学問ロボ 禁断の!奥村ペーターゼン

爆発屋そが

第一話 「奥地、めぐりあい」(脚本)

学問ロボ 禁断の!奥村ペーターゼン

爆発屋そが

今すぐ読む

学問ロボ 禁断の!奥村ペーターゼン
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇大学の広場
  日本最大の規模と人気を誇る「明風学園都市大学」。
  その広すぎる敷地の中に、大半のマトモな学生たちは絶対に立ち入ることがない区域がある。
  大学当局の管理が及ばない非合法な無法地帯、通称「奥地」である・・・。

〇ツタの絡まった倉庫
  ──明風学園都市大学・入学式の日──
  一人の新入生が迷子になっていた。
間宮景介(どうしようどうしようどうしよう・・・)
間宮景介(すごい奇跡体験だ・・・)
間宮景介(入学式へ行きたいのに廃墟にたどり着いてしまった・・・)
間宮景介(なんで大学の中にこんな気味の悪い廃墟の倉庫街があるんだろう)
間宮景介(この明風学園都市大学は、全国キラキラキャンパスライフ満足度10年連続1位に輝く有名キラキラ大学なのに・・・)
間宮景介「はぅあ!」
  景介の視線の先には草っぱらがあり、長く茂った草の間に人が倒れているように見える。
間宮景介「と、とんでもないものを見つけてしまったかも!」
間宮景介「まさか、いやまさか・・・有名キラキラ大学でそんなまさか・・・でも・・・」
間宮景介「殺人事件かも!!」
  景介は生唾を飲み、恐る恐る近づいていくと徐々にその全貌が見えてくる。
間宮景介(女の子・・・? )
女の子「すやすや・・・すやすや」
間宮景介(寝てるだけー!!)
間宮景介(・・・って、なぜこんな所で⁇)
間宮景介(・・・・・・)
間宮景介(はっ、思わず見とれちゃった)
間宮景介(なんてかわいい子なんだろう・・・)
間宮景介(純真無垢な天使のような寝顔だよ。 どことなく高貴な雰囲気もある)
間宮景介(学生なのかな。 入学式の会場を知ってるかも)
間宮景介「あのー、すいませーん。 お睡眠のところすいませーん」
女の子「すややーん、すややーん」
間宮景介(どうしよう、まったく起きる気配がない・・・)
女の子「んーむにゃむにゃ、日本アニメ・・・。 爺や・・・日本アニメ・・・」
間宮景介(日本アニメ? 爺や? どんな夢をみてるんだろう)
女の子「フラ―――ッシュ!!」
間宮景介「うわびっくりした!!」
女の子「!?」
女の子「・・・・・・」
間宮景介「お、おはようございます」
女の子「・・・だれ⁇」
間宮景介「ぼ、ぼくは間宮景介(まみや けいすけ)といいまして・・・」
女の子「はァ、夢だったのか・・・」
間宮景介「⁇」
女の子「『魔法武勇伝 ヘラクレス少女・愛』のシーズン42がついに始まったと思ったのに・・・」
間宮景介「昭和の時代から続くあの大人気アニメシリーズ・・・?」
女の子「ワが育った国では子供からお年寄りまでみんなが新シーズンを待っているよ」
女の子「さて、もうひと眠りしよ」
間宮景介「あの、聞きたいことがあるんです!」
女の子「ナニね?」
間宮景介「入学式の会場ってどこかわかりますか?」
女の子「ふむ・・・。話すと長くなるよ⁇」
間宮景介「すいません、なる早でお願いします」
女の子「おーけー、説明する。 ワの名前はディーシャ・バジュランギ」
女の子「日本のアニメが大好きだから日本に留学しにきた」
ディーシャ・バジュランギ「ちなみに日本語はアニメを観て覚えたんだよ」
間宮景介(長くなりそうだなあ・・・)
ディーシャ・バジュランギ「ワの国の王族は皆、入学式にパラシュート降下で登場するという伝統がありまして・・・」
間宮景介「え?」
ディーシャ・バジュランギ「国の伝統にならい、ワもパラシュートで入学式会場の明風ドームを目指したのだけど全然違う場所に着地しちゃったのだよ」
間宮景介「ちょ、ちょっといろいろ待ってください」
ディーシャ・バジュランギ「おーけー、ディーシャ、待つ」
間宮景介「ディーシャさんは王族の方なんですか?」
ディーシャ・バジュランギ「第三王女でござる」
間宮景介「ひー!」
ディーシャ・バジュランギ「まあ、気にするなよ」
間宮景介(どうりで高貴な雰囲気が漂っているわけだ)
ディーシャ・バジュランギ「で、ここからが大事なんだけど」
ディーシャ・バジュランギ「入学式の会場ってどこなのかなー⁇」
間宮景介(・・・まじか)
間宮景介「ディーシャさんも迷子ってことですね・・・」
ディーシャ・バジュランギ「そのとおり!」
ディーシャ・バジュランギ「上空でスマホも落としちゃったし困った、焦った、途方に暮れた!」
ディーシャ・バジュランギ「というわけで、もうひと眠り・・・」
間宮景介「ちょ、ちょっと待ってください、なんで寝ちゃうんですか!?」
ディーシャ・バジュランギ「ワの国には「急がば眠れ」という言葉がある。知らない?」
間宮景介「知らないですし、今はそれ、なんの解決にもならないですよ」
ディーシャ・バジュランギ「じゃあ君が解決してくれればいいじゃない」
間宮景介(う、なんか王女様っぽい・・・)
間宮景介「力を合わせて入学式に行きましょうよ。 僕、絶対に入学式に出たいんです」
ディーシャ・バジュランギ「へー、なんで?」
間宮景介「入学式に出て、友達作りのスタートダッシュをしたいんですよ」
ディーシャ・バジュランギ「ナルホ、友達作りは大事だな!」
間宮景介「僕の大学生活の目標は友達をたくさん作って、できれば彼女も欲しくて、色んな楽しいイベントに参加することなんです」
間宮景介「キラキラキャンパスライフなんです!」
ディーシャ・バジュランギ「うむ、強い意志を感じる」
間宮景介「そのためには2万人の新入生が集まる入学式でどれだけ知り合いを作れるかが大事だとガイドブックに書いてありました」
ディーシャ・バジュランギ「2万人も新入生がいるのか!?」
間宮景介「そうですよ、明風学園都市大学は日本最大の総合大学です」
間宮景介「生徒数も日本一、敷地面積もダントツで日本一、キラキラキャンパスライフ満足度も10年連続で日本一です」
ディーシャ・バジュランギ「すっげえ大学だな!」
間宮景介「すっげえですよ、知らないで来たんですか?」
ディーシャ・バジュランギ「学校名もいま知ったとこ」
間宮景介「ひどいですね・・・」
間宮景介「僕なんか入学式が楽しみすぎて、昨日の夜は全く眠れなかったほどです」
間宮景介「おかげで朝、会場へ向かう学内移動バスに乗ったらすぐに寝落ちして、目が覚めたらバスに誰も乗ってなかったんですよ」
ディーシャ・バジュランギ「・・・・・・」
間宮景介「慌ててバスを降りたら人っ子ひとりいない場所で、しかもバスにスマホを忘れてきたという悲劇が起こり、途方にくれて歩いて・・・」
ディーシャ・バジュランギ「ちょっと黙れ」
間宮景介「え・・・」
ディーシャ・バジュランギ「聞こえる・・・」
間宮景介「・・・何がです? 僕には何も聞こえ・・・」
ディーシャ・バジュランギ「ちょっと黙れ」
間宮景介「すいません」
ディーシャ・バジュランギ「・・・やはりこれは劇場公開アニメ「21世紀スラムロボ・ドゥカブニ」のテーマ曲!!」
ディーシャ・バジュランギ「誰かがこの近くで口ずさんでる・・・」
ディーシャ・バジュランギ「よーし、行ってみよーう!」
間宮景介「そんなことより入学式に・・・」
ディーシャ・バジュランギ「フォロミー!」
間宮景介「まじすか・・・」
ディーシャ・バジュランギ「こっちこっち!」

〇廃倉庫
  レンガ造りの古びた倉庫のような建物まで来るとディーシャは立ち止まる。
ディーシャ・バジュランギ「この中から聞こえるよ」
  ・・・ズンズズン、ズズンズン、ズズンズン・・・
間宮景介「本当だ・・・」
ディーシャ・バジュランギ「ドアがあるから入ってみようぜ!」
間宮景介「ヤバい雰囲気がするんですけど・・・」
ディーシャ・バジュランギ「へーきへーき、フォロミー!」

  ギィィィィ・・・
  ディーシャがドアを開けると手足を重厚な金属の拘束具で封印された、大人ほどのサイズのロボが床に転がっていた。

〇怪しい実験室
間宮景介(え! なにこれ・・・ロボ⁇)
ディーシャ・バジュランギ(ロボが捕まってる・・・⁇)
拘束された謎のロボ「ズンズンズンズン ズンバズンズン」
拘束された謎のロボ「ズ―――バァァァ、ズーーーバァァァ」
ディーシャ・バジュランギ「もうすぐ曲が終わるよ」
拘束された謎のロボ「ズンバ、ズンバ、ズンズンズン・・・」
ディーシャ・バジュランギ「終わった」
拘束された謎のロボ「フッ、ようこそ俺の部屋へ。 迷子のクソ新入生ども」
間宮景介(これ、絶対にヤバいやつだと思います・・・)
  第2話へ続く・・・

次のエピソード:第二話 「みじめな状況で偉そうなヤツ」

成分キーワード

ページTOPへ