3 良くある話その2(脚本)
〇綺麗な一戸建て
とある家。
〇おしゃれなリビングダイニング
山下巽「ふ、ふわぁ・・・」
山下美優「あ、お兄ちゃんお早う!休みだからってお寝坊さんしたら怒られちゃうよ?」
山下巽「うるさいなぁ・・・俺だって疲れてんだからさ・・・」
山下美優「そんな事言ってるとお友達に嫌われちゃうよ?」
山下巽「お前なぁ・・・」
山下母「あ、巽起きてたのね・・・朝ご飯ここに置いとくから、残さずにね?」
山下巽「あ、ありがとう母さん・・・」
山下母「うん・・・」
山下美優「さて、あたしも早く食べなきゃって・・・」
山下美優「ん?お兄ちゃんどうしたの?」
山下巽「なぁ、何か母さん、どこか不機嫌そうじゃ無かったか?」
山下美優「え?そうだった?」
山下巽「俺にはそんな風に見えたけど・・・」
山下父「あ、2人共お早う!」
山下美優「あ、お父さんお早う!」
山下父「さて、父さんも早く朝食済ませないとな・・・」
山下巽「そうだね・・・あのさ父さん・・・」
山下父「ん?どうした巽?」
山下巽「さっき母さんの様子が変だったんだけど、何かあったのかなぁって・・・」
山下父「え?母さんが?全く、少しはこっちの気持ちも考えて欲しいよ!」
山下美優「え!?お父さんどうしたの!?」
山下巽「ねぇ、やっぱり何かあったの!?」
山下父「何も無いよ!でもこれだけは分かってくれ!僕はいつでも、お前達の事を考えてるからな!」
山下父「早い所食べちゃおう!」
「・・・・・・」
〇男の子の一人部屋
山下美優「ねぇお兄ちゃん・・・さっきのお父さんの様子、何かおかしく無かった?」
山下巽「あぁ、あれは間違い無く俺らの知らない所で何かあったのかも・・・」
山下美優「何かって何よ?」
山下巽「俺が聞きたいよ・・・何で喧嘩してるのか、何で怒ってるのかさ・・・」
山下美優「う〜ん、だったら聞いて見た方が早いよね?お母さん今なら洗面所にいると思うし、お兄ちゃん聞いて見てよ?」
山下巽「えぇ!?俺が聞くのかよ!?」
山下美優「お兄ちゃんでしょ!?率先して動かなきゃ!」
山下巽「率先って・・・まぁ良いや、ちょっと待ってろ?」
〇白いバスルーム
山下巽「母さん!いる!?」
山下母「あら、どうしたの巽?」
山下巽「聞きたい事があるんだけどさ・・・最近父さんと何かあった?」
山下母「何かって?」
山下巽「何か、さっき父さんも母さんも妙に不機嫌な感情してたからさ、もしかして喧嘩でもしてるのかなって・・・」
山下母「あぁ、その事?心配する事は無いわ・・・お父さんが分からず屋なだけだから・・・」
山下巽「え!?父さんと母さん、やっぱり喧嘩してるの!?」
山下母「巽と美優には関係無いわ・・・」
山下母「それはそうと、2人共早く着替えて頂戴!早くお洗濯したいから!」
山下巽「う、うん・・・」
〇男の子の一人部屋
山下美優「あ!お兄ちゃんどうだった!?」
山下巽「えっと、取り合えず着替えよう・・・」
山下美優「え?」
山下巽「母さんが早く洗濯したいってさ・・・だから早く・・・」
山下美優「わ、分かったわ!」
数分後。
山下巽「ふぅ、これなら母さんに文句も言われないかな?」
山下美優「そうだね・・・それで、お母さん何か言ってた?」
山下巽「それが、父さんが分からず屋だとか・・・」
山下美優「どう言う事?」
山下巽「それが俺もさっぱりでさ・・・でも喧嘩してるのは間違い無いよ・・・」
山下美優「えぇ!?それが本当なら、何とか仲直り出来ないかな!?」
山下巽「う〜ん、でも何が原因なんだろう?」
山下美優「・・・ねぇお兄ちゃん、お友達からこんな話を聞いた事があるんだけどさぁ・・・」
山下巽「え?どんな話?」
山下美優「あのね、お父さんとお母さんがずっと喧嘩ばっかしてると、離婚しちゃう事があるかも知れないんだって・・・」
山下巽「え!?」
山下美優「一度離婚したらもう元には戻れないって言うし、もしそんな事になったら、あたし達どうなっちゃうのかな?」
山下巽「・・・俺からは何とも言えないけど、父さんと母さんのどっちかと一緒になるとは思うよ?只・・・」
山下美優「只、何?」
山下巽「もしかすると、俺と美優は別々の所で過ごす事になるかも知れないな・・・」
山下美優「え、えぇ!?それって、もう一緒にいられないって事!?」
山下巽「うん、俺もそう言う話聞いた事あるよ?」
山下美優「や、やだ!嫌だよぉ!!」
山下巽「お、おい美優!?」
山下美優「やだやだやだやだ!そんなの絶対嫌だよ!お兄ちゃんともっと一緒にいたいよ!離婚なんかして欲しく無いよ!!」
山下巽「・・・美優・・・」
〇おしゃれなリビングダイニング
山下巽「父さん!母さん!」
山下父「あれ?巽、美優、そんな血相変えてどうしたんだ?」
山下美優「お父さん!お母さん!どうして喧嘩なんかしてるの!?何があっても離婚なんかしちゃ駄目だよ!!」
山下母「え?一体何を言っているの?」
山下巽「父さんが分からず屋だとか!母さんも何か不機嫌だし!何かあったのなら俺達にも話してよ!」
山下巽「このまま何も分からないままなんて俺達は嫌だよ!」
山下母「もう!ちょっと落ち着きなさいよ!あなた達何か勘違いしてない?」
山下巽「して無いよ!だって父さんと母さん!」
山下母「だって!お父さん幾ら言っても聞いてくれないんだもの!」
山下父「えぇ?まだ気にしてたのか!?僕ら全員分の国民健康保険のお金なら全部僕が払うから大丈夫だって言ってるのに!!」
山下巽「え、え?国民、何?」
山下母「あぁ、あのね!お父さんってば私達の保険証のお金全部自分で払うって言って聞いてくれないのよ!」
山下母「私も半分出すって言ってるのに大丈夫って言ってね!」
山下父「本当の事だよ!仕事も安定して来てこの位の負担は何とも無いからさ!」
山下母「だから!それを油断してるって言うのよ!」
山下父「でも母さんには負担掛からないだろ!?」
山下巽「・・・は?」
山下巽「はあぁぁぁぁ!!??」
山下母「とにかく!保険料は私も半分出すからね!」
山下父「ここは僕がやるから、母さんは子供達の食費に出してくれよ!!」
山下美優「ね、ねぇお兄ちゃん!お父さん達の喧嘩の理由って・・・」
山下巽「う、うん・・・俺らに取って何が一番か話してただけ見たい・・・」
山下美優「よ、良かった〜!これなら離婚なんてしないよね!?」
山下巽「う、うん・・・(どうせならもっと早く話してよ・・・)」
良くある話、案外些細な理由で喧嘩する。