最終幕『似たもの同士』(脚本)
〇ネオン街
田所「・・・」
田所「くそっ!出ない・・・」
田所「気になって調べてたんだが、 まさか・・・」
田所「明日美、気をつけろ」
田所「あの男は──」
〇黒
〇シンプルな一人暮らしの部屋
修次「ごめんね、狭い部屋で」
明日美「ううん」
修次「明日美さん、なにか飲む?」
明日美「ありがとう じゃあ、お水もらおうかな」
明日美「・・・へぇ」
明日美「こんな部屋なんだ──」
明日美「白木修次・・・」
修次「あ、ああ・・・」
修次「僕、本名は白木修次っていうんだ」
明日美「へぇ、白木・・・」
明日美「白木──」
修次「明日美さん・・・」
修次「いつかはわかることだから 今ここで言ってしまうね」
修次「お姉さんの今日香さんの 恋人だった白木大輔・・・」
修次「僕は、その弟なんだ──」
明日美「・・・あ」
明日美「うあ・・・」
〇シンプルな一人暮らしの部屋
明日美「うわあああああっ!!」
〇シンプルな一人暮らしの部屋
修次「驚いた・・・よね?」
修次「僕、兄貴が心中したこと いまだに信じられないんだ」
修次「兄貴・・・今日香さんのこと、 すごく大切にしていて」
修次「実は仕事の傍ら、 こっそりシナリオコンクールに 応募し続けてて・・・」
修次「『いつか約束を果たすんだ』って──」
明日美「あ・・・あ・・・」
〇小劇場の舞台
大輔「いいねぇ・・・ オレの書いた脚本のイメージ通りだ!」
今日香「そう?ありがとう」
大輔「もしいつかプロの舞台で オレが脚本を書くことがあったら」
大輔「その時は・・・スターになった おまえに主演してもらうよ」
今日香「ふふ・・・そうね」
今日香「楽しみにしてる──」
〇シンプルな一人暮らしの部屋
明日美「大・・・輔・・・」
修次「そんな兄貴が なんで急に心中なんてしたのか」
修次「いまだにわからなくて・・・」
修次「明日美さん?」
明日美「ごめんなさい・・・大輔・・・」
明日美「ごめんなさい!ごめんなさい!」
明日美「ごめん・・・なさい──」
修次「・・・なんで明日美さんが謝るの?」
明日美「あたし・・・帰る」
明日美「お願い、ひとりにして──」
修次「ま、待ってよ、明日美さん!」
修次「悪かったよ・・・こんな話して」
修次「・・・明日美さんと共演が決まった時、 正直言って驚いたよ」
修次「こんな偶然、あっていいのかって──」
修次「でも、会うたびにどんどん 明日美さんに惹かれていく自分がいて」
修次「思ったんだ・・・ この出会いは、運命なんだって──」
明日美「・・・運命?」
明日美「こんな運命、クソ喰らえよ!!」
明日美「・・・さよなら」
修次「待って!」
明日美「イヤ!離して!」
修次「兄貴たちは兄貴たち、 僕たちは僕たちだよ!」
修次「僕たちは・・・ふたりで幸せになろうよ」
明日美「無理よ!」
明日美「もう・・・無理なの──」
修次「僕たち・・・きっと同じなんだ!」
修次「きょうだいを失った、 同じ傷を持つ者同士・・・」
修次「だから、惹かれ合ったんだよ──」
明日美「違う、同じじゃない!」
明日美「だって、あたしは」
明日美「本当は──」
修次「明日美さん!」
明日美「ちょ!ちょっと!」
修次「話そう!話し合おう!」
明日美「来ないで!」
修次「明日美さん──!!」
〇シンプルな一人暮らしの部屋
〇綺麗な部屋
〇黒
・・・ああ
やっぱり「きょうだい」なんだ──
〇黒
「・・・もしもし、田所さん」
「・・・」
「本当は三つ子でした、って」
「ダメ──?」
〇黒
お わ り
完結おめでとうございます。
結婚してハッピーエンド……と思わせてからのバッドエンド。
殺してしまった交際相手の"本当"の弟だったとは。😱
そしてラストの台詞からして彼女はまたもや同じ過ちを……。
おお、罪深き死スターよ。汝に憂いあれ。