7章 襲来!軍団からの挑戦状(脚本)
〇繁華な通り
──とある日の夜、雨が降る中、
走る男たちの姿があった。
陸尾 航「しまったな・・・ まさか雨が降るとは・・・」
海世 永和「急いで鳥司の所に行かないとな・・・ 花奏を預けているし・・・」
空乃 快飛「ですね・・・」
足早に町中を走り抜け、
ジムへと向かう彼ら──
〇スポーツクラブ
陸尾 航「あ、あれ・・・? いつもならこの時間帯も 営業してるのに・・・?」
だがジムは明かりが点いておらず、
人の気配も全く無かった──
海世 永和「・・・!おい! あそこで倒れてるのって・・・」
永和は異変に気づき、航に報告する。
永和が指差した先には──
陸尾 航「・・・! 舵!大丈夫か!?」
ジムのオーナーであり、航の戦友でもある
『鳥司 舵』が倒れていた──
鳥司 舵「うぅ・・・わ、航か・・・ すまない・・・ 俺が不甲斐ないばっかりに・・・ 宮下が攫われてしまった・・・」
陸尾 航「・・・大丈夫か・・・舵、 ・・・攫っていった奴らの特徴は!? 何か覚えていないか!?」
『あの組織が来た』と思い、
航は舵に聞いてみる──
鳥司 舵「・・・奴ら、腕に『赤いバンダナ』を 巻いていた・・・ 恐らく、宮下を追っているのとは また別の所だろう・・・」
「・・・おっ!本命はっけーん!」
陸尾 航「・・・誰だ!」
何者かの声がした方を向くと──
闘気に満ちあふれている、
若い3人組が現れた──
海世 永和「・・・何者だ?」
村田 稔「私の名は『村田 稔』・・・ 私たちは史上最強の名を求める者たちが 集う、『英団』と言うチームのリーダーです」
空乃 快飛「・・・で、その『英団』のリーダーが、 僕たちに何のようですか?」
村田 稔「・・・私たちと一戦、 交えていただけませんか?」
陸尾 航「はぁ・・・?」
予想外の発言に気の抜けた声が出るが──
鳥司 舵「気をつけろ・・・ 俺も勝てないぐらいの かなりの手練れだ・・・」
陸尾 航「なっ・・・!?」
村田 稔「おやおや・・・あれだけやって、 まだ意識を失っていなかったとは・・・」
・・・かなりの強者のようだ──
陸尾 航「・・・それじゃあ、お前らが花奏を・・・」
村田 稔「えぇ、ですので お手合わせ頂きたいと・・・ して頂けないと言うのでしたら、 彼女は売り捌こうかと・・・」
海世 永和「・・・分かった、その話受けて立とう!」
村田 稔「・・・やはり、そう来なくては! ・・・では──」
そう言うと村田は懐から
手榴弾のような物を取り出し、
航たちの方へと投げる──
村田 稔「・・・健闘を祈ります」
手榴弾のような物が地面に落ちる瞬間──
周囲にガスが撒かれた
海世 永和「な・・・んだ・・・こ・・・れ・・・」
村田 稔「・・・睡眠ガスは効いたようだね、 全員寝てるみたいだ・・・」
園元 透「さあ、運ぶぞ ・・・そう言えば、 あのジャージ野郎はどうする?」
津本 美南「運んでおきましょう、 流石にあの人数を相手にするなら 3人じゃ足りないでしょうし・・・」
〇小さい倉庫
陸尾 航「こ・・・ここは?」
目を開けると、
見覚えの無い風景が眼前に広がる──
鳥司 舵「・・・目が覚めたか、航」
陸尾 航「・・・鳥司──」
周囲には、倒れて眠っている永和と
快飛も居た──
鳥司 舵「どうやら嵌められたみたいだ・・・ 『健闘を祈ります』と言っていたが・・・」
陸尾 航「・・・そうだ!花奏は!?」
現状を理解し、焦る航の元に──
「目覚めたみたいですね」
陸尾 航「──!?」
何処からか声が聞こえる・・・
「ここですよ、ここ」
声のする方へ目をやると、
机の上に4つ、
トランシーバーが置いてあった──
陸尾 航「おい!何が目的だ!? 奏を何処にやった!?」
トランシーバーに飛びつき、
まくし立てる航──
「まぁ、落ち着いてください・・・ 彼女ならこの”島”の 何処かに居ますから・・・」
鳥司 舵「・・・待て、”島”・・・?」
「えぇ、あなた達には今居るこの島から 脱出してもらいます、 ですが、この島には私たちの仲間が 臨戦態勢で彷徨っている──」
「まぁ、地図や銃など そういう物は用意してありますので、 せいぜい頑張って下さい ──それでは」
陸尾 航「あっ!おい! まだ聞きたい事聞いてねぇぞ!?」
またもやトランシーバーに向けて
まくし立てるが、返答は無い──
鳥司 舵「・・・ったく、お前と居ると 大体なんかが起こる・・・」
陸尾 航「はぁ・・・」
海世 永和「ん・・・ココは?」
陸尾 航「あぁ、今起きたか・・・」
〇小さい倉庫
陸尾 航「・・・ってことなんだ」
海世 永和「・・・ お前と一緒に居ると、 大体巻き込まれるんだよな・・・」
空乃 快飛「えぇ・・・」
陸尾 航「今回ばかりは俺もそう思うよ・・・」
起き上がってきた2人に事情を話すと、
苦笑い混じりに愚痴を告げられる──
空乃 快飛「・・・で、どうするんですか? 花奏さんも見つけなきゃならないし・・・」
陸尾 航「・・・作戦を練るしか無いかな・・・」
そう言いながら全員が、
机の上に置いてある地図に目を落とす──
〇地図
陸尾 航「現在地が北東部にある「貨物保管所」 だとして・・・」
海世 永和「保管所の南側にかなり広い「広場」、 西側に入り組んだ 「作業場」があるな・・・」
空乃 快飛「そして南端に「港」があり・・・ 全体的に小屋がまばらに置いてある・・・」
鳥司 舵「怪しいのは南西部と小屋・・・ あと、入り組んだ「作業場」だな・・・」
海世 永和「・・・で? どうやって行くんだ?」
陸尾 航「・・・」
陸尾航が熟考の末、口を開いた──
陸尾 航「西の方に小屋が密集しているから・・・ 3人は「作業場」の方へ行ってくれ、 俺は広場の方で待機している──」
陸尾 航「何かあったら、または花奏を見つけ次第、 トランシーバーで呼んでくれ! すぐに向かう!」
海世 永和「となると・・・ 「作業場」をどう回るか、だな・・・」
鳥司 舵「・・・分かった、 俺が南西部の方へ向かおう、 永和は作業場の中央部分を、 快飛は北の離れと東の方を頼む!」
陸尾 航「よし・・・ 各々連絡が合ったら動くこと、 あと、自らの力を過信しないこと、 最後に、無事に帰ること。 分かったな?」
空乃 快飛「はい!」
陸尾 航「よし・・・行くぞ!みんな!」
〇廃倉庫
貨物置き場前──
陸尾 航「そこを退け! さもなきゃ怪我するぞ!」
航の蹴りが空を切り──
海世 永和「奥義『尼水』──」
英団の団員たち「ぐわぁッ・・・!」
永和の奥義が轟く──
空乃 快飛「・・・よし、そろそろ別れて、 さっき言った場所に行きましょう!」
海世 永和「あぁ、頼むぞ!みんな!」
英団の団員たち「なっ・・・逃げたぞ!追え!」
陸尾 航「ったく・・・ あんたらの相手は悪いが俺だぞ・・・」
永和たちを追う
英団の一員を止めるべく、
奥義を放つ──
陸尾 航「奥義『庭炎』──」
〇廃倉庫
陸尾 航「はぁ・・・まずいな、 雨が強くなってきやがった・・・」
英団の団員たち「うわっ・・・!? なんだよ・・・コレ・・・!?」
陸尾 航「さぁ、俺の相手をしてもらおうか!」
〇山道
一方、作業場では──
英団の団員たち「居たぞ!あいつらだ!」
鳥司 舵「まずいな・・・ あの敵影をなんとか捌かねぇと、 花奏を探せないぞ・・・」
舵と永和が敵に追われていた──
海世 永和「・・・このままじゃ埒が明かない、 こうなったらやるしかないか・・・」
鳥司 舵「・・・頼めるか?」
海世 永和「あぁ・・・ 分かった」
そう言うと、永和は踵を返し──
海世 永和「奥義『拘水』──」
英団の団員たち「うわぁぁッ・・・!」
追いかけて来た団員たちに
奥義を放つ──!
海世 永和「・・・なんとかなったが、 こんなのがたくさん居るとなると・・・」
鳥司 舵「・・・とりあえず、さっさと進むぞ」
「フフッ・・・ なかなかやるみたいね・・・」
すると何処からか、声が聞こえてくる──
鳥司 舵「・・・誰だ!?」
津本 美南「私の名は『津本美南』、 英団のリーダー格・・・ そして、英団内随一の剣士──」
現れたのは、英団を統べる剣士──
『津本美南』だった
海世 永和「・・・本番開始ってところだな・・・ 行けるか?鳥司?」
鳥司 舵「あぁ・・・ 準備万端だ、かかってこい!」
津本 美南「貴方たちの腕前、見せてもらうわ──!」
海世 永和「・・・こっちから行くぞ!」
津本 美南「あらあら、 噂の剣士さまもこの程度かしら・・・?」
永和の攻撃を華麗に避ける美南──
・・・そして
鳥司 舵「とりゃぁッ!」
津本 美南「フフ・・・ 悪いけどその動きは研究済みよ・・・」
鳥司の攻撃すらも受け止めてしまう──
海世 永和「全て受け流してくる・・・か、 面白い、やってやろうじゃねぇか!」
鳥司 舵「どうやら、手加減は要らない様だな・・・」
鳥司 舵「我流格闘奥義『演舞』──!!」
ここぞとばかりに攻撃を重ねるが──
効果無し、と言ったところである──
津本 美南「・・・なかなかやるみたいね・・・ ・・・だけど、まだまだ── ・・・こっちからも行くわよ!」
海世 永和「鳥司、下がってろ!」
鳥司 舵「あぁ、すまん・・・!」
美南の攻撃が空を切る──
そして、その隙を突くかの様に──
海世 永和「・・・かなりの強者だな、 こうなったら・・・」
海世 永和「奥義『尼水』──!」
永和も奥義を放つ──!
津本 美南「くッ・・・ 何のこれしき・・・ッ!」
津本 美南「はぁッ!!」
海世 永和(構えと振り方が変わった・・・!? なら・・・)
攻撃の隙を見切り──
海世 永和「──!隙ありッ!!」
津本 美南「──!?しまった!」
剣身を踏み、
美南の剣を地面に突き刺す──!
鳥司 舵「永和!こっちは準備万端だ!」
海世 永和「あぁ・・・行くぞ! 合体奥義──!!」
〇黒
「『ブラインド・クロス』──!!」
〇山道
津本 美南「フフッ・・・どうやら、 私の方が見誤ってたみたい・・・ね・・・」
鳥司 舵「はぁ、はぁ・・・ さぁ、先に進むぞ・・・!」
海世 永和「あぁ・・・ こっからは別れるからな、無茶するなよ」
鳥司 舵「分かってるよ・・・」
そう言い、鳥司は1人で南西部へと
向かって行った──
海世 永和「・・・ とりあえず、安全な場所まで運ぶか・・・」
そして永和は美南を担ぎ、
1人、木々の中を進んで行った──
〇山の中
同時刻、作業場東側と広場の境界では──
園元 透「そこだッ!」
空乃 快飛「まずい・・・ 完全にペースを握られている・・・」
空乃快飛と園元透が対峙していた──
園元 透「どうした!? 噂の凄腕射撃手ってのは、 噂にしか過ぎなかったか!」
空乃 快飛「くッ・・・ なんとかアイツのペースを乱せれば・・・ ・・・仕方ないか」
快飛が木陰に隠れながら、
トランシーバーを取り出すが──
園元 透「──!そこだ!」
空乃 快飛「なッ・・・!?」
透にトランシーバーを
撃ち抜かれてしまった──!
空乃 快飛「落ち着け・・・ 考えろ、今の状況を打破する方法を・・・」
空乃 快飛「仕方ない── こうなったら・・・!」
そう言うと快飛は木陰から姿を出し──
空乃 快飛「奥義『close』──!」
園元 透「なッ・・・!? う、動けんッ・・・!?」
透に奥義を放つ──!
空乃 快飛「さぁ、そこを通してもらいますよ・・・」
園元 透「くッッ・・・ しょうがねぇ、お前らぁ! やっちまえ!!」
透の声がけに応じ、
周囲から湧き出る様に現れる
英団の団員たち・・・!
空乃 快飛(流石にこの人数差はキツイな・・・ どう切り抜けるか・・・?)
園元 透「さぁ、大人しくしやがれッ! 空乃快飛ッ!」
空乃 快飛(・・・もはや、ここまで・・・かぁ)
快飛が諦めかけたその刹那──
〇黒
???「俺の仲間に・・・」
???「手ぇ出すなぁッッ!!」
「グウッ・・・!?」
・・・暗闇の中、声が聞こえた
──その聞き覚えのある声に、
恐る恐る目を開くと、そこには──
〇山の中
陸尾 航「さて・・・ あとはお前だけだッ!」
陸尾航がそこに立っていた──
園元 透「・・・驚いたな、こんな隠し玉があるとは」
空乃 快飛「わ・・・航さん・・・!?」
陸尾 航「おう! お前の声、しっかり届いたからな!」
快飛の方を向き、ほほ笑みかける航──
陸尾 航「さっ、立てるかい?」
空乃 快飛「え・・・えぇ・・・」
陸尾 航「快飛・・・ コイツの相手は俺がやる、 だから後方援護を頼めるか?」
空乃 快飛「・・・はい!」
園元 透「なにゴチャゴチャ言ってやがる!」
そう言われ、航は透の方を向く──
陸尾 航「・・・てめぇの相手は俺だ! かかってこい!」
園元 透「フッ・・・ だったら二人まとめて倒してやるよ!」
園元 透「・・・そこだ!」
透の射撃を華麗に避ける航──
陸尾 航「悪いが、少し寝てもらうぞ・・・」
園元 透「はッ・・・ 素手で銃持った相手になるかよ・・・ 寝るのはあんたの方だ!」
そう言うと透は懐から、
拳銃をもう一丁取り出し・・・
園元 透「『乱射』──!」
航の方へと撃ちまくる──!!
だが──
陸尾 航「・・・てめぇの計算されていない 弾丸なんて、受けやしねぇよ」
なんと、快飛の援護射撃により、
乱射した弾丸が相殺され、
一歩も動かず、避けきったのである──
そして隙だらけの透に、
航が奥義を放つ──
陸尾 航「喰らいな! 奥義──」
陸尾 航「『甲炎』──!!」
園元 透「くッ・・・不覚・・・ッ」
陸尾 航「ふぅ・・・何とかなったが・・・ どうするか・・・」
空乃 快飛「とりあえず、 安全な場所へこの人を移しましょう・・・」
陸尾 航「・・・そうだな あと、トランシーバー壊れちゃったし、 一緒に行動するとしましょうか!」
空乃 快飛「・・・はい」
そして、陸尾航と空乃快飛も透を担ぎ、
2人で木々の中を進んで行ったのであった
〇小さな小屋
その頃、鳥司舵は──
宮下 花奏「ありがとうございます! 本当に助かりました!」
鳥司 舵「あぁ、なんて事ないさ・・・ さぁ、行こうか」
宮下花奏を発見していた──
すると、鳥司舵はトランシーバーを
取り出し、こう告げた──
鳥司 舵「あ〜あ〜・・・ こちら鳥司──」
〇山道
鳥司 舵「『宮下花奏を発見、コレより港へ向かう為」
〇山の中
鳥司 舵「全員が安全に船に乗れる為の援護を頼む』」
〇小さな小屋
鳥司 舵「『なお、数十分待っても来ない場合は 置いていく為、素早く来るように──』」
鳥司 舵「・・・こんなもんだな」
そう言いながらトランシーバーを戻し、
花奏の手を取る──
鳥司 舵「・・・さぁ、行こうか」
宮下 花奏「・・・はい!」
〇海岸の岩場
その頃、港では──
村田 稔「・・・ 二人ともやられたか・・・」
村田稔が待ち伏せていた──
村田 稔「・・・後ろに居るのは分かってますよ、 海世永和さん」
海世 永和「・・・全部お見通し、って訳か・・・ なぁ、お前の目的は何なんだ?」
村田 稔「・・・目的、ですか・・・?」
村田 稔「ただ『強くなりたい』・・・ そう願って、がむしゃらに動いていたら 皆が集まってきた── ・・・ってところですかね」
海世 永和「・・・そうか、 ・・・最後に一つ聞くが、 お前は仲間をどう思っている?」
村田 稔「『戦力』・・・ですかね?」
海世 永和「なるほどな・・・ それじゃあ、始めるとしようか!」
戦闘態勢に入る2人──
しばらくし、稔が口を開く──
村田 稔「・・・行きますよッ!」
海世 永和「悪いがこっちも本気で行かせてもらう!」
竹刀で攻撃を防ぎ、攻撃態勢に入るが──
海世 永和「はぁッ!」
村田 稔「・・・そこだ!」
海世 永和「・・・ッ!? しまった・・・ッ!?」
攻撃時のわずかな隙を突かれ、
竹刀を蹴り飛ばされてしまった──!
村田 稔「喰らいな! 必殺──」
隙だらけの永和に必殺技を
放とうとする、その刹那──
???「我流格闘奥義『演舞』──」
村田 稔「・・・!!?」
鳥司 舵「避けられたか・・・ さぁ、観念しな!」
鳥司舵が援軍に現れた──
村田 稔「・・・『この手』は 使いたくなかったんだがな・・・ 仕方ないか・・・」
村田 稔「初期特殊身体能力『影武者』──!」
〇黒
『別世界』の人間に存在する
生まれたときからある特殊な力──
パッシブスキル・・・
別名『初期特殊身体能力』──
人によって効果は違うが、
割合は”約一万人に1人”と
とても少なく、コンプレックスを抱く
ケースも少なくない──
〇海岸の岩場
村田 稔「・・・さぁ行くぞ!」
特殊能力により、分身した村田稔──
海世 永和「なッ・・・!?」
村田 稔「はあァッ・・・!」
海世 永和「グッ・・・ッ!」
鳥司 舵「くッ・・・どれが本物だ!?」
村田 稔「・・・隙あり!」
鳥司 舵「なッ・・・!? 離せッ・・・!!」
村田 稔「とりゃぁッッ!!」
鳥司 舵「ぐッ・・・ッ・・・」
村田 稔「はぁッ・・・!!」
鳥司 舵「がはぁッ・・・ッ」
分身の完璧な連携により、永和や舵ですら
成すすべも無く敗れてしまう──
村田 稔「・・・はぁ・・・はぁ やはり”体力を消耗”するな・・・」
そこに一人、向かってくる者がいた──
陸尾 航「・・・やはりここに居たか、村田稔ッ!」
そう、陸尾航である──
村田 稔「・・・あなた一人で、 立ち向かって来る気ですか?」
陸尾 航「・・・目の前で友人がやられてんだ、 黙って居られるかよ!」
空乃 快飛「航さん!花奏さんの事は私に任せて、 全力でやってください!」
港の端っこに居る快飛と花奏──
花奏の安全が確保され、
仲間がやられている、
この2つの状況が
彼のトリガーに指を掛ける
陸尾 航「・・・さぁ」
陸尾 航(怒り状態)「始めようかッ!」
怒り状態に入った航──
稔は特殊能力を使い、攻撃を仕掛けるが
村田 稔「・・・『影武者』ッ──!」
村田 稔「はッ・・・!」
陸尾 航(怒り状態)「・・・まどろっこしいな、 ・・・奥義──」
陸尾 航(怒り状態)「『庭炎』──!」
村田 稔「くッ・・・!? なッ・・・影武者が・・・」
航の奥義により、消えてしまった──
陸尾 航(怒り状態)「さぁ、覚悟しな!」
村田 稔「・・・こうなったら」
稔はポケットからナイフを取り出した──
村田 稔「喰らいやがれッ!」
〇黒
ナイフが振り下げられた刹那──
聞こえるはずのない、
金属の甲高い音が響き渡る──
〇海岸の岩場
村田 稔「なッ・・・!? 義手・・・!?」
その時、航の腕には見えるはずの無い
銀色が腕の一部分のみに見えていた──
陸尾 航(怒り状態)「悪いが俺も、『能力持ち』なんでね・・・」
陸尾 航(怒り状態)「はぁッ・・・!!」
村田 稔「ぐッ・・・・・・」
航の攻撃に一歩引くが──
陸尾 航(怒り状態)「初期特殊身体能力『能力複製』──」
陸尾 航(怒り状態)「『ロック・アーム・ラッシュ』──!」
陸尾 航(怒り状態)「人を煽るのも程々にしとくんだな・・・」
強烈な連撃に吹き飛ばされてしまった──
陸尾 航「ふぅ・・・」
陸尾 航「・・・良い戦いだったぜ、村田 またいつか、戦おう・・・」
〇朝日
こうして、長い戦いは終わり──
航たちは帰路についていた──
──帰りの船の中にて
鳥司 舵「痛てててて・・・ 久々に死にかけたな・・・」
宮下 花奏「あ、あの・・・大丈夫ですか?」
陸尾 航「なぁに、特殊防衛局だといつもの事! だから心配要らんよ!」
鳥司 舵「あのなぁ・・・お前との縁、 そろそろ切りたいんだが・・・」
陸尾 航「自分が腐らせた商品に、 返品交換が適応されるとでも?」
鳥司 舵「はぁ・・・ この調子じゃ、地獄の果てまで来そうだな」
陸尾 航「まぁ、今回の戦いで 自分は完全無欠じゃない、 って知れた訳だし・・・ 結果オーライじゃない?」
鳥司 舵「・・・羨ましいよ、そのポジティブ・・・」
海上を走る船の上、
朝焼けに彼らの話し声と
笑い声が響いた──
〇黒
7章「襲来!軍団からの挑戦状」完!