S 2#14話#39 (脚本)
〇黒
〇荒廃した市街地
アインス「約束通りミゲルを連れてこの国を出る」
アインス「ミゲルを渡せ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「待って! リュカは、大司教に操られていたの! だから奴らをやっつけるのを手伝ってよ!」
アインス「それはできない」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そんな・・・冷たいわ!」
アインス「俺たちにも守らねばならないものがある」
アインス「城に侵入したからには、我々も裁かれる立場にある」
アインス「ミゲルと共に一刻も早く国を出たいのだ。 わかってほしい」
リアリナ・シャルルド・グレイ「わかったわ。ミゲルを連れてくる」
〇海辺
ミゲル「パパ!! お父さん!」
「ミゲルー!!」
ミゲル「おねえさん、ありがとう!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「この先の船着場で、早朝から船を出す男がいるから、」
リアリナ・シャルルド・グレイ「その男に金を渡せば、船を出してくれるわ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「もしできたら、そいつを海の中に捨ててくれたら最高なんだけど」
〇漁船の上
〇海辺
アインス「わかった。その通りにしよう」
リアリナ・シャルルド・グレイ「じゃあここでお別れね。 なんだか、最後は名残惜しいわ」
アインス「そういえば・・・」
アインス「これはあくまでも予想でしかないが」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・・?」
アインス「悪魔の果実を産む大樹は、 熟すると、」
アインス「月に100個の実をつける」
リアリナ・シャルルド・グレイ「100個も?」
アインス「その割にこの国にいる悪魔の数は少なかった」
リアリナ・シャルルド・グレイ「聖水で抑えていたから・・・?」
アインス「聖水も限度がある。 半月もすれば人は皆、悪魔に変わる」
アインス「お前の弟は、例外だと思った方がいい」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そうなのね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「じゃあ、悪魔に変わった人はどうしているのかしら?」
アインス「デビルハンターに殺されていないのなら、どこかにいるはずだ」
アインス「もしかしたら、 意図して集められている可能性もある」
リアリナ・シャルルド・グレイ「誰かが悪魔を集めているってこと?」
アインス「あくまでも予想だがな」
アインス「たった一人でもこれだけ手こずったんだ」
アインス「束になって襲ってきたら、この国ごと傾いてもおかしくない」
リアリナ・シャルルド・グレイ(国ごと・・・)
リアリナ・シャルルド・グレイ(いったい大司教は何を企んでいるの?)
〇海辺
ミゲル「バイバイー! お姉ちゃんたち!」
〇海辺
リアリナ・シャルルド・グレイ「この国はどうなっていくのかしら」
テオフィル・ベフトン「私は、これ以上リュカ様のような人を出したくありません」
テオフィル・ベフトン「もう誰も奪われたくありません」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あなたが悪魔になったら必ず言うのよ」
テオフィル・ベフトン「その時は、リアリナ様に息の根を止めていただきましょう」
リアリナ・シャルルド・グレイ「やだ。そういう意味で言ったんじゃないわ」
テオフィル・ベフトン「ははっ。申し訳ありません。 でも、もしその時が来たら」
テオフィル・ベフトン「きちんとお話しますから。 ご安心ください」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・うん。わかってるわ」
テオフィル・ベフトン「リアリナ様、夜明けです」
〇朝日
「ええ・・・」
「綺麗ね」
〇巨大な城門
「ヒソヒソ・・・」
「私たちは・・・」
「このままでは」
「・・大司教様がおっしゃったのだから」
「・・・神のお導きです」
〇教会
〇教会の控室
パウデマル大司教「かつてどうやってこの国がたった5年の戦争で帝国を倒し、のしあがったのか知っているかね」
新米司祭「帝国の圧倒的な武力でしょうか」
パウデマル大司教「いいや。この国はとても弱かったのだ」
パウデマル大司教「この国の選りすぐられた魔法使いが集まり殺人兵器を作り上げた」
新米司祭「殺人兵器ですか? 一体どんな兵器なのです?」
パウデマル大司教「フルッティ・デ・ディアボロ。 七変化する魔法の食べ物」
パウデマル大司教「だが食べれば誰もが悪魔と化す」
新米司祭「それを敵地へと贈って、食べさせたのですね」
パウデマル大司教「正確には悪魔の果実そのものを送ったのではない」
パウデマル大司教「贈り物として美しい女たちを送ったのだ」
パウデマル大司教「悪魔を宿した女たちを、城の中へと潜り込ませた」
新米司祭「女性?」
パウデマル大司教「悪魔は見た目ではわからない」
パウデマル大司教「特に可憐で美しい蕾は、人を惑わせる」
パウデマル大司教「・・・」
パウデマル大司教「そろそろ、花開く時だ」
パウデマル大司教「この国の天地がひっくり返り、そして頂点に立つのは、このわたしだ」
パウデマル大司教「はははは」
〇巨大な城門
王宮騎士団・門兵「待て! その馬車、検問をする」
〇荷馬車の中
女性司祭2「!!」
王宮騎士団兵1「う! 美しい!!」
〇巨大な城門
司祭1「我は大神殿の司祭である」
司祭1「この度は王妃生誕祭のために宴の舞を披露するため清き乙女を連れて参った」
王宮騎士団・門兵「な。なるほど。手形を見せよ」
司祭1「こちらである」
王宮騎士団・門兵「・・・ふむ。承知した」
ミレーユ「あら、司教さんですか?」
司祭1「せ、聖女様! どうしてこちらに」
ミレーユ「友人に誘われて前夜祭にお呼ばれしていたのです」
ミレーユ「よろしければ、私がご案内いたします」
王宮騎士団・門兵「は!かしこまりました!」
ミレーユ「さあ、神殿よりいらした踊り子の皆様。 一緒に王宮へと参りましょう」
〇黒
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