自由な遊び人ライフを過ごしてたのに、女賢者に強制転職させられ嫌になったので人生の終着点を目指します。

きらきら輝

序章(脚本)

自由な遊び人ライフを過ごしてたのに、女賢者に強制転職させられ嫌になったので人生の終着点を目指します。

きらきら輝

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〇オフィスのフロア
  誰もいないオフィスで、無機質なキーボードがカタカタと打ち込まれる音が寂しく響いている。
月子「・・・・・・」
月子「はぁ・・・」
  次の会議に出す資料を打ち終わった月子(つきこ)は深いため息を吐く。
  本来、別の人がやるはずだったのを上司の嫌がらせにより月子が残業としてやらされている。
月子(あんのセクハラ野郎のクソ上司・・・ 親の七光りのクセに責任も仕事も押し付けてキャバクラばっか金使って・・・)
月子(入社初日に肩やら腰やら尻を触ってきて拒否っただけなのに・・・)
月子「・・・・・・」
月子「はぁ・・・」
月子(イライラしても・・・意味が無い。 早く帰りたい・・・眠りたい・・・)
  訴えるべきだろうが、残念ながら財力と権力により月子の訴えは誰にも届かない。
  味方は・・・最初はいた。
  だが上からの圧力、過労死、異動・・・徐々に減っていってしまい、月子の周りには誰もいなくなった。
月子「・・・帰ろう」
  今から帰ったとしても寝れる時間は三〜四時間。
  晩御飯も朝ご飯も、まともに作り食べる余裕も気力もない。
  世間体を気にする実家にも、必要最低限の家具しか無い安いアパートにも、月子が心から安らぐ場所は無い。
月子「あぁ、もう、辛い、しんどい・・・」
  月子は、限界だった。

〇街中の道路
  帰り道で、信号が変わるのを待つ月子。
  ふと、悪い考えが横切る。
月子(・・・もう、殆ど車なんて通ってないし、進んでも良いんじゃないかな)
月子(進んで、猛スピードで車とか突っ込んできたりして・・・・・・)
  そこまで考えて、信号は赤から青へと変わった。
月子(・・・なんて、何を考えてんだろ私)
月子(こんなことしても、自由なんて手に入らない)
  月子は頭を軽く振り、信号を渡ろうとした・・・その時だった。

〇街中の道路
  無音だった中で、ブレーキ音が響く。
月子「────えっ?」
  月子の視界に、トラックが目の前まで迫っていた。
  そして────
  様々な音が混ざり合った大きな衝突音と共に、月子の人生は幕を閉じた。

〇雲の上
  起きるのです・・・月子・・・
月子「ん・・・」
月子「あれ・・・私・・・」
  月子が目を覚ますと、視界いっぱいに清々しいほどの青空が広がっていた。
  目覚められましたか?
  月子の前に、一人の女性が現れる。
  女性の背には、大きな白い羽。
  明らかに、普通の人間では無い。
女神様「あぁ、本当に間に合って良かった・・・!」
月子「えっ・・・だ、誰!? ってかココどこ!?」
  月子は理解が追いつかず、後ずさる。
女神様「あぁ、そんなに驚かないでください・・・! 大丈夫、私は貴女を傷つけません 女神として、貴女を救いました」
女神様「貴女は、選ばれたのですよ。 勇者の仲間として」
月子「・・・・・・はぁ?」
女神様「理解が追いついていないのも無理はありません、ですが貴女は優しく強かな精神を持っている」
女神様「だから、魂を私の元へ呼び寄せました」
月子「・・・・・・」
  淡々と話を進める女性に、月子は言葉が出ない。
女神様「貴女は勇者の仲間として、生まれ変わるのです」
女神様「きっと貴女の力は勇者の行くべき道へ導く、助けになるのです」
女神様「貴女ならきっと・・・」
月子「あの、すみません」
女神様「? どうしました?月子」
月子「生まれ変わりとか、そうゆうの良いんで」
女神様「・・・・・・え?」
月子「このまま私の魂を消してくれませんか?」
女神様「・・・・・・・・・」
月子「・・・・・・・・・」
女神様「ええぇぇぇーーッ!!??」
月子「うるさ・・・」
  女神の叫びは二人しかいない世界に響き渡り、月子は耳をふさぐ。
女神様「ど、どうして、そんな・・・・」
月子「私、もう”生きることに”疲れたんです」
月子「勇者?助ける? 何で私がしなきゃならないんですか?」
月子「私じゃなくても良いでしょう? 女神様が勝手に決めて進めないでください」
女神様「あ、貴女じゃなければダメなんです!!」
女神様「貴女は選ばれたのです! これは我ら主たる神による知らせで・・・」
女神様「とにかく! 貴女を私たちの世界へ転生させます!!」
  女神は杖を取り出し、月子へ近づく。
月子「ちょっ・・・!! 一般人に強制転生とか女神様がやることですかね!?」
  月子は杖を押さえ、押し返そうと必死に抵抗をする。
  しかし、女神は退かない。
女神様「無駄な抵抗はやめるのです・・・! 貴女の人生は世界を救う光となるのです!」
月子「だーかーらー! そうゆうの嫌だって言ってんの!!」
  互いに一歩も退かない状況、力の差としては女神が上だが月子は抵抗をやめるという選択肢は無い。
  だが、女神の一言により勝敗は決まった。
女神様「転生先で貴女を縛るものはありません!! 貴女には"自由"が与えられるのです!!」
月子「・・・自、由?」

〇街中の道路
月子(こんなことしても、"自由"なんて手に入らない──)

〇雲の上
  密かに、渇望していた"自由"。
  手に入ることなんて無いと思っていた願望。
  その言葉で、一瞬だけ月子の抵抗が緩んだ。
  女神は、その一瞬を見逃さず杖の先端を月子の頭に触れさせた。
女神様「月子よ、貴女には私の加護を授けます」
  杖の先端が触れると、月子の姿が変わり、徐々に子供から赤ん坊へと幼くなる。
月子「や、やめ・・・身体が・・・!?」
  やがて、小さな光の粒となり浮かぶ月子だった者。
  女神は優しく掌で包み込み、下界を映す水鏡へ静かに落とす。
女神様「月子・・・いえ、選ばれし者。 貴女の人生は、きっと誰かの救いとなる」
女神様「また会う日まで、"自由"の中で健やかに育ってくれることを祈りましょう」

〇綺麗な教会
  ここは、とある村の教会。
  そして、この教会で生活しているのは孤児として拾われた月子・・・だった"レティシア"という少女が空を眺めていた。
レティシア「・・・・・・」
レティシア「だぁぁぁあッ!!!! 今思い出しても腹立つ!!」
レティシア「生まれ変わってから最初から孤児だったんだけど!?」
レティシア「あんの強制転生女神め・・・」
  おーーい!レティシアー?どこだーい?
レティシア「おっと・・・神父さまだ」
レティシア(さっきの聞かれたらマズイ。 気持ちを切り替えよう・・・)
レナルド「ここにいたんだね、レティ」
レティシア「おかえりなさい神父さま」
レナルド「あぁ、ただいま。 良い子にしてたかい?」
レティシア「んー・・・い、一応?」
レナルド「おや?もしかして、また抜け出したのかい?」
レティシア「・・・はい」
レナルド「それはいけないね、ちゃんと女神様への祈りの時間を守らないと」
レティシア「ご、ごめんなさい・・・」
レナルド「ふふ、謝れるのは良いことだ。 でも、次はちゃんと祈りをするんだよ?」
レティシア「・・・はーい」
レナルド「さぁ、教会へ戻ろうか」
  神父の差し伸べた手を、レティシアの小さな手が重なり、親子のように繋ぎながら教会へ戻る。
  序章、完。
  次章へ続く。

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