コンカフェ嬢の流儀2.0 〜竹ちくわの絆〜

ぽんたろう

第8話『因縁の再会』(脚本)

コンカフェ嬢の流儀2.0 〜竹ちくわの絆〜

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〇廃墟の倉庫
元挙動不審な男「今日はあのコンカフェに行って この前の仕返ししてやるぜ」
元挙動不審な男「俺をボコっておいて あの女だけお咎めないのはおかしいだろ」
  ※1作目第4話『初めてのビラ配り』参照
元挙動不審な男「見とけよ」
元挙動不審な男「俺を敵に回したこと後悔させてやる」
元挙動不審な男「俺のバックには あの横島さんがいるんだからな」

〇メイド喫茶
フレン「もう、パパったら」
フレン「どうして急に来るとか言い出すの?」
魔王「私も久しぶりに遊びにきたかったんだ」
魔王「この前はサイトーのせいで ゆっくり出来なかったからな」
フレン「まったくもー」
フレン「5分だけだよ」
魔王「もう少しいさせてくれよ」
月「まあまあ、フレンさん」
月「いいじゃないですか」
月「魔王さんも たまには羽目を外したいんですよ」
フレン「でも!」
月「魔王さんも立派なご主人様です」
魔王「分かってるじゃないか。勇者の孫」
フレン「この前まで無職でプライドだけが高い人だったんですよ」
フレン「甘やかしちゃダメです」
魔王「父親を前にしてそれ言う?」
フレン「だったら、たまには人助けぐらいしたら?」
魔王「人助けか」
フレン「そしたら、少し見直してあげる」
月「まあまあ」
月「今日は特別に許可してください」
フレン「月さんに免じて許してあげる」
フレン「もし、変なことしたら 月さんのおじいちゃんに来てもらうからね」
フレン「月さん、あとはお願いします」
月「はーい」
魔王「変なことなんかするわけないだろう」
魔王「あれだけトラウマ植え付けられたのに」

〇電器街
星川天海「さて、今日は突然ふれてんに行って 陽奈ちゃんを驚かせようかな」

〇メイド喫茶
月「ご主人様かな?」
星川天海「月ちゃん、来たよ!」
月「おじいちゃん」
月「ビックリした!」
星川天海「ビックリさせちゃった」
魔王「おじいちゃん?」
魔王「ま、まさか、勇者なのか?」
星川天海「あなたは?」
魔王「まさか、忘れたとは言わせないぞ」
星川天海「??」
月「そうだった」
月「おじいちゃんと魔王さんは因縁の間だった」
星川天海「魔王?」
星川天海「・・・・・・」
魔王「お、おい、嘘だろ?」
星川天海「そんな知り合いいたかな」
月「魔王さん、すみません」
月「人間の姿だと気づいてもらえないかと」
魔王「た、確かにな」
魔王「仕方あるまい」
魔王「これなら、どうだ?」
月「これなら、きっと・・・・・・」
星川天海「?」
魔王「それ、やめろ!」
魔王「ここまでして思い出してもらえなかったら 私がバカみたいじゃないか」
星川天海「あっ」
星川天海「思い出したぞ」
星川天海「ワシに武器を放棄させて 人質まで取ったのに、ボコられたやつだろ?」
魔王「そんな覚え方してたのか」
星川天海「まさか、この世界を征服しようとしているのか?」
魔王「するわけないだろ!」
魔王「お前たちがいるような世界を 征服したくないわ!」
月「私たち、すごい言われよう」
星川天海「ならいい」
月「あ、そうだ」
月「チェキのフィルムが切れそうだから 買い出しに行ってきます」
月「10分くらい留守番頼んでいいですか?」
月「今、他のキャストも出払ってて」
魔王「構わないよ。任せてくれ」
星川天海「いいよ」
月「ありがとう」
月「ご主人様が来たら 待っててもらうように言っといてね」
月「行ってきます」
「・・・・・・」
星川天海「こうして、再会したのも 天の導きなのかもしれないな」
魔王「さっきまで忘れてたくせに」
星川天海「過去のことは忘れよう」
魔王「しかし」
魔王「お前にボコられ、数十年後に 今度はお前の孫にボコられた」
魔王「まさに運命だ」
魔王「本当は再会なんてしたくなかったんだがね」
魔王「しかし、何だか嬉しい気持ちだ」
星川天海「過去なんて今になっては良い思い出だ」
魔王「まったくだ」
「来客だ」
元挙動不審な男「おーっと、世話になるぜ」
元挙動不審な男「俺はよぉ、天下の横島の兄貴の舎弟だぞ」
星川天海(こういうときは、どうするんだっけかな)
魔王(我々が接客していいものか)
元挙動不審な男(ん? 誰もいないのか?)
元挙動不審な男(でも、客はいるみたい・・・・・・)
元挙動不審な男(ちょっと待て)
元挙動不審な男(この2人、明らかに堅気じゃねえ)
星川天海「よく来たな 入るなり挨拶とは威勢が良いじゃねえか」
星川天海「ちょっとその辺に座れや」
元挙動不審な男「ひいいいい!」
星川天海(いかんな。もっと優しい物言いにしないと)
元挙動不審な男(なんだ、この威圧感)
元挙動不審な男「あ、いえ」
魔王「こういうところは初めてか?」
元挙動不審な男「あ、はい」
魔王「ここは楽しいところだぞ」
元挙動不審な男(楽しいところ? どういう意味だ!?)
元挙動不審な男「ひいいい!」
元挙動不審な男(まさか、俺のことをどこから聞いて 用心棒でも雇ったのか!?)
星川天海(きっとキャストがいなくて焦ってるな)
星川天海「もう少しで、1人帰ってくるから そこから本番だ」
星川天海「(楽しすぎて)覚悟しておくんだな」
元挙動不審な男「覚悟!?」
魔王「(楽しくて)忘れられない思い出を与えよう」
魔王「メイドの土産ってやつだ」
魔王(渾身のコンカフェジョーク)
元挙動不審な男「冥土の土産!?」
元挙動不審な男「あ、いや、その・・・・・・」
元挙動不審な男「失礼しました!」
星川天海「行ってしまったな」
魔王「きっとキャストがいなくて困ったんだろ」
星川天海「タイミングが悪かったな」
月「ただいま」
月「留守番大丈夫だった?」
星川天海「それがな、1人若い子が来たんだが 帰ってしまってな」
魔王「一応、対応したんだけど」
月「そっかぁ、なら仕方ないですね」
月「なんか落ちてる」
月「これは?」

〇電器街
元挙動不審な男「マジで殺されるかと思ったぜ」
元挙動不審な男「手を出さない方がいいな」
元挙動不審な男「ちょっと待て!」
「あそこにいたぞ」
「ああ」
元挙動不審な男「あの2人こっちにくるぞ!」
「逃げるぞ」
魔王「一足遅かったか」
星川天海「便利なものだな。お前の人間千里眼」
魔王「褒めるな褒めるな」
魔王「だが、かつての天敵に 褒められるのは悪い気しない」
星川天海「しかし、あの感じからすると 相当急いでいるようだ」
魔王「そうだね」
星川天海「しかし、あの若者、忘れ物するとは おっちょこちょいだな」
魔王「急いで届けてやらないとな」

〇メイド喫茶
月「なんか落ちてる!」
星川天海「お守りか」
魔王「ほー? 愛の加護が付いているね」
星川天海「そんなことが分かるのか」
魔王「まあね。これでも魔王だからね」
月「きっと、さっき来たっていう人のものだよ」
月「どうしよう」
月「私、顔も知らないし、お店離れられないし」
魔王「それなら、私が届けよう」
魔王「魔法で千里眼が使えるからな」
月「本当ですか?」
星川天海「ほう?」
魔王「やらせてくれ」
魔王(フレンちゃんに言われた通り 親切をしてみよう)
月「この世界でも使えるんですね」
魔王「まあね」
魔王「そんなに遠くへは行ってないぞ まだ間に合う」
星川天海「では、地理に詳しいワシも同行しよう」
魔王「かつての敵と一緒なんて嫌じゃないのかい?」
星川天海「共闘だ。争ったのは昔の話だ」
魔王「勇者・・・・・・ありがとう」
星川天海「気にするな」
魔王「頼んだよ、勇者」
星川天海「ああ」
月「仲直りの予感です」
月「では、2人ともお願いします」
「承知した」
月「あれ? 今、魔王さん あの姿のまま出ていった?」

〇街中の道路
元挙動不審な男「なんだ、一体なんなんだ」
元挙動不審な男「まさか、俺を消すつもりなのか?」
元挙動不審な男「たかが盗撮と業務妨害未遂じゃねえか」
元挙動不審な男「それか、あのコンカフェのバックには やべえやつらが付いてるのか?」
「おやおや、いたようだ」
「若いの、何を急いでいるんだ?」
元挙動不審な男「嘘だろ!? こっちに来やがる!」
「逃げるしかねえ!」
魔王「相当焦ってるようだね」
星川天海「若いのに気苦労が絶えないんだろう 気の毒にな」
  ↑             ↑
  やべえやつA       やべえやつB
魔王「とにかく急ごうか」
星川天海「ああ」

〇港の倉庫
元挙動不審な男「はあはあ、ここまで来れば平気だろ 裏道、タクシーまで使ったんだ」
「どこに行こうが無駄だよ」
「さあ、落とし前だ」
元挙動不審な男「ひいいい! 落とし前!?」
元挙動不審な男「やっぱ、俺を◯す気だ!」
「た、たすけてええ」
魔王「それを言うなら、落とし物だろ?」
星川天海「つい昔の癖でな。間違ってしまった」
魔王「相変わらず天然だな」
星川天海「ちげえねえ」

〇廃墟の倉庫
元挙動不審な男「はあはあ」
元挙動不審な男「隠れ家まで来たっていうのに」
「おかげで楽しませってもらったよ」
元挙動不審な男「うわああああ」
元挙動不審な男「どこだ!」
「最近の若造にしては、なかなかの脚力だ」
元挙動不審な男「ちくしょおお、どこなんだ」
魔王「まさに袋の鼠だね」
星川天海「おいおい、それは脅し文句だ」
魔王「じゃあ、年貢の納め時だ」
星川天海「それもだ」
元挙動不審な男「挟まれた」
元挙動不審な男「お願いです! 許してください!」
元挙動不審な男「もう悪いことは2度としません」
元挙動不審な男「どうか命だけは!」
魔王「まさか、何かに追われているというのか!?」
星川天海「なるほど。それで焦っていたのか」
元挙動不審な男「あ、いや、その・・・・・・」
魔王「さあ、何があった! 言いたまえ!」
元挙動不審な男「ひいいいい、あ、の、その」
星川天海「包み隠さず言うんだ!」
元挙動不審な男「ああああああ」

〇モヤモヤ
元挙動不審な男「誰かああああ」

〇廃墟の倉庫
元挙動不審な男「母ちゃん」
魔王「どういうことだ、急に倒れたぞ」
星川天海「きっと疲れていたんだろう」
星川天海「あれだけ走ったんだ。無理もない」
魔王「寝かせておいて平気かな」
星川天海「隠れ家とか言っていたから多分平気だろう」
魔王「そうだね」
星川天海「これは彼の胸元に置いておこう」
魔王「これなら、さすがに気づくはずだ」
星川天海「良かったら、このあと飲みに行かないか?」
魔王「まさかの誘いだと?」
星川天海「嫌なら構わないが」
魔王「誘いを受けるのは初めてなんだ」
魔王「なにせ、魔王だからね」
魔王「これまで誰からも誘ってもらえなかった」
星川天海「じゃあ、行くということだな?」
魔王「ああ。よろしく」
元挙動不審な男「・・・・・・」

〇病室(椅子無し)
母親「元気に生まれてきて良かったわ」
看護師「ええ」
母親「名前は『たかし』にしましょう」

〇幼稚園
元挙動不審な男(幼稚園児)「じゃあ、行ってくるね、ママ」
母親「また迎えに来るからね」

〇学校の裏門
母親「あなたももう小学生ね」
母親「いっぱい勉強して立派になるのよ」
挙動不審な男(小学生)「うん!」

〇和室
挙動不審な男(中学時代)「ばばあ、金借りてくぜ」
母親「たかし! またお母さんの財布から勝手に!」
挙動不審な男(中学時代)「うるせえな」
母親「小さい時はこんなんじゃなかったのに」
挙動不審な男(中学時代)「1人で感傷にひたるな!」
挙動不審な男(中学時代)「あばよ」
母親「待ちな」
挙動不審な男(中学時代)「なんだよ! ババア」
母親「お金はあげるから ”これ”を持っといてくれないかい?」
挙動不審な男(中学時代)「はああ?」
挙動不審な男(中学時代)「こんなだせえのいるかよ!」
母親「せめてもの頼みだよ」
挙動不審な男(中学時代)「ちっ」
挙動不審な男(中学時代)「仕方ねえな!」

〇廃墟の倉庫
元挙動不審な男「はっ!? ここは!?」
元挙動不審な男「俺は生きてる?」
元挙動不審な男「こ、これは!?」
元挙動不審な男「母ちゃんがくれたお守り?」
元挙動不審な男「もしかして、守ってくれたのか?」
元挙動不審な男「・・・・・・」
元挙動不審な男「母ちゃん、ごめんよ」
元挙動不審な男「今日から真面目に生きるから」
元挙動不審な男「これからは親孝行しよう 悪いことは、こりごりだ」

〇居酒屋の座敷席
星川天海「お前と、こうして酒を飲み交わす日が来るとはな」
魔王「想像もしていなかったよ」
魔王「しかし・・・・・・」
星川天海「どうした?」
魔王「人に親切をするのは気持ちいいものだな」
星川天海「それに気づいたようだな」
星川天海「見直したぞ」
魔王「ありがとう」
魔王「こういう行いをしていけば いつかフレンちゃんも 私を尊敬してくれるかな」
星川天海「もちろんだ。お前の娘だろ」
魔王「ありがとう勇者」
星川天海「これからよろしく頼むぞ」
星川天海「友よ」
魔王「ああ、友よ」
「乾杯」
星川天海「それより、その格好で大丈夫だったのか?」
魔王「あっ」

〇メイド喫茶
  次回予告
  思わぬ再会を果たした天海と魔王
  2人の勘違いが1人の若者を更生させた
  そんな中、マイマイにある疑惑が浮上する
  次回『恋愛禁止?』
月「今回は全く出番がありませんでした」
月「そんな日があってもいいと思います」
月「次回も、もえもえてん」

次のエピソード:第9話『恋愛禁止?』

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