延長ヒキツギ

たくひあい

安田さんと愉快な仲間たち(脚本)

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〇コンサート会場
フォノ「ふふ、素晴らしい」
フォノ「このステージの成功が我々の地位をより強固なものにするでしょう」
タカガキ(田中)「よっ、と」
タカガキ(田中)「安田さん!」
フォノ「おや。タカガキ君。運び出しご苦労様」
フォノ「バイトに学業に、精が出るね」
タカガキ(田中)「いやぁ、こちらこそ。舞台に関われるなんて、なかなかない経験で 時給もいいし」
タカガキ(田中)「こんな割の良いバイトがあって、いいんすかね」
フォノ「勿論だとも。教授とは知り合いでね。 そこの生徒さんともなれば、安心というもの」
タカガキ(田中)「へへっ。それってなんか研究データっすか」
フォノ「・・・・・・まぁね」
タカガキ(田中)(よくわかんないけど、カッケー)
タカガキ(田中)(いやー。まさか、ブログで知り合った安田さんがあのハイパーロボットのゲーム 宇宙世紀ガンギマバスターのライターだなんて!)
タカガキ(田中)(俺のゲーム攻略レビューの才能を見抜いてコメントをくれただなんて。何処で運があるかわからないな)
フォノ「あぁ、それと」
タカガキ(田中)「はい?」
フォノ「納仁科寧音と、仲良くなりたいのだが・・・」
フォノ「贈り物は渡してもらえただろうか」
タカガキ(田中)「納仁科? でも前に社長に聞いた情報、間違ってましたよ?」
フォノ「おや・・・・・・」
フォノ「・・・・・・まァいいでしょう」
フォノ「次は頼みましたよ」
タカガキ(田中)(・・・・・・なんで納仁科なんか気になるんだ?)
タカガキ(田中)(もしかして、そういう・・・・・・)
フォノ(チッ。使えない社長だ。 名ばかりでろくに女心もわからないとは)
フォノ(納仁科寧音を手中に収められれば、「安田さん」も安泰なのだが)
フォノ(なにしろ私では接点が薄い。 ・・・)
フォノ(脚本を用意するくらいは可能だが、 直接に干渉できないというのが歯がゆい・・・・・・ギリギリギリ・・・)
山本「あ、安田さん!」
山本「ここの演出なんですが、照明の赤が切れてるっぽくて・・・・・・」
フォノ「あぁ・・・・・・すぐに行く」
タカガキ(田中)「あの、俺もそろそろ」
フォノ「あぁ、そうだ。駐車場にある自転車、貰ってもいいですよ」
タカガキ(田中)「マジ!? ラッキー!!」

〇生徒会室
  一方その頃――――
須隠 要 (すがくし かなめ)「自分が恵まれてるってわかってなくないですか?」
梅ヶ丘 ゆりこ「まぁ、確かに、ベースに使われる事自体羨ましい・・・」
  来て居るメンバーは、倒れた納仁科寧音について話し合っていた。
  『羨ましい』と。
須隠 要 (すがくし かなめ)「あんなに謙虚なのはむしろ嫌味ですよ。 良いなぁ。勝ちまくり、褒められまくりなんだろうな・・・・・・」
部長(・・・・・・・・・・・・)
  納仁科は1年の時点で他の部員より飛び抜けていて、元より少し浮いていた。
  いくら賞に出さないかと勧めても、本人が何故か表に出るような活動は嫌だと、部活に拘っていたのだ。
部長(アレだって、そのまま出版しても良い出来だった。何が、本人を堰き止めるのか知らないが)
部長(正直、部活に置いておくには、こいつらとレベルが違い過ぎる・・・)
  本音を言うなら、納仁科が低く見られ過ぎなのだ。
  
  恵まれている、というなら とっくにデビューしていてもおかしくない。
部長(本当なら、もっと上に立つべきなんだ 作家が直接潰しにかかる自体がそもそも 恵まれていない)
  未だに彼女の事はよく知らない。
  
  作家に親族がいるのか?
  だから、同じ『出版社』に関わりたくないのか?

〇街中の道路
チバ「納仁科寧音、ね」
チバ「んー、配られた写真見ても、 目付きの悪いフツーの女子高生、って感じ」
チバ「何が良いんだろうな・・・・・・」
山本「おー、お疲れ」
チバ「・・・・・・っす」
タカガキ(田中)「お疲れ様です!」
山本「今日はバイト早く終わったよな。 ラーメン食いに行くか」
タカガキ(田中)「俺は肉がいいっす」
チバ「じゃ、おれは寿司」
山本「協調性のない奴らだ」
  バイトをして、学業に励む。
  何処にでもいる普通の学生生活。
  いじめられていた昔からは想像も付かない程、充実した毎日。
タカガキ(田中)(チバさんも、山本さんも良い人だし)
タカガキ(田中)(やっぱ、安田さんについて来て良かったなぁ)
タカガキ(田中)「あれ、何持ってるんすか?」
チバ「あー。これ、納仁科寧音の写真」
山本「安田さんの趣味、なのかな・・・・・・」
タカガキ(田中)「うわ、そこまで」
山本「なーんか、うまい事接触しろとか情報を探れとか って言われても、どうしろって感じするよな」
チバ「見かけたからってナンパってわけにもいかないっすよね・・・・・・」
タカガキ(田中)「あいつはなぁ・・・・・・ かわいくねー奴だよ・・・・・・」
チバ「なに、知り合い?」
タカガキ(田中)「知り合い、っつか・・・・・・」
山本「安田さんの考える事はわからんな」
山本「とにかく今は舞台が成功して、俺ももう少し待遇よくなるといいんだけど」
  安田さんって言うのは、あのハイパーロボシリーズに携わった人で、今回の舞台の支配人でもある。
  
  (と、本人は言っている)
  個人でありながら俺たちを雇える程の資産を持ち、役者を揃えているし、「社長」よりも上の立場の人なんだと思う。
山本「あ、瀧鍋社長から電話だ」
  山本さんが電話に出始める。
  じっと、待っていると、腹が減る。
  ・・・・・・
  チバさんと目が合った。
チバ「ラーメン行く?」
タカガキ(田中)「はい!」
チバ「・・・・・・そういえばその自転車、どうしたの」
タカガキ(田中)「あ、これは安田さんにもらったんスよ」
チバ「へぇー、ママチャリだ・・・」
タカガキ(田中)「チャリ壊れたんで、ちょうど欲しかったんすよね」
チバ「ふーん、いいんじゃない?」
  そう言った途中で、彼の目線がある一点に釘付けになる。
タカガキ(田中)「どうしました?」
  視線の先。
  そこには納仁科が居た。
タカガキ(田中)「あいつ・・・・・・!」
  思い出すとどうしても苛ついてしまう。
  
  可愛くないし、自分が恵まれていることに胡座をかいている。
  どころか、此方を見下していて、挑発して来たように思える。
チバ「・・・・・・」
タカガキ(田中)「んんー?」
  携帯が鳴る。
  何処で見ているのか、俺にも社長から連絡が入った。
  『シイタケ君、首尾はどうだ?』
タカガキ(田中)「タカガキですけど・・・・・・」
タカガキ(田中)「納仁科を見張れぇ?」
タカガキ(田中)「ラーメン屋、目の前にあんのに・・・・・・」
チバ「シイタケ君、俺はラーメン屋行くから」
タカガキ(田中)「あっ!! そんな!!」

次のエピソード:不倫と慰謝料

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