第8話「ええ愛搭載・AIロボ」(脚本)
〇大きい研究所
第8話
「ええ愛搭載・AIロボ」
〇基地の廊下
・・・国立戦力研究所
軍事技術開発に対する一般企業の忌避感
並びに技術職の就職難に対処すべく、
国が設立した防衛戦力研究組織である。
道下(みちした)総理「・・・世間ではレイセイバーが不快獣を倒してくれるから、自衛隊や警察はいらないという声が上がっている」
道下(みちした)総理「彼らには感謝しているが、客人に頼り切りというのも国としてはよろしくない」
烏賊霊(いかれ)博士「避難誘導や救助活動で役立っているというのに、げに愚かなのは本邦の国民という事ですのう!」
烏賊霊(いかれ)博士「はははは!」
道下(みちした)総理「・・・加えて、不快獣もパワーアップしているらしく、そのレイセイバーも苦戦する事が多くなっている」
道下(みちした)総理「異星人の兄妹も、中国に調査に向かい未だ戻ってきていない。なら・・・」
烏賊霊(いかれ)博士「こちらも”アレ”の完成を急がねば、ですな」
道下(みちした)総理「・・・で、どの位?」
烏賊霊(いかれ)博士「ハードウェアはすでに完成しておりますじゃ。後はソフトウェア、つまり・・・」
道下(みちした)総理「・・・AIか」
道下(みちした)総理「AI制御による完全自律型のロボット兵器 ・・・今更だが、それは人類が持つには過ぎた力ではないか?」
烏賊霊(いかれ)博士「星一つを吹き飛ばす兵器が乱れ飛ぶ宇宙で何を寝ぼけた事を言うですじゃ、総理」
道下(みちした)総理「・・・それもそうか」
〇秘密基地のモニタールーム
隅州勇(スミス・イサミ)「博士、総理、お待ちしておりました!」
道下(みちした)総理「博士、彼は?」
烏賊霊(いかれ)博士「オペレーターの隅州勇(スミス・イサミ) 三尉じゃ」
烏賊霊(いかれ)博士「”彼女”がどうしても彼じゃないとダメだと言い出してのう・・・どうじゃ?AIに一目惚れされた気分は」
隅州勇(スミス・イサミ)「・・・言い様がないのでノーコメントで御願します」
道下(みちした)総理「・・・本当に大丈夫なんだろうね?」
烏賊霊(いかれ)博士「はははは!心配ご無用! AIもパイロットも揃った今、あとは目覚めの時を待つまでじゃ・・・!」
〇黒背景
〇秘密基地のモニタールーム
烏賊霊(いかれ)博士「この・・・”クシナダ25式”の!」
〇空
〇施設の展望台
陸上自衛隊某駐屯地
榊翔太(サカキ・ショータ)「わざわざこんな展望台まで用意してのお披露目イベントなんて、自衛隊も気合い入ってるね」
ルーナ・アルテミア「諸外国へのアピールもかねてるわぁ 当然よぉ〜」
〇基地の広場
絵夢詩子(エム・シイコ)「皆さん長らくお待たせしました! これが我々の開発したクシナダ25式です!」
〇施設の展望台
榊翔太(サカキ・ショータ)「話には聞いていたけど・・・本当にレイセイバーにそっくりだね」
ルーナ・アルテミア「連盟が技術提供はしてるけど、ほとんどのパーツは地球で作れる物・・・」
ルーナ・アルテミア「言ってみれば、地球版レイセイバー って所かしらねぇ」
〇秘密基地のモニタールーム
隅州勇(スミス・イサミ)「機体制御はオペレーターの指示を介した遠隔操作ですが、基本はAIによる完全自律により可動します」
隅州勇(スミス・イサミ)「そして・・・”彼女”が制御AI ”フレイヤ”です」
フレイヤ「ハァイ♡ダーリーーーン♡♡♡♡♡♡♡」
フレイヤ「あれ?」
隅州勇(スミス・イサミ)「・・・・・立体映像の君は俺には触れんぞ」
隅州勇(スミス・イサミ)「・・・というかそのダーリンというのは やめてくれ、俺と君はあくまでAIとオペレーターだ」
フレイヤ「ひどーい!ダーリンはいたいけな乙女の気持ちを踏みにじるの!?」
隅州勇(スミス・イサミ)「俺はAI相手に恋愛ごっこするほど困窮していない。それだけだ」
フレイヤ「むぅー・・・そんな事言うなら動いてあげないもん!」
烏賊霊(いかれ)博士「それはいかん! 隅州くん!フレイヤのご機嫌取りをするんじゃ!これは命令じゃ!」
隅州勇(スミス・イサミ)「博士!?そんな執権乱用だ・・・!」
フレイヤ「ふん・・・そんなに言うなら」
フレイヤ「・・・ダーリンに私の想いが伝わるように、聴いてもらうしかないわね 私とあなたの物語を!!」
フレイヤ「第一章『自衛官がAI美少女に一目惚れされた件』・・・」
隅州勇(スミス・イサミ)「やめいとゆーとるにッ!!!!!!!!!!」
〇施設の展望台
ルーナ・アルテミア「あらあらぁ〜♪」
榊翔太(サカキ・ショータ)「・・・オレの関係人物ってバカップルしかいねーの?」
〇施設内の道
???「・・・ヒーローを愛するものとして」
???「・・・その魂を愛するものとして」
???「・・・こんな”人間には過ぎた力”は許してはおけん! むううんっ!」
〇基地の広場
〇秘密基地のモニタールーム
隅州勇(スミス・イサミ)「・・・フレイヤ?どうした、フレイヤ?」
烏賊霊(いかれ)博士「どうした!?」
隅州勇(スミス・イサミ)「フレイヤがコマンドを受け付けません! これは・・・!」
フレイヤ「ダ・・・が・・・ア・・・リン・・・」
フレイヤ「たす・・・・・・け・・・・・・!!」
隅州勇(スミス・イサミ)「フレイヤ!?フレイヤ!!!!」
〇基地の広場
〇施設の展望台
ルーナ・アルテミア「なんだか暴れてるけど・・・デモンストレーションじゃないわよねぇ・・・?」
榊翔太(サカキ・ショータ)「コンテンツの主人公を模した人造兵器 ・・・嫌な予感はしてたんだよ!」
榊翔太(サカキ・ショータ)「行こうママ!止めなきゃ!」
ルーナ・アルテミア「ええ〜い♪」
〇基地の広場(瓦礫あり)
絵夢詩子(エム・シイコ)「きゃああーっ!助けてーっ! こっち来ないでええーーっ!」
絵夢詩子(エム・シイコ)「・・・あっ!」
絵夢詩子(エム・シイコ)「ほ・・・本物だー!!!!」
〇戦闘機の操縦席(空中)
榊翔太(サカキ・ショータ)「本物って・・・あんたらが作ったロボットだろう?そんな偽物みたいな・・・!」
ルーナ・アルテミア「翔太ちゃん、今回はやけにあの機体(コ)の肩を持つわねぇ・・・?」
榊翔太(サカキ・ショータ)「・・・好きじゃないんだよ」
榊翔太(サカキ・ショータ)「よく特撮で見るような、防衛軍の新兵器が暴走して、ヒーローに倒されるみたいな・・・」
ルーナ・アルテミア「・・・?」
榊翔太(サカキ・ショータ)「・・・まあいいや、ママ!」
榊翔太(サカキ・ショータ)「あいつを”止める”よ!!」
ルーナ・アルテミア「武装セレクト〜!」
〇基地の広場(瓦礫あり)
〇戦闘機の操縦席(空中)
榊翔太(サカキ・ショータ)「あっちも剣を・・・!?」
〇基地の広場(瓦礫あり)
〇秘密基地のモニタールーム
烏賊霊(いかれ)博士「くそう!ハッキングを受けておる! 遠隔操作を受け付けんぞ・・・!」
隅州勇(スミス・イサミ)「そんな・・・!」
隅州勇(スミス・イサミ)「・・・待てよ」
隅州勇(スミス・イサミ)「クシナダには確か整備用のメンテナンスブースがありましたよね? そこから直接操作すれば!」
烏賊霊(いかれ)博士「正気かね!?動いている巨大ロボにどうやって乗り込むんじゃ!?」
隅州勇(スミス・イサミ)「今戦っているレイセイバーに抑えてもらいます!」
烏賊霊(いかれ)博士「ああ、おい!」
烏賊霊(いかれ)博士「・・・なんじゃい、お前さんもフレイヤにお熱なんではないか」
〇戦闘機の操縦席(空中)
榊翔太(サカキ・ショータ)「性能は互角・・・手数はあちらが上・・・一体どうしたら・・・!?」
「おーい!レイセイバー!!」
ルーナ・アルテミア「あらぁ〜?」
榊翔太(サカキ・ショータ)「自衛隊から通信・・・?」
〇基地の広場(瓦礫あり)
隅州勇(スミス・イサミ)「俺はクシナダのオペレーターの隅州だ!」
隅州勇(スミス・イサミ)「今からそいつの中に入って暴走を食い止める!手を貸してくれ!」
〇戦闘機の操縦席(空中)
榊翔太(サカキ・ショータ)「そういう事なら任せてよ! ママ、機体のパワーを上げて!」
ルーナ・アルテミア「はぁ〜い♪」
〇基地の広場(瓦礫あり)
隅州勇(スミス・イサミ)「今だ!!」
〇コックピット
隅州勇(スミス・イサミ)「ここがメンテナンスブースだな よし、システムにアクセスして・・・」
隅州勇(スミス・イサミ)「んっ?これは・・・」
隅州勇(スミス・イサミ)「フレイヤ・・・!!」
フレイヤ「ぐすっ・・・ひぐっ・・・ やだっ・・・やだよぉ・・・」
フレイヤ「私・・・ダーリンや皆を傷つけるメカになんかなりたくないよぉ・・・!」
隅州勇(スミス・イサミ)「・・・・・・!?」
隅州勇(スミス・イサミ)(泣いてる・・・フレイヤが、 AIのハズのフレイヤが・・・)
隅州勇(スミス・イサミ)(・・・いや、AIが泣かないという先入観自体が間違っていたんだ)
隅州勇(スミス・イサミ)(そもそも、人間の感情だってそうだ 外部からの学習と電気信号の羅列という意味では、AIとそう変わらない)
隅州勇(スミス・イサミ)(・・・AIにも感情は芽生える だから傷つく、悲しむ。なら・・・!)
フレイヤ「・・・・・・・・・?」
フレイヤ「ダーリン・・・・・・?」
隅州勇(スミス・イサミ)「無線ルーターを落としてシステムを外部から遮断した。もうハッキングにおびえる心配はない」
隅州勇(スミス・イサミ)「・・・・・・待たせたな、フレイヤ」
隅州勇(スミス・イサミ)「助けに来たぜッ!」
〇基地の広場(瓦礫あり)
〇施設内の道
???「とっ、止まっただと!?馬鹿な!?そうじゃないだろ!!」
???「模造品は本物のヒーローに倒されるのが特撮のセオリーのハズだ!レイセイバーも早くその模造品を破壊しろよ!?」
???「・・・・・・そうかいそうかい あくまでヒーローの王道に従わないか ならば!」
???「へんん・・・・・・しん!!!!」
〇基地の広場(瓦礫あり)
〇戦闘機の操縦席(空中)
榊翔太(サカキ・ショータ)「わっ!また何か出てきた!?」
榊翔太(サカキ・ショータ)「あの見た目、共に戦うヒーローとかそういう・・・?」
ルーナ・アルテミア「違うわぁ〜」
榊翔太(サカキ・ショータ)「へ?」
ルーナ・アルテミア「不快獣センサーが反応してる あれは・・・」
ルーナ・アルテミア「不快獣よ〜!!」
〇基地の広場(瓦礫あり)
不快獣・デントウダー
不快獣・デントウダー「ヒーローよりも目立つ巨大ロボ・・・・ そんなもの、認めるわけにはいかん!」
不快獣・デントウダー「とうっ!!!!」
不快獣・デントウダー「とうっ!とうっ!とーーっ!」
〇戦闘機の操縦席(空中)
ルーナ・アルテミア「きゃああ・・・っ!」
榊翔太(サカキ・ショータ)「なんだよこいつ!ヒーローごっこでもしてるつもりかよ!?」
〇基地の広場(瓦礫あり)
不快獣・デントウダー「ヒーロー物において、ロボット兵器は必ず暴走し、驕れる人類の愚かな過ちとして処理されなければならない!」
不快獣・デントウダー「それが伝統!とぉーーーっ!」
〇黒背景
「・・・・・・・・・」
隅州勇(スミス・イサミ)「・・・・・・おい、勝手に決めるなよ」
〇基地の広場(瓦礫あり)
不快獣・デントウダー「ば・・・馬鹿な!?再起動しただと!?」
〇コックピット
隅州勇(スミス・イサミ)「ぐっ・・・凄まじいGだッ」
フレイヤ「ダーリン!?」
隅州勇(スミス・イサミ)「俺の事は気にするな!こう見えて鍛えてるんだ!」
〇基地の広場(瓦礫あり)
不快獣・デントウダー「ちょっと待て!?!?それどっから出した!?!?!?」
〇コックピット
隅州勇(スミス・イサミ)「うるへー!未知の技術が使われてんだ! これぐらいで驚くな!」
フレイヤ「25式ビームランチャー”ムラクモ” ・・・・・・・・・発射あーっ!!!!」
〇基地の広場(瓦礫あり)
不快獣・デントウダー「ぬぐあああっ!?!?!?」
不快獣・デントウダー「ヒーロー気取りは・・・中学生で卒業しておけぇぇぇっ!!」
〇空
〇施設の展望台
榊翔太(サカキ・ショータ)「クシナダ25式は初陣で暴走するも奇跡の逆転大勝利!これで市民からも悪感情を持たれる事もないし──」
榊翔太(サカキ・ショータ)「──よくある”悲しいマラソン”要因になるって事も無さそうでよかったよかった!」
榊翔太(サカキ・ショータ)「・・・今回オレ、良いとこなしだったけど」
ルーナ・アルテミア(翔太ちゃん、やっぱり気にして・・・)
榊翔太(サカキ・ショータ)「・・・これならこれからの仕事も楽ができそうだ!やったぜ!」
ルーナ・アルテミア「あらあらぁ〜」
〇高層ビルの出入口
その夜
〇豪華な社長室
道下(みちした)総理「・・・それは本当かね?」
???「はい。ここ最近の不快獣のパワーアップ、そして反応から見て、近い内にこの日本に襲来すると見て間違いないでしょう」
???「我々も対策はしますが、そちらも十分に備えてください」
道下(みちした)総理「・・・相手はいくつもの惑星を滅ぼした奴等だ。覚悟はしなければな」
???「そう言ってくれるとこちらも助かります、何せ・・・・・・」
クレセティア・アルテミア「・・・我々は”超不快獣”と戦うのですから」
次回へ続く