最弱スキルで転生した俺、駆け出しの町でいきなりビビる(脚本)
〇ヨーロッパの街並み
森を抜けた俺が見たのは、立派な大都市──じゃなかった。
ちょっとくたびれた、だけど温かみのある小さな町だった。
木造の家が並び、馬車がのんびり行き交い、行商人たちの威勢のいい声が響く。
森の中で猫に導かれてたどり着いた町。
ユウセイ「スゥーッ」
ユウセイ「ハァーッ」
俺は不安と期待が入り混じった顔で、大きく深呼吸した。
とりあえず、第一目標はギルド登録。
そう思って看板を探していると──
???「君、見ない顔だね」
突然、そんな声をかけられて、俺はビクリと肩を跳ねさせた。
振り向くと、そこにはふわふわの金髪をツインテールにまとめた女の子が立っていた。
年は・・・・・・俺よりちょっと下くらい? なのに、堂々とした笑顔で、まっすぐこちらを見ている。
ニーナ「もしかして、今日この町に来たばかり?」
ユウセイ「は、はい...たぶん...」
口ごもる俺に、彼女はぱっと表情を輝かせた。
ニーナ「あははっ、多分って、おっかしー」
ユウセイ「あっはは..」
ギルドの制服っぽい服を着た彼女は、俺ににっこり笑いかける。
ニーナ「私はミーナ! この町のギルドで受付してるんだ! 初心者さん、案内してあげるねっ!」
ミーナ。彼女はそう名乗ると、俺の手を掴んでブンブン手を縦に振った
まるで迷子の子供を拾ったみたいなテンションだ。
ユウセイ「あ、えっと...お願いします...」
慣れてるのか、俺の腕を取ってぐいぐいと引っ張る。
こうして、俺の"駆け出し冒険者"としての第一歩は、予想よりもずっと強引なかたちで始まった。
〇白
第一章、【駆け出しの町『リーベル』】
〇西洋風の受付
ギルドは町の中心にあった。
木造でできた建物は古びていたけど、どこか温かみがある。
ギィィ・・・・・・と重い扉を開けると、
中から酒と汗と、皮の匂いが入り混じった空気が一気に押し寄せた。
ユウセイ「...すげぇ...」
思わず呟いた声は、ガヤガヤと賑わう冒険者たちの声にかき消される。
鎧を着たごつい男たち、軽装の女性戦士、ローブ姿の魔法使いっぽい人までいる。
俺みたいな【最弱スキル持ち】なんて、一目で場違いだってわかる。
だけど──
ニーナ「ほら、こっちこっち!」
ミーナが手を引いてくれる、その温かさだけが、今の俺の支えだった。
ニーナ「はい、ここで登録できるから、必要事項を書いてね!」
渡された紙とペン。
見よう見まねで、名前と──スキル欄に、俺は震える手で【微風】と書き込んだ。
ミーナがちらりとそれを覗き見ると──一瞬、口元がひきつった。
ニーナ「う、うん! だ、大丈夫だよ! 最初はみんなそんなもんだよ!」
明らかに無理やりな笑顔だった。
ユウセイ(やっぱ最弱ってバレバレだよなぁぁああ!!)
俺は頭を抱えながら、ひとまず登録を終えた。
ニーナ「じゃあ次は、装備整えなきゃね!」
〇鍛冶屋
勢いそのままに、ミーナに武器屋へ連れて行かれる。
向かったのは『バルド工房』──町で唯一の武器屋だった。
カンカン、と打ち付ける金属音。
店の奥では、熊みたいな大男が鉄を打っている。
バルド「おう、客か」
バルドと呼ばれるその男は、ギロリと俺を一瞥した。
バルド「...ひょろいな。剣はまだ無理だな。短剣でも持っとけ」
無愛想に言いながら、棚から短剣を一本取り出して手渡してくる。
差し出された短剣は、小ぶりだけど、しっかり重みがあった。
ユウセイ「これ...いくらですか?」
自分に合わせて剣をくれたのは嬉しかった。けれどここは異世界。現実世界の通貨は使えないだろう。
バルド「金はいい。冒険者が育つ方が、町のためだ」
バルドはぽつりと、ぶっきらぼうに言った。
俺は驚きすぎて、しばらく口がきけなかった。
この町は、こんな俺にも優しい。
それがたまらなく嬉しかった。
〇ヨーロッパの街並み
短剣を腰に差して、町の広場に戻る。
空は夕焼けに染まり、町の人たちが行き交う姿がどこか懐かしかった。
もちろん、俺の持ってる力は【微風】だけ。
戦い方なんて知らないし、冒険なんて夢のまた夢だ。
だけど──
ユウセイ「それでも、ここで、やってみよう」
小さな決意を胸に、俺はぎゅっと拳を握った。
まだ、何者にもなれない俺だけど、
この世界で、何かを掴みたかった。
森から始まった迷子の冒険。これから何が起こるか分からない。けど俺はここでやっていきたいと思った。
最弱スキル、『微風』スキルの俺。そんな最弱者の俺のスローライフ(?)はまだまだこれからだ!