ユリの花言葉 PARTE3(脚本)
〇花模様2
前回のあらすじ
〇校長室
探偵ジェファーソンの事務所に
助けを求める謎の女性が現れる。
その女性は記憶を失っていて
唯一手がかりとなる
彼女のポケットに入っていたという
手紙の主を探すことになった
だがそれ以前に
彼女はこの時代の人ではないみたいで?
〇花模様2
第二話:謎の女性
〇校長室
ノア「あの、 すみません」
ノア「少しの間、社長と席を外しても良いでしょうか?」
???「あ、はい。どうぞ」
ノア「社長、ちょっと」
ジェファーソン「分かった」
ジェファーソン「すぐ戻るんで、気にせずゆっくりしてて下さい」
???「はい、分かりました」
少し困った顔をした彼女を置いて
俺とユナは二階の部屋に移動した
〇本棚のある部屋
ジェファーソン「んもぅ、 ユナちゃんったら」
ジェファーソン「俺とイチャイチャしたいのは分かるけど 今は仕事ちゅU...」
ジェファーソン「いででっっ!!」
ノアがジェファーソンの腕を思いきりつねる。
ノア「社長、何なんですか?」
ノア「いつもいつも不可解な事件を持ってきて...」
ジェファーソン「持ってきたんじゃなくて、俺の元に来たんだもん」
ジェファーソン「まあ、しょうがないじゃん?」
ジェファーソン「俺ってば女性にも事件にも愛される生粋のモテ男だs...」
ジェファーソン「いだぁぁぁぁっっっ!!!?」
さっきより強く腕に痛みが走る。
ジェファーソン「止めてよノアちゃん、ガチで痛いんだから」
ノア「うるさい!山田太郎!!もっと真面目にしてください!」
タメ語と敬語が入り交じった叱咤激励に
山田太ろu...ジェファーソンは真剣にノアを見つめた。
ジェファーソン「ごめんなさい」
ノア「よろしい」
...
何だこの茶番。
ジェファーソン「ノアちゃん、いつもの"アレ"やってくれる?」
ノア「...分かりました」
ジェファーソン(俺の推理が正しければ)
ジェファーソン(彼女は...)
〇校長室
ジェファーソンとノアが戻ると
コーヒを空にした彼女が
心配そうな顔でソファーから立ち上がった。
???「あ、あの。 何か他に手がかりは見つかりましたか?」
ジェファーソン「残念ながら、あの手紙だけでは...」
ジェファーソン「ですが、この手紙にある」
ジェファーソン「信彦さんが書いた手紙の届け先が貴方であれば」
ジェファーソン「貴方の名前はユリさんだと思います。 この名前に聞き覚えが?」
???「すみません、今は何とも」
ジェファーソン「そうですか...」
ジェファーソン(あの事、話した方が良いよな)
ジェファーソンは少し考え、話す覚悟を決めた
ジェファーソン「あの、非常に話しにくい事なんですが」
ジェファーソン「今年は2022年なんです」
ジェファーソン「貴方はこの時代の人では無い可能性があります」
???「...」
???「...え?」
彼女の不安そうだった顔が段々と青ざめていく
???「変な冗談ですよね?」
彼女はジェファーソンを見つめた。
彼は何も言えなかった。
???「そんな...」
彼女はがっくりと腰を落とし、ソファーに座った。
ジェファーソン(彼女を困惑させてしまった。だけど事件解決には真実は必要だ)
ジェファーソン「ですが」
ジェファーソン「一つだけ方法があります」
???「方法?」
彼女は顔を上げ、不思議そうに首を傾げた。
ジェファーソン「ノアちゃん、"アレ"お願い」
ノア「はい」
ノア「あの、ユリさんとお呼びしても良いでしょうか?」
ユリ「はい、大丈夫ですよ」
ノア「ではユリさん。私の手を少しの間、握って頂けますか?」
ユリ「別に構いませんが、何故?」
ジェファーソン「彼女は過去が見えるんですよ。 五分の間だけですが」
ジェファーソンがそう言うとユリさんは
理解に苦しむ顔をした。
ジェファーソン(無理もない。自分が何者なのか分からず)
ジェファーソン(自分がいた時代じゃないだの、過去が見える女の子がいるだの)
ジェファーソン「俺だったら変な冗談だと思うわ」
ノア「何が冗談なんですか?」
ジェファーソン「な、なんでもない」
ジェファーソン(やべっ、思わず口に出てた)
ノア「ではユリさん。お手を数分の間、貸していただけますか?」
ユリ「...はい」
ノアが差し出した手の平に、ユリさんは自分の手の平を重ねた。
〇黒背景
ーーそしてノアは目をゆっくりと、閉じた。