56面 終着駅(脚本)
〇電車の中
──電車乗ってから、
江藤鉱(あ、鍵、先生に返すの忘れた)
江藤鉱(乗っちゃったら 次の駅で引き返して)
江藤鉱(ホームも遠くなるんじゃないの?あー)
と思ってるとそこに、
さっき別れた女性が来て、手を出して
女性「鍵」
江藤鉱「あっ、ありがとーっ」
江藤鉱(持ってってくれるのか)
女性「おやすみーっ」
江藤鉱「おやすみっ」
江藤鉱(・・・何か顔ジーッと見ちゃった 見つめあって、1、2秒)
CMに多数起用されそうな
笑顔のスッとした子で、
髪はボリューム出ないように
後ろでまとめて、
江藤鉱(いい子だな、気づいてくれて 車両移ってきてくれて)
江藤鉱(まぁ何にもないけど)
江藤鉱(はーあ、あんな子と付き合えたらなー)
江藤鉱(こっちが席座ってたから 見上げてみたけどあんなかわいい)
江藤鉱(並んでちょっと近くなったら (肩寄せて物見たりして))
江藤鉱(ふとキスする空気に なったりして、なんて)
〇電車の中
江藤鉱(あー・・・)
・・・と、目の前に女子高生制服姿の
スカート短くてお尻のぞいて(黒パンツ)
顔は口紅が色濃くて、
けばい印象の(風俗嬢だって?)
黒髪だけど、
肩にはかからないくらいの長さの
(少しソバージュがかってたかな)
・・・いったんこっち向いてから
反対のドアの方向いて、
また尻注目しちゃう?
(向こう向いてるから見放題だよ)
いいよもう、そんなの
先生も先生だ
鍵なんて任せてからに・・・
(鍵は平たいネームプレート
みたいのついてたっけ
紫の鍵、珠未関係で
思い出の中に何かあったっけ?)
〇ビルの地下通路
──見かけた、
九宝さんと秋原さん、
二人で並んで前歩いてて
ヤオバザの新しいユニフォーム
色は青で少しスポーティで、
肩甲骨の内側フィットしやすいように、
光沢のあるエナメルライン入れてる。
九宝さんは手叩いてウケてる
秋原さんのお尻具合チェックしたりして
階段下りて、
俺も一日だけ
出ないといけないんで来たのか
缶ジュース、
スポーツ飲料くらいの手にとって
二人のわきを速足で抜かしていって、
気づいたっぽい空気(背中に感じて)
〇非常階段
その後、今度は上り階段で
(こんなつくりだったっけ?まぁそうか)
ヤオバザのスタッフ何人かいて、
あっ、大花さん
目合って、
髪少し短くして表情、
目がちょっと暗い
声かけないで
またいこうとすると向こうから、
大花歴亜「兄さん・・・」
声かけてきて・・・
(何か遺恨というか
嫌な思いさせてたらごめんなさい)
大花歴亜「・・・何か問題が 先送りになってませんか?」
折中さんのこと?
〇岩山の崖
名取総太郎「・・・今のところなんか 吠えるところだろうと」
(思いますが?)
俺がやらなきゃ
名取総太郎「しっかりやれると」
久しぶりの刑事アクションもので、
大物俳優との共演(再会)で
うながされると、
そうですね、誰がやるんだと
〇海岸線の道路
──ベニバナの大きい
人の丈くらいもあるのが、
トンネルからさらに抜けて
車道のうねるカーブ道なり
ポール同様間隔おいて点在してるので
道案内してくれるようで、
岬にでも出るのかな、
海臨んで(車道向こうが)
(自分で赤くしるし付けた
思い出を辿ればいいかのような?)
〇テクスチャ3
「キズがかさぶたになってきたわよ」
ほんとだ、
体をとぐろ巻くようにして
蛇に巻きつかれたように
盛り上がったかさぶたになってきてる
(完治するのかね)
そう言ってくれた子は
さきの女性かな、風俗風の
(かいがいしいのがいいね)
キズはヤオバザのもので、
ようやっとってことなのか
〇走る列車
・・・列車に惑わされたのかね
列車前面の看板プレートに
『どすけべ』
性欲特急かっ
かすれた薄赤地の車体、
上部がクリーム色で勢いある走行
(地方線かね)
それに乗って
離婚のくだり見ちゃったんだし、
その夢も、辿るかね
そうそれ、いましめこらしめ
なんてね
ゴンドラの夢とか
(珠未さんちゃんとやって・・・)
悲しいね・・・
報われない電車じゃないの?
なんてね・・・
(一回別れてくっついたらいいけどなー)
〇けばけばしい部屋
女子高生?「・・・あれ、いじけちゃった?」
女子高生?((あんまり聞かれて?))
さすらいの報われない歌い手
江藤鉱(なんて、背中にパンと 張り紙されるような、いじましさね)
女子高生?(どこいったのか 部屋の隅で体育座りでも・・・)
女子高生?(布団の中でそっぽ向いてるだけか)
女子高生?「どうすればいいのよ?」
〇白いバスルーム
江藤鉱(・・・これ、乳毛にぶら下がってんのか)
平べったい関西地方くらいの形の、
江藤鉱(内臓物?)
江藤鉱(こんなのつけて風俗なり 行ったら相手にしてくれんわな)
江藤鉱((関西ってことなら かさぶたと同じではがしてとってね)
江藤鉱(病気だと心配、背丸めてからに・・・)
江藤鉱(ジャーキーっぽいテイストかな?)
江藤鉱(未練を断ち切ってとか・・・))
江藤鉱(できもの?切ったらとれんのかな)
江藤鉱((毛ならいいけど肉だとな))
江藤鉱(鏡にうつってんの見てんだったら右か 直なら左、わからん)
江藤鉱(宝物庫がどうとか 宇宙船内の?くだりから)
江藤鉱(もう休ませてーな少しよ (次々見せるー))
江藤鉱(みんな持ってんねんて みんなその形、イメージしててんてよ)
江藤鉱(話に出したりしないで (合わせてないのに))
江藤鉱((共通、有・・・結核なら嫌だけど))
江藤鉱(乳首から下腹部くらいまでの 大きさだけど俺の)
江藤鉱(胸から湧いてくる 岩の重みなんて話もあるけど)
〇テラス席
女性「日焼け止め塗ってあげようか?」
いつも日焼け止め塗ってる
カフェ前の腰かけで、
女性、待ち合わせした
わけでもないんだけど、
女性「仲間内何人か会っちゃって」
女性「他の人がいるとそういう 親しい仲になれないんで」
女性「先行っててって」
と女性が言って、
(珠未さんも告白の返事のとき
先にみんな帰してたっけ)
その仲間内の人達がいなくなってから
スラッとしたグレーの
脛の下くらいの丈のパンツに
スマートな着こなしの女性が残って、
日焼け止め、手はいいけど
顔は人のやるの塗りにくくないかな
目に入るとしみるしなー
ありがたいけども
女性「また戦えるの?」
(珠未さん)
(が言ってくれたような)
折中珠未「はい」
折中珠未「・・・だってそこから何かうまれそう」
森から?キャッチボールから?
(ビンダーやって・・・)
〇勉強机のある部屋
・・・もう最後、ほんと最後、
(机の引き出しは・・・いっか)
(見ないで?)
そろった、これで現実ができるな
室出ると自動的に展開はじめて
キリついたんだなって
(自室、俯瞰で見て、
もう見るところは見たんだな
2Dゲームのグラフィックで
カット シーンが、
ムービー、シナリオ、入力予定
ビンダーパープル準備して
もう探さなくていい?)
〇様々な蝶
きせきのこは・・・パラパラパラ
蝶も風に吹き飛ばされないように
必死に壁に足をつけて
踏ん張っている・・・
「・・・そうそう 書いといた方がいいわよ」
葵星羽「あなたをなきものにしようとするものは いっぱいいるんだから」
葵星羽「助けになるものは多い方がいいよ あなたの場合、力になるもの」
葵星羽「死んでくっださいっ」
葵星羽「今すぐくーびつって死んでくーださい」
葵星羽「って、変な節つけて」
葵星羽「夢見せません、とか、ね」
葵星羽「・・・・・・」
葵星羽「もうあなたには愛想がつきました」
葵星羽「あなたに見せる夢はもうありません」
葵星羽「勝手にゲームでもやって下さい・・・」
ちょっと待ってよ・・・
葵星羽「支えられなくなりますよ」
葵星羽「・・・珠未さんも悲しみますよ」
クリが?
葵星羽「ええ、クリさんです」
葵星羽「ビンダーパープルの終着駅で待ってるのに」
葵星羽「空たるもの 也るための」