読切(脚本)
〇屋上の倉庫
斉藤美緒(え!?)
”先輩にあのことを聞けるチャンス──”
そう思って振り向いた瞬間、先輩とバチリと目が合った
優し気な瞳が夜空の星のように煌めいていてドキっとする
鈴木北斗「斉藤も無理せずに下でみんなと休憩しててもいいよ」
斉藤美緒「いえ! 鈴木先輩の観測を手伝います」
天文部の双子座流星群の観察
曇り始めた夜空に、皆は「一旦休憩」と屋上を後にし始めている
部長の鈴木先輩は残って観測を続ける気だ
鈴木北斗「ありがとう」
鈴木北斗「この風が雲を吹き飛ばしてくれると思うんだけどなあ」
皆出て行ってしまい、ここには簡易椅子に並んで座る先輩と私だけだ
斉藤美緒(今だ)
斉藤美緒(聞かなきゃ そして言わなきゃ)
斉藤美緒「あの、先輩」
鈴木北斗「ん?」
斉藤美緒「・・・アメリカ行くって本当ですか?」
先輩は一瞬目を見開いて、はあっとため息をついた
鈴木北斗「あー、一年にまでもう伝わったか」
斉藤美緒「いえ!」
斉藤美緒「私は偶然、立ち聞きしてしまって・・・」
鈴木北斗「父親があっちの研究所に行くことになってね」
鈴木北斗「部活も来月までで引退する予定」
斉藤美緒「そうですか・・・」
小さく頷くのが精一杯で
空を見上げるふりをした
斉藤美緒(わかっていたことなのにやっぱりショックだ)
今夜の流れ星はこの厚い雲のずっと上で
願いをかけることもできそうもない
斉藤美緒(でも)
斉藤美緒(今、言わなきゃ)
斉藤美緒(かなわなくても今夜、伝えたい)
「先輩」
鈴木北斗「ん?」
斉藤美緒「す、好きです・・・」
その時、風が強く吹いてやっと絞り出した私の言葉をさらってしまう
鈴木北斗「え? 何?」
斉藤美緒(伝える──!)
風に逆らうように立ちあがって先輩を見つめた
斉藤美緒「初めて会った時からずっと先輩が好きなんです!」
鈴木北斗「斉藤・・・」
驚いたように私を見つめる先輩の視線が
そのまま空へと上がっていく
鈴木北斗「あ、星・・・!」
斉藤美緒「え!!」
私も空を見上げると早い風に雲が散らされ
星々のまたたきが戻っていた
と、そこに
鈴木北斗「あっ!」
斉藤美緒「あっ! 流れ星」
先輩がすぐに時計を見て
鈴木北斗「1時58分」
斉藤美緒「あ、記録します」
次々に流れる星を慌てて先輩と観測しながら
斉藤美緒(先輩、どう思ったんだろう?)
そうっと先輩を見てみる
先輩は望遠鏡を覗きこんだまま
鈴木北斗「さっきの、ちゃんと記録したから」
斉藤美緒「え」
鈴木北斗「僕の頭の中に」
なんにも言えずに先輩を見つめていると
ようやく手を止めた先輩が少し照れ臭そうに覗きこんでくる
鈴木北斗「斉藤にそんな風に言ってもらえて 実はすごく嬉しい」
鈴木北斗「だからさ」
先輩はポケットからスマホを取り出して
鈴木北斗「二人だけのメールグループを作ろ?」
大きく頷いて私もスマホを取り出した
鈴木北斗「グループ名どうする?」
見上げるとまたひとつ、星が流れた
斉藤美緒「じゃあ・・・今夜の流星群を記念して 『メテオス』はどうですか?」
鈴木北斗「うん、いいね!」
願いを届けてくれた流星に感謝して
私はグループ名を『メテオス』と登録した
めちゃ青春でキュンキュンします!!
とても好きな話です☆彡
思い切って告白して、どうなるかと思ったら・・・
LINEグループというのが、今時でとても新鮮でした。
曲とマッチして素敵ですね😋
こんにちは!好きと言われたら僕も、付き合おうとくるかなと思いきや2人きりのライングループを作ろうにキュンときました😍
流れ星の記録の最中の出来事というシュチュエーションも素敵でした!
メールグループに流星群を模した名前を付ける。🌠
2人の一生の思い出ですね。😊