クラウン

山本律磨

火種(脚本)

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〇黄色(ディープ)
  花の御所 北の花亭
  室町の世
  御恩と奉公により支えられてきた武士の政は
  行き詰まりを見せていた
  奉公すべき戦もなく、与えるべき恩も尽きたその時代
  際限なく増え続ける武士の家を一まとめにする為、時の大君
  いや、彼の側近達はある制度を打ち立てた
大君「長子相続・・・」
大君「どうにかならんものか」
  八世室町幕府大君 義政
勝元「どうにもなりませぬ」
  幕府管領 細川勝元
勝元「兄弟は血縁である以上に、 君臣でなければなりませぬ」
勝元「もののふにとって、 血縁の情などという戯れは不要にて」
大君「耳が痛いな」
勝元「斯波畠山の愚弟。 それに便乗する田舎大名どもの 話にございます」
大君「なんだ。俺の早合点だったか」
勝元「そして御弟君、義視様」
大君「やはり俺の話ではないか」

〇グレー
  浄土院
  都の西に鎮座するその場所
  長子相続に抗う武門の弟達が、
  大君の弟である義視を奉じ集結している
  大君の弟 義視
  並びに有力守護斯波、畠山の弟君たち
  そして・・・
  幕府宿老 山名宗全
宗全「早まるでない」
斯波弟「解せぬ!解せぬぞ!」
畠山弟「左様。六分の一殿とは思えぬ弱腰」
畠山弟「早馬によれば今朝の稲荷山の騒乱、 侍所と英林孝景殿の戦であったとか」
斯波弟「越前の英林は正義の人として名高い! これは我らに力を貸してくれるとみて 相違ない! 疾く助成に向かわねば武士の名折れぞ!」
宗全「ただの喧嘩騒ぎに一喜一憂するは 尻の青い匹夫の証」
  『それは私に言うておるのか?』
義視「宗全・・・」
宗全「みどもは仏に代わりて 物の道理を告げる者」
義視「仏? 赤鬼の間違いであろう」
宗全「なんとでも申されよ」
  鎧戸が開け放たれ、密会に光が差し込む
義視「眩しい。閉めよ」
宗全「弱き弟どもよ。 いつまで陰に隠れるつもりだ?」
宗全「兄の陰、父の陰、家の陰」
宗全「お前達は日輪の寿ぎを求め、 我が『西幕府』に集ったのではないのか!」
畠山弟「もとより!」
斯波弟「故にやられる前にやるのだ!」
宗全「些末なことに動じるな」
宗全「お前達が立ち上がる時は、 天にも地にも恥じぬ戦でなければならぬ。 斯波畠山ほどの子息が、 小競り合いに加わるでない」
斯波弟「宗全殿・・・」
宗全「案ずるな。 お前達の戦場はみどもが作ってやる」
義視「信じてよいのだな」
宗全「我が西幕府・・・夢想で終わらせはせぬ」
  『偽幕府が如何した?』

〇黄色(ディープ)
大君「見事見事。見事な舞よ」
畠山兄「これはこれは管領殿もお口の悪い」
斯波兄「されど偽幕府とは言い得て妙」
斯波兄「かの悪餓鬼ども、 都の西に潜り、 徒党を組み、 幕府のやる事なすこと全てに ものなど申して回っておりまする」
勝元「浅はか」
畠山兄「さりとてそれに加勢する田舎大名も 天下の舵取りを目論み、 日に日に数を増やしておる」
斯波兄「その首魁が 天下の六分の一の領土を統べる山名宗全」
畠山兄「由々しき事態よ」
勝元「尻の青い阿呆ほど 御し易いと思うておるのだろう」
勝元「今はまだ捨て置け。 こちらに『御旗』がある限り奴は動けぬ」
畠山兄「御旗と言えば、 御台様のお姿が見られませぬが」
大君「富子は来ないよ。 こういう雅は好まぬようだ」
大君「言いたい事があるなら 俺が伝えておいてやろうか?」
斯波弟「ああいやいや、滅相もない」
畠山兄「御台さまに物申すなど・・・」
勝元「されば私から」
勝元「徳政の乱発は程ほどにして頂きたい。 過ぎたる積善は世を荒廃させまする」
大君「・・・」
大君「冗談だよ。やっぱりお前から話せ」
大君「妻と子のわわしさには、 もう、うんざりしてるんだ」

〇黄色(ディープ)
  常御所
トミ「よしよし。よしよし」
  大君御台所 富子
トミ「よしよし。よしよし」
  或いは、トミ

〇黒
  続

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