聖職者たる嗜み(脚本)
〇グラウンドの隅
山田「お前、なに考えてんだよ」
田中「山田・・・」
山田「ふざけんなッ!!」
山田「・・・レギュラー、」
山田「入れなかったから・・・腐ったのかよ」
田中「そんなワケねぇだろ」
田中「俺が何をしたって言うんだよ」
山田「・・・約束したじゃねぇか」
山田「甲子園・・・」
山田「甲子園・・・一緒に行こうって」
田中「山田・・・」
山田「約束したじゃねえかよッ!!」
山田「俺は絶対に許さねぇぞ!! 約束やぶんじゃねぇッ!!」
田中「お、俺は・・・別に、」
田中「野球、辞めるなんて言ってねぇ!」
山田「言ってんのと同じだろうが」
田中「なんでだよ!」
田中「全然意味わかんねーよ!!」
山田「見たんだ」
山田「昨日、お前をコンビニで見たんだ」
山田「なんでだよ・・・」
田中「コンビニくらい行くだろ」
山田「なんで、あんなモン買ったんだよ」
田中「”あんなモノ”・・・?」
山田「とぼけんじゃねぇ!!」
山田「たしかに俺は見たんだ!! お前が・・・!!」
山田「お、お前が・・・」
山田「チョコミント、買ってんの・・・」
山田「チョコミントなんかに 手を出しやがって・・・」
田中「ずっとなに言ってんだよ、お前ッ!!」
田中「全然、意味わかんねぇんだよ!!」
山田「あんなモン食って 甲子園行けるワケねーだろォ!!」
田中「いい加減にしろよ山田ァ!! ヤバい宗教でも入ってんのか!!」
山田「チョコミントをヤッてる奴が言うな!!」
田中「てめぇ、大きめの企業から訴えられるぞ!!」
田中「酒とかタバコじゃねーだろ!」
山田「お前はチョコミントのヤバさを 知らないから平気で食えるんだ!」
山田「あんなスースーするの、 食いモンじゃねぇって分かんねぇのか!」
田中「世界中に敵が生まれるぞ山田ァ!! 他人の好みを全否定すんじゃねぇ!!」
山田「ハァ・・・ハァ・・・ちくしょう」
田中「ハァ・・・ハァ・・・くそ」
山田「お前が大切だから言ってんだ」
山田「どうして分かってくれない・・・」
田中「味覚なんて人それぞれだろうが・・・」
山田「違う・・・ その『美味しい』は”味覚”じゃない」
田中「はぁ?」
山田「”味覚”というのは、」
山田「甘味、塩味、旨味、酸味、苦味の5つだ」
山田「脳のエネルギーになる糖分の甘味、」
山田「体の神経細胞を維持するミネラルの塩味、」
山田「筋肉のタンパク質を作るアミノ酸の旨味、」
山田「そして酸味と苦味は、 腐ったり焦げたりした毒素を避けるためだ」
山田「この5つのバランスで 有益な栄養を感じるのが『美味しい』だ」
山田「俺の言いたいことは分かるか?」
田中「もう分からな過ぎて怖ぇわ」
山田「トウガラシの辛味や ミントのスースー味は”味”じゃないッ!!」
山田「スースー味はただの“刺激”なんだッ!!」
田中「『スースー味』が引っかかるんだわ」
山田「辛味成分のカプサイシンや スースー味成分のメントールは、」
山田「植物が身を守るため 外敵を攻撃する刺激成分であって」
山田「生物が『美味しい』と 感じるべき成分じゃない!!」
山田「むしろミントは『不味い』と感じる 苦味成分しか含んでない!」
田中「栄養だけが『美味しい』じゃないだろ!」
田中「ミントはハーブとして アロマや入浴剤にも使われてる!」
田中「ハーブティーなんか チョコミントより歴史が長いだろ!!」
田中「ストレスを和らげたり食欲を促進したり 高い薬効があるのは証明されてる!!」
山田「だから言ってんだろうが!!」
山田「お前はストレスのせいで不味いモノを 美味しいと錯覚してるだけだ!!」
山田「レギュラー落ちたショックで スースー味の刺激に逃げてるんだ!!」
山田「目を醒ませ!! 戻れなくなるぞ!!」
田中「チョコミントは 前からずっと好きだったよ!!」
田中「レギュラー落ちたせいじゃねぇ!!」
山田「依存性を甘くみるなーッ!! 人生が台無しになるぞォ!!」
田中「クスリみてぇに言うなァ!!」
田中「俺は・・・」
田中「あんま甘いモノが得意じゃねぇ」
田中「お前だって知ってんだろ」
山田「当たり前だ もう10年も親友やってんだから」
田中「でもチョコミントだけは美味しいんだ」
田中「口に残る甘ったるさのない 爽快な風味がチョコを引き立てる」
田中「最高のスイーツなんだ!」
山田「今のお前は虫除け食って 美味しいって言ってんのと同じだぞ!!」
田中「全国の菓子メーカーから ブッ飛ばされろテメェーッ!!」
山田「ハァ・・・ハァ・・・」
田中「ハァ・・・ハァ・・・」
山田「お前に必要なのはプロテインだ・・・」
山田「キモチ良くなりたいなら 筋トレの方が痛くてキモチ良いだろ・・・」
田中「お前の方が よっぽどヤベェ変態じゃねーか・・・」
田中「プロテイン・・・」
田中「毎日、飲んでるよ」
山田「なに・・・?」
田中「プロテインにあるぞ」
田中「『チョコミント味』」
山田「なん・・・だと・・・!?」
田中「色んなフレーバーを試したけど 続けられたのはチョコミント味だけだ」
山田「スースーさせながら・・・ 筋肉に必要なタンパク質・・・を!?」
田中「お前の言う通り」
田中「たしかに夏は暑いし、 練習キツくて気分しんどくて──」
田中「チョコミントの美味しさに 逃げてるのかも知れない・・・」
山田「田中・・・」
田中「でも、それは”助走”なんじゃないか」
田中「高く跳ぶための、助走さ」
田中「俺は逃げてなんかいねぇ」
田中「またレギュラー入るために 工夫して走ってるだけだ」
山田「・・・・・・」
田中「ミントに栄養なんか無いのかも知れない」
田中「でも、料理の臭みを消したり ケガの痛みを緩和したり──」
田中「なにかの”本来のパフォーマンス”を 引き上げる存在なんじゃないのか?」
山田「本来の・・・パフォーマンス・・・」
田中「チョコだって 最初は薬だったんだろ?」
田中「苦くて食えたモンじゃなかったのを 砂糖でスイーツになったんじゃねーのか」
田中「チョコミントだって同じだろ」
田中「砂糖の甘さよりも ミントのスースー味を選んだだけさ」
田中「ベンチメンバーみたいなモンだ」
田中「レギュラーだけが野球じゃねぇ」
山田「田中・・・」
田中「俺なりの”戦い方”をするだけなんだ」
山田「お、俺は・・・」
山田「チョコミントを勘違いしていたのか」
田中「偏見は争いしか生まない、そうだろ?」
田中「『チョコミントは好き嫌いが分かれる』 それで、いいじゃねーか!」
田中「お前は真面目で優しくて良い奴だけど」
田中「思い込みで何でも信じまう」
山田「すまない・・・田中・・・」
山田「あ、兄貴が・・・いつも言うんだ」
山田「マッチングアプリで出会う女が 全員チョコミント好きでツラいって」
山田「だから俺・・・」
山田「チョコミント好きな奴は みんなメンヘラなんだって・・・」
田中「そんなワケねーだろ、山田 よく考えろよ」
田中「兄貴がイカれてるだけさ」
山田「うぅ・・・田中・・・」
田中「マッチングアプリ、お前は絶対やるなよ?」
山田「俺は視野が狭かったのかも知れない」
山田「もっとストライクゾーンを広げなきゃな」
田中「山田・・・いや、」
田中「『相棒』」
田中「一緒に行こうぜ」
田中「甲子園」
山田「あぁ!!」
田中「お前も飲んでみろよ チョコミント味のプロテイン」
山田「絶対マズいからいらねぇ」
山田の兄貴って作者ですかね?🥹
ちなみに息子2号はこれを見て
チョコミント味のプロテインを
飲んでみたくなったそうです
(後ろで笑ってます)
まさかの😂
ゆっこ先生サイレント😂😂😂
でもわかる、わかりますよ。
戸惑う気持ち……
共感を試みる気持ち……
虚無の気持ち……
そして
コイツらアホかと思う気持ち……
チョコミント、おいしいよね。
(個人的ナンバーワンフレーバーでございます👊✨️)
俺はよォ〜〜
『チョコ』は大好きだぜ?特にマカデミアナッツのチョコなんて一口食べりゃあ一発でメイドインヘブンだからな……
『ミント』もかなり好きだ。ミントティーを朝に一杯キメりゃあ正月元旦の日に新しいパンツ履くみてーなスカッとした気持ちになるからな……
だが『チョコミント』ってどういう了見だテメーはよォ〜‼️趣向品に趣向品混ぜたらすごい趣向品が出来るとか思ってンじゃねェ〜〜ぞ‼️(唯の食わず嫌い