第7話『月の嫉妬』(脚本)
〇メイド喫茶
月「ルティエルさん」
ルティエル「どうかした? 月ちゃん」
月「こうして、一緒にお給仕できるのが嬉しくて」
ルティエル「私もだよ」
月「えへへへへ」
安全型地雷系エナ「こんにちは」
「おかえりなさいませ、お嬢様」
安全型地雷系エナ「ルティエルさんに会いに来ました」
ルティエル「ありがとう」
安全型地雷系エナ(相変わらず素敵だなぁ)
ルティエル「エナさんの相手は 私がするから月ちゃんは他をお願いね」
月「はーい」
〇広い厨房
フレン「サボってないで皿洗え」
フレン「給料払わないぞ!」
妖精さん(本物)「あいよ」
フレン「あと冷蔵庫の在庫チェックもしといて」
妖精さん(本物)「あいよ」
月「な、何かやることあります?」
月(すごい殺伐としてる)
フレン「こっちは大丈夫ですよ」
フレン「この生き物に頑張ってもらってますから」
フレン「それよりもいいんですか?」
月「何がです?」
〇メイド喫茶
安全型地雷系エナ「ルティエルさんってカッコいいですよね」
安全型地雷系エナ「美しさの中に気高さがあるみたいな?」
安全型地雷系エナ「修羅場を潜り抜けてきた達観した感じとか」
ルティエル「褒めすぎですよ」
安全型地雷系エナ「同じ女として憧れちゃうし コンカフェの同業者として尊敬します」
〇広い厨房
月「・・・・・・」
妖精さん(本物)「めっちゃ褒めてる」
月「・・・・・・」
〇メイド喫茶
安全型地雷系エナ「良かったら、今度、私のお店に来ませんか?」
ルティエル「もしかして、エナさんも コンカフェのキャストだったんですか?」
安全型地雷系エナ「はい!」
安全型地雷系エナ「実は上の階のブラッディヴァンパイアで 働いてるんですよ」
ルティエル「今度お邪魔させてもらいますね」
安全型地雷系エナ「ぜひ!」
安全型地雷系エナ「あと、敬語なんて使わないでくださいよ」
安全型地雷系エナ「ルティエルさんの方が先輩なんですから」
ルティエル「本当? じゃあ、そうさせてもらおうかな」
ルティエル「よろしくね、エナちゃん」
安全型地雷系エナ「は、はい!」
〇広い厨房
妖精さん(本物)「距離感のつめ方すご!」
月「・・・・・・」
妖精さん(本物)「ルティエルさんも満更ではなさそう」
妖精さん(本物)「もしかしたら、ルティエルさん」
妖精さん(本物)「あの子の推しになっちゃうかもね」
月「えっ?」
〇モヤモヤ
あの子の推しになっちゃうかもね
あの子の推しになっちゃうかもね
〇広い厨房
妖精さん(本物)「なーんてね」
月「・・・・・・」
妖精さん(本物)「なんで!?」
フレン「自分の胸に聞け」
フレン「月さん」
フレン「この喋る下等生物の戯言(ざれごと)は 気にしないでください」
月「マジつらたん、せっせと帰りたいのん」
フレン「これはマジでヤバいやつ」
〇メイド喫茶
ルティエル「エナちゃん、良い子だったなぁ」
ルティエル「さて、閉店まで頑張りますか」
月「オサキ シツレイ シマス」
ルティエル「はい お疲れ様」
ルティエル「何か様子変だった?」
〇電器街
月「はあぁぁ」
月「ルティエルさん」
〇教室
月「・・・・・・」
田村「陽奈、どうしたの?」
田村「今日、ずーっとぼーっとしてるけど」
月「・・・・・・」
田村「ふんふん」
月「・・・・・・」
田村「なるほどなるほど」
田村「ルティエルさんが 他のコンカフェの子に 取られるかもしれないって?」
月「・・・・・・」
田村「私はどうしたらいいって?」
月「・・・・・・」
田村「じゃあ、そのコンカフェに ルティエルさんと一緒に行けば?」
〇更衣室
月「よし、田村ちゃんのアドバイス通りにするぞ」
ルティエル「お疲れ様、今日もよろしくね」
月「あ、あの!」
ルティエル「なに?」
月「今度、エナさんが働いているコンカフェに行くんですよね?」
ルティエル「うん」
月「・・・・・・」
月(言いづらい)
ルティエル「月ちゃんも一緒に行く?」
月「いいんですか!?」
ルティエル「もちろん」
ルティエル「じゃあ、決まりね」
ルティエル「2人の予定が空いてる明日なんてどう?」
月「分かりました」
〇電器街
月「楽しみです」
ルティエル「うん」
〇シックなバー
安全型地雷系エナ「ふふふーん」
みか「なんか機嫌がいいね」
安全型地雷系エナ「今日さ、私の推しの人が来てくれるんだよ」
みか「ルティエルさんだっけ」
みか「良かったじゃん」
安全型地雷系エナ「うん」
みか「来たみたいね」
安全型地雷系エナ「おかえりなさーい」
ルティエル「こんにちは」
月「よろしくお願いしまーす」
安全型地雷系エナ「あれ? 月ちゃんも?」
ルティエル「うん」
ルティエル「多い方が楽しいでしょ?」
安全型地雷系エナ「確かに」
安全型地雷系エナ「今日はいっぱいお話ししましょ」
「はーい」
〇電器街
月「楽しかったですね」
ルティエル「そうね」
月(ルティエルさんと一緒にいたら)
月(ルティエルさんが 誰を推しにしようかなんて どうでも良くなっちゃったな)
ルティエル「どうかした?」
月「あ、いえ」
月「キャストのエナさんは 何だかとっても素敵でした」
月「てきぱきと仕事をこなして 相手をちゃんと気遣ったり出来て 尊敬しちゃいました」
〇シックなバー
安全型地雷系エナ「それで、凄かったんですよ」
月「そうだったんですね!」
ルティエル「ハハハハ」
安全型地雷系エナ「あ、ご主人さまだ」
安全型地雷系エナ「ちょっと待っててください」
ルティエル「うん」
安全型地雷系エナ「おかえりー」
安全型地雷系エナ「久しぶりじゃん」
BV常連A「エナの顔が見たくて来たよ」
安全型地雷系エナ「ありがとう こっちへ」
BV常連A「はいよ」
みか「あっ!」
みか「あっちゃ──」
安全型地雷系エナ「大丈夫?」
安全型地雷系エナ「怪我はない?」
みか「ごめん」
安全型地雷系エナ「気にしないで」
安全型地雷系エナ「ここは私がやっておくから 他のご主人さまたちをお願いね」
みか「ありがとう」
月「すごい テキパキと仕事こなしてます」
ルティエル「本当ね、偉いわね」
みか「そうなんすよ エナにはいつも助けられてます」
ルティエル「私も見習わないと」
月(ルティエルさんでも 『見習わないと』とか思うんだ)
月(エナさんはすごいなぁ)
〇電器街
月(あんなに素敵なら、ルティエルさんが 推しにしても仕方ないよ)
ルティエル「あなたも素敵よ 忘れないで」
月「何か言いました?」
ルティエル「何でもない」
月「変なルティエルさん」
ルティエル「ははははは」
ルティエル(さてと、推し活でもしますか)
〇教室
田村「一緒に遊びに行けて良かったじゃん」
月「うん」
月「ルティエルさんと一緒にいれただけで 大満足!」
〇メイド喫茶
月「今日はルティエルさんいないけど頑張ろ!」
月「おかえりなさいませ」
ルティエル「おつかれー」
月「ルティエルさん!」
月「どうかしたんですか?」
月「今日は確かお休みですよね?」
月「忘れ物とかですか?」
ルティエル「違う違う」
ルティエル「推しに会いにきたの」
月「・・・・・・」
月「あー、エナさんに会いに来たついでに 寄った感じですか」
月(まあ、そうだよね)
ルティエル「エナちゃん?」
ルティエル「上の階には行かないけど?」
月「ん?」
ルティエル「席に案内してもらえるかな?」
月「ん?」
ルティエル「今日はお嬢様としてやって来たの」
月「そ、そうだったんですね」
月「すみません」
月「こちらへどうぞ」
ルティエル「ありがとう」
月「お店で働いてるキャストも 来店することがあるんですね」
ルティエル「まあね」
ルティエル「そういえば、ふれてんでは いきなり働き始めたからね」
ルティエル「まだプライベートでは来たことなかったから 来てみたかったんだよね」
月「そうすると、さっき言ってた」
月「『推し』ってどういうことですか?」
ルティエル「目の前にいるんだけどな」
ルティエル「私の推しがさ」
月「目の前・・・・・・?」
月「もしかして!」
ルティエル「そう」
ルティエル「私の推しは、月ちゃんだよ」
月「えええええ」
ルティエル「まあ、キャスト目線だから ちょっとずるいかもだけどね」
ルティエル「月ちゃんがいつも頑張ってるのは 知ってるから」
〇メイド喫茶
どんなときも笑顔で
とても気が利いて
たまに天然なところもあるけど
〇メイド喫茶
ルティエル「そこが大好きなんだよね」
月「ルティエルさん」
月「私も大好きです」
ルティエル「嬉しい」
ルティエル「じゃあ、記念にチェキ撮らない?」
月「はい」
〇広い厨房
フレン「月さんが元通りになって良かった」
妖精さん(本物)「雨降って地固まるか」
妖精さん(本物)「一件落着」
妖精さん(本物)「なんで!?」
フレン「元はといえば誰のせいだと思ってるんだ」
フレン「床でも舐めてろ」
〇電器街
月「ルティエルさんと一緒に帰れて嬉しい」
ルティエル「うん」
月「・・・・・・」
ルティエル「どうかした?」
月「私、バカみたいです」
月「ちょっとしたことでクヨクヨしてました」
ルティエル「もしかして、エナちゃんのことが 気になってた?」
月「あ、いや、その」
ルティエル「そんなことだろうと思った」
ルティエル「やきもち焼いてくれてたんだよね?」
月「えっと・・・・・・はい」
ルティエル「月ちゃんは嘘がつけない性格だもんね」
ルティエル「そういう素直なところも好きだよ」
月「わあああああ」
月「からかわないでください!」
月「わ、私もルティエルさんのことが大好きです」
ルティエル「一緒だね」
月「はい!」
〇シックなバー
安全型地雷系エナ「ルティエルさん、また遊びに来ないかなぁ」
みか「本当だね」
みか「めっちゃ楽しかった」
オーナー「楽しんでるところ悪いね」
みか「オーナー、お疲れ様です」
安全型地雷系エナ「お疲れ様です」
オーナー「お疲れ様」
みか「オーナーが開店前に来るって珍しいですね」
オーナー「みんなに、大切な話があって来たんだよ」
みか「なんだろう」
安全型地雷系エナ「うん」
オーナー「一身上の都合で私はオーナーを退任する」
「えっ!?」
安全型地雷系エナ「急に?」
オーナー「ああ。すまないね」
オーナー「家業を継ぐために 地元に帰ることになったんだ」
みか「なら、仕方ないか」
オーナー「あと店長も変わるからね」
安全型地雷系エナ「店長まで?」
オーナー「ああ、話し合いの結果だ」
オーナー「残念なことに、前の店長は退職された」
みか「そんなぁ」
安全型地雷系エナ「オーナー変わるんなら仕方ないか」
オーナー「今日は新オーナーと新店長に 来てもらっている」
オーナー「まず新しい店長の『ワール』さんを 紹介しよう」
店長ワール「新しい店長のワールです」
店長ワール「以前もこの界隈で仕事してましたが 新しいオーナーの誘いで店長になりました」
店長ワール「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
みか(良い人そう)
安全型地雷系エナ(不安だったけど大丈夫そう)
オーナー「では、次に紹介するのはオーナーだ」
オーナー「若手実業家だ」
みか「すごーい」
オーナー「どうぞ」
成金オーナー横島「おう、横島だ」
成金オーナー横島「よろしく」
〇メイド喫茶
次回予告
しっかりと自分のことを見守ってくれていた
大切な存在に気づいた月
心の底から安堵する中
因縁のある2人が再会を果たすのだった
次回『過去の因縁』
月「今度は私がルティエルさんのお給仕に 会いに行ってみようと思います」
月「次回も、もえもえてん!」
月「とりあえずチェキを100枚撮ろうかな」