〇土手
永田美空「別れてほしいの」
木下トオル「またまた〜」
永田美空「木下くんは実家のお店を継いで、 私は東京に進学・・・」
永田美空「将来のない無駄な交際を これ以上継続させるのは お互いにメリットがないと思う」
木下トオル「・・・無駄ってなんだよ」
永田美空「今までありがとう 受験勉強のいい気分転換になった」
木下トオル「・・・」
木下トオル「そっか」
木下トオル「永田は・・・そう思ってたんだな」
木下トオル「よくわかったよ」
永田美空「・・・さよなら」

〇木造の一人部屋
　　選択した画像をすべてのデバイスから削除してよろしいですか？
永田美空「・・・」
　　削除
永田美空（いつか終わりがくるなら ・・・早いほうがいい）
永田美空（そのほうが傷つかずに済む）

〇大きな木のある校舎

〇学校の廊下
木下トオル「・・・」

〇教室
廊下の声「木下と永田さん、別れたってさ」
廊下の声「マジ？ じゃあ木下のこと狙っちゃおっかな〜」
廊下の声「てかなんであのふたり付き合ってたんだろね〜」
永田美空（そんなのこっちが知りたいくらい）
永田美空（誰かと付き合ったり別れたりなんて・・・ 自分には起こらないと思ってた）

〇教室
木下トオル「お〜永田さんも居残り!?」
永田美空「いや・・・自習してるだけ・・・」

〇教室
木下トオル「永田に教えてもらうようになってから、 赤点がなくなったわ〜」
永田美空「だってあんまりひどいから・・・」
木下トオル「バカな俺でもわかる」
木下トオル「永田は優しい!!」
永田美空「・・・優しいなんて初めて言われた」
木下トオル「優しいよ」
　　彼の肩ごしに
　　一番星がみえたのを覚えてる

〇土手
　　「好きだ」と言われたときも
　　何を話したらいいかわからなくて
　　星をみあげながら歩いた
「・・・」
　　彼と目があうと
　　笑ってくれて
永田美空「・・・私も、好き」
　　気がついたら、口に出していた

〇土手
永田美空「・・・泣かない」

〇黒背景
　　優しいあのひとを傷つけた私が
　　泣くなんておかしい

〇大きな木のある校舎

〇体育館の舞台

〇海岸沿いの駅
美空の母「卒業式が終わってすぐ 出発しなくてもいいのに・・・」
永田美空「早く向こうの環境を整えて、 入学に備えたいの」
美空の母「無理しちゃだめよ」
永田美空「わかってる!!」

〇駅のホーム

〇電車の座席
永田美空「あ・・・」
永田美空（一番星）

〇渋谷のスクランブル交差点
　　東京は星が見えづらいというから
　　よかった

〇土手
　　彼とみあげた星空のことを
　　思い出さなくて済むだろう

〇電車の座席
永田美空「・・・っ」
木下トオル「ひとりで泣くなよ」
永田美空「なんで・・・」
木下トオル「このまま行かせたら後悔すると思って」
木下トオル「正解だったわ」
永田美空「泣いてなんか・・・」
木下トオル「あ〜もうバカ バカ永田美空!!」
永田美空「バ・・・!?」
木下トオル「やっぱ別れるのやめたから」
永田美空「ちょ、ちょっと待ってよ」
永田美空「計算したの!! 私たちが10年後も一緒にいられる確率を」
永田美空「物理的距離と心理的負荷を考慮し相互の予想される交友関係ほかの数値を変数として──」
永田美空「結果は──たったの３%」
木下トオル「・・・はあ〜〜〜」
　　ギュッ・・・
木下トオル「そんなんで振られたの？俺」
永田美空「・・・３%だよ？」
永田美空「私・・・ほんとはけっこう嫉妬深いし・・・落ち込みやすいし・・・」
木下トオル「うん」
永田美空「これから先、たくさん喧嘩して・・・傷つけ合うことになるかもしれないんだよ？」
木下トオル「そんなの当たり前だろ」
木下トオル「それが、一緒にいるってことなんだよ きっと」
永田美空「・・・離れたら、許さないんだから」

〇田舎の線路

〇土手