〇教室
　　・・・。

〇教室
　　・・み〜、あけみ〜、おーーい
　　起きろー

〇教室
神田明美「う〜ん、何？」
鹿田春香「何じゃないよ！文化祭の話し中だよ！」
神田明美「うん」
　　9月文化祭でクラスの出し物について話し合っていた。
先生「それじゃ文化祭の出し物について出したいものとかあるか？」
生徒「お好み焼き」
生徒「メイド喫茶」
鹿田春香「イラストボード展」
先生「鹿田、イラストボード展って何だ」
鹿田春香「文化祭に来てくれた人たちに楽しかった思い出を大きい紙に絵を描いてもらう展示会です」
先生「ほぉー楽しそうだな」
先生「それじゃ投票して決めるぞ」
先生「うん、それじゃ文化祭出し物は鹿田のイラストボード展に決定！」
鹿田春香「やったー！明美やったよ！」
神田明美「良かったね」
先生「それでなんだが鹿田 ただ白紙を用意しても描きにくくて寄ってこないかもしれないから」
先生「俺たちが最初に何かイラストみたいに描いてあった方が描いてくれるんじゃないか？」
鹿田春香「ふっふっふ、それは任せて下さい先生！ それは明美にお願いしようと思ってます！」
神田明美「え!?わたし？」
鹿田春香「明美って昔から絵がうまいから 明美にお願いしようって！」
先生「そうなのか？神田」
神田明美「わ、私は‥」
神田明美「で、出来ません！」
「え!?」
神田明美「ごめんなさい」
先生「まぁまだ時間はあるから考えてみてくれ」
神田明美「・・・」
鹿田春香（明美？）

〇教室
　　放課後
鹿田春香「あんな絵が描くの好きだったのにどうして？」
神田明美「ごめん もう描くの辞めたの」
鹿田春香「もしかして、お父さんのことで辞めちゃったの？」
神田明美「違う！ これは私が決めたの！ お父さんは関係ない！」
鹿田春香「ご、ごめん」
神田明美「今日私一人で帰る じゃあね」
鹿田春香「明美‥‥」

〇綺麗なリビング
　　3年前
神田明美「おとーさん！」
神田徹「ん？どうした明美？」
神田明美「見てみて！この絵！今日学校で賞を獲ったの♪」
神田徹「おー！すごいじゃないか！」
神田直美「二人して楽しそうにして」
神田徹「明美が絵で賞を獲ったんだって！」
神田直美「明美はパパの才能を受け継いでるのね」
神田明美「うん！私もお父さんみたいになる！」
神田徹「ハハハっ！それは嬉しいな」
　　お父さんは人気のイラストレーターで私の憧れの存在だった。
神田徹「ゴホッ！」
神田明美「お父さん！」
神田徹「だ、大丈夫だよ明美 少し疲れているだけだから」
神田直美「お父さん 少し横になりましょう」
神田徹「あぁ」
　　お父さんは生まれつき体が弱かったらしい。
神田徹「ごめんな明美、また話を聞かせてくれ」
神田明美「うん」
神田明美（お父さん大丈夫かな？）

〇住宅街
　　ある日の帰り
神田明美（救急車が家の前で停まってる？）
　　救急車の近くで泣いているお母さんがいた
神田直美「おとーさん！目を開けて！」
神田明美「お母さん！お父さんどうしたの？」
神田直美「明美！お母さんお父さんと病院に行くから家で待ってて！」
神田明美「う、うん‥‥」
神田明美（大丈夫！いつもみたいに元気になって帰ってくる）
神田明美（帰ってきたら絵を見せて驚かせてあげよう！）
　　そう、いつもみたいに元気になったお父さんが帰ってくる。だから大丈夫。
　　そう思ったのに現実は違った。

〇綺麗なリビング
　　お母さんが帰ってきたのは深夜だった。
　　そこにはお父さんがいなかった
　　お母さんの表情は泣き疲れた顔だった
神田明美「お母さん、お父さんは？」
神田直美「明美、お父さんは‥」
　　お母さんは玄関で膝を着いて私に言った
神田直美「お父さんはもう死んじゃったの」
神田明美「!!!!!」
　　手に持ってた絵を落とし、私も泣いた
　　大声で泣いた

〇女の子の一人部屋
　　あれから３年私は絵を描くのを辞めた
　　スマホを眺めているとある都市伝説の記事を目にした。
神田明美「『午前０時渋谷のスクランブル交差点の真ん中にいると今自分が会いたい人に会える』か‥‥」
　　あんまり都市伝説とか信じてはいないけど
　　今会いたい人に会えるとしたら一人しかいない
神田明美「行ってみようかな」
　　嘘でもいいから信じようと思った
　　もしお父さんに会えたら話したいことがある

〇渋谷のスクランブル交差点
　　そして私は渋谷に来た
鹿田春香「ねぇ？明美本当にやるの？」
神田明美「うん！お願い春香」
　　私は春香にスクランブル交差点で私をスマホで撮っていて欲しいとお願いした
鹿田春香「あと５分だね。準備いい？」
神田明美「うん！大丈夫」
神田明美（実のところまだ都市伝説についてはまだ信じていはない。それにもしお父さんと会ったとしても何を話せばいいのか決めていない）
鹿田春香「明美！時間だよ！」
神田明美「うん！行ってくる」

〇渋谷のスクランブル交差点
　　私はスクランブル交差点の真ん中に立った。
　　だけど何も起きない、やっぱりあれは嘘だったんだろうか？
神田明美（やっぱ無理か）
神田明美「春香！ごめんやっぱ無理だっ‥‥」
　　春香の方向を振り向いた瞬間、周りに人はいなく、そして霧のようなものが広がっていた。
神田明美（な、何これ？）
神田明美「春香ー？どこにいるの？」
　　叫んでも春香も誰も反応しなかった
神田明美「どうしよう」
　　またスクランブル交差点の真ん中を見ると犬が座っていた
神田明美（こんな所に犬？）
　　犬は109の方向をジッと見て、そしたら奥から人影が見えてきた
　　そしてそこには
神田徹「明美」
神田明美「お父さん？」
神田徹「うん、久しぶり」
神田明美「おとーさん！」
　　私はお父さんに駆け寄り強く抱きしめた。
神田明美「お父さん！会いたかったよ」
神田徹「ごめんな明美いなくなってすまない」
　　ポトリ
神田徹「明美何か落ちたぞ？」
神田徹「これは!?」
神田明美「お父さんが倒れた日見せたかった絵だよ！」
神田徹「やっぱり明美は絵が上手だな」
神田明美「本当？」
神田徹「あぁ」
神田明美「私お父さんみたいな絵を描けるかな？」
神田徹「お父さんみたいでは無くて 明美の絵を描いて回りの人たちを笑顔にするそんな才能は明美は持っている」
神田明美「うん！やっぱり私お父さんみたいな人になる」
神田徹「あぁ！頑張れ！」
神田徹「おっと！時間のようだ 明美体には気をつけてお母さんのことも頼んだよ」
神田明美「うん、ありがとうお父さん」
　　お父さんはあの犬と霧の奥に消えていった

〇渋谷のスクランブル交差点
　　辺りはいつもの渋谷に戻っていた。
　　お父さんに会えて私はまた夢を追いかける。
　　でもまず最初は文化祭のイラストを描かないとね！
　　完