたいのかもしれない。
〇電車の中
私「本当にこの電車に乗ってるだけで、 運命の人に出会えるの・・・?」
〇占いの館
先週、私は、よく当たるという占い師さんのところに行った。
別れた彼のことが忘れられなくて、
とても苦しかったから。
〇占いの館
私「彼とはすごくわかり会えて、とても心地いい関係でした。 彼とずっと一緒にいるつもりだったんです」
〇占いの館
占い師「どうして別れちゃったの?」
〇占いの館
私「私がいけないんです。 彼が女の人にメッセージしていたので、嫉妬して怒っちゃって・・・」
〇占いの館
私「その人は、会社の同僚で、彼はただ、業務連絡をしていただけだったのに・・・。 そこから気まずくなって、別れちゃって・・・」
〇占いの館
私の悩みを、占い師さんは受け止めてくれて、真剣に、占ってくれた。
〇占いの館
占い師「彼を忘れるためには、 新しい恋をすること。 7月7日にK駅に行って、渋谷駅に午後7時7分に着く電車に乗りなさい」
〇占いの館
占い師「その電車は、運命急行。 渋谷の駅のホームに着いた時に、運命の人と巡り合うと言われているわ」
〇電車の中
占い師さんに言われた通りに、
運命急行に乗ってみたけれど・・・。
本当に運命の人に出会えるんだろうか。
〇電車の中
電車に乗ってる若い男女も、出会い目的で運命電車に乗り込んでいるらしく、みんなソワソワしている。
〇電車の中
男1「この電車に乗ってる人たちって、 出会い求めてるわけだし、 ホームに着いた時に声をかけたら、 恋が始まりやすいんだろうな」
男2「そうだな。 ってことは、 ナンパしほうだいじゃん。 ハハハッ!」
〇電車の中
私「なんか、遊び目的の人も乗ってる!? ちょっと怖いな・・・」
〇電車の中
「本日はご乗車ありがとうございます。
あと5分で渋谷駅に到着いたします。
みなさまに、運命の出会いがありますように・・」
〇電車の中
私「あと5分・・・なんだか緊張しちゃうな」
〇電車の中
私は、ドキドキしながら、そっとあたりを見回してみた。
〇電車の中
さっき話していた男の人と、
目が合ってしまって、
あわててそらした。
〇電車の中
私「ナンパじゃなくて・・・ 本当の恋がしたいな。 元カレのように、食べ物の好みが似ていて 「おいしいね」って言い合えるような」
〇電車の中
私「元カレのように、なんでも話せるような、親友みたいな恋人ができたらいいな・・・」
〇電車の中
やがて電車は、渋谷駅のホームに静かに滑り込んでいった。
〇電車の中
「本日はご乗車、誠にありがとうございました。渋谷に到着です。お客様の運命のお相手が、見つかりますように・・・」
〇外国の駅のホーム
私は、あたりを見回してみた。
若い男女が、運命の人を探してキョロキョロしている。
〇外国の駅のホーム
男1「よっ!」
〇外国の駅のホーム
私「どうしよう・・・ さっきの人に、声をかけられちゃった」
〇外国の駅のホーム
男1「さっき、運命急行乗ってたよね? 出会い探してるんだったら、 俺と飲みに行かない?」
〇外国の駅のホーム
私「あ、あの・・・」
〇外国の駅のホーム
私「どうしよう・・・ なんて返事をすれば・・・」
〇外国の駅のホーム
その時・・・
〇外国の駅のホーム
彼「ごめんね。 彼女は僕と約束してるから」
〇外国の駅のホーム
私「えっ・・・」
〇外国の駅のホーム
彼「ひさしぶりだね」
〇外国の駅のホーム
男1「なんだ、もう相手が決まってるんなら、 しょうがないな。 他の子探しにいってくるわ!」
〇外国の駅のホーム
私「ウソ・・・ どうしてここに・・・!?」
〇外国の駅のホーム
驚いて、心臓が止まりそうだった。
だって、目の前に現れたのは、
元カレだったから・・・
〇外国の駅のホーム
彼「僕だって驚いてるよ。 まさかお互いに運命特急に乗ってるなんてね」
〇外国の駅のホーム
私「同じ電車に乗ってたの・・・!?」
〇外国の駅のホーム
彼「そうだよ。こういう新しいことって、試したくなっちゃうよね」
〇外国の駅のホーム
私「・・・うん!」
〇外国の駅のホーム
そう。私たちは、新しくオープンしたお店をよく試してたっけ・・・。
〇外国の駅のホーム
彼「もしかして同じ電車に乗ってたらいいなって思ってたんだ。また会えてうれしいよ」
〇外国の駅のホーム
私「私も・・・。 ずっと会いたかった」
〇外国の駅のホーム
運命特急のおかげなのか、
なんだか素直に気持ちを伝えられる。
〇外国の駅のホーム
彼「とりあえず、再会記念に、ごはんでも食べに行こうか」
〇外国の駅のホーム
私「うん!行きたい! どこかいいとこ知ってる?」
〇外国の駅のホーム
彼「まかせて!奥渋に、雰囲気いいお店がオープンしたんだよ」
〇SHIBUYA109
私たちは、並んで歩き出した。
やっぱり私は、彼と一緒にいるのが、一番幸せ・・・。
〇SHIBUYA109
運命急行を教えてくれた占い師さんに、今度お礼を言いに行かなくっちゃな・・・。
〇SHIBUYA109
彼「着いたよ。ここ」
私「わっ、かわいいお店! 楽しみだなあ〜」
〇SHIBUYA109
7月7日。
渋谷の街には、運命急行で巡り会った男女が歩いているかもしれない・・・
運命急行で元恋人と再会できる、とてもロマンティックな展開ですね。そんな急行があれば、再会できれば結ばれる運命と思うでしょうし、会えなかったら結ばれない運命だと諦めもつく、いずれにせよ前向きになれそうですね。
全ては占い師の手の上…だったのか?!
まぁでもこんな些細なことで未練がある状態じゃ、例え凄く良い人と出会ったとしてもうまくいかないんだろうなぁ。
なんにせよ再開できて、少し離れていたことで改めて大切さがわかって良い方向にいけたのは良いことですね!
運命急行、いい響きですね。わたしも過去に戻って乗ってみたいです。今の旦那が運命の人だったら面白いなあ。笑
2人が運命で繋がっていてよかったです。