サンタの夜の夢

尾長イルカ

前編(脚本)

サンタの夜の夢

尾長イルカ

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サンタの夜の夢
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〇宇宙空間

〇女の子の部屋
乃慧瑠(ノエル)「UFO!?」
乃慧瑠(ノエル)「パパ見て! やっぱり宇宙人は──」
乃慧瑠(ノエル)「パパ・・・」
乃慧瑠(ノエル)「パパ、どうして・・・」

〇部屋の扉
「ホウホウホウ ホウホウホウ」
乃慧瑠(ノエル)「また、あの人ったら」
ママ「ああ、乃慧瑠(ノエル)ちゃん!」
乃慧瑠(ノエル)「なんか言ってた?」
ママ「いえ、別に?」
乃慧瑠(ノエル)「野太い声したけど ホウホウホウとか?」
ママ「えーホント? わかんなーい」
乃慧瑠(ノエル)「不審者だったら、追い払ってよね!」
ママ「アイアイサー」
乃慧瑠(ノエル)「まったく」
ママ「フー・・・」
ママ「バレるとこだった」
ママ「でも、これで本当に信じるかな? ホウホウホウ!」

〇山中のレストラン
  サンタを信じてるのは
  
  子供じゃなく
  
  親の方だ
  ──────────
  そのウソに合わせる
  
  子供は
  
  タ
  イ
  へ
  ン
  !!
  ────────
乃慧瑠(ノエル)「特に本当の親じゃない場合は!」
乃慧瑠(ノエル)「パパ、何であの人を残して死んだの?」
乃慧瑠(ノエル)「新しいママなんていらない もう、メンドクサイ!!」

〇雪山の山荘
「ホウホウホウ プレゼントだよ、ホウホウホウ!」

〇明るいリビング
ママ「毎年、パパがサンタになってた 今年はママが頑張らなきゃ!」
ママ「ホウホウホウ プレゼントだよ、ホウホウホウ!」
  扉の陰から、様子を伺う乃慧瑠
乃慧瑠(ノエル)(合わせるこっちの身になってよ)
乃慧瑠(ノエル)(それに、サンタなんか見たくない だって・・・)

〇路面電車のホーム
乃慧瑠(ノエル)「あぶない」
乃慧瑠(ノエル)「死にたいの? 路面電車なんだから!!」
少年「ロメン?」
乃慧瑠(ノエル)「道を走ってるでしょ 知らないの!?」
少年「面白いね」
乃慧瑠(ノエル)「のんきボーヤだ」
少年「僕の方が年上じゃないかな?」
乃慧瑠(ノエル)「ナマイキ!」
少年「そうなの? ここでは、そういうものなんだね」

〇路面電車
乃慧瑠(ノエル)「いつまで見てるの? 飽きもせず」
少年「君こそ、用事があるならいけば?」
乃慧瑠(ノエル)「ヒマ人あつかいして、失礼ね!」
乃慧瑠(ノエル)「もしアンタが轢かれて死んでたら 目覚めが悪いでしょ」
乃慧瑠(ノエル)「忙しいけど付いててあげる 感謝してよね」
少年「フフフ」
乃慧瑠(ノエル)「タイクツなんですけど」
少年「どこが? 素敵なことばかりなのに」
乃慧瑠(ノエル)「どっか行こうよ!」

〇赤レンガ倉庫
少年「空が澄んで、いい空気だ」
乃慧瑠(ノエル)「そんなの、あったり前じゃん ツマンナイ!」
少年「あたり前か・・・ そう思うんだね」
乃慧瑠(ノエル)「なにもない、退屈な町だよ」
少年「退屈なんて贅沢だよ 僕の所では──」
少年「今日生きるのに精一杯だから」
乃慧瑠(ノエル)「なにそれ? どっから来たの?」
少年「アー、空気がオイシイなぁー」
乃慧瑠(ノエル)「ごまかすな!」
少年「それよりクリスマスって プレゼント渡すんだろ?」
乃慧瑠(ノエル)「メンドクサイよねー」
乃慧瑠(ノエル)「ツリーは広場にあるよ」

〇西洋の市街地
乃慧瑠(ノエル)「サンタの正体!?」
少年「世界最大の謎だよ」
乃慧瑠(ノエル)「はぁ? そんなの決まってんじゃん」
少年「ちょっと待って! まさかまさか、君は知ってるの?」
少年「サンタの正体を──」
少年「信じられない・・・」
乃慧瑠(ノエル)「そんなの、子供はみんな知ってるよ」
少年「なんだって! この時代の子供は知ってると言うのか!?」
乃慧瑠(ノエル)「知らないと思ってるのは親だけ ホント、嫌になっちゃう」
乃慧瑠(ノエル)「毎年毎年、知らないフリすんの 疲れるんだから」
乃慧瑠(ノエル)「いい加減、親も気付いて欲しいよ 子供の苦労にさぁ」

〇モールの休憩所
乃慧瑠(ノエル)「ウチなんかさ あの人が、本当のママになろうとして──」
乃慧瑠(ノエル)「パパの代わりに サンタになろうって」
乃慧瑠(ノエル)「もうバレバレ・・・」
少年「ちょっと待って」
少年「サンタの正体って・・・ 親なの???」
乃慧瑠(ノエル)「なに言ってんの?」
少年「いま、君がそう言ったんだよ」
乃慧瑠(ノエル)「なに言ってんの、あたり前じゃん」
少年「あたり前だって??」
少年(そうか、そうだったのか なんてことだ!!)
少年(幾ら文献を調べても解らないハズだ)
少年(そんな陰謀があったなんて)
少年「世界中に公表しよう! 恐ろしい真実だ!!」
乃慧瑠(ノエル)「何で世界中に? プライベートだから、嫌だよ」
少年「公表すべきだ 君の家の問題では済まない」
乃慧瑠(ノエル)「そうなの? 親がサンタなことが?」
少年「ビッグバン以来の発見だ!!」
乃慧瑠(ノエル)「私はやめて欲しいの だって、だって・・・」
乃慧瑠(ノエル)「毎年サンタになってたパパ 笑顔のパパ」
乃慧瑠(ノエル)「忘れようとしてるのに なんで余計なことすんの!?」
乃慧瑠(ノエル)「もうサンタなんか見たくないの!!」
乃慧瑠(ノエル)「あんな人、ママじゃない」

〇山中のレストラン
乃慧瑠(ノエル)「ただいま、お客さんだよ」

〇明るいリビング
乃慧瑠(ノエル)「アレレ?」
乃慧瑠(ノエル)「疲れるほど自主トレしたんだ・・・」
乃慧瑠(ノエル)「こっちも、驚く練習すっかなぁー メンドクサイ・・・」
少年「この人がママ?」
乃慧瑠(ノエル)「ママ・・・かな ママって言わないとだよね」
乃慧瑠(ノエル)「ジュース入れるね 待ってて」
少年「すると これがサンタの正体か」
少年「いつサンタに変身するんだろ?」

〇雪山の山荘
「ホウホウホウ いい子でいるかい? 子供たち」

〇明るいリビング
少年「こうなれば良いんだな? 手伝ってやろう!」
少年「バッチリだ! いいことしたなぁ」
少年「やはり実地調査は重要だ 『サンタの正体は親』」
少年「素晴らしい成果だ」
ママサンタ「変な夢見た! 魔法使いに、魔法をかけられた夢」
乃慧瑠(ノエル)「ごめんジュース切らしてて・・・」
ママサンタ「あら? ノエルちゃん、どうしたの?」
ママサンタ「ノエル?」
  飛び出していく乃慧瑠

〇山中のレストラン
乃慧瑠(ノエル)「ああああああ」
乃慧瑠(ノエル)「消えた・・・」

〇三角
乃慧瑠(ノエル)「あいつ宇宙人だったんだ!!」
乃慧瑠(ノエル)「どうしよう!? あの人が改造されちゃった」
  後編へつづく

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