3(脚本)
〇シンプルな一人暮らしの部屋
キョウヤ「・・・」
キョウヤ「・・・」
キョウヤ「ゥオイ!」
朋絵「んがッ!?」
朋絵「あ、ゴメンゴメン。 また豚ちゃんになってた?」
キョウヤ「そんな可愛らしいもんかよ」
キョウヤ「なにが豚ちゃんだ。 こっちは、無呼吸心配してんだろ」
朋絵「も~う!や~さ~し~いっ!」
朋絵「お仕事の邪魔ならリビングで寝るね」
キョウヤ「いいよ」
キョウヤ「それよりコレ、見てみ」
〇仮想空間
朋絵「あ、慈善事業」
朋絵「今の時間って、中の人はバイト君?」
キョウヤ「自分で言うのも何だけどさ。 俺、結構人生充実してると思うんだ」
キョウヤ「大学出て演劇やって。 今は動画作って、ダチにも囲まれて」
キョウヤ「お前もいて」
朋絵「・・・てへ」
キョウヤ「マジ充実してるよ」
キョウヤ「でもさ、世の中きっと 充実してない奴らだっているだろ」
朋絵「・・・?」
〇工場の中
今の時間も薄暗い倉庫で働いてたりさ。
ダチなんかも全員切れてて、
安らげる彼女だっていなかったりさ。
失われし世代「あ~眠い~」
失われし世代「やってらんね~よ」
失われし世代「パ~イオ~ツ、吸~イ~テ~!」
ワタベ「・・・っしょ」
「おい、ベーさん」
ワタベ「っしょ・・・」
「ベーさん」
ワタベ「ふう・・・」
迫田「ベー!コラァ!シカトしてんじゃねーぞ!」
ワタベ「ああ、いや。すみません」
迫田「何度言ったら覚えんだよ。 その積荷、全部Bレーンつったろ」
迫田「ここ置いたら邪魔なんだよ」
ワタベ「すみません。すぐ移動させます」
小野田「まあまあ班長。 渡部君も入ってまだ一ケ月だよ」
迫田「もう一ヶ月っしょ」
迫田「ねえ、いつまで給料ぼったくるつもり?」
ワタベ「すみません・・・」
小野田「やってみせ言って聞かせてさせてみせ、 褒めてやらねば人は育たず。 ・・・ですよ班長」
迫田「ふん、誰の言葉っすか?キリスト?」
小野田「山本さん」
迫田「じゃあその人に タイパって言葉教えといて下さい」
「一分以内にBレーンに移動させとけよな」
小野田「彼、今主任への昇進かかってるから ピリピリしてるだけだよ。 気にしない気にしない」
ワタベ「すみません」
「是非に及ば~す」
そう。みんな孤独なんだ。
ワタベ「・・・っしょ」
誰も助けちゃくれない。
〇仮想空間
キョウヤ「だから慈善事業も、 もうワンランク上を考えてやらねーと」
キョウヤ「マニュアル通りじゃダメ。 最早、設定なんてクソくらえ」
キョウヤ「決められたキャラじゃない、 血の通った、 オーダーメイドの恋人を提供するんだ!」
〇シンプルな一人暮らしの部屋
キョウヤ「即興!」
キョウヤ「リアル!」
キョウヤ「共感!共有!共同!」
キョウヤ「メーカーとユーザーのコミュニケーションによって生まれる新感覚のラヴァ―!」
キョウヤ「これこそがァ~!新時代のォ~!」
キョウヤ「・・・オイ」
朋絵「・・・んがッ!」
朋絵「ゴメン、やっぱリビングで・・・」
キョウヤ「そうしてくれっかなァ・・・」
続く


