第参拾話 風雷相克(脚本)
〇古めかしい和室
月添咲与「あの女、あの女、あの女、あの女、あの女・・・っっっ!!!!!!」
咲与はこの上ない屈辱に身を震わせていた。
月添咲与「私が、この私が、」
恐怖した。
あの女性の一言で。
〇電器街
佐伯美鈴「一人で狩りもできぬ雛鳥風情が、粋がるな」
〇古めかしい和室
月添咲与「亜左季!!」
月添亜左季「は、はい!!」
橘一哉。
月添咲与「アイツは、絶対に、殺す」
いや、一哉だけではない。
月添咲与「龍使いは、全て、」
この月添咲与が。
月添咲与「潰す」
〇古びた神社
月添咲与「・・・はぁ」
咲与は八十矛神社を訪れていた。
どういうわけか分からないが、ここに自然と足が向かう時がある。
今日もそうだった。
母の灯花からは、この社にはみだりに近付かないように言われている。
それでも、足が自然と向かう時があるのだ。
月添咲与「あの女、美鈴とかいったな・・・」
互いに自己紹介する暇も無かった。
偶然近くにいた赤の他人という話になっていたのだから当然か。
幼い頃から鍛錬を重ね、一族秘伝の秘術を除く全てのわざを修めた。
師であり一族の党首である母をして『もう咲与に教えることはない』と言わしめ、自他共に迦楼羅使い歴代最強と呼び声も高い。
そんな咲与に、
月添咲与「私を雛鳥だと・・・?」
黒龍使いの橘一哉にも、一定時間刀を抜き打たせなかった。
そんな自分を半人前呼ばわりとは。
月添咲与「一体何様の、」
言いかけて、
月添咲与「・・・?」
ある違和感に気付いた。
月添咲与「あの女、何故私を雛鳥と呼んだ・・・?」
半人前の未熟者を例える呼び方は、幾つかある。
その中でも、美鈴は『雛鳥』という表現をした。
その上、亜左季と二人がかりで一哉を襲撃した事も把握していた。
月添咲与「!!」
咲与は、ある結論に至った。
月添咲与「結界を破ったのは、アイツか!!」
「あら、いらっしゃい」
女性の声がした。
〇教室
橘一哉「あー、ひどい目に遭った」
姫野晃大「今度は何があったんだよ」
どうせ碌でもない事に巻き込まれたのであろう事は容易に想像がつく。
そして、何やかんやでそれを切り抜けたのだろうというのも分かる。
でなければ、今ここでヘラヘラしていない。
橘一哉「いや聞いて下さいよコウちゃん」
姫野晃大「おう」
橘一哉「生きの良い二羽の鳥に襲われましてな」
姫野晃大「トリ?」
何かの例えか、はたまた直喩か。
橘一哉「殺されかけましたわい」
姫野晃大(あぁ、)
晃大は悟った。
一哉が襲われたのは生物の鳥類ではない。
姫野晃大(魔族に襲われたのか)
鳥系の力を持つ魔族に襲われたのだ。
最近、晃大も一哉の言葉遣いに慣れてきた。
龍使いや魔族の話は大っぴらにはできない。
単なる中二病とか、ゲームなどの想像上の話だと思われればマシな方である。
単なる『イタイ奴』『オタク系』のレッテルを貼られるだけで済む。
それだけでも人によってはキツいが、直接命に関わるような害は無い。
レッテルを貼られても、払拭のしようは幾らでもある。
問題は、近くに敵が潜んでいる場合だ。
自分達の存在を知られてしまえば、狙われる危険性が増す。
魔族と魔族以外の区別は非常に難しく、実質不可能だ。
一哉は『におい』で分かるらしいが、それほど鋭敏なわけでもない。
自分達の存在を知らしめるような可能性のある行動は極力避けたい。
しかし、仲間内での情報交換はしておきたい。
その結果として、今の一哉の言葉遣いがある。
姫野晃大「どんな風にやられたんだよ」
橘一哉「挟み撃ちでしつこくやられた」
姫野晃大「大変だったな」
橘一哉「まあね」
でも、と一哉は前置きし、
橘一哉「偶々美鈴姉が通りがかってさ、助けてくれた」
姫野晃大「美鈴さんが?」
橘一哉「そう」
一哉は頷く。
姫野晃大「あのフワフワパワーか」
橘一哉「アレは中々勝てないよ」
美鈴の穏やかでおっとりした言動を前にすると、誰もが牙を抜かれてしまうだろう。
橘一哉「そんな訳だからさ、」
一哉は周りを見渡し、
橘一哉「みんなも気を付けた方がいいよ」
梶間頼子「そうだね」
「・・・」
黙って話を聞いていた五人にも注意を促した。
〇古びた神社
月添咲与「お前は・・・!!」
現れた人物に咲与は驚いた。
佐伯美鈴「あら、あの時のお嬢さん」
巫女装束に身を包んでいるが、その顔は忘れたくても忘れられない。
見間違えようはずもない。
先日唐突に現れて橘一哉を連れ去った、美鈴という女性だった。
佐伯美鈴「あなた、学生じゃないの?」
佐伯美鈴「学校の方は大丈夫?」
月添咲与「余計なお世話だ」
美鈴を睨みつける咲与。
彼女と馴れ合うつもりはない。
あの屈辱が蘇る。
月添咲与「何故お前がここにいる?」
佐伯美鈴「なぜって、私が管理人だからよ」
月添咲与「管理人・・・?」
宮司や神主ではないのか。
佐伯美鈴「今日は参拝に来てくれたの?それともお祓いかしら?」
月添咲与「違う」
咲与は即答した。
月添咲与「何となく、来ただけよ」
佐伯美鈴「そうなの」
佐伯美鈴「なら、カズくんとも何かの縁があるかもね」
楽しそうな顔をする美鈴。
月添咲与「何故アイツの名前が出る?」
佐伯美鈴「それは、秘密」
月添咲与「・・・・・・」
月添咲与「お前、何者だ」
咲与は問うた。
彼女と話していると、どうにも調子が狂う。
佐伯美鈴「私の名前は佐伯美鈴」
佐伯美鈴「見ての通り、巫女さんです♪」
声を弾ませ、ちょっとしたポーズまで決めてみせる美鈴だったが、
月添咲与「違う!!」
咲与は一喝した。
月添咲与「あの時結界を破ったのは、お前だろう!」
状況的に、彼女しか有り得ない。
咲与と亜左季は一哉との戦いに集中していた。
一哉もまた、月添姉弟との戦いに全神経を傾けていた。
結界を解除する、或いは破る余裕などない。
そもそも、結界を解除したり破ったりする理由が無い。
だとすれば、残る可能性はただ一つ。
結界の崩壊と同時に都合よく現れた美鈴。
彼女以外には、有り得ない。
佐伯美鈴「・・・はぁ」
美鈴は大きくため息をつき、
佐伯美鈴「ピーピー五月蝿いよ、ヒヨッコが」
月添咲与「!!」
佐伯美鈴「同じ仏門天部の誼で見逃してやったのに」
月添咲与「なっ・・・!!」
音もなく咲与の間近まで美鈴が接近していた。
咲与は全く気付かず、一切反応できなかった。
佐伯美鈴「その生き肝を喰らい尽くしてやろうか」
更に、美鈴の片手が咲与の脇腹にピタリと当てられている。
美鈴の五指が、咲与の脇腹の筋肉の隙間に食い込む。
月添咲与「お前は、一体・・・!?」
何者なのだ、この女性は。
佐伯美鈴「・・・と、言いたい所だが、ここは神域ゆえ血の穢れは御法度」
スッ、と美鈴の手が咲与の脇腹から離れる。
佐伯美鈴「気が済んだらとっとと失せなさい」
佐伯美鈴「これで分からなければ、貴方は本当に青二才のヒヨッコよ」
美鈴の髪色が元に戻り、恐ろしい雰囲気も消え去った。
佐伯美鈴「そんな喧嘩腰では、神獣使いとしては二流以下」
佐伯美鈴「ゆっくり頭を冷やしていくことね」
またね、と言い残して美鈴は去っていった。
月添咲与「・・・」
〇道場
橘一哉「・・・とまあ、そんな事があって」
部活が始まる前の時間。
由希にも昨日の一件を話した。
草薙由希「へえ・・・」
橘一哉「いやもう、ダメかと思った」
月添姉弟の戦いぶりを事細かに話した一哉だったが、
草薙由希「で、その後は美鈴さんとデートしたわけね?」
橘一哉「え、そこツッコムの!?」
大事な所は華麗にスルーされて美鈴の話に食い付いてきた。
草薙由希「当たり前でしょ」
由希からすれば、敵の様子は大して重要ではない。
どんなに緻密に作戦を構築しても、いざ実戦となれば思い通りに進む訳ではない。
一哉と対峙した時に見せたものが敵の全てというわけではないだろう。
先日対峙した鳥系の能力を持つ魔族とほぼ同類、という情報さえあれば充分だ。
それよりも遥かに大事なのは、
草薙由希「変なことしてないでしょうね?」
この従弟が、年上の女性に誑かされていないか、という事。
橘一哉「してない、誓ってしてないから」
草薙由希「なら宜しい」
辰宮綾子「由希、うちの後輩をあんまり虐めるなよ」
そこへ綾子がやって来た。
草薙由希「大丈夫、軽くイジってるだけだから」
辰宮綾子「あんまり信用できないなぁ」
由希と綾子の付き合いも長い。
玲奈と一哉も含めた四人は、幼い頃から実の兄弟姉妹のように育った。
綾子に妹の玲奈がいるのが羨ましかったのだろう、一人っ子の由希は一哉を捕まえると中々解放しようとしない。
手を変え品を変え、様々な言動で一哉を束縛し続ける。
草薙由希「弟にこれくらい普通でしょ」
辰宮綾子「そうだな、じゃあ弟は私が貰ってくぞ」
橘一哉「ちょ!?」
綾子は一哉の左手を掴み、引っ張った。
辰宮綾子「型の練習に付き合え」
橘一哉「へーい・・・」
そのまま一哉は綾子に連行されていった。
草薙由希「いいなあ、美鈴さん・・・」
剣道部と薙刀部。
従姉と従弟。
近くて遠い、一哉との距離。
由希は小さくため息をついた。
〇街中の道路
月添咲与「本当に、何なんだ、あの女は・・・」
佐伯美鈴。
見た目は二十代前半の女性。
だが、触れられた時に感じた力は人間のそれではなかった。
魂を喰らい尽くされるような感覚。
体にも、心にも、芯から凍りつくような恐怖が未だに残っている。
彼女の持つ強さと恐ろしさ、そして、自身が恐怖してしまったという事実。
何れも認めざるを得ない。
人ならざる力を、彼女は持っている。
それも、並外れた力を。
月添咲与「・・・?」
微かな『力』を感じた咲与は足を留めた。
月添咲与(これは・・・)
知っている。
先日接したことのある『力』。
〇電器街
〇街中の道路
橘一哉。
黒龍使いの彼が放っていたのとよく似た『力』だ。
力の源を探るため、感覚を研ぎ澄ます。
ゆっくりと辺りを見渡していたが、
月添咲与「!!」
月添咲与「・・・あいつか」
見つけた。
〇街中の道路
梶間頼子「〜♪」
梶間頼子「稲妻編み網〜♪」
鼻歌を口ずさむ頼子。
両手の内には小ぶりな金剛杵。
それを胸の前で動かし、何かを編むような動きを繰り返している。
目線は手元ではなく前を向き、手遊びよりも歩く方が優先だ。
「おい、そこのお前」
他校との生徒と思しき少女が頼子の行く手を遮った。
梶間頼子「どちら様?」
頼子は手遊びをやめて立ち止まり、目の前の相手を見た。
金剛杵も自然な動きで袖の内に隠し、怪しまれないようにする。
年の頃は頼子と同じくらい、背丈は頼子よりも少し高いだろうか。
月添咲与「私は迦楼羅使いの月添咲与」
少女は名乗った。
梶間頼子「迦楼羅・・・?」
仏教でそんな名前の神様がいたような気がする。
確か、起源はインドの神話だったような。
梶間頼子「で、その迦楼羅が何の用?」
月添咲与「おまえ、龍使いだな」
梶間頼子「・・・」
頼子は答えない。
余計な一言が災いを招く。
この少女、名乗りを信じるならば神獣使いだろう。
だが、まだ此方の正体を明かすには疑念を払拭しきれない。
何よりも、その好戦的な言葉遣いが気にかかる。
頼子が黙っていると、咲与は言葉を続けた。
月添咲与「黒龍使いの橘の仲間だというのは分かってる」
一哉の名前まで出してきた。
となると、間違いない。
彼女は。
梶間頼子「だとしたら、何?」
頼子の問いに、
月添咲与「潰す!!」
咲与は言葉と行動で同時に答えた。
〇電器街
月添亜左季「姉さん、一人で何処に行ったんだろう・・・」
月添亜左季は姉の咲与を追いかけて街中を彷徨っていた。
剛毅果断、果断即決、思い立ったら即行動。
咲与は行動が早い。
だが、今回はいつもと違う。
月添亜左季「一人でなんて・・・」
どんな時でも、亜左季を置いていくことなど無かった。
なのに、
月添亜左季「かなり頭に血が昇ってるよ・・・」
気が付いたら、咲与は姿を消していた。
自分の後をちゃんと追って来られるような細工も見当たらない。
そして気が付けば、
月添亜左季「・・・どうしよう・・・」
亜左季は道に迷っていた。
〇街中の道路
月添咲与「くたばれ!!」
梶間頼子「やだよ!!」
風と雷がぶつかり合う。
梶間頼子「あんたがカズの言ってた鳥の片割れだ、ってのは分かった」
梶間頼子「ホント、好戦的だね」
月添咲与「うるさい!」
再び咲与は飛びかかる。
梶間頼子(こいつ・・・!!)
速い。
そして、強い。
二歩以上の距離を一足飛びに詰めてくる。
身体のバネが発達している。
梶間頼子「っっっ・・・!!」
その一撃も、重く、鋭い。
月添咲与「そんな暗器程度で私の攻撃は防げないぞ!」
頼子の金剛杵に当たっても、怯む様子もない。
梶間頼子(丈夫過ぎでしょ・・・!)
同じ人間とは思えない。
この身体の丈夫さは、魔族に片足を突っ込んでいる。
(頼子)
紫龍が頼子に語りかけてきた。
(相手が神獣使いならば遠慮は無用だ)
(呪文を使え)
梶間頼子「・・・分かった」
頼子は金剛杵を構える。
先端が五つに割れた。
五鈷の間に雷が走り、
梶間頼子「────────!!」
呪文を唱えた。
呪文は雷鳴に掻き消され、無数の稲妻が迸る。
だが、
梶間頼子「避けた!?」
咲与は上に跳んで雷を避けた。
高く、高く。
家の軒よりも高く跳んだ。
梶間頼子(この身体能力、もしかして)
頼子の脳裏に、一つの可能性が導き出される。
月添咲与(雷帝真言だと!?)
一方、咲与も驚きを隠せなかった。
雷鳴にかき消された頼子の言葉。
しかし、その時の唇の動きを咲与の双眸ははっきりと捉えていた。
咲与の知識が間違っていなければ、頼子が唱えたのは雷電を操る呪文の中でも最高級のもの。
『言魂』という概念がある。
言葉には霊力がある、という考え方である。
言葉、広く言えば音声とは、振動である。
振動とは即ちエネルギーである。
音声、言語には須らく力が宿っている、というのは正しい。
音声に乗る力『言魂』には二種類がある。
一つは、音声そのもののエネルギー。
もう一つは、言葉を発した者の思念。
真言とは、音声そのものの力である。
しかも、頼子が発した真言は、音声に変換されることなく直接エネルギーへと変換された。
月添咲与(これが、龍の力・・・!!)
改めて、龍の力の強さというものを感じた咲与だったが、
月添咲与「神獣功・迦楼羅の型!!」
神気を全身に漲らせる。
梶間頼子(神気発勝!?)
月添咲与「鳥王!!」
梶間頼子(鳥!)
咲与の纏う神気が鳥の形を成す。
月添咲与「捉爪!」
急降下。
梶間頼子「!!」
間に合わない。
慌てて頼子は腕を上げ、防御の態勢をとる。
蹴りが頼子の金剛杵にぶつかる。
月添咲与「!!」
金剛杵から雷が走る。
雷の衝撃に咲与の顔が一瞬歪むが、
月添咲与「だあああぁぁっっ!!!!」
連続で蹴りを放つ。
梶間頼子「ぐぅぅっ!!!!」
頼子の腕が徐々に下がっていく。
紫龍「離れろ頼子!!」
梶間頼子「!!」
紫龍の声が脳裏に響くと同時に、一際大きく雷が弾ける。
月添咲与「っ!!」
雷に弾かれながらも態勢を立て直し、咲与は塀の上に着地した。
頼子も後ろに下がり、構え直す。
月添咲与「力を借りるだけの、偽物が・・・!!」
忌々しげに吐き捨てる咲与。
この龍使いの力は、ほぼ見切った。
龍が彼女に宿っている。
それは間違い無い。
力も行使できる。
だが、単なる『借り物』だ。
彼女自身に、神獣の、龍の力を自在に使いこなすだけの技量はない。
月添咲与「おまえは単なる宿主だ」
月添咲与「龍使いではない」
梶間頼子「何を、」
月添咲与「お前は、私に、勝てない」
迦楼羅は龍蛇の天敵。
月添咲与は、迦楼羅使い。
梶間頼子は、龍の宿主。
宿主と使い手では、力の差は歴然。
故に。
月添咲与「ここで貴様に引導を渡してやる!!」
梶間頼子「だが断る!!」
月添咲与「神気発勝ごときで、神獣功に勝てると思うな!!」
梶間頼子「やってみなきゃ、分からないよ!!」
睨み合う二人だったが、
月添咲与「!!」
電子音が鳴り響いた。
咲与の方からだ。
月添咲与「こんな時に、誰だ!!」
ポケットから携帯を取り出した咲与だったが、
月添咲与「!!」
顔色が変わった。
月添咲与「亜左季!?」
月添咲与「どうしたの!?」
月添咲与「・・・うん、うん、そう」
月添咲与「分かったわ、貴方はそこにいなさい」
咲与は話し終えたのか携帯をしまうと、
月添咲与「勝負は預ける」
言うが早いか姿を消してしまった。
〇街中の道路
程なくして結界も消えたのだが、
梶間頼子「・・・!!」
ドッと疲労感が押し寄せてきた。
全身が重く、怠い。
膝が笑っている。
立っているので精一杯だ。
梶間頼子「何なのよ、あの女・・・」
急に現れて、急に消えて。
嵐のような少女だった。
梶間頼子「正直、ヤバかったな・・・」
転ばないように気を付けつつ、頼子は歩き出した。