おてんば姫の冒険記

灰谷あずま

年越しの宴に参加してくるわ!(脚本)

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〇綺麗な港町
  ──ラプリア城下町──
サイネリア「あー! 気持ちのいいところね!」
タイクーン「冬だと言うのに、そこまで 寒くないんだな・・・」
ギャラクシー「そうですね。 ここラプリア王国は──」
ギャラクシー「港湾都市として近隣の国とも 友好関係を築き上げていて──」
ギャラクシー「交易が盛んな他、メロエル王国より 暖かい地域にあるため──」
ギャラクシー「多種多様な種族が行き交い、 それはそれは賑やかな国で──」
タイクーン「──ギャラクシー。 その辺にしとこうぜ」
ギャラクシー「──ん?」
サイネリア「・・・・・・すぅ」
タイクーン「こいつ、寝たぞ」
ギャラクシー「サイネリア様! こんな所で寝ないでください!」
サイネリア「──あ! ああ、ご、ごめんなさい・・・」
タイクーン「なんでたった数TAPで 寝るんだよ、あんたは・・・」
サイネリア「た、TAPってなによ・・・」
ギャラクシー「と、とにかく、今日は 公務でラプリア城下町に 来てるので・・・」
サイネリア「わ、分かってるわ! お城に向かいましょうか」

〇貴族の応接間
  ──ラプリア城•応接間──
ラプリア兵士「それでは、こちらの部屋にて お待ちくださいませ」
サイネリア「・・・はあ、それにしても」
サイネリア「またアイツに会わないと いけないわけね・・・」
ギャラクシー「あいつ、ですか?」
サイネリア「そう! あたしのカラダを狙ってきた 不届き者!!」
タイクーン「あの、チャラ王子か?」
サイネリア「そうよ!!」
ギャラクシー「──ああ、そうか」
サイネリア「お父様が、もしあの時から何も 変わってなかったら、 婚約破棄していいって」
サイネリア「そう言うもんだから・・・ 来ることにしたのよ」
タイクーン「・・・変わったかなぁ」
ギャラクシー「・・・どうぞ」
コーリン「ようこそ、おいで下さいました。 メロエル王国王女、 サイネリア様」
サイネリア「あ・・・いえ・・・」
コーリン「ラプリア王国第2王子、 コーリニアスと申します」
コーリン「コーリンとお呼びくださいね!」
サイネリア「・・・す、すごい変わりようね。 なにがあったの?」
コーリン「サイネリア様」
コーリン「これは公務ですから。 お付の方々がいらっしゃるのに くだけた口調をなさるなんて・・・」
コーリン「相変わらず、ですね?」
サイネリア「・・・ぷちーん」
サイネリア「あんた、何言ってんのォ!? あの時のこと忘れたって言うの!?」
コーリン「おおお、落ち着いてよぉ!」
サイネリア「落ち着けるかー!!!」
コーリン「僕だって、少し勉強したんだよ! あの時はほんとごめんって!」
サイネリア「誠意が 感じられなーい!!!」
タイクーン「どっ、どうどう!」
サイネリア「ぐぬぬぬぬ・・・」
コーリン「──とにかく。 僕は生まれ変わったよ、サイネリア」
コーリン「・・・君との婚約を 破棄したくなくてね」
サイネリア「・・・・・・」
ギャラクシー「・・・ふうん」
コーリン「──!!」
ギャラクシー「本当に成長したなら、ここでは 感情を表に出すのは やめた方がいいな」
サイネリア「・・・ギャラクシー?」
コーリン「・・・し、失礼しました。 ギャラクシー様」
ギャラクシー「とんでもない、コーリニアス王子。 こたびはよろしくお願いします」
コーリン「はい!」
コーリン「年越しの宴は今夜6時から 執り行う予定でございます」
コーリン「それまではこちらで休まれるもよし、 街に出て観光を楽しむのも 良いでしょう」
コーリン「必要であれば護衛もつけますので・・・ いかが致しますか?」
ギャラクシー「護衛は私とタイクーンがいれば 大丈夫です。 街に出てみようと思います」
サイネリア(ギャラクシーが勝手に決めてる・・・)
コーリン「左様でございますか。 では、また今夜お会いしましょう」
サイネリア「ね、ねえ・・・ どういう風の吹き回し?」
ギャラクシー「おや、街には行きたくなかったですか?」
サイネリア「そんなことはないけど・・・」
サイネリア「いつもなら、大人しくしててくださいって 言われるじゃない・・・」
タイクーン「まーいいじゃんか! いつもと違う街、食べ物! アンタ好きだろ!」
サイネリア「それは、好きだけど・・・」
ギャラクシー「それなら、お忍び服に着替えて 出かけましょう」
サイネリア「・・・そうだね!」
サイネリア「よーし! とりあえず遊ぶわよー!」

〇西洋の市場
サイネリア「るんるるーん♪」
タイクーン「なんか久しぶりだな、こういうの」
ギャラクシー「そうだな。 サイネリア様もご機嫌だ」
サイネリア「ねえみて! あのぶら下がってるお肉、 食べてみたいわ!」
タイクーン「あれは、美味そうだなー! どうやって食うんだろ?」
ギャラクシー「あれはつるし豚だな。 頼んできますよ」
サイネリア「ねえ、タイクーン」
タイクーン「ん?なんだ」
サイネリア「さっき、コーリン王子とギャラクシー 変じゃなかった?」
タイクーン「・・・そうだったか?」
サイネリア「顔見知りみたいな反応だったような」
タイクーン「どうなんだろう? 俺は気付かなかったぞ」
サイネリア「うーん・・・」
ギャラクシー「買ってきましたよ、どうぞ」
サイネリア「ありがとう!いいにおい!」
ギャラクシー「・・・ところで、なんの話しを してたんです?」
サイネリア「はふはふ・・・」
タイクーン「ああ、ギャラクシーとコーリン王子が 知り合いなんじゃないかって」
サイネリア「・・・むぐっ!?」
ギャラクシー「ああ、そんなことですか」
サイネリア「そ、そんなことって・・・ ていうかタイクーンもなに バラしてるのよ!」
タイクーン「だめだったのか?」
ギャラクシー「ふうん・・・ 私に秘密の話をしてたなんて──」
サイネリア「だから毎回近いって・・・」
ギャラクシー「姫様は悪い女ですね? フフ・・・」
サイネリア「そんなんじゃ・・・」
タイクーン「離れろし!」
ギャラクシー「はははっ、可愛らしいね。 からかいがいがあるよ」
サイネリア(あの日・・・洞穴で話した後から)
サイネリア(ギャラクシーはなんだか、 私へのアプローチが多くなった)
サイネリア(タイクーンは・・・)
タイクーン「ん?なんだよ、そんなに見て」
サイネリア(タイクーンからはなんも、ない)
サイネリア「なんでもないよ」
ギャラクシー「次はどこに行きますか?」
サイネリア「そうね・・・ 港の近くを見てみたいわ」
ギャラクシー「行きましょうか」

〇海沿いの街
サイネリア「ここに来た時も思ったけど・・・」
サイネリア「本当に綺麗だね!」
ギャラクシー「ここは、ラプリア城下町でも 端っこの方なのですけど」
ギャラクシー「高台になっているので、海が一望できて 街の人にも人気のスポットなんです」
タイクーン「ギャラクシー、やたら詳しいな」
ギャラクシー「そりゃそうさ。 私はここの生まれだからね」
サイネリア「えっ、そうだったの!?」
タイクーン「それは知らなかったぜ・・・」
ギャラクシー「言ってなかったからね」
サイネリア「そうか、だから王子のことも 知ってたってこと?」
ギャラクシー「・・・・・・」
ギャラクシー「・・・まあ、そんなところですね」
サイネリア「そっかー!」
  ──あれ?
  そこにいるのは・・・
ギャラクシー「──!!」
街の女性「ギャラクシー様! ギャラクシー様ではありませんか!?」
ギャラクシー「あ・・・!!」
街の女性「やっぱりそうだわ! その精悍な顔つき・・・ 絶対にギャラクシー様よね!」
サイネリア「ギャラクシー・・・ ・・・さま?」
街の女性「ああ・・・ こんな所で再会できるなんて・・・」
街の女性「生きていてくださったのですね! 本当に、良かった・・・」
ギャラクシー「あ、あの・・・」
ギャラクシー「ひ、人違いでは・・・?」
街の女性「いーーえ!!」
街の女性「この、誰が見ても美しいと 口を揃えて言うであろう なめらかな金の髪・・・」
街の女性「サファイアのような青い瞳! たくましいカラダ!」
街の女性「そして何より、生クリームのように 甘ーい声音・・・!」
街の女性「あなたは、ギャラクシー様に 違いありません!!」
サイネリア「生クリーム・・・ね」
街の女性「今までどこにおいででしたの!」
ギャラクシー「・・・・・・」
街の女性「まあっ、言えないほど 酷い場所にいらっしゃったの!?」
ギャラクシー「違いますけど!」
ギャラクシー「あの、一旦落ち着いてくれませんか」
街の女性「そう言われても!」
街の女性「10年間行方がわからなかった 第1王子を見つけて、 落ち着けるわけないでしょう!」
サイネリア「・・・・・・え?」
サイネリア「ギャラクシーが・・・」
「──王子!?」
ギャラクシー「・・・・・・・・・・・・」

〇大広間
コーリン「・・・・・・」
コーリン「・・・で、今までなにしてたんだよ」
ギャラクシー「・・・・・・・・・」
コーリン「何も言ってくれないのかよ」
ギャラクシー「すまない・・・」
コーリン「何に対して謝ってんの?」
コーリン「オレが、ずっと探してたの 知ってんだろ?」
ギャラクシー「・・・・・・・・・」
コーリン「だんまりかよ」
コーリン「兄貴が急にいなくなったせいで オレが王位を継ぐことに なったんだぜ」
ギャラクシー「・・・そう、だろうな」
コーリン「それに、結婚も勝手に決められた」
ギャラクシー「・・・それは」
コーリン「なんで逃げたんだよ」
ギャラクシー「逃げたんじゃないよ」
コーリン「じゃ、説明しろよ! 逃げてない理由を!」
ギャラクシー「コーリン。 今は宴の最中だろう」
ギャラクシー「あとで話そうじゃないか」
コーリン「ふん・・・あとで?」
コーリン「そう言ってまた、知らない間に メロエル王国に戻っちまうんだろ?」
ギャラクシー「そんなことはしないよ」
コーリン「・・・どうだか」
コーリン「まーいいよ。 オレはサイネリアちゃんと 踊ってくるから」
ギャラクシー「・・・やめておけ」
コーリン「婚約者のオレが遠慮する意味は?」
ギャラクシー「・・・・・・・・・」
コーリン「・・・ふん!」
ギャラクシー「・・・コーリン・・・」

〇大広間
サイネリア「・・・」
タイクーン「・・・・・・」
サイネリア「・・・・・・・・・」
タイクーン「おい、なんか言えよ・・・」
サイネリア「・・・なにって」
タイクーン「せっかく、俺と踊ってんだぞ? なんか・・・言えよ」
サイネリア「・・・・・・・・・」
サイネリア「うん・・・」
タイクーン「可愛い顔が台無しだぞ」
サイネリア「な、なな・・・」
タイクーン「俺だって、あんたのこと好きだからさ」
タイクーン「負けてられないんだよ」
サイネリア「か、勝ち負けなの・・・?」
タイクーン「決めるのはあんただけどな」
サイネリア「そうやって、困らせる・・・」
タイクーン「ギャラクシーより、コーリン王子より 俺がいいだろ?」
サイネリア「何言ってるの・・・ そんなの、わかんないよ・・・」
「そうそう! 勝手に結論を出させないでくれよな」
サイネリア「わっ、コーリン王子・・・」
タイクーン「ととっ── ダンス中に割り込むなよ・・・」
コーリン「オレの婚約者と勝手に踊るなよ」
タイクーン「うっ・・・」
サイネリア「ちち、違うのコーリン! あたしがタイクーンをダンスに誘ったの!」
コーリン「──なんで?」
サイネリア「なんでって・・・ ギャラクシーどっか行っちゃうし 暇だったから?」
コーリン「それなら、オレと踊ろうよ!」
サイネリア「え・・・」
コーリン「婚約者なんだから、建前でも 仲良くしといた方がよくね?」
サイネリア「──!!」
コーリン「ね?」
タイクーン「無理強いは・・・」
サイネリア「踊りましょう! コーリン王子!」
コーリン「へへっ、良かった!」
タイクーン「サイネリア様・・・」
サイネリア「タイクーン、大丈夫だから」
タイクーン「・・・ああ」
コーリン「しっ、しーっ、だ!」
サイネリア「コーリン王子、じゃあ 踊りましょ・・・」
コーリン「うん♡」
サイネリア「・・・・・・」
コーリン「・・・・・・」
サイネリア「・・・あの」
コーリン「どうかした?」
サイネリア「その、すごい視線を感じるんだけど・・・」
コーリン「だって、今日のキミ、 一段と可愛いんだもん」
サイネリア「そんなことは・・・」
コーリン「華奢な肩・・・折れそうな腰・・・ ふふっ、抱きしめたい」
サイネリア「変なとこばっか見ないでよっ」
コーリン「え~? だってドレスだし、見えてんだもーん」
サイネリア「もっ、もう! 踊りませんよ!?」
コーリン「ははっ、ごめん! ちゃんとするよ!」
サイネリア(金髪に青い瞳・・・ 確かに似てるような気はするけど)
サイネリア(ギャラクシーの、弟さん・・・?)
コーリン「キミだってオレを見てるじゃないか」
サイネリア「こ、これは、その・・・」
コーリン「たくましい腕に、甘いマスク・・・」
コーリン「生クリームのような声音・・・」
サイネリア「・・・え」
コーリン「似てるだろ? オレたちって!」
サイネリア「似てる・・・・・・」
サイネリア「・・・分からないわ」
コーリン「子供の時はよく似てるって言われたんだ」
コーリン「それがさー、オレが10歳くらいの時 急にいなくなってさ」
コーリン「居なくなって2年ほどで、 親父は探すのを諦めちまって」
コーリン「そのまま、オレは王位継承者に。 兄貴は行方不明になったと 公表されてさ・・・」
コーリン「まさかサイネリアちゃんの国に いたなんて・・・」
サイネリア「そう、だったのね・・・」
コーリン「・・・でも、もういいんだ」
サイネリア「え?」
コーリン「兄貴が戻ってきたら、きっと 兄貴に王位を譲ることになる。 そしたら・・・」
コーリン「オレは君との婚約も破棄することになる」
コーリン「そんなの嫌だ」
コーリン「キミはオレのものだ」
サイネリア「何言ってんの・・・ あたし、まだ認めてないわよ」
コーリン「きっと認めさせる」
サイネリア「・・・!」
コーリン「キミは王女様なんだから──」

〇黒背景
  いよいよ年越しカウントダウンが
  スタートします!
  国民の皆様、ココロの準備は
  よろしいでしょうかー!?
  間もなく、新年がはじまりマース!
  3・・・
  2・・・
  1──

〇花火
  ハッピーニューイヤー!!
  おめでとうございます!!
  新しい新年の幕開けです!!
  王国に光あれ!!
サイネリア「タイクーン、ギャラクシー」
タイクーン「うん?」
ギャラクシー「・・・はい」
サイネリア「今年もよろしくね!」
タイクーン「ああ、もちろんだ。 今年もあんたを、守り抜くよ」
ギャラクシー「もちろん、今年もお傍にいます。 あなたの心を癒すために・・・」
サイネリア「・・・」
ギャラクシー「ああ、そうだ・・・」
ギャラクシー「この後、少し私は席を外します。 コーリンと話してきますので」
サイネリア「あ、うん・・・ そうだね、よく話してきて」
タイクーン「・・・」
ギャラクシー「・・・・・・」
ギャラクシー「・・・それでは失礼します」
サイネリア「ギャラクシー・・・」

〇宮殿の部屋
コーリン「・・・はい」
コーリン「・・・来たかよ」
ギャラクシー「・・・ああ」
コーリン「それで? 全部話してくれるんだよな?」
ギャラクシー「ああ・・・」
ギャラクシー「俺はあの日・・・」

〇黒背景
  俺は第1王子でありながら、
  第2王子のお前に勝てないと思った。
  お前は明朗快活で剣技の上達も早く、
  一方の俺は少しの魔力があっただけだ。
  様々な国の者が出入りするこの場所では、
  魔法よりも剣が優遇された。
  直接言われたことはなかったが──
  コーリンは強いね!
  コーリンはすごいね!
  と・・・
  俺は兄貴なのに・・・
  褒められることなどなかった。
  そして思ってしまった。
  俺が居なくなれば──。
  案の定、俺がいなくなった後は
  お前が王位継承者になった。
  お前は知らなかったかもしれないが──
  俺は親父から見放されていたんだ。
  だから簡単に捜索を諦めて、
  お前を次期国王にしようと決めたんだ。
コーリン(少年時代)「でもオレはさびしかったよ!」
コーリン(少年時代)「ずっとさがしたんだ!」
コーリン(少年時代)「兄貴はどこにいったのって、 城のみんなに聞きまくった!」
コーリン(少年時代)「・・・だれも」
コーリン(少年時代)「だれも教えてくれなかったけど」
ギャラクシー(若い頃)「・・・うん」
ギャラクシー(若い頃)「その頃俺は14歳になり、 魔法も少しだけど形になり 他国の魔法使い試験に受かった」
ギャラクシー(若い頃)「そしてそのまま今の立場に収まった」

〇宮殿の部屋
コーリン「そんなの言い訳だろ!」
コーリン「オレは一度も言ってない! オレの方が優れてるとかそんな事は!」
ギャラクシー「・・・ああ、言われてない」
コーリン「それなのに勝手に諦めて!」

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