光の街と

碧海 山葵

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〇渋谷のスクランブル交差点
伊織「(・・・)」

〇渋谷のスクランブル交差点
「はははは!!!」
「おお!久しぶりじゃん!」

〇渋谷のスクランブル交差点
伊織「(落ち着く)」
伊織「(ひとりじゃないのに  ひとりだ。)」

〇ハチ公前
街の人1「綺麗だね〜!」
街の人1「名前なんて言うの!? 俺、翔!」
伊織「(・・・)」
街の人1「ねえねえ〜〜 無視はひどいよぉ〜」
伊織「(・・・)」
街の人1「え。 え、なんで泣いちゃうの・・・」

〇ハチ公前
街の人1「え、 なんなのほんと。 怖すぎ」
街の人1「と、とりあえず すまん」
伊織「(ひとりになりたいのに  なんで話しかけてくるのよ・・・。)」
伊織「(今日はもう帰ろう・・・。)」

〇オフィスのフロア
「はい! 申し訳ございません! すぐ修正いたします!」
「はい! こちらこそ! どうぞよろしくお願いいたします!」
「はい。 では、この時間で打ち合わせをセットさせていただきます! よろしくお願い致します」
伊織「(毎日毎日、おんなじことばっかり。)」
上司「おい! これ、アポ取れてないぞ!!」
伊織「これは松本さんの担当ではないですか?」
松本さん「え〜〜違いますよ!! やっといてくれるって 言ったじゃないですか!」
松本さん「わたしばたばたしちゃってるから〜」
上司「自分で引き受けたなら 最後までやりなさい」
上司「ほんと、 どうなってんだか」
伊織「はい」
伊織「すみません・・・」
伊織「(ひとりになりたい・・・。)」

〇オフィスのフロア
「おわりおわり!!」
「のみいこ〜〜」
「松本さん、いける〜?」
「もちろんです!! いきましょいきましょ!!」
  ガタガタ・・・
  
  バタバタ
  バタン・・・

〇オフィスのフロア
伊織「(・・・。  はあ、やっと終わった・・・。)」
伊織「(今頃わいわいしてるのかしらね)」

〇渋谷のスクランブル交差点
伊織「(・・・・・・。  やっぱり落ち着く。)」

〇モヤイ像
伊織「(ふぅ。)」
伊織「(こっちの方がいいのかもしれないわね)」

〇モヤイ像
街の人2「あ、あの」
伊織「(・・・。  ここもだめなのか・・・。)」
街の人2「この間、見てたんだ」
街の人2「話しかけられて困ってたでしょ・・・」
街の人2「あ、今の僕も おんなじことをしてるのか・・・ ごめん・・・」
伊織「(・・・・・・。)」
街の人2「ただ、なんか・・・。 あなたと僕は 同じなのかなって思って・・・」
街の人2「ひとりに、 ひとりになりたいんだよね・・・?」
伊織「え」

〇モヤイ像
伊織「(どうしてわかったのかしら・・・。)」
街の人2「なんとなく似てるんだ」
街の人2「夜に、スーツで。 酔っ払ってもなさそうなのに、 1人で・・・」
街の人2「会社で嫌なこと、 あったり・・・ したのかなって・・・」
街の人2「僕は 嫌なこととか悲しいことがあると 来ちゃうんだ」
街の人2「ひとりになりたいんだけど・・・」
街の人2「やっぱり寂しくて・・・」
街の人2「ひとりなのに ひとりじゃない」
街の人2「そんな気持ちになれる ここが好きなんだ・・・」
伊織「(すごい・・・。)」

〇モヤイ像
街の人2「今日は・・・ いきなり話しかけちゃったから・・・ 怖がらせちゃったかもしれない・・・。 ごめん」
街の人2「でも、 人と話すと すっきりすることも あると思うんだ・・・」
街の人2「特に・・・ 僕ら少し似てるみたいだし・・・」
伊織「(・・・。)」
街の人2「・・・ だからまた見かけたら 話しかけてもいいかな・・・」
街の人2「もし、よかったら・・・ なんだけど」
伊織「(ちいさく頷く)」

コメント

  • 自分に無関心な雑踏にいると落ち着く感じ、わかります。
    その中で芽生えた出会いもよさそうですね!
    気持ちがわかる人との出会いは貴重です。

  • 大都会にいるのは寂しいような寂しくないような、色々な自分の気持ちが混じってだにが本当の気持ちかわからなくなりますよね。いい出会いがあってよかったです。

  • 一人になりたいなら渋谷には行くんじゃないよ、と思ったけど、彼女は一人ぽっちになるんじゃなくて、一人で居たいんだ。人間が嫌いではないんだ。

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