Xヒーロー

語り部

第96話 本物(脚本)

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〇図書館
  2021年 イリノイ州 ケーン郡 エルジン市 旧避難シェルター内部 資料管理室
鸞「··· ··· ···という事があったんだ、正直俺はルカ神父が言っていた救出作戦には乗り気になれない」
キング「予言の事もあるからだろ?俺も反対だ。本物の喧嘩王が蘇って試練を与える···だったか?」
キング「アナザー・オリジンと戦って消耗した後に喧嘩王の試練に挑むなんて正気じゃねえ」
キング「つーかよ?あいつもシャルルに言えばどうにでもなるものを、何で俺達に言ってきやがったか意味がわかんねェんだよ」
フェード「シャルルも救出には『反対』なんだろう。だからルカ神父が独断で私と鸞に頼み込んできたんだろう」
凪園無頼「でも俺ら7人もいるし、喧嘩王倒せんじゃね?」
  しかし凪園の発言にはっきりと『無理だ』とエンチャントは返し、話し始めた
エンチャント魔導法士「昔ワシら下っ端が神王さんに『暇だから喧嘩しようぜ』と言われて皆で一斉に戦いを挑んた事があるが···」
エンチャント魔導法士「『誰も攻撃を当てられなかった』」
フェード「当時200人近く居たのにか···?」
エンチャント魔導法士「あぁ···それどころか、神王さんは鶻さん達を誘う時『準備運動終わったから喧嘩しようぜ!』と言ったんだ···今でも覚えてる」
フェード「200人近い人間との戦いが···『準備運動』···?話盛ってないか?」
エンチャント魔導法士「そう思われても無理は無い···だが事実だ」
凪園無頼「喧嘩王って本気の時どんな技使うの?やっぱ光のビート使ってくんの?」
  するとエンチャントはその質問に対して衝撃的な返答をする
エンチャント魔導法士「神王さんが本気になった時『技は使わない』」
「は···?」
斎王幽羅「え、だってゼウス・ナックルとかポセイドン・ラリアットとか···色々使ってたよね?」
エンチャント魔導法士「あれは『本気に近い実力』で遊んでいるだけだ。神王さん自身が言っていた事だが」
  武器や能力、技ってのは『相手を倒す』為の戦い方だ。ウィリアムの魔術もそうだぜ?
  人間不思議なもんで、大人になるにつれ自身の力に無意識にブレーキをかけるんだよ
  俺もそうだった。で、どうしようか考えた時公園を見た時閃いたんだよ
  『子供同士の喧嘩で技は使わない』ってな。
  だから俺は本気で相手と戦う時、技を使わないんだ。技は抑制された力をいかに上手く相手に叩き込むかが肝だ
  本気で喧嘩する時ってのは『相手を倒す』んじゃなくて『相手を殺すんだ』って思って俺はやってる
  相手を殺す時技は必要ない。力いっぱい殴って、蹴って、投げて、絞める。子供同士がそうするようにな
  だからお前もいずれ魔術に頼らず戦えるようになっとけよ?ウィリアム、期待してるぜ!
斎王幽羅「技は相手を倒すため···相手を殺すのに技は不要···」
エンチャント魔導法士「アナザー・オリジンがどれだけ神王さんに近い再現をしているかは知らんが」
エンチャント魔導法士「ゼウス・ナックルとヘラ・スープレックスを使える時点で『ワシらには勝ち目は無い』」
斎王幽羅「Xヒーローにあった記録通りならそうだよね···ゼウスの雷の如く直線上のあらゆる物質を破壊する『ゼウス・ナックル』」
斎王幽羅「あらゆる衝撃を一撃に乗せる為本来人体がバラバラになる筈が、人体を保った状態で全身に痛みが広がる『ヘラ・スープレックス』」
斎王幽羅「他にもポセイドン・ラリアット、アルテミス・ニードロップ、ハデス・スリーパー···再現できるのなら勝てないね」
エンチャント魔導法士「それに仮にアナザー・オリジンに会わなかったとしても量産型アナザーも居るだろうし、恐らくWoOSも人間もいるだろう」
エンチャント魔導法士「それこそレッドスモークのような男がな。だがここの記録を見ていたが···『能力の詳細は載っていない』」
フェード「シャルル達程の諜報員でも能力を探れないあたり、敵も一筋縄では行かないようだな···尚更潜入は危険に感じるな···」
フェード「セルゲイ・ライノヴィッチ···KGBにそんな奴がいた覚えはあるが、あまり詳しくは覚えてないな···」
斎王幽羅「え···KGBってロシアの···?」
フェード「あぁ、確実に言えるのはその記録に載ってるセルゲイって言う男は『KGB』だ。今も所属しているか分からんが···」
エンチャント魔導法士「うむ··· ··· ···ともかくルカ神父には酷だが、潜入は『1人でやってもらおう』。それで異論はないな?」
  エンチャントの意見に満場一致で賛成するも、斎王はどこか浮かない表情をし
  『本当にこれでいいのだろうか?』と心の内でモヤモヤしていた

〇薄暗い廊下
  旧避難シェルター内 廊下
ルカ神父「クソ···どうすれば···斎王一派も協力してくれないとなればどうすれば···!」
WoOS諜報員「ルカ神父···如何なさいましたか?」
ルカ神父「あ、あぁ···すまない···ステファノ神父の事でな···」
WoOS諜報員「聖人会議では俯瞰が選択されたそうで···悲しいことです。ルカ神父、よければ何か手伝いますよ?」
ルカ神父「いやダメだ、お前達の手を借りてはダメなんだ。俺一人でどうにか···」
WoOS諜報員「処罰されるんですね···?なら一緒に受けましょう。私もステファノ神父に良くしてもらったのでこのまま放置は嫌なんですよ」
ルカ神父「し、しかし··· ··· ···」
WoOS諜報員「『強い思い込みが力になりますよ』ルカ神父。旧薬品保管室で待ってます、そこで話し合いましょう」
ルカ神父「あ、おい!勝手に話を···!···行っちまった··· ··· ···シスター・カールやボスも頼れないならいっそ···」
  皆の思いとは裏腹に、ルカ神父の自身の思いにブレーキを掛けれなくなって行った
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第97話 役割

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