55面 歌わないの?(脚本)
〇華やかな広場
江藤鉱「いけよ、いってみなくちゃわかんない」
江藤鉱「ありきたりだけど言葉は」
江藤鉱(これCMの撮影?)
江藤鉱(全部決まってたことだったのか)
江藤鉱(他のメンバーのセリフがうまくはまるし)
(植垣の凹みにしゃがんでてさ)
気づいたらまわりカップルばっかり。
江藤鉱(っていってもこれから 告白するのかわかんないけど)
偶然出会ったような人に
(あちこち次々、
面識もなく会ったばかりで)
その少し凹んだすり鉢段々デッキ
ところどころ板はめこまれて
座れるようになってるところで、
江藤鉱(俺にも相手がいて、するの?)
〇華やかな広場
── カット入って、みんな泣いてる。
すすり泣く音声があちこちから聞こえる
江藤鉱(何だろうこの悲しいの・・・)
江藤鉱(俺もしゃくりあげて感極まっちゃってる)
江藤鉱(俺みたいな間抜けには)
江藤鉱(相手にも悪いしなって思うけど)
(思って相手に背を向けて
離れていこうとすると)
スッと右脇に手を差し込んで
腕を組んでくれる相手の女性
顔もまだ確認してない──
〇海岸線の道路
辺り暗くてここに来るまで
歌うたってきたな
希望の歌かもっと古めの
音程も合ってないんだろうけどね
風か何らかの力に戻される
向かい風で走っても進まない
(けど進むの)
広々とした緩やかなカーブ車道沿い
いいんだよ、いけよ
結果がどうあれ
仕組まれたことであれ
〇占いの館
占い師「私はね、今いじょうに 大好きだって思える」
占いのおばさんなのか後見人のような方
髪型がチリチリ毛を連なり団子結びにして
あちこちに屈折して伸ばして、
いびつなのは顔も、わざと
激しくないにせよ、歪ませたりして
いちいち変えていって、
その奇異な振舞いに
効果あるのかしらんけど
それがうつったんだな、青年に
その女性が占うに、
相手の女性と彼のこと──
〇カラオケボックス
「歌わないの?」
って折中さんが言ったとき
カラオケのその座る位置
潤った唇しか見きれて見えないけど
(顔上見えない)
〇塔のある都市外観
──建物円筒形なのかな、
変ってる、ホール館?
出入り口の扉が鉄とまでいかないけど
両開きの大きい、
映画館や劇場系のつくりで、
内の吹き抜け外沿いに下駄箱置かれていて
下駄箱に乗って、
上でやってる作業を手伝おうとすると
江藤鉱(・・・折中珠未さんだ)
先に乗っていたのが
自分の同僚と折中さんで、
あっ、と思ったけど直接口にはせず、
江藤鉱「下ちゃんとおさえといてねー」
と、わざと大きな声で仕切って
下駄箱に乗ってさらに天井から
吊るされてるのか、木枠と、
それに木板合わせて持っておいて
折中さんの方から木板を切っていくので
(余分を?ノコで)
こっちはワシッとおさえておく。
江藤鉱(折中さんもヤオバザ辞めて こっちに来たのか)
江藤鉱(小柄で色白で気の強そうな──)
〇塔のある都市外観
俺はその職場に遅れて到着して
もう動き始める感じで、
江藤鉱(乗り遅れちゃうな なじんでもないし・・・)
って思ったら、大柄の強面男性に
ちょっと来てーって誘われて、
この職場入ってくるのに
外から居酒屋の下駄箱の木札みたいの
取って入んないといけなくって
(入退出に必要)
違うルートから入っちゃって
しまったと思ったんだけど、
これ幸いと、
サッと回り込んで木札一つ
とりあえず中に荷物は入れず、
取るだけ取って
(隙間から表に手出して取るくらいの、
わざわざ外出てられない)
で、ついていって作業に入ったら
折中さんいたんだ──
〇塔のある都市外観
──折中さん、木板うまく
切れなかったのかな、それで
折中珠未「じゃあ絵描きといったら何?」
折中珠未「って、何か聞いてー」
って、罰ゲームなのかしんないけど、
江藤鉱(絵描きといったら・・・)
江藤鉱(裸婦描いたことある? ヌードデッサン)
江藤鉱(なんて聞いても盛り上がんないか 何でもいいから話したいけど)
江藤鉱(全然思い浮かばない 絵描きってつまんないなー)
折中珠未「リズムとってるとしか言いようがない」
って、折中さん?
〇塔のある都市外観
木切るとき前屈みになるからって
胸元を気にしたりして
インナー着てるかしらんけど
互いに下駄箱の上に馬乗りになって
間に一人、
こっちの知り合い男性がいるけど
江藤鉱(仕事かえたり何にしたり)
江藤鉱(歌は歌ってるのか ヤオアニはしてるのか・・・)