最弱スキルで転生した俺、気づけば英雄になっていた。

翡翠。です

最弱スキルで転生した俺、気づけばいきなり森で迷子(脚本)

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〇白
  第一章、【転生】

〇森の中
  暗がりの中、全身に冷たい空気が絡みつく。
  重いまぶたをこじ開けると、見知らぬ世界が視界に広がっていた。
ユウセイ(あれ、俺、なんでここにいるんだ?)
ユウセイ(ここは、どこだ?かつての記憶どころか、自分の名前すら思い出せない)
  俺はズキズキと痛む頭を抑えながら記憶を遡る。

〇学校脇の道
ユウセイ(はぁ〜。学校めんどいな〜、)
  俺、確か、ごく普通の高校生活を送っていて、

〇学校脇の道
  それで...そっから思い出せない。

〇森の中
ユウセイ(俺は死んだのか?あたりは四方八方森)
ユウセイ(俺が居た高校は...よく覚えてない。けれど都心だった。という事は覚えてる...。気がする)
ユウセイ「っ...?!いった...」
  言葉に出した瞬間、さらにズキズキと頭が痛み、俺は顔をしかめた。
  痛みの波にのまれながら、脳の奥底から記憶が押し寄せてくる。

〇教室
  俺は、前世ではどこにでもいる普通の高校生だった。
  特別勉強ができるわけでも、

〇グラウンドのトラック
  運動神経がいいわけでもない。

〇教室
  友達もそこそこ。いつもぼっち。
先生「はい!今配った紙に志望大学を書いてください」
ユウセイ(志望大学ねぇ、夢すら無いのに大学行ってどうするんだよ)
  夢も特にない。

〇街中の道路
  ただなんとなく、毎日を過ごしていた。
  ある日、学校帰りにコンビニへ立ち寄った帰り道。
  
  信号が変わるギリギリで横断歩道を走った、その瞬間だった。
ユウセイ(・・・・・・あ、これ、やば)
  頭に鈍い音が響く。その瞬間俺は死を覚悟した。

〇森の中
  次に目を覚ましたら、この世界にいた。
  ・・・・・・つまり、そういうことだ。
  俺は交通事故で死んで、異世界に転生したのだ。
ユウセイ「いやいやいや、転生って!!」
  頭の痛みも忘れて、思わず声を張り上げた。
  だが誰も助けてはくれない。森の中は静かにざわめくだけだった。
ユウセイ「はぁ...俺本当に転生したんだんな」
  小鳥の囁きと風で葉っぱが揺れる音しか俺の耳には届かない。それを感じ、俺は改めて異世界に転生したという事を実感した。
  また頭が痛む。俺の頭痛は随分都合が良い(悪い意味で)らしい。
ユウセイ「異世界...かー」
  異世界...。異世界、そうだ異世界だ!異世界ならステータスの1つや2つはあるだろう。
  俺は前世の記憶を遡り、異世界系の小説を読んでいたことを思い出す。
  ズキズキと痛む頭を抑えながら、俺は小説で読んだ内容を思い出し、手を人差し指にし、前に突き出す。
ユウセイ「ステータス、オープン!!」
  そう言葉にすると目の前にふわりと、ウィンドウが浮かんだ。
  ──【ステータス】──
  
  名前:???
  
  レベル:1
  
  スキル:【微風(効果:そよ風を起こす)】
ユウセイ「...は?」
  痛む頭を押さえたまま、俺は思わず呆けた声を漏らした。

〇白
  第二章、【頭痛も、迷子も、最弱スキルも。】

〇森の中
  ようやく頭痛が少し治まり、体を起こした俺は周囲を見渡す。
  どこを見ても、見たことのない森。
  
  助けを呼んでも、反応は返ってこない。
  そして頼みのスキル【微風】は、手のひらからふわっと弱い風を吹かせるだけ。
ユウセイ「...こんなんで、どうやって生きろって言うんだよ...」
  前世でも大したことなかった俺は、転生後もやっぱり平凡以下。
  
  状況を打開できる力もなく、ただ小さなため息をついた。
  転生して早々、絶望してる場合じゃない。
  まずはこの状況をどうにかしないと、生き延びることもできない。
  フラフラの体を起こして、足元の枝を避けながら歩き出す。
  
  だけど、どっちに進んでも見渡す限り森、森、森。
  そして案の定──

〇霧の立ち込める森
ユウセイ「...あれ? どっちから来たっけ?」
  五分で迷子になった。
  
  絶望的な方向音痴スキルだけは、転生してもちゃんと持ち越していたらしい。
  木の根に引っかかって転び、
  ぬかるみに足を取られ、
  無駄に虫に刺され。
  誰も見ていないのをいいことに、何度も地面を叩いて泣きそうになった。
ユウセイ「くっそ...!!!」
ユウセイ「こんなはずじゃなかった!」
  強くてニューゲームだと思ったのに。
  魔王をぶっ倒す英雄コースだと思ったのに。
  まさか、森で迷子&そよ風しか起こせない人生リスタートだなんて。
  でも、それでも。
  まだ、ここからなんとかできるかもしれない。
ユウセイ「...絶対、ここで終わってたまるか」
  握りこぶしを作って、俺はまた歩き出した。
  握りこぶしを作って、俺はまた歩き出した。
  その時だった。
  小さな足音が聞こえる。
  振り返ると、ふわふわの白い猫、のような生き物が、俺をじっと見上げていた。
猫「??」
  白い猫──に似た生き物は、俺をじっと見つめていた。
  小さな耳をぴくぴく動かしている。
  どう見ても普通の動物には見えない。どことなく、賢そうな空気を纏っていた。
ユウセイ「...お前も、迷子か?」
  冗談半分に問いかけると、猫はこくりと首を傾げた。
  まるで、わかっているかのように。
  そして次の瞬間、ふわっとした感覚に包まれる。

〇山道
  猫の足元に、小さな光の道が浮かび上がったのだ。
ユウセイ「え、なにこれ」
  俺は思わず手を伸ばしかけたけど、触れられなかった。
  
  ただ、光は一本の線になって、森の奥へ続いている。
  猫は俺を誘うように進み始めた。
ユウセイ「...まさか、道案内?」
  一瞬だけ迷ったけど、他に頼るものもない。
  俺は猫の後を追いかけて走り出した。

〇白
  第三章、【微風の力、初めて役に立つ。】

〇霧の立ち込める森
  だが森は甘くなかった。
  
  茂みに足を取られ、枝が顔に当たる。
ユウセイ「痛っ・・・・・・うわっ、ちょ、待って!」
  必死で追いかけるも、猫はひょいひょい先を行く。
  
  そのとき、ふと思い出した。
  ──俺には【微風】がある。
  試しにスキルを発動してみた。
  
  すると、ふわりと涼しい風が吹き、茂みの葉っぱがぱぁっと開いた。

〇山道
ユウセイ「おおっ...!!」
  視界が一気に開ける。
  
  そのおかげで、足元に潜んでいた大きな穴もギリギリで回避できた。
ユウセイ「よっと...あっぶねぇこんな所に穴合ったのか」
ユウセイ(竹串の罠って...ここは戦国時代か!)
ユウセイ「・・・・・・でも、役に立った!! 微風が役に立った!!!」
  一人でガッツポーズを決めながら、俺は必死で猫を追い続けた。

〇けもの道
  どれくらい走っただろうか。
  
  やがて、木々の隙間から光が差し込んだ。
  猫は最後に一度だけ振り返ると、森の外へ飛び出していった。
  俺もその後を追い──

〇ヨーロッパの街並み
ユウセイ「...すげえ...」
  目の前に広がっていたのは、賑やかな、でも小さな街だった。
  行き交う馬車と人々。
  
  遠くに見える冒険者風の集団までいる。
  異世界。
  
  本物の異世界だ。
  思わず膝から崩れ落ち、地面に手をついた。
ユウセイ「俺、ほんとに...転生したんだ...!」
  猫は、森の入り口でちょこんと座りながら、俺を見上げている。
  まるで「よく頑張ったな」と言わんばかりに。
ユウセイ「ありがとうな」
  小さくつぶやくと、猫は満足げに森へ戻っていった。
  こうして、最弱スキル【微風】しか持たない俺の、
  
  "迷子スタート"大冒険は、ようやく一歩目を踏み出したのだった──!!

次のエピソード:最弱スキルで転生した俺、駆け出しの町でいきなりビビる

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  • すげええええええええええええええ

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