良くある話

夏目心 KOKORONATSUME

1 良くある話その1(前編)(脚本)

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〇異世界のオフィスフロア
明石光輝「えぇ!?今何とおっしゃいましたか!?」
矢場井ワルオ「何度も言わせるな!人件費削減の為に君はクビだと言っているんだ!」
明石光輝「そ、そんな!待って下さいよ!幾ら僕が中卒だからってこんな!」
矢場井ワルオ「中卒ならやれる事などタカが知れてるだろ?そもそも内は大卒じゃ無いと入れないと言うのに、」
矢場井ワルオ「何で中卒の雑魚が内で働いてるんだ?しかも給料も異様に高いし、これはどう考えてもおかしいだろ?」
矢場井ワルオ「一体どんなイカサマをしたんだ?」
明石光輝「ま、待って下さい!僕はそんな事一度も!」
矢場井ワルオ「とにかく!これは決定事項だ!お前1人居なくなった所で何も問題は無い!このドキワミ大学卒の俺がいるんだからな!」
矢場井ワルオ「分かったなら今直ぐ荷物を纏めて出て行け!これは命令だ!」
明石光輝「・・・!!」
明石光輝「・・・・・・分かりました、今日までありがとうございました・・・」
矢場井ワルオ「はっ!やっといなくなった!これでこの職場もクリーンになったな!」
  しかしその1週間後。
職員「え!?納期が遅れてる!?ちょ!ちょっと待って下さい!直ぐお調べしますので!!」
職員「そ、その様な事が!?大変申し訳ありません!直ぐに対応を!」
矢場井ワルオ「な、何だ!?一体何がどうなっているんだ!?」
  良くある話、特定の人間がいなくなると会社が回らなくなる。
部長「あぁ!矢場井君!この状況は一体!?」
矢場井ワルオ「あぁ!部長!原因は分かりませんが、何故かクレームの電話が殺到してて!」
部長「ど、どう言う事だ!?所で、最近明石君の姿が見えないんだが?」
矢場井ワルオ「明石?明石なら1週間前の会議でやった人件費削減の為に私からクビを宣告しましたが?」
部長「な、何だってぇ!?一体誰が許可したのだ!?」
矢場井ワルオ「え?私ですが?」
部長「ば、バカモン!!何て事をしてくれたんだ!?」
矢場井ワルオ「え、えぇ!?どうしたのですか部長!?あいつは只の中卒でしょ!?」
部長「何も知らないのか!?明石君は中学を卒業するまでは日本に滞在してたが、その後はアメリカの高校へ赴き、」
部長「世界最難関大学のナーツーメ大学を首席で卒業したのだぞ!!」
矢場井ワルオ「な、ナーツーメ大学ですって!?」
部長「そうだ!技術者としてのスキルを評価して、内の社長が直々にスカウトしたのだ!それを勝手にクビにしたら、」
部長「彼に任せてたプロジェクトも出来ないし、彼が取って来た契約も全て駄目になるだろう!!」
矢場井ワルオ「そ!そんな馬鹿な!!あいつ1人いなくなっただけで!?」
部長「とにかく!今直ぐ明石君に連絡して謝罪するんだ!彼に戻って頂かなければ、もう我が社は立て直しが効かん!」
矢場井ワルオ「は、はい!!」
  良くある話、逃がした魚が案外大きかったりする。

〇オフィスの廊下
矢場井ワルオ「・・・・・・」
スマホ「はい、明石ですが何か?」
矢場井ワルオ「おぉ!出て来てくれたか明石!」
スマホ「え?矢場井さん?今更何の用があって?」
矢場井ワルオ「これは命令だ!今直ぐ戻って来い!」
スマホ「えちょ!何ですかいきなり!?クビにしたのは矢場井さんですよね!?」
矢場井ワルオ「お前の話は聞かせて貰った!何故自分がナーツーメ大学の首席卒だと言う事を黙ってた!?」
スマホ「え?別に自慢する事でも無いし、社会に出たらそんな肩書役に立ちませんよね?」
矢場井ワルオ「ええい今更気に障る事を!!とにかく!この状況はお前で無いと覆せん!今直ぐ戻って!」
スマホ「すみません・・・今僕新しい職場にスカウトされてて、今更戻るなんて出来ませんよ・・・」
矢場井ワルオ「そ、そんな馬鹿な!!あの短期間でもう再就職したのか!?」
スマホ「はい・・・」
矢場井ワルオ「お、おい!お前今どこに勤めてるんだ!?」
スマホ「どこって、夏目カンパニーですが?」
矢場井ワルオ「夏目カンパニーだな!良し!」

次のエピソード:2 良くある話その1(後編)

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