EP0 『開校』(脚本)
〇教会の中
聖母「どうか神の御加護があらんこと」
シエル「聖母さま、おはよう」
聖母「あらシエルおはよう、どうかしたの?」
シエル「また勇者さまのお話が聞きたい!」
聖母「いいわ」
聖母「そうね・・・今日は10代目勇者シュルズさまが魔王から世界を救った話をしましょう」
シエル「聴かせて聴かせて」
〇荒廃した街
魔王ハデス──人の邪心の化身
ハデスにはまともな知能はなく、
あるのは破壊衝動のみだった。
初代勇者パラディンにより討伐された。
しかし
ハデスは10年単位に復活し、
人々を苦しめ続けた
〇荒廃した街
悪魔「グィヒヒ」
悪魔「ハデス様から授かったこの力、なんとも素晴らしい!!」
悪魔「だ、誰だキサマ!!」
勇者シュルズ「覚えておくがよい!!俺はシュルズ 世界を魔王ハデスから救う者だ!!」
悪魔「チッ──もう新しい勇者が──」
悪魔「忌々しい」
悪魔「テメエもアイツらみたいに四肢をもぎとって、バラバラにして殺してやる!!」
悪魔「死ねぇええ!!」
勇者シュルズ「そんな攻撃効かん!!」
悪魔「な、なにイイイ!?」
勇者シュルズ「今度はこっちの番だ!!」
悪魔「グバァ・・・ゲボゲボ」
悪魔「テメエ剣も抜かずになにをした!!」
勇者シュルズ「俺は剣を抜いた!!お前が俺の斬撃を目で追えなかっただけだ!!」
悪魔「クソオオオオオこんなところで!!」
勇者シュルズ「さらばだ」
〇神殿の広間
時は遡り1週間前
ゼルコヴァ「我々は何十年これを続ければいいんだ・・・」
フランツ国王「ハデスは人間の邪心の化身じゃ」
フランツ国王「人間とは切っても切れない関係なのかもしれん」
ゼルコヴァ「勇者シュルズよ!前に出てこい!!」
勇者シュルズ「ハッ!!」
ゼルコヴァ「勇者シュルズ、そなたに魔王討伐を頼みたい」
勇者シュルズ「ハッ!!仰せのままに!!」
勇者シュルズ「このシュルズ、必ず魔王を仕留めてみせまする」
ゼルコヴァ「頼んだぞ」
フランツ国王「其の活躍、儂は心待ちにする」
こうして勇者は旅に出た
〇闇の要塞
勇者シュルズ「ここが魔王ハデスの本拠地──」
勇者シュルズ「今日で決着をつけてやる!!」
〇闇の闘技場
魔王ハデス「光の・・・波動を感じる──」
勇者シュルズ「お前が魔王ハデスか!!」
魔王ハデス「如何にも、私が魔王ハデスだが?」
勇者シュルズ「同胞の仇取らせてもらう!!」
魔王ハデス「その程度か」
勇者シュルズ「クッ!!」
勇者シュルズ「まだまだァー!!」
勇者シュルズ「ゼェゼェ」
魔王ハデス「そのレベルの攻撃は私にはかすり傷だ」
魔王ハデス「同胞の仇などくだらん!!」
魔王ハデス「死ね」
魔王ハデス(なんだこの力・・・まさか奴の!?)
勇者シュルズ「ウォオオオオ!!」
勇者シュルズ「くらえぇぇぇ!!」
魔王ハデス「グバァッ」
魔王ハデス「ばかな・・・私に何をしたぁー!!」
こうして勇者シュルズによって世界に平和が訪れたのでした・・・
後にこの出来事はおとぎ話として後世に伝えられていくのでした。
〇謁見の間
おとぎ話はまだ終わらない──
魔王ハデス討伐から9年
ゼルコヴァ「まったくもう・・・シュルズはどこに行ったんだ!!」
ゼルコヴァ「ハデスの復活まであと1年もないというのに」
ゼルコヴァ「国王!?どうかされましたか」
フランツ国王「勇者シュルズが失踪したというのは本当か!?」
ゼルコヴァ「えぇ」
ゼルコヴァ「いったいどこに行ったのやら」
フランツ国王「近年、魔物が活発になってきておる」
フランツ国王「ハデスの復活が近いことが原因だと考えておる」
フランツ国王「どうしたものか──」
「大変です!!」
ゼルコヴァ「どうした、そんなに焦って」
兵隊「にわかに信じがたいことなのですが──」
兵隊「勇者シュルズが・・・」
兵隊「死亡しました」
ゼルコヴァ「今なんと言った!!」
ゼルコヴァ「冗談でもそのようなこと言うでないわ!!」
兵隊「で、ですが・・・」
フランツ国王「よせ、こうなることはわかっていた」
フランツ国王「勇者シュルズは自己を犠牲にしてハデスの復活を遅らせたのだろう?」
兵隊「ええ、そう聴いています」
ゼルコヴァ「そんな──」
フランツ国王「ゼルコヴァ──シュルズは9年前あの戦いで右腕が感覚麻痺し、まともに戦えない状況なのだ」
フランツ国王「シュルズからメッセージ、それは──」
フランツ国王「我々に新しい勇者を探せということだ」
ゼルコヴァ「シュルズの犠牲で延びた復活の期間は何年だ」
兵隊「10年です・・・」
フランツ国王「10年──我々はそれまでに次世代の勇者を見つけ鍛えねばならないということか」
ゼルコヴァ「シュルズのためにも立派な者を見つけてやらねば」
フランツ国王「絶対にシュルズの死は無駄にしてはならぬ」
〇西洋の円卓会議
フランツ国王「全員そろったな」
フランツ国王「今日来てもらったのは他でもない・・・」
フランツ国王「我々は魔王ハデスに対抗するために──」
フランツ国王「勇者育成専門学校を作るのだ」
バッカス「学校!?それってどういうことだよ」
ゼルコヴァ「そうです。国王・・・勇者は一人です」
フランツ国王「儂は・・・思うのだ──」
フランツ国王「勇者一人に頼らなくても──」
フランツ国王「みんなで協力して魔王を倒したほうが効率的だと」
ゼルコヴァ「た、たしかに」
バッカス「いや、認められねぇよ!!」
バッカス「勇者なんて、そんな何人も用意できるものじゃねぇ!!選ばれし者しかなることは出来ないんだぞ!!」
フランツ国王「たしかにその通りだ──」
フランツ国王「しかし、考えてみてほしい」
フランツ国王「今まで闘ってきた勇者達は儂らと何が違う」
フランツ国王「勇者に必要なのはたった1つ」
フランツ国王「強い心じゃ」
フランツ国王「強い心を持つものだけが使える力それが」
フランツ国王「”エクスプロサガ”というものなのだ」
ゼルコヴァ「つまり我々は”エクスプロサガ”を扱える者を増やさねばならないということか」
ゼルコヴァ「やってみる価値はありますね」
フランツ国王「初代校長をゼルコヴァ、君に任せたい」
ゼルコヴァ「かしこまりました」
フランツ国王「バッカスは教員係を──」
バッカス「俺はそんなことやらねぇぞ!!」
ゼルコヴァ「バッカス・・・いい加減諦めろ」
バッカス「シュルズは自己を犠牲にしてでも ハデスを止めようとしたんだぞ!!」
バッカス「こんなんでいいのかよ──」
フランツ国王「バッカス、これが一番効率的なのだ」
フランツ国王「勇者シュルズのことを考えるのなら」
フランツ国王「バッカス、こうするべきだと思うが」
バッカス「わかったよ!!俺がやるよ!!」
〇王宮の入口
それから100年後
国立勇者育成専門学校 NHNS
キーンコーンカーンコーン
〇学生の一人部屋
アグニ「────」
アグニ「やばい遅刻だ!!」
〇山の中
アグニ「やばい急げ!!」
今日も勇者の卵が──
魔王討伐のために励んでいる(?)のでした。
エクスプロサガ
EP1『開校』