第11話『月光の夜姫』(脚本)
〇城の救護室
セレーネに攻撃された挙句、契約聖霊フェニックスを奪われ重傷を負ったアリュシオーネは集中治療室に運ばれた。
モニター越しに見ていたミシェラもすぐに駆けつけたが、セレーネは既に去っていた。
アリュシオーネ
『・・・』
マリ・クズノハ「・・・どうにか応急処置は済ませたけど、あとはアリュシオーネさんの体力次第ですね」
マルス・レ・プラネット「隊長──。俺がもっと早く駆けつけていれば・・・」
エアリィ・クロムウェル「多分マルスさんでも太刀打ち出来なかった──。と、私は思います」
シュイ・ランファ「おそらく私でも・・・ね」
マリ・クズノハ「・・・まさか生きていたなんて──。セレーネさん──」
ミシェラ「私も驚いたわ」
シオン・ビュティスカ「その・・・セレーネって方の事、良く知ってますね。お知り合いで?」
マリ・クズノハ「うん──。知ってる。よーく知っているよ・・・」
ミシェラ「なにせ彼女は──」
〇闘技場
一方その頃、何も知らない会場では、着々と試合が進んでいき、準決勝が始まろうとしていた。
カタリ・マッセ
『準決勝に進出したのはやはりこの人──』
ナハト「ふぅ~。ここまで勝ち進んだ来れた──」
カタリ・マッセ
『ナハト選手だぁ~!!』
観客
『ナハト様ぁ〜!!』
アルマ・G・アリア「ナハっち、おめでとうぉ〜!!」
観客
『ナハっち?今アルマさん、ナハっちって、呼ばなかった?』
カタリ・マッセ
『アルマさん。ナハト選手とはお知り合いで?』
アルマ・G・アリア「あぁ。知り合いも何も、うちとナハっちは昔馴染みなんだ!」
カタリ・マッセ
『昔馴染み・・・ですか?』
アルマ・G・アリア(確か・・・初めてあったのは──)
〇仮想空間
アルマ
『私がまだ聖刻隊の副隊長だった頃だったかな──』
10年前──
アルマ・G・アリア「うーん。『歌唱魔術』の適性のある子・・・、そんな簡単には見つからないなぁ──」
エリス・ミテルア「ただいまアルマ」
アルマ・G・アリア「あ!隊長。おかえりなさい」
アルマ・G・アリア「ん?隊長、その子は?」
ナハト(幼少期)「・・・」
エリス・ミテルア「あぁこの子は──」
アルマ・G・アリア「・・・ん?待って隊長」
エリス・ミテルア「やはり貴女は感じますか」
エリス・ミテルア「この子に『歌唱魔術』の適性がある事が」
アルマ・G・アリア「そりゃあ気付きますよ」
アルマ・G・アリア「それにこの子、大公の御子息ですよね?」
エリス・ミテルア「そこまで気付くとは──」
エリス・ミテルア「流石ね」
アルマ・G・アリア「えへへ」
ナハト(幼少期)「・・・あの・・・エリスさん。この人は?」
エリス・ミテルア「あ!?ごめんなさい。紹介が遅れたわね」
エリス・ミテルア「この子はアルマ・G・アリア」
エリス・ミテルア「これから貴方の『歌唱魔術』の師匠になる子よ」
〇闘技場
アルマ・G・アリア(あの頃のナハっち、可愛かったなぁ──)
マッセ・カタリ
『・・・さん』
マッセ・カタリ
『・・・アルマさん!』
アルマ・G・アリア「うわ!?・・・びっくりした──」
アルマ・G・アリア「どうしたの?」
マッセ・カタリ
『どうしたのって──。準決勝始まりますよ』
アルマ・G・アリア「あらそうだったの!」
アルマ・G・アリア「ごめんなさい。ぼーっとしてたわ──」
マッセ・カタリ
『まったく・・・。しっかりしてくださいよ』
アルマ・G・アリア「ホント・・・ごめんなさい」
マッセ・カタリ
『・・・さて気をとりなおして、はじめましょう──』
マッセ・カタリ
『準決勝を!!』
マッセ・カタリ
『それでは準決勝第一試合──』
マッセ・カタリ
『開始!!』
〇闘技場
数分後──
ナハト「これで・・・終わりだ!!」
ナハト対戦相手
『ぐはぁ!?』
マッセ・カタリ
『き・・・』
マッセ・カタリ
『決まったぁ〜!!』
マッセ・カタリ
『決勝戦進出はやはりこの人──』
マッセ・カタリ
『ナハト選手だぁ~!!』
アルマ・G・アリア「やったなナハっち!!」
ナハト「皆〜。応援有難う〜!!」
マッセ・カタリ
『さて、準決勝第二試合が行われている第二会場の様子を見てみましょう』
〇古い競技場
セレーネ「ふん──。他愛もない──」
マッセ・カタリ
『準決勝第二試合も終わったみたいです』
〇黒背景
マッセ・カタリ
『さて決勝戦に挑むのはこの2人──』
マッセ・カタリ
『ナハト選手と──』
マッセ・カタリ
『セレーネ選手だぁ~!!』
マッセ・カタリ
『さて決勝戦は明日開催です』
マッセ・カタリ
『それでは皆さん。明日の決勝戦、こうご期待!!』
〇近未来の通路
試合後──
ナハト「ふぅ~。やっと終わった〜」
ナハト「ん?誰か走ってくる──」
ラレシィエンヌ「た・・・大変ですナハトさん!!」
ナハト「ど──どうしたんだラレシィエンヌ?」
ラレシィエンヌ「アリュシオーネ様が・・・刺されて・・・意識不明の重体に──」
ナハト「何だって!?」
〇城の救護室
ナハト「アリュシオーネさん!?」
マリ・クズノハ「しぃ~ナハトお兄ちゃん!」
ナハト「ご・・・ごめん──」
ナハト「して──アリュシオーネさんの様態は?」
マリ・クズノハ「うーん。油断を許さない状態・・・とだけしか言えないかな──」
ナハト「いったい誰がこんな事をしたんだ──」
ミシェラ「・・・彼女よ──」
ナハト「母さん。何か知っているのか?」
ナハト「彼女って──」
マリ・クズノハ「私も良く知っているよナハトお兄ちゃん」
ナハト「いったい誰なんだ──」
ミシェラ「・・・フレイヤ──」
ミシェラ「フレイヤ・ドル・シャイムーン」
ナハト「フレイヤ・ドル・シャイムーン──。どっかで聞いたことのある名前──」
ナハト「・・・」
ナハト「あ!」
ナハト「シャイムーン姓てことは──」
マリ・クズノハ「そうだよナハトお兄ちゃん」
マリ・クズノハ「この国『オルフォード王国』の以前の名前」
マリ・クズノハ「300年前の名前──」
ミシェラ「フレイヤ・ドル・シャイムーン──」
ミシェラ「・・・またの名を──」
〇黒背景
ミシェラ
「『月光の夜姫』」