マモルと遠足 後編(脚本)
〇黒背景
※この話は後編です※
〇森の中の小屋
キズチ「きゃあああああああ・・・なんですか貴方はぁ!」
オーガ「お、おい! いきなり大きな声を出すなよ。ビックリするじゃないか」
キズチ「ビックリしたのはこっちですよ。というか、何を当たり前のようにログハウスに寛いでいるんですか!?」
キズチ「というか主人は? この家のオーナーは何処に行ったんですか?」
オーガ「あの人間の男のことか」
オーガ「あいつなら俺たちの格好を見るなり、一目散に走り逃げて行ったぞ」
キズチ「俺たち?」
オーガ「おい、一体何の騒ぎだ?」
オーガ「って人間?! なんで人間がここに居るんだ?」
キズチ「だからそれはこっちの台詞です!」
キズチ「私達、遠足でこの森までやって来たの。 そしてこのログハウスで一休みしようとしたら貴方達が・・・」
オーガ「遠足だぁ?」
オーガ「俺たちは同種に巣を破壊されて途方に暮れてんだ」
オーガ「悪いが他を当たれよ」
キズチ「そんな! 身勝手過ぎます!!」
オーガ「五月蝿いっ!」
キズチ「キャッ!」
オーガ「お、おい。殴りかかる事は無いだろう?」
オーガ「ピーチクパーチクいちゃもん付けるこいつが悪い」
オーガ「それに今のを躱したって事は意気が良い証拠だ」
オーガ「憂さ晴らしに楽しませてもらおうか・・・そこの餓鬼ども含めてな」
キズチ「そ、そんな・・・」
スズキ「畑中、これは・・・!」
畑中(はたなか)「おー」
畑中(はたなか)「こりゃ本当に血の雨が降るな」
スズキ「いや、何を笑ってんだ!」
スズキ「状況を見ろ状況を!」
スズキ「その雨の血が誰の血か想像してみろ」
畑中(はたなか)「ねぇそろそろご飯にしても良い?」
畑中(はたなか)「お腹すいちゃった・・・」
スズキ「だから何故にそんな他人事なんだよ!?」
スズキ「ここまで清々しいと最早サイコパスの域だわ」
スズキ「早くここから逃げるぞ!」
畑中(はたなか)「えー、ご飯は?」
オーガ「さぁて、どいつから先に手を付けてやろうかな?」
キズチ「や、止めなさい!」
オーガ「あん?」
キズチ「生徒に手を出すというのならこの私が許さない!」
オーガ「女、出しゃばるのも大概に・・・」
マモル「えいっ!」
オーガ「あぐっ!?」
マモル「逃げて先生。ここは僕が・・・」
オーガ「この餓鬼っ!」
マモル「うわっ!」
オーガ「ふん、オレ達の手にかかればこんなもの」
オーガはマモルから奪ったヒノキの棒を握りつぶした。
オーガ「ひひひ・・・お前はどのように痛めつけてやろうか?」
マモル「僕は魔王の息子だぞ。侮るな!!」
オーガ「何?」
オーガ「ぐぁっ! こいつ手刀で斬撃を・・・」
オーガ「斬撃魔法だと? なんでこんなチビにそんな高等魔法が!?」
マモル「チビって言うな、僕はマモルだ!」
オーガ「マモル? ・・・その名前、何処かで」
「やれやれ、見っともないですねぇ・・・?」
「そ、その声は!」
オーガキング「子供一人にそのような傷を見せるなんて」
オーガキング「それでも貴方達、ワタシの僕ですかぁん?」
オーガ「キング様!」
マモル「何?」
オーガキング「ワタシの僕に手をつけたのは貴方ですか?」
オーガキング「なんともみみっちいお子ちゃまですこと」
マモル「五月蝿い、お前もそいつと同じ目に遭わすぞ」
オーガキング「やれるものならやってごらん? やれるものなら・・・」
マモル「・・・このっ!」
オーガキング「おや、何か当たったかしら?」
マモル「えぇっ!?」
オーガキング「隙アリですぞ!」
マモル「ぐぁっ!」
マモルはキングの張り手をもろに受け、ログハウスの壁に叩きつけられた。
オーガキング「ひひひひ、この私に魔法など効きません」
オーガキング「例え魔王様のご子息であられても、ね」
オーガ「魔王様のご子息? どういうことですか・・・?」
オーガキング「彼の名前を聞いてなかったんですか?」
オーガキング「マモルと言う名前を使う少年はこの世界に唯一一人しかおりません」
オーガキング「それに彼の瞳を塗るあの真っ赤な色」
オーガキング「あれこそ、高貴な魔族の血を引いている所以に他なりません」
マモル「よ、よくご存じであらせられる」
オーガキング「何分群れを率いる立場に居りますからね。これぐらいは当然かなと」
オーガキング「まさかこの場でお目にかかれるとは思っていませんでしたが」
オーガキング「さて、前置きはこれくらいにして」
オーガキング「そぉれもう一発!」
マモル「べふっ!」
キズチ「ま、マモルくん!」
オーガ「おっと、行かせねぇよ」
キズチ「貴方、そこを退きなさい! 私は生徒を助けないと」
オーガ「止めとけ。むしろあんたも巻き添えをくうだけだぞ」
キズチ「え?」
オーガ「あの方の“お遊び”が始まった。 それはもう誰にも止められない」
オーガ「それもあの方の気が済まない内はな・・・」
キズチ「そんな・・・・・・」
オーガキング「それそれ、もう一発行きますよぉ!」
マモル「うわっ!」
オーガキング「おっと、今のは避けましたか。一発ずつだと流石に慣れてきましたかね?」
オーガキング「ならば、これはどうでしょう?!」
マモル「ぎゃあああ!」
オーガキング「ふふふ、私の連続張り手を受け流せる程優れてはいませんか?」
オーガキング「いやぁしかし魔王のご子息を痛めつけているとなると、幾らでも清清しますね」
マモル「腐ってるなあんた、よくそれでリーダーが務まるってもの」
オーガキング「何とでも言いなさい。ワタシにとってはむしろ褒め言葉ですよ」
オーガキング「リーダーは強さを誇示してこそ何ぼなのですからねっ!」
マモル「ぐっ!?」
オーガキング「あらよ、もう一つ!」
マモル「ぐはっ!?」
オーガキング「おや、もうギブアップですか?」
オーガキング「情けないですね。 それでも魔王様の息子様でしょうか?」
マモル「そ、それは関係ないだろ・・・うっ」
オーガキング「ひひひ、鼻から血が出てますよ」
マモル「五月蝿い!」
マモル「それより、もう来ないのか?」
オーガキング「うーん、誰かから命令されるのは好きではないですからねぇ」
オーガキング「貴方がここまで心折れてくれないともなると、これ以上痛めつけるなんてなんとも・・・」
オーガキング「・・・」
オーガキング「そうだ、折角ですから貴方に選択権をあげましょう」
マモル「なに?」
オーガキング「このまま貴方はワタシに潰されるのもいいですが、それでは多少楽しみが減ってしまいます」
オーガキング「ですので、代打を用意する権利を貴方に与えます」
オーガキング「あそこにのさばっている方たちから一人選びなさい。そうすれば貴方の事は助けてあげます」
マモル「!」
畑中(はたなか)「なんかこちらを指してくるんだけど、あのオーガ」
スズキ「良からぬ事であるのは間違いないな」
オーガキング「さぁ、選びなさい。私は待たされるのも嫌いなんですから」
マモル「・・・嫌だ」
オーガキング「はい?」
マモル「嫌だと言ったんだ! お前の命令は受けない!!」
オーガキング「あらら、そう来ましたか」
オーガキング「面白くありませんねぇ、王の子供なら真っ先に誰かを身代わりにするべきでしょう?」
マモル「だからそれは関係ないと言った筈だよ!」
マモル「僕は確かに魔王の息子だし、目も赤いけど、友達を身代わりにするなんて真似は絶対にしない」
マモル「それにリーダーというのは、仲間を重んじてこそ意味がある」
マモル「このマモルと言う文字は伊達ではないぞ!!!!」
ゼノ「・・・!」
オーガキング「威勢だけは本当に逞しいご様子で」
オーガキング「ですが、貴方自身の場合は一体誰が守ってくれるというんですか?」
オーガキング「そんなちっぽけな貴方を誰が守るというんですか!?」
ゼノ「坊ちゃま!」
オーガキング「へ?」
オーガキング「うがっ!!」
オーガキング「な、なんなんですか貴方は!? 一体どこから?」
ゼノ「そんなこと聞いてなんになるんですか?」
ゼノ「それより貴方、鼻から血が出てますよ」
オーガキング「グギギギ・・・!」
マモル「ゼノ・・・どうして?」
ゼノ「坊ちゃま、度重なる無礼をどうかお許しください」
ゼノ「ただ、これだけは言わせてもらいます」
ゼノ「坊ちゃまの事は私が守ります!!」
オーガキング「ひひひ、先ほどはどよめいてしまいましたが、女一人増えた所で私に敵う筈もありません」
オーガキング「ましてやそんななまくらで私にどうしようというのですか?」
ゼノ「なまくらかどうかは、これから決まることです」
オーガキング「は?」
ゼノの容赦のない横払い。
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ツンデレメイドさんがいいですね!!
メイドの思いも坊ちゃんのリーダーらしさも出て、
とても盛り上がりました!
あとで落ち込む癖に、坊ちゃんにはつい酷いことを言ってしまう
メイドのキャラが素敵です😁