バッドエンドレディ~悪役令嬢がデスループから抜け出す方法~

桜海(おうみ)とあ

S2 #16話 #41 脚本38話 (脚本)

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〇黒
「何をしているの!!!??」

〇イルミネーションのある通り
スタンスラス・ブラン・エレオノール「ひと月ほど前に、聖女派の異端教徒がリアリナを狙っているという噂が、私の耳に入ったのだ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「いったい誰が指導者なのか」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「ずっと探っていたのだ。 そして、この度捕まえることができた」
リアリナ・シャルルド・グレイ「それが大司教ね」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「聖職者が国を揺るがすなど信じがたかったが、目にしてしまったからには信じる他あるまい」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「脅威が過ぎ去るまでの間、リアリナを守るために、婚約破棄をするつもりであった」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「そうすれば、聖女派が、リアリナを狙う理由も無くなるからな」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そうだったのね。 私てっきり、スタンと聖女が一緒になりたいのかと思っていたわ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「な! 私とミレーユは友人である!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「でも何かにつけてミレーユに会いに行ってたじゃない!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「それは、リアリナを助けるために、色々対策を練っていたのだ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「この計画には、聖女の力も必要だった」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「ミレーユにも、神殿の動向に目を向けてもらい、影で動いてもらっていたのだ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「公には話せぬ内容であったから、仕方がなくミレーユの自宅を会議室がわりに使っていた」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「誤解があったのなら、謝罪しよう」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ミレーユも私のために動いてくれていたのね」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「彼女は其方のために役に立ちたいと自ら手を挙げてくれた」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「素晴らしい女性であるし、良き友人だと思っている」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「だが、生涯をかけて共に過ごしたい相手はミレーユではない」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リアリナ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「スタン・・・」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「私の妻となり、この国を共に支えてほしい」

〇空

〇イルミネーションのある通り
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「私ね。スタンとミレーユをずっと勘違いして」
リアリナ・シャルルド・グレイ「嫉妬ばかりしてきた」
リアリナ・シャルルド・グレイ「人を妬んでばかりの自分が、すごく嫌だったわ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「でも今、スタンの気持ちを聞いて嬉しいと思ってる」
リアリナ・シャルルド・グレイ「でも・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「私は、私がいる場所は」
リアリナ・シャルルド・グレイ「スタンの隣じゃないみたい」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「そうか」
リアリナ・シャルルド・グレイ「それに私は、リュカの罪を償わなくてはいけない」
リアリナ・シャルルド・グレイ「この事件の責任を負わなくちゃ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「だからこの国を出るわ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リュカ殿の件は、リアリナが償うべきことではない」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「それは王も納得してくれていただろう?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「それでも国民はどう思うかしら?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あなたには、汚点の一雫すらついて欲しくない」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「汚点など!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「スタンには国民に愛される王様になって欲しいの。あなたの理想とする王様に」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リアリナ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「この世界を・・・。この国を変えるのはあなたよ。スタン」
リアリナ・シャルルド・グレイ「すべての国民が笑顔になれる。 そんな国を作って」

〇空
  1年後────

〇外国の田舎町

〇鍛冶屋
鍛冶屋のおじさん「いらっしゃー。 ああ、リアリナちゃんかい!」
鍛冶屋のおじさん「今日はなんだい?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「この剣を磨いてほしいのと、あと」
リアリナ・シャルルド・グレイ「一本新しい剣を仕上げてほしいのだけれど」
鍛冶屋のおじさん「お安いごようだ!」
鍛冶屋のおじさん「どれ、お嬢ちゃんの身長だと・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ああ、新しい剣はテオの分なの」
鍛冶屋のおじさん「ああ、よく一緒にいる兄ちゃんか」
鍛冶屋のおじさん「じゃあ、長剣ならこの辺りがいい」
鍛冶屋のおじさん「これは聖女様の念が込められた鉱物で作った逸品だ」
鍛冶屋のおじさん「噂によるとデビルハンターの剣と同じように」
鍛冶屋のおじさん「悪魔の呪いを吸い取る力を宿すらしい」
鍛冶屋のおじさん「目が肥えている兄ちゃんにぴったりだ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「じゃあ、それにしようかしら」
鍛冶屋のおじさん「刀身に何を彫る?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「彫るって?」
鍛冶屋のおじさん「好きな男に伝える、愛のメッセージのようなもんだ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「す、好きって」
鍛冶屋のおじさん「堅苦しいもんじゃねえ。 所謂、”願掛け” みてえなもんだ」
鍛冶屋のおじさん「隣国との戦争があった時代には、夫が無事に帰国することを願って」
鍛冶屋のおじさん「妻の想いを刀身に刻むというのが、流行ったもんさ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そうなのね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「でも私たち結婚しているわけじゃないの」
鍛冶屋のおじさん「まあ、そのうちそうなるんだろ?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・!」
鍛冶屋のおじさん「さあ、なんて彫る?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そうね・・・」

〇外国の田舎町

〇鍛冶屋
鍛冶屋のおじさん「じゃあ、これがお釣りだ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そういえば、どうして騎士たちは剣のことを、”ツルギ”と呼ぶのかしら」
鍛冶屋のおじさん「戦時中、教皇様がおっしゃられたんだ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「教皇が?」
鍛冶屋のおじさん「当時の兵士たちは、道具を大事にしない奴らが多くてな」
鍛冶屋のおじさん「見かねた教皇様が、剣には魂が宿っていると」
鍛冶屋のおじさん「だから剣も生き物と同じよう名付けようと、おっしゃられたのが始まりさ」
鍛冶屋のおじさん「そこで騎士の使う剣は、”ツルギ”と呼ばれるようになったのさ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「剣って、騎士たちの命を守る相棒のような存在だものね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「名前をつけたら愛着湧くわよね」
鍛冶屋のおじさん「言葉は時に強い威力を持つからな。刃に文字を刻むっていうのも、そういう理由ってわけだ」
鍛冶屋のおじさん「一番威力があるのは、お嬢ちゃんから直接、本人に伝えてやることだがな」
リアリナ・シャルルド・グレイ「うっ! ど、努力するわ」
鍛冶屋のおじさん「はっはっは! 俺たちも毎回、魂を込めて打ってんだ」
鍛冶屋のおじさん「だから、この子も大事にしてやってくれよ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「任せて!」

〇草原の道

〇西洋風の部屋
テオフィル・ベフトン「リアリナ様! おかえりなさいませ!」
テオフィル・ベフトン「今日は、湖で魚を釣ってきたので、魚料理です」
リアリナ・シャルルド・グレイ「まあ大量ね!」
テオフィル・ベフトン「村の人にもお裾分けしたのですが、」
テオフィル・ベフトン「食べ切れますかね?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「テオの料理はどれも美味しいから、毎日魚でも平気よ!」
テオフィル・ベフトン「よかった」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あ、夕食の前に、着替えてくるわね」
テオフィル・ベフトン「はい。承知しました」

〇西洋風のバスルーム
  あの忌まわしい事件から1年が経った。
  私は
  王都から離れた町で、
  新しい人生を送っている
  もう脅威は無い
  念願のスローライフも満喫できてる
  でも・・・
  ループの呪いは消えていないはず・・・
  このまま、テオとスローライフを送っていいの?

〇西洋風の部屋
リアリナ・シャルルド・グレイ「ご馳走様。今日もおいしかったわ」
テオフィル・ベフトン「それは何よりです!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「これをテオにあげるわ」
テオフィル・ベフトン「なんでございましょう?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「本当は早くにお祝いしたかったのだけれど」
リアリナ・シャルルド・グレイ「遅くなってしまってごめんなさい」
リアリナ・シャルルド・グレイ「テオ、誕生日おめでとう」
テオフィル・ベフトン「リアリナ様・・・」
テオフィル・ベフトン「とても美しいですね」
テオフィル・ベフトン「刀身に何か文字が・・・」
テオフィル・ベフトン「【あなたに幸せな明日が訪れますように】」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ええ。テオには幸せになって欲しいから」
テオフィル・ベフトン「それは光栄ですが、 どうしてこの言葉を私に?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「この村での生活も慣れてきたことだし、自給自足もできるようになったから」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そろそろテオの任を解こうと思ったの」
リアリナ・シャルルド・グレイ「もう、私が死ぬ危険もなさそうなのに、いつまでもテオを独り占めするなんて」
リアリナ・シャルルド・グレイ「贅沢すぎるでしょう?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「だから、テオは、もうグレイ家の従者ではありません」
リアリナ・シャルルド・グレイ「もう自由に生きていいわ」
テオフィル・ベフトン「・・・」
テオフィル・ベフトン「今、この瞬間から、あなたの従者であることを辞めます」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ええ。今までご苦労様。 テオフィル・べフトン卿」
  これで、よかったのよね
  テオにはテオの人生があるんだもの
  それに
  これ以上一緒にいたら、
  もしまたループした時、
  きっと苦しくなってしまう
  ここが潮時ってやつよね
テオフィル・ベフトン「話さなければならないことがございます」
テオフィル・ベフトン「あなたの身体に刻まれた呪いのことです」

〇黒
  ──

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