9章 Traitors(脚本)
〇森の中のオフィス(看板無し)
・・・あの騒動から数週間後、
街外れの事務所では、
いつも通りの日々が過ぎていた・・・
〇明るいリビング
陸尾 航「いや~、最近ね・・・! ハマってるゲームのCD買ったんだよね! それで浮かれちゃって・・・」
ウキウキで話す航の前には、
一軒家で使うには大きすぎる
スピーカーがあった。
海世 永和「だからってスピーカーを買うのは・・・ ・・・まぁ、いいや・・・面倒くさい ・・・で、値段は?」
陸尾 航「4万」
海世 永和「・・・あのな、航・・・」
海世 永和「・・・俺らは今、金欠なんだよな・・・?」
陸尾 航「ま、まぁまぁ・・・ 自分で稼いで個人的に貯めた お金だから・・・」
海世 永和「はぁ・・・ なら、良いんだがな・・・」
航と永和が雑談をしていると、
突如、携帯電話が鳴る──
陸尾 航「・・・はい、コチラ陸尾・・・」
陸尾 航「・・・招集指令! ・・・分かりました! すぐに向かいます!」
海世 永和「・・・出番が来たか・・・!」
陸尾 航「・・・そうみたいだな・・・! 嫌な予感がするが、準備するぞ!」
宮下 花奏「ん・・・んん〜・・・ どうしました・・・?」
航と永和が話していると、
自室から花奏が起きてきた。
陸尾 航「おお!・・・花奏! 丁度いい、留守番をたのむぞ!」
宮下 花奏「はい・・・ わかり・・・ました・・・」
海世 永和「・・・」
陸尾 航「良し! さっさと準備して行くぞ!」
海世 永和「お・・・おう!」
特殊攻撃部隊への『招集指令』──
かなり厄介な状況下でのみ出される指令に
航たちは不吉な予感を感じていた。
宮下 花奏「眠い・・・」
〇大企業のオフィスビル
平和保護局──
〇大会議室
会議室にて──
陸尾 航「かなり人が多いな・・・ 武器研究科も居るし・・・ なんなら特殊防衛局も居る・・・」
会議室には、特殊攻撃部隊の他に、
武器研究科、特殊防衛局の面々も居た。
空乃 快飛「・・・恐らく、かなり厄介な状況 みたいですね・・・」
陸尾 航「違う組織のはずの特殊防衛局が 居るし・・・ かなりデカい事件みてぇだな・・・」
異例の事態に一抹の不安を抱きながら
待っていると──
宮下 孝之「全員居るな・・・! ・・・今から緊急会議を行う!」
平和保護局のリーダー、宮下孝之が
険しい表情で会議室へと入ってきた。
〇大会議室
宮下 孝之「本日、緊急会議を開く事となった経緯に 関しては、最近の無差別暴行事件・・・ コレが関与している──」
宮下 孝之「詳細を話すと、無差別暴行事件の犯人たち に三つの共通点がある事が判明した・・・ 一つは犯行後の犯人の状態だ──」
宮下 孝之「最近の無差別暴行事件の犯人は全員、 犯行後に必ず『気絶』している・・・ そして、二つ目の共通点は 犯人たちの供述だ──」
宮下 孝之「犯人たちは口を揃えて 「私は天罰執行の代役だ」 と言っている・・・ そして、三つ目だが──」
宮下 孝之「犯人たち全員の腕に共通して 『T』の文字が刻まれていた──」
宮下 孝之「この三つの共通点から、何かしらの組織が関与をしていると当局は判断し──」
宮下 孝之「大元が判明するまでの間、 治安維持をこの場に居る方々に 託したいと思っている──!」
宮下局長の放った言葉──
それはこの事件がとてつもない事件で
ある事を如実に示していた──
〇散らかった研究室
会議終了後、
武器研究科の研究室にて──
免田 叶江「えぇっと・・・ コレじゃ無くて・・・ アレでも無くて・・・」
空乃 快飛「あ、あの・・・ 別にそんな急いでないので・・・」
研究室には叶江と快飛の姿があり、
新しい武器についての話をしていた。
・・・だが──
免田 叶江「いや~・・・ ドコに片づけたかなぁ・・・?」
免田 叶江「えぇっと・・・骨伝導式音響遠距離武器 『L-Music-69』・・・ あれ・・・? パソコンのデータも無いか・・・」
新しい武器に関する物が
設計書から試作品、挙句には材料まで
全て消えていたのだ。
免田 叶江「ご、ゴメンね・・・? もう少しだけ待っててくれる・・・?」
空乃 快飛「えぇ・・・ それじゃあ、見つかったら連絡を下さい ・・・直ぐに駆けつけますので」
『何故、新しい武器に関する物が
全て消えていたのか・・・?』
少し違和感を感じながらも、
快飛は研究室を後にした──
〇高層ビルのエントランス
ロビーにて・・・
ロビーでは特殊防衛局の隊員を交え、
中田甲之助と航が話し合っていた・・・
中田 甲之助「いや~・・・ 懐かしいな・・・! お前と鳥司だけで侵略者を撃退してた あの時・・・」
陸尾 航「本当は自分だけで行こうとしてたんです けどねー・・・ 如何せん、鳥司の勘が鋭くて──」
陸尾 航「『待て、何処へ行く気だ・・・?』」
陸尾 航「──って、止められた時は 割とビビりましたよ・・・!」
中田 甲之助「まぁ、そん時は局内が凄くピリついていたからなぁ・・・」
中田 甲之助「まぁ、おかげで悪徳校長の身柄確保に 全力を出してくれたし・・・ 終わり良ければ全て良し、ってな・・・!」
特殊防衛局隊員「何ちゃっかりイイ話風にしてんですか!? 航さんが少人数で侵略者撃退に 行ってるんですよ!? 規約違反じゃないんですか!?」
陸尾 航「規約・・・? ・・・! 多分、その規約作ったの俺だな! すまん!」
特殊防衛局隊員「『すまん!』じゃないですよ! こちとら、新しい規約に基づいて 部隊の編成をしなきゃ いけなくなったんですから!」
”和気あいあい”とした会話をしていた時、
彼らの元に通信が入った──
「ピーザザ・・・ 緊急連絡!緊急連絡! 福竜市内に『T』の者たちが現れた!」
「大勢の仲間がいる為、」
「直ちに『特殊編成部隊6班』は 現場へ向かい、『特殊編成部隊3班』と 合流する様に・・・!」
陸尾 航「了解した! 『特殊編成部隊6班』、 直ちに現場へ急行する! ・・・」
中田 甲之助「よし・・・ テメェら、仕事だ! くっちゃべってる時間はねぇぞ!」
陸尾 航「よし・・・! 行くぞ、永和、快飛!」
海世 永和「・・・あぁ!」
空乃 快飛「・・・はい!」
通信の指示を受け、航たちと
特殊防衛局の隊員たちで組まれた
『特殊編成部隊6班』は
中心街へと向かった・・・
〇繁華な通り
その頃、福竜市の大通りは
『T』の暴徒たちで溢れかえっていた──
鳥司 舵「・・・ったく、参ったな・・・ コイツらの大元を見つけねぇと・・・」
暴徒たち「私・・・たち・・・は・・・ 神の・・・使い・・・ 神罰を・・・下す身・・・ ・・・覚悟を・・・」
暴徒たちはどこか虚ろな目をしており、
口にする言葉もどこか気迫が無い。
無意識下で口にしている、
そんな感じであった──
鳥司にジリジリと近づく暴徒たち・・・
鳥司 舵「・・・こうなったら・・・」
すると、鳥司は近くに置いてあった
パイロンを拾い──
鳥司 舵「どりゃァッ!」
暴徒たち「ぐッッ・・・」
暴徒へ攻撃する・・・が──
暴徒たち「・・・かの者に・・・神罰を・・・ ・・・愛すべき世界へ・・・ ・・・返礼を・・・」
鳥司 舵「チッ・・・ 効いてないか・・・ まるでゾンビだな・・・」
攻撃を受けてもびくともせず、
怯む様子も無かった。
鳥司 舵「・・・マズいな・・・」
大勢の暴徒に囲まれてしまい、
窮地に陥った・・・
そう思われたが──
「どりゃァァァアッッ!!」
暴徒たち「ぐわぁッ・・・!」
鳥司 舵「・・・!?」
遠くから威勢のいい声が聞こえてきた、
その直後──
「どきやがれェッ!!」
暴徒たち「ぐうッッ・・・!」
品田 信雄「はぁ・・・ アンタ、大丈夫か・・・?」
鳥司 舵「あ、あぁ・・・大丈夫だ、 助けてくれて感謝する・・・」
福竜市の探偵、品田信雄が現れた。
品田 信雄「なら良いんだが・・・ この街に一体何が起きているんだ・・・?」
鳥司 舵「・・・さあな、 だがこれ程の暴動が起きているなら、 平保も動いているはずだ。 ・・・平保の奴らが来るのを待つしかない」
品田 信雄「平保の奴ねぇ・・・ まぁ、あいつらが来るのを待つしか 無いのか・・・」
互いに考え込み、品田が口を開く。
品田 信雄「そう言えば、自己紹介が遅れたな・・・ 俺の名は品田信雄、よろしく」
鳥司 舵「俺は鳥司舵だ、よろしく頼む」
品田 信雄「鳥司さん・・・ アンタに少し頼みたいがいいか?」
神妙な面持ちで話す品田──
鳥司 舵「分かってる・・・ 『街の中に無事な人がいるかも知れない から助けに行こう』って言うんだろ?」
品田 信雄「あぁ・・・良く分かったな、 平保が動くまで、俺らで 出来る限りの事をしたいんだ・・・!」
鳥司 舵「まるで、アイツみたいだな・・・ 分かった、その案に乗ろうか!」
品田に航の面影を見た鳥司は、
品田の提案を承諾し──
鳥司 舵「よし・・・ そうと決まったら・・・行くぞ!」
品田 信雄「あぁ・・・!」
これ以上の被害者を出さない為、
2人は福竜市の大通りを駆けていった。
〇街中の道路
その頃、福竜市中心街にて──
海世 永和「はぁぁぁァッ・・・! とうっッ!」
空乃 快飛「・・・はっッ!」
暴徒「がっッ・・・」
陸尾 航「どりゃァァァッ!!」
中田 甲之助「はぁッ!」
暴徒「ぐぅっ・・・」
中心街の方も大通りと同じく、
暴徒たちで溢れかえっていた。
陸尾 航「はぁ・・・はぁッ・・・ 多くないですか・・・?」
中田 甲之助「確かにな・・・ 何が原因で起きているのか分からんが、 早く原因を潰さない限り、 この暴動は収まらないだろう・・・」
陸尾 航(このままじゃ花奏が心配だな・・・ 家に暴徒が来なきゃ良いんだが・・・)
陸尾 航(後で隆之介さんに連絡入れとくか・・・)
航と甲之助が話していると──
???「・・・お~い!」
陸尾 航「!あれは・・・」
中田 甲之助「やっと見つかったか・・・」
遠くから声が聞こえてくる。
その正体は──
中田 美幸「やっほー!、お久しぶり! 航くん、お父さん!」
中田甲之助の娘であり、
特殊攻撃部隊第三部隊、隊長。
そして今回の特殊編成部隊3班、班長の
中田美幸であった──
陸尾 航「美幸さん・・・ 一般市民の避難の方は・・・?」
中田 美幸「うん・・・! こっちは避難させれたから、 こっからは好きなようにやっちゃって!」
陸尾 航「はい・・・! 分かりました!」
善良な一般市民の避難が済んだ、と
言う美幸。
その言葉は彼らに
『暴れても良い』と言う事を
示していた──
陸尾 航「永和、快飛・・・! 市民の避難は済んだらしい! 好きなようにやってくれってよ!」
中田 甲之助「・・・ココからがあいつらの本領発揮か ・・・楽しみだな」
中田 美幸「全く・・・二人揃って、 昔から変わらないんだから・・・」
〇開けた交差点
その頃、福竜市の中心街から
少し離れた場所にて──
水守 朔也「でりゃぁぁァッッ!」
暴徒「グア・・・ッ・・・」
水守 朔也「・・・ッだぁっ、はぁッ・・・! どうなってんだ・・・!?」
アカシア、もとい水守朔也も
暴徒たちに手を焼いていた。
水守 朔也「・・・この調子だとハルの姉貴も心配だ、 さっさとカフェに向かわねぇと・・・」
水守が知り合いの営むカフェへと向かおうとした、その時であった──
「お~い! ・・・そこの若い人!大丈夫か〜!」
水守 朔也「ん・・・? なんだ・・・?」
水守が声のした方向を向くと、
そこには──
宮下 隆之介「おお、よかった・・・ 正常な人をやっと見つけれた・・・」
妻と娘らしき人物を連れた
おじいさんが居た。
水守 朔也「あの・・・あなたは・・・?」
宮下 隆之介「紹介が遅れましたね・・・ 私、宮下隆之介と言います」
水守 朔也「俺の名前は水守朔也です・・・ 宮下さん・・・でしたっけ、 一つお伺いしても?」
宮下 隆之介「・・・なんでしょうか?」
水守 朔也「・・・何故、こんな町中に? 今頃、市民だったら 避難しているはず・・・」
水守が問いただすと──
宮下 倫子「実は私たちの娘・・・に近しい子を 託している家に行こうと──」
隆之介の妻、凛子が話す。
水守 朔也「なるほど・・・ 話は大体分かりました」
宮下 隆之介「もし失礼でなければ、その家に一緒に ついて来て頂きたいと・・・」
水守 朔也「・・・」
熟考する水守、すると──
水守 朔也「・・・分かりました! ここで会ったのも何かの縁、 ついていきますよ!」
隆之介の提案を快く了承した。
宮下 隆之介「・・・あぁ、ありがとう! ・・・それじゃあ、早速向かおうか」
水守 朔也「はい!」
宮下花奏の安否を確認するべく、
4人は街外れへと向かった。
〇街中の階段
一方、その頃──
鳥司たちは・・・
鳥司 舵「・・・ッだぁっッ・・・はぁッ・・・ 少し休まねぇとな・・・」
品田 信雄「街中がヤベェ事になっちまってんな・・・ 思ったより事態は深刻みてぇだ・・・」
町中の階段で休んでいた。
鳥司 舵「・・・こう言う時にあいつらが居たら 心強いんだがなぁ・・・」
品田 信雄「・・・!」
鳥司 舵「・・・どうした?」
品田 信雄「・・・いや? なんか足音が聞こえた気がしてな・・・」
品田は後方を向くが、誰も居ない・・・
改めて前を向こうとしたその時──
品田 信雄「・・・」
品田 信雄「あ゙ぁ゙ぁ゙ッッ!!」
鳥司 舵「・・・どうしたんだ? そんな声出して・・・」
品田 信雄「う・・・後ろ・・・!」
鳥司 舵「ん・・・?」
驚嘆の声を上げた品田の言うとおりに
鳥司が後方を向くと、そこには──
陸尾 航「よっ! 元気してたか!」
鳥司 舵「・・・やっと来たか、随分と遅かったな」
特殊編成部隊6班の陸尾航が居た。
陸尾 航「今回の事件、特防と一緒にやるみたいでね その関係で少し動きが遅れたってワケよ」
鳥司 舵「・・・特防か」
陸尾 航「中田隊長もウチの班に居るし、 実質的にウチの班が最後の砦なんだよね」
鳥司 舵「・・・あの化け物オヤジ、 まだ特防に居るのか・・・」
陸尾 航「・・・ちなみに反対側見てみ?」
鳥司 舵「・・・反対側?」
鳥司が恐る恐る反対側を向くと──
中田 甲之助「・・・久しぶりだな、鳥司」
特殊防衛局隊長、中田甲之助も
その場に居た。
鳥司 舵「・・・お久しぶりですね、中田隊長」
中田 甲之助「・・・で、誰が化け物オヤジだって?」
鳥司 舵「・・・すみませんでした」
中田 甲之助「分かればいいんだ・・・ ・・・で、鳥司はこんな所で 何をしてたんだ?」
鳥司の謝罪と共に、中田が話を戻す。
鳥司 舵「平和保護局が動くまで、 俺とそこに居る品田で少しでも被害を 減らそうと──」
中田 甲之助「・・・なるほどな、 ・・・一つ聞いていいか?」
鳥司 舵「・・・なんでしょうか?」
中田 甲之助「特殊編成部隊6班について来てくれ、 ・・・無理強いはしない、 嫌なら来ないで良い」
鳥司 舵「・・・」
中田の話を聞いた鳥司は少し考えた後──
鳥司 舵「・・・ついて行きます、 街がこの様子だと、やる事も無いですし」
中田 甲之助「・・・ありがとな、鳥司!」
鳥司 舵「・・・例には及びませんよ」
特殊編成部隊6班に、
ついて行く判断を下した──
海世 永和「・・・だとよ、品田 ・・・で、あんたはどうするんだ?」
品田 信雄「・・・分かったよ、やりゃ良いんだろ? ・・・ったく」
そして、
品田も渋々ついて来る事になった。
〇森の中のオフィス(看板無し)
同時刻、水守たちは事務所前に着いていた
水守 朔也「はぁ・・・はぁ・・・ ここで合ってますか・・・?」
宮下 隆之介「えぇ・・・ ・・・少しだけ待っていただけますか?」
そう言うと隆之介は携帯電話を取り出し、
電話をかけた。
宮下 隆之介「・・・もしもし、花奏かい? あぁ、陸尾さんから連絡があってね・・・ 迎えにきたよ」
水守 朔也「・・・!」
その時、隆之介の電話相手であろう少女が
2階の窓から、顔を覗かせていた。
宮下 隆之介「・・・? あぁ、家の前に居るよ・・・ うん・・・分かった・・・」
そう言うと隆之介は電話を切った。
水守 朔也「・・・先程、2階に居た子って──」
宮下 倫子「えぇ・・・ウチの子よ」
宮下 隆之介「いろいろと事情があってね・・・ 今はこの家の人たちに頼んでいるんだ」
水守 朔也(・・・この家、どっかで見た気がするな)
そうして話していると──
宮下 花奏「お・・・お久しぶり・・・です・・・」
宮下花奏、そして大きな犬が出て来た。
宮下 隆之介「・・・あぁ、久しぶりだね さぁ、安全な場所に移動しようか」
宮下 花奏「は・・・はい・・・」
コロ「ワン!・・・ヴヴヴゥ゙ゥ゙ッ・・・ ワンッ!ワンッ!」
宮下 隆之介「コロも久しぶりだね・・・」
手慣れた動きで犬を撫でる隆之介を横目に
花奏が質問をする──
宮下 花奏「・・・それで、そこの方は・・・?」
水守 朔也「水守朔也って言います! よろしくお願いします!」
宮下 花奏「よ・・・よろしくお願いします・・・?」
水守 朔也「・・・それで、隆之介さん ・・・ココからどうするんですか?」
花奏との挨拶を交わし、
隆之介と話し合う水守──
宮下 隆之介「・・・恐らく、避難所は人でいっぱいだ かと言って街中やココで休んでたら・・・」
宮下 隆之介「う〜ん・・・ 朔也くんの言っていたカフェに しばらくお邪魔する事になりそうだね」
水守 朔也「・・・分かりました、 でしたらついてきて下さい!」
宮下 隆之介「・・・いいのかい?」
水守 朔也「えぇ! 先程、連絡がついて『人手が欲しい』と 来たのでね!」
宮下 隆之介「助かるよ・・・!水守くん・・・!」
水守 朔也「さっ、ついてきて下さい!」
かくして、
水守たちはカフェへと移動を始めた。
〇諜報機関
・・・その頃、
平和保護局の監視室にて──
菅田 隆「・・・」
暴徒たちの動向を確認していた菅田、
すると──
菅田 隆「・・・!」
暴徒たちに
『とある共通点』がある事に気づく。
菅田 隆「・・・この店、怪しいな・・・」
福竜市で暴れている暴徒が、『とある店』
に入店していた事が判明したのだ。
店先にある防犯カメラの映像を拡大し、
他の暴徒たちの身元と照合すると──
菅田 隆「・・・この店は『クロ』、だな」
なんと、暴徒たちの大半が訪れている事が
発覚した。
また──
菅田 隆「・・・!」
菅田 隆「・・・こいつ、武器研究科の・・・!」
武器研究科の者も訪れている事が判明。
菅田 隆「・・・チッ、聞きに行くか・・・!」
菅田の部下「・・・! 菅田さん!どこに行くんですか?」
菅田 隆「武器研究科に話があるんだ、 少し席を外させて貰うぞ!」
そう言うと菅田は、
急いで武器研究科の研究室へと向かった。
〇散らかった研究室
武器研究科の研究室にて──
免田 叶江「う〜ん・・・ どこやったかな・・・?」
突如として消えた新しい武器のデータ、
免田叶江はそのデータを捜していた。
免田 叶江「念のためにしておいた バックアップも消えてるし・・・ 何が起きてるの・・・?」
あまりにも不可解な点が多く、
困惑を隠せない中、
1人の男が研究室に現れた──
菅田 隆「・・・叶江さん! 一つお伺いしたい事が・・・!」
情報管理科の菅田である。
免田 叶江「え・・・? あ、菅田くん・・・!」
菅田 隆「いきなりですみませんね・・・ 武器研究科の『日野 染』ってヤツは?」
謝罪交じりに怪しい研究者について
聞く菅田・・・
だが──
免田 叶江「・・・日野くん? 今日は休みだけど・・・」
菅田 隆「・・・そうですか、連絡は出来ますか?」
免田 叶江「それが・・・連絡もついて無いの──」
免田 叶江「今朝、『今日は休みます』って付箋が 日野くんの机の上に置いてあって・・・」
なんと、姿を消してしまったのだ──
菅田 隆「・・・なるほど、分かりました。 協力していただきありがとうございます」
菅田 隆「・・・失礼しました」
免田から話を聞いた菅田は、
足早に研究室を出ていった。
免田 叶江「・・・まさか、日野くん・・・?」
〇シックなカフェ
その頃、篠田桜の営むカフェでは──
水守 朔也「すみません・・・! この荷物は・・・」
篠田 桜「厨房の棚の二段目・・・ ほら、さっさと運びなさい」
水守 朔也「・・・なんで俺だけ・・・ ・・・人手が欲しいって 言ってたじゃないですか・・・!」
篠田 桜「・・・連れて来たのが屈強な男なら、 もう少し楽に出来たでしょうね」
水守たちはカフェに着き、
水守のみ、荷物運びを手伝わされていた。
水守 朔也「・・・うぅ、重いぃ・・・」
篠田 桜「・・・」
宮下 花奏「す・・・すいません・・・ 水を・・・頂けませんか・・・?」
篠田が考え込む中、花奏が聞く。
篠田 桜「・・・! えぇ、少し待ってて」
宮下 花奏「・・・航さんたち、大丈夫かな・・・」
篠田 桜「・・・はい、持ってきたわよ、水」
宮下 花奏「あ・・・ありがとうございます!」
篠田 桜「・・・何か悩み事でもあるの・・・?」
悩んでいる花奏を見て、篠田が問う。
宮下 花奏「あっ・・・いえ、別に・・・そんなんじゃ」
篠田 桜「・・・良かったら話、聞くよ?」
宮下 花奏「・・・実は──」
〇シックなカフェ
宮下 花奏「・・・と言う事で、 あの人たちが大丈夫なのか心配で・・・」
篠田 桜「・・・なるほど」
花奏の話に深く頷く篠田、
すると、ある話を持ち出す──
篠田 桜「・・・私の知り合いにも、 似たような人が居てね・・・」
篠田 桜「頭の切れる人なんだけど、 自分の事なんか後回しにして・・・」
篠田 桜「それどころか、 自分を犠牲にしても、 私の事を気にしてた・・・」
宮下 花奏「・・・その人って・・・」
篠田 桜「・・・花奏ちゃんの話した人に似てるから もしかしたら同じ人かもね・・・」
宮下 花奏「その人の名前って、分かりますか・・・?」
篠田の話に質問を問う花奏──
篠田 桜「な・・・名前・・・? コーd・・・あだ名で呼んでるから・・・ 知らないわね・・・」
宮下 花奏(頭の切れる・・・ 航さんじゃなくて、永和さん・・・? いや、快飛さんの可能性も?)
篠田 桜「・・・水守、ちょっと来てくれる?」
名前を思い出す為、
厨房から水守を呼び出す。
水守 朔也「も〜・・・なんですか?」
篠田 桜「・・・『シンカイ』の名前って分かるかしら」
水守 朔也「・・・『シンカイ』さんの本名? 『海世永和』じゃないんですか・・・?」
宮下 花奏「・・・! 今、なんて・・・!?」
水守の言った名前に反応する花奏。
水守 朔也「だから・・・『海世永和』って・・・」
篠田 桜「・・・もしかして、知ってる?」
宮下 花奏「・・・はい! 私を引き取ってくれた3人の・・・ そのうちの1人です・・・!」
水守 朔也「・・・ええぇぇッ!? ・・・本当すか・・・!?」
衝撃のあまり、驚く水守──
篠田 桜「・・・ふふッ! ・・・世界って意外と狭いのね!」
篠田 桜「・・・じゃ、面白い話をしてあげましょう 私と一緒に活動してた頃の話でね──」
水守 朔也「ちょっ・・・篠田さん! その話はするな、って永和さんから・・・」
宮下 凛「・・・かなっちゃん・・・ 凄く楽しそうにしてる・・・!」
宮下 倫子「・・・男の話に花咲かすなんて、 花奏も乙女になった証── なのかねぇ・・・」
宮下 隆之介「・・・」
こうして、平和保護局が来るまで
平和に時は過ぎていった──
〇シックなカフェ
数時間後──
海世 永和「平和保護局の者です! 一般市民の救助に参りました!」
篠田 桜「・・・やっと来たみたいね」
カフェに特殊編成部隊6班が訪れる──
海世 永和「・・・お久しぶりです、篠田さん」
篠田 桜「・・・さ、花奏ちゃん お迎えよ・・・」
宮下 花奏「は、はい・・・」
海世 永和「・・・花奏は陸尾の所に付いて行ってくれ 俺は少し話がある」
宮下 花奏「・・・分かりました」
永和の指示に従い、
花奏は陸尾の場所へ向かう。
篠田 桜「・・・話? ・・・何かしら?」
疑問を抱いた篠田が海世に問う──
海世 永和「・・・少し力を貸していただけませんか?」
篠田 桜「・・・平和保護局も落ちぶれたわね、 私は”ただの一般人”よ?」
篠田の言葉に永和が言い返す。
海世 永和「・・・あなたの腕を見込んで、 頼んでいるんです・・・ たかが一般人だろうと──」
海世 永和「私は、あなたと共に戦いたい ・・・そう言っているんです」
篠田 桜「・・・どうしても、かしら?」
海世 永和「・・・はい!」
・・・珍しく自分の意見を曲げない永和に
篠田は根負けし──
篠田 桜「・・・分かったわ」
篠田 桜「私も・・・その戦いに混ざるわ ・・・水守と共に・・・」
水守 朔也「・・・なんでサラッと俺も 入れられてんすか・・・?」
海世 永和「・・・ご協力、ありがとうございます」
篠田桜、水守朔也が加入する事になった。
水守 朔也「・・・と言うか・・・ 元凶のヤツの場所とか分かってるんです?」
海世 永和「・・・あ〜、そうだな・・・ そろそろ目星をつけてると思うが・・・」
水守の言葉に考え込んでいると、
突然、永和の通信機から連絡が流れる。
菅田 隆「あーあー、聞こえるか? こちら監視室の菅田! この通信が聞こえてる者に告ぐ!」
菅田 隆「直ちに平和保護局へと帰還せよ! ・・・理由は後で話す為、 ひとまず帰還してくれ!」
海世 永和「・・・どうやら、後少しで黒幕みたいだな」
菅田からの通信に従い、避難を終えた後、
海世たちは平和保護局へと向かった・・・
〇大企業のオフィスビル
雨が降り始め、
淀んだ空気が流れる福竜市──
そんな中、平和保護局にて──
〇大会議室
菅田 隆「・・・良し、大体こんなもんか・・・!」
会議室の中には菅田隆、
そして特殊編成部隊の半数が居た。
会議室に緊張が走る中、菅田が口を開く。
菅田 隆「・・・突然呼び出してしまった事に 関しては、本当に申し訳ない。 それで──」
菅田 隆「呼び出した訳だが・・・ 今回の事件に関与する、 重大な情報が判明したからだ」
菅田 隆「具体的には、 黒幕と関わっていたであろう店の情報──」
菅田 隆「そして、その黒幕に関わっていたと 思われる平和保護局の局員についての 情報だ」
菅田は資料をホワイトボードに
貼り出しながら説明を続ける──
菅田 隆「店の名前は『ライブハウス NEXUS』──」
菅田 隆「外見は普通の小さなライブハウスだが、 数日前、ライブに来た客が問題でな──」
菅田 隆「その日来た客、全員が『無差別暴行事件』 の容疑者である事が判明した──」
静まり返っていた会議室が一転、
菅田の言葉にどよめく──
菅田 隆「・・・中には、平和保護局の局員も居た、 考えたくないが、もしかしたら・・・」
菅田 隆「・・・それでだ、その日から1週間の間の 客も調べたんだが特に何も無かった・・・」
菅田 隆「・・・そうなると怪しいのが、『バンド』だ」
菅田は追加でホワイトボードに
資料を貼り出す。
菅田 隆「ライブハウスだから 入れ替わり立ちかわりで バンドは変わるからな、・・・それで」
菅田 隆「・・・そうやって調べて出て来たのが、 ・・・コイツらだ」
菅田は貼り出した資料を指差し、
説明を続ける──
菅田 隆「バンド名は『Traitors』、 4人組のバンドなんだが──」
菅田 隆「ボーカルの戸田伶太、 ・・・コイツがかなり怪しくてな」
菅田 隆「コイツの居た日の客を調べると、 『無差別暴行事件』の容疑者が多数・・・」
菅田 隆「逆に、コイツの休んだ日の『Traitors』 は特に変わった点は無かった・・・」
菅田 隆「・・・その為、ココに居る人たちで この戸田伶太ってヤツを追って欲しい」
菅田 隆「・・・俺からの話は以上だ、 何か質問等があれば聞いてくれ ・・・それでは、解散!」
〇高層ビルのエントランス
会議後・・・
平和保護局、ロビーにて──
特殊編成部隊の班長たちが、
役割分担について話していた。
海世 永和「俺たちはライブハウスに向かう、 だから街中の捜索を頼む・・・!」
特殊編成部隊班長「・・・あぁ、分かったよ! 6班はライブハウスを、 それ以外は街中の捜索だな!」
海世 永和「・・・あぁ!頼んだぞ!」
特殊編成部隊班長「任せとけって・・・!」
話し合いが終わり、
班長たちはそれぞれの班員に指示を出す。
海世 永和「・・・さぁ、俺たちも行くぞ」
空乃 快飛「・・・はい」
陸尾 航「・・・にしても、まさか平和保護局内に 関係者が居るかも知れないとは・・・」
海世 永和「・・・世の中何があるか分からん、 この世界じゃ、なおさらな」
かくして、航たちは話にあった
ライブハウスへと向かった。
〇ライブハウスの入口
数十分後、ライブハウス前にて──
海世 永和「・・・誰も居ないみたいだな」
件のライブハウスへと着いた永和たちだが
人の気配は無く、閑散としていた。
陸尾 航「・・・俺と快飛で中の確認をしてくる、 何かあったら頼んだ!」
海世 永和「あぁ、気をつけろよ」
そう言うと、航と快飛はライブハウスへと
勢いよく入っていった。
鳥司 舵「・・・ったく、あいつら 何も考えずに突っ込んで行きやがる・・・」
品田 信雄「だな・・・ しょうがねぇ、俺らも行くか・・・!」
鳥司 舵「・・・あぁ」
続いて鳥司と品田も、
警戒しながらライブハウスへと
入っていった。
篠田 桜「海世・・・? あなたの周りには似たような人しか いないの・・・?」
海世 永和「・・・さぁ? 喧嘩したいだけなんじゃないんですかね?」
あまりの無鉄砲さに篠田が
呆れていると──
陸尾 航「お〜い! ・・・目当ての物、見つかったぞ〜!」
海世 永和「・・・どうやら、 もうすぐ出番みたいですね」
篠田 桜「・・・えぇ」
陸尾 航「はぁ・・・はぁ・・・ ほら、コレだろ?」
階段を駆け上がり、息が上がっている航が
渡したのは、日程の書かれたメモだった。
海世 永和「・・・どれどれ・・・?」
永和がメモを読み進めていると──
海世 永和「・・・! コレは・・・! ・・・篠田さん!コレって・・・」
永和が急いで篠田にメモを見せると──
篠田 桜「・・・『KWMの再建計画』・・・? 『使用後、倉庫内の荷物を積み船へ』?」
憎き組織、『KWM』の復活までの計画が
書かれていたメモであった。
海世 永和「航! 今直ぐに貨物倉庫に向かうぞ! ・・・班員を呼んでくれ!」
陸尾 航「・・・あ・・・あぁ!」
陸尾 航「・・・お〜い! 捜索打ち切りだ! ・・・戻って来い!」
いつもと違い、冷静さを欠かせている永和
にたじろぎながらも、航は班員を呼んだ。
篠田 桜「・・・かなり険しい戦いになりそうね」
海世 永和「・・・えぇ」
陸尾 航「・・・よし、永和! 全員呼んできたぞ!」
海世 永和「・・・よし! 今から、この場にいる 特殊編成部隊6班に告げる!──」
永和は班員たちへと呼びかける──
海世 永和「至急、廃倉庫へと向かうぞ! そこに黒幕たちが居るはずだ!」
永和が指揮をとり、特殊編成部隊6班は
海沿いにある廃倉庫へと向かった。
〇コンテナヤード
日も沈み、暗くなった頃、
廃倉庫近くのコンテナヤードにて──
「ヘヘッ・・・にしても、 KWMの復活とはなぁ・・・」
「始めはどうやって平保の目を潜るのか 気になってはいたんだがなぁ・・・」
「まさか、スパイを送り込んでるとは! ・・・しかも武器研究科!」
「しっかし福竜市の平保って、 噂じゃ、一騎当千の最強の奴が 居るって聞いてたが──」
「蓋を開けてみりゃ、 ただの一般人の集まりだな! 心配してたのが馬鹿らしい・・・!」
暗くなったコンテナヤード・・・
そこには多くの悪人たちが集まっていた。
そんな中、1台の車が現れた。
乗っていたのは──
戸田 伶太「現在時刻・・・18:00、 ・・・そろそろ船が来るな」
日野 染「・・・あぁ、そうだな」
今回の事件の首謀者、
戸田伶太、日野染であった。
戸田 伶太「・・・すまないな、 こんな事に巻き込んじまって・・・」
日野 染「・・・いいんだ、 一緒にこの世界を変えよう、って 約束したじゃないか」
戸田 伶太「・・・それもそうだな」
戸田 伶太「苦節十数年・・・ まさか、あのKWMの後釜として 動く事になるとはな・・・」
日野 染「・・・運がよかったな、 KWMが解散して、2ヶ月ぐらいか・・・」
日野 染「あの組織の後釜なんざ、 作ろうとしても作れねぇ・・・ その点、あんたはすげぇよ」
戸田 伶太「よしてくれ、今の状況を作れているのは 染、あんたのおかげだろう?」
戸田 伶太「人の不可聴領域を上手く利用して、 洗脳可能な周波数を見つけて・・・」
戸田 伶太「他にも、音響兵器の開発・・・ 船の手配・・・ 感謝してもしきれないぐらいだ・・・」
日野 染「・・・じゃ、五分五分って事で・・・」
戸田 伶太「・・・あぁ、そうだな!」
そうやって話しながら、
二人は倉庫の方へと向かい始めた──
戸田 伶太「・・・今日、ココに来てくれて感謝する! 戸田伶太だ、よろしく頼む!」
戸田 伶太「・・・今から船に荷物を積む! 非常に大事な物だ、丁寧に積んでくれ!」
悪人たちが船に荷物を積み始めた頃、
コンテナヤードにまた別の車が
複数現れた。
「ん?・・・なんだありゃ・・・?」
車の中に乗っていたのは──
「・・・! マズいぞ!全員伏せろ!」
空乃 快飛「・・・平和保護局、特殊編成部隊です!」
海世 永和「・・・今直ぐに投降しろ! 抵抗するなら──」
陸尾 航「・・・痛い目見てもらうぞ!」
平和保護局、
特殊編成部隊の面々であった。
「なっ・・・!? なんでコイツらがココに・・・!?」
鳥司 舵「そりゃあッ!!」
「ぐあ・・・ッ・・・」
不意打ちで攻撃を当てる鳥司、
しかし背後に敵がせまる──
「へっ・・・後ろがガラ空きだ!」
品田 信雄「・・・させるかァッ!」
「・・・んなッ!?」
品田が鳥司の背後を上手くカバーし、
敵の胸ぐらを掴む。
そして──
品田 信雄「そぉいッ!」
「げは・・・ッ・・・」
華麗に投げが決まった。
鳥司 舵「・・・航、ココは俺らに任せろ! あんたらは倉庫に向かうんだ・・・!」
陸尾 航「・・・あぁ、分かった! ・・・ありがとう!」
かくして鳥司と品田、そして一般班員の 半数はコンテナヤードに留まり──
それ以外の者は倉庫へと向かった。
鳥司 舵「・・・さぁ、 まだ戦いは始まったばかりだぞ!」
品田 信雄「倒せるもんなら倒してみやがれ!」
〇港の倉庫
少し離れた場所にある廃倉庫、
その周りには、多くの悪人たちが
待ち構えていた。
海世 永和「・・・くっ、ガードが堅いな・・・ ・・・どうするかな・・・」
永和が相手の様子を伺いながらも、
攻め方に悩んでいると──
水守 朔也「・・・えぇいッ! ココで時間食っても何も変わらない! ・・・くらいやがれ!」
「ぐあぁっッ・・・!!」
海世 永和「・・・なっ!? 水守・・・!」
突如、水守が悪人に向かい、
銃を放った・・・!
篠田 桜「・・・そうね、こんな所で 時間を使うなんて無駄・・・ ・・・ココは私たちに任せて」
海世 永和「篠田さんまで・・・」
篠田も水守の考えに賛同し、
前線へと出てくる。
海世 永和「・・・分かりました、この場は あなたたちに任せます・・・ ・・・お気をつけて」
悪人たち「・・・居たぞ! あいつら・・・って!?」
篠田 桜「・・・今から入り口周りの悪人たちを撃つ ・・・その隙に入りなさい」
海世 永和「・・・えぇ、分かりました」
悪人たち「・・・あいつらだ! KWMを滅ぼした奴ってのは!」
篠田 桜「・・・行くわよ、水守 私の合図に合わせて撃って・・・!」
水守 朔也「・・・えぇ!篠田さん・・・!」
篠田の指示に従い、銃を構える水守──
篠田 桜「撃ち方、構え・・・」
篠田 桜「・・・撃て!」
悪人たち「ぐあっッ・・・・・・!?」
篠田 桜「今よ! 早く行きなさい!」
海世 永和「はい・・・!」
篠田、水守の援護もあり、永和たちは
無事、倉庫の中へと入ることが出来た。
水守 朔也「・・・さぁ、こっからが山場だ!」
篠田 桜「・・・覚悟しなさい!」
〇ボロい倉庫の中
廃倉庫の中では、
またもや多くの悪人たちが居たが──
運搬用の人材と言うこともあってか、
全員が武器を所持していなかった。
空乃 快飛「恐らく、あの扉の奥に・・・ 今回の首謀者が・・・」
中田 甲之助「・・・なら、早く行かねぇとな! ここらへんは俺と美幸に任せて 先に行きな!」
悪人たち「な・・・なんだあんたら・・・!?」
中田 美幸「ちょ・・・ちょっと、お父さん・・・? なんで私も・・・?」
中田 甲之助「そうと決まったら、さっさと行くぞ!」
空乃 快飛「・・・はい!」
中田甲之助の計画に従い、
航、永和、快飛の3人は奥の部屋へと
向かった。
中田 美幸「・・・はぁ、コレだからお父さんは・・・」
中田 甲之助「へへっ・・・悪いな、 アンタの腕前が気になっちまってね」
中田 美幸「・・・あーもう! こうなったらトコトンやってやる!」
中田美幸の方も、戦いのスイッチが入る。
「なんだか知らんが・・・ とっととくたばりやがれ・・・!」
中田 美幸「・・・くたばるのは──」
中田 甲之助「・・・アンタの方だッ!」
「ゲハッッ・・・!?」
中田親子からの重い一撃を食らい、
倒れ込む悪人。
中田 甲之助「・・・さぁ! とっとと俺らの首、取ってみやがれ!」
中田 美幸「・・・もう、お父さんったら!」
陸尾 航「あっちゃ〜・・・ ありゃ、本気になってんな・・・」
後方の中田親子を見ながら航が
走っていると──
海世 永和「・・・よそ向きながら走ってると──」
陸尾 航「・・・え?」
陸尾 航「あだっッ・・・!?」
目の前の扉に、
航が思い切り頭を打ちつけた。
海世 永和「言わんこっちゃない」
陸尾 航「・・・いや、『言わんこっちゃない』 じゃなくて・・・」
海世 永和「・・・とりあえず、ココに居るんだな ・・・奴らが」
陸尾 航「・・・あぁ、恐らく・・・な」
空乃 快飛「・・・行きましょう!」
陸尾 航「せーので、蹴破るぞ! ・・・せーのッ!」
〇古い倉庫の中
『ドゴォン!』と、大きな音をたてながら
扉を開けると、そこには──
戸田 伶太「チッ・・・やはり来たか・・・」
日野 染「・・・やるしかない・・・みたいだな」
今回の騒動の首謀者、
戸田伶太、日野染が居た。
陸尾 航「さぁ・・・おとなしく、 捕まってくれ・・・!」
戸田 伶太「嫌だね、悪いが俺らも信念があるんだ、 そう簡単に曲げられやしねぇ信念がな!」
陸尾 航「・・・ったく、しゃあねぇか・・・ ・・・実力行使であんたらをしょっ引くぞ」
戸田 伶太「・・・かかってこい!」
そう言うと戸田は剣を構え、
日野は銃を構えた。
陸尾 航「・・・腕に覚えあり・・・か、 よし!行くぞ!」
陸尾 航「・・・そりゃあッ!」
航が勢い良く殴りかかるが、
ハズレてしまった。
戸田 伶太「・・・甘いな・・・ ・・・トウッ!」
その隙を突き、
戸田が勢い良く剣を水平に振る。
陸尾 航「・・・うグッ・・・! ・・・なんのこれしき・・・!」
かろうじて致命傷は避けられたが、
負傷してしまう航・・・
陸尾 航「はぁッ!」
陸尾 航「くッ・・・また外れた・・・!?」
かかと落としも外れ、絶体絶命の危機──
戸田 伶太「・・・隙あり」
陸尾 航「・・・! まずい・・・!」
──戸田が剣を振り下ろしたその瞬間、
永和が竹刀で受け止めた・・・!
海世 永和「・・・悪いが、あんたの敵は──」
海世 永和「この俺だ・・・!」
戸田 伶太「・・・ふん、小賢しいマネを・・・」
海世 永和「小賢しいかどうかは、 戦ってから決めるんだな・・・!」
戸田 伶太「その減らず口、切り落とす・・・!」
戸田 伶太「はっ・・・!」
戸田が永和に向かって振り下ろす、が──
海世 永和「・・・なんの・・・これしきッ・・・!」
戸田 伶太「くッ・・・」
永和も負けじと、回避しカウンターを
打ち込み、追い討ちをかける──!
だが──
海世 永和「今・・・畳み掛ける! 奥義──」
日野 染「隙あり──!」
日野が背後から迫る──!
海世 永和「・・・なっ!?」
日野 染「ん・・・?」
陸尾 航「あんたの敵は・・・こっちだ!」
日野 染「ぐあっッ・・・!」
陸尾 航「はあっッ・・・!」
日野 染「けッ・・・ゴホッ・・・ 何しやがる・・・!」
間一髪、日野を引き剥がし、
自分との戦いに持ち込んだ航。
陸尾 航「『何しやがる』? ・・・背後から不意を突いた奴の台詞か?」
日野 染「チッ・・・気に入らねぇな・・・」
日野 染「・・・喰らいやがれ!」
日野は銃を構えるが──
日野 染「な・・・」
遠くからの狙撃により、
銃を撃ち落とされる──
日野 染(しまった・・・! ・・・あいつの存在を・・・忘れて──)
陸尾 航「隙だらけだ──! 喰らいな!奥義──」
そんな隙だらけの日野に、
航は奥義を打ち込む──!
陸尾 航「『炎環』──!!」
日野 染「ぐ・・・あ・・・ッ・・・ ・・・こ、こうなったら・・・」
陸尾 航「・・・?」
そう言うと、日野はCDプレイヤーと
イヤホンを取り出し、装着する──
日野 染「・・・戸田、後は頼んだぞ!」
陸尾 航「お、・・・おい! 何をする気だ・・・!」
イヤホンを装着した日野、すると──
日野 染(狂化)「・・・強化完了、 只今から殲滅モード二移りまス・・・」
陸尾 航「・・・! まさか・・・!?」
日野 染(狂化)「隙だらけダ──!」
陸尾 航「ぐあっ・・・ッ・・・ はぁッ・・・はぁッ・・・ なんだ・・・この威力・・・!?」
別人と思える程の、
強烈な攻撃を繰り出して来た──!
日野 染(狂化)「トドメ・・・!」
陸尾 航「・・・ま、マズいッ・・・!」
万事休すかと思われた、その時──
日野 染(狂化)「・・・グッ・・・」
快飛の援護射撃により、
またしても航は助かった。
空乃 快飛「航さん! そいつのイヤホン・・・ ぶん取って下さい!」
陸尾 航「な・・・なんで、また急に・・・!?」
空乃 快飛「そいつは洗脳用の曲を 自分で聞いているんです! なので、イヤホンを取れば──」
陸尾 航「・・・勝機はあるのか・・・?」
日野 染(狂化)「・・・回復完了、再度殲滅ヲ開始すル」
快飛の指示を行動に移そうとするが、
手も足も出ない航・・・
陸尾 航(・・・しょうがねぇ、 避ける事に専念するしかない・・・)
日野 染(狂化)「・・・今度こソ、トドメだ・・・」
日野 染(狂化)「・・・喰らいヤがレ!」
陸尾 航(・・・こっちだ!)
陸尾 航「・・・へっ、そんな銃弾・・・ いくら避けてきたか・・・!」
日野の銃弾を避けた航、
だが──
空乃 快飛「航さん! 上から荷物がッ・・・!」
陸尾 航「・・・なっッ!?」
航の頭上に、大きな木箱が迫る──!
陸尾 航「あっぶねぇ・・・」
日野 染(狂化)「チッ・・・倒シ損ねタカ・・・」
何とか間一髪、避けることに成功した航、
すると──
陸尾 航「・・・だが、動きは分かってきた!」
日野 染(狂化)「・・・ウソを言うナ・・・! ・・・癪に障ル奴ダ・・・!」
日野 染(狂化)「・・・! ・・・ナッ・・・!?」
陸尾 航「そおぃッ・・・!」
陸尾 航「永和! 避けろぉッ!!」
海世 永和「・・・!」
戸田 伶太「・・・なっ!?」
航は日野の腕を掴み、
戸田の方へと投げ飛ばした──
戸田 伶太「くッ・・・何しやが・・・る・・・?」
日野 染(狂化)「・・・マズいナ・・・ 身動きガ取れン・・・」
戸田 伶太「・・・! そんな・・・バカな・・・!?」
立ち上がった二人の足元には、
快飛が仕掛けた捕縛式の罠が
設置されていた──
陸尾 航「行くぞ、永和・・・! 最後の大技・・・!」
海世 永和「・・・あぁ! 喰らいな・・・!」
この隙を逃さぬ航たち、
ココで奥義を打ち込む──!
陸尾航&海世永和「合体奥義── 『天地創造』──!」
戸田 伶太「・・・負けたのか・・・ 俺ら・・・」
日野 染(狂化)「・・・そう・・・だな・・・」
戸田 伶太「・・・夢物語・・・か・・・」
陸尾 航「・・・ふぅ、久々に疲れた・・・」
海世 永和「・・・だな、早く家で休みたい・・・」
空乃 快飛「・・・よかった、何とかなって・・・」
かくして、長きにわたる動乱の一日が
幕を閉じた。
〇黒
その後、悪人たちと二人は逮捕され、
快飛の暗躍もあり、
街の人々の洗脳は解けた。
また、日野から音響武器の資料を
取り返す事に成功した。
〇森の中のオフィス(看板無し)
数日後、事務所にて──
〇明るいリビング
陸尾 航「いや~、大変だったね! まさか街中が混乱状態になるとは・・・」
海世 永和「・・・あぁ、そうだな・・・ ・・・所で航? そのスピーカー、どうするんだ?」
永和の指差した先には、あの日
航が購入していたスピーカーがあった。
陸尾 航「・・・あぁ〜、うん・・・」
〇森の中のオフィス(看板無し)
「音楽は・・・しばらくいいかな・・・って」
「・・・なんじゃそりゃ・・・」
〇黒
第9章『traitors』編、完──!


