【読切】君に宿って星を抱く(脚本)
〇宇宙空間
欠けた心の片割れが
この世のどこかにいるのなら──
〇黒
〇教室
「キモ!」
「バカすぎw」
「しねよ」
「うぜー」
飛び交う強い言葉
頭が痛い
クラスメイト「これ、有川の?」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「(コク)」
クラスメイト「あいつ、喋れねぇの?」
〇一階の廊下
母「明日も休むの?」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「ごめんなさい」
母「勉強遅れるし、受験にも響くよ?」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「・・・」
母「明後日は行くのよ」
〇本棚のある部屋
有川 詩子(ありかわ うたこ)「ムニャ」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「君はわかってくれる?」
ムニャ「うひょおおおお!?」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「えっ!?」
ムニャ「俺、女の子に抱擁されてる??」
ムニャ「ええ夢や・・・」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「う、動い・・・しゃべっ、」
紫音(しおん)「あ、はじめまして。俺は紫音」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「ムニャじゃないの?」
紫音(しおん)「え?」
紫音(しおん)「俺、ぬいぐるみになってるううう!?!?」
紫音(しおん)「もしや転生? 俺、死んだ?」
紫音(しおん)「まあ、女の子に愛でられるぬいぐるみも悪くはないか・・・」
紫音(しおん)「君は誰?」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「有川、詩子」
紫音(しおん)「詩子か」
紫音(しおん)「さあ我が主よ、存分に俺を抱け!」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「やだ」
これは・・・夢?
〇本棚のある部屋
有川 詩子(ありかわ うたこ)「やっぱり夢か」
〇綺麗な一戸建て
〇綺麗な一戸建て
〇本棚のある部屋
紫音(しおん)「こんばんはー!」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「夢じゃなかった!?」
紫音(しおん)「俺死んでなかったよ、ちゃんと目が覚めた!」
紫音(しおん)「寝たらここに来られるっぽい」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「君の本体は、人間?」
紫音(しおん)「そうだけど、本体の記憶は曖昧で」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「年はいくつ?」
紫音(しおん)「多分中学生」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「同じくらいだね」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「学校楽しい?」
紫音(しおん)「微妙かな」
紫音(しおん)「詩子は?」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「嫌い」
紫音(しおん)「・・・」
紫音(しおん)「ムニャ、ペケ、ボン!」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「なに!?」
紫音(しおん)「嫌な気持ちを蹴散らすおまじない」
紫音(しおん)「今考えた」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「ムニャがペケしてボン?」
〇星
〇本棚のある部屋
有川 詩子(ありかわ うたこ)「あは、元気出る」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「もう一回やって」
〇教室
有川 詩子(ありかわ うたこ)「ムニャ、ペケ」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「ボン!」
〇本棚のある部屋
紫音(しおん)「眠いのか?」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「まだ遊ぶ・・・」
紫音(しおん)「無理すんなよ」
紫音(しおん)「俺を抱き枕にして寝な」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「えっち」
紫音(しおん)「このふわふわボディじゃなんもできねぇよ!」
〇教室
顔が見える
怖くない
〇本棚のある部屋
紫音(しおん)「ここ、星がよく見えるな」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「そう?」
紫音(しおん)「俺、暗くて怖くて夜は苦手だった」
紫音(しおん)「でもさ、暗いから星が綺麗なんだよな」
紫音(しおん)「人生マジでクソだと思ってたけど」
紫音(しおん)「詩子との時間はさ、星だよ」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「なにそれ」
〇教室
クラスメイト「有川さん」
クラスメイト「髪の毛に葉っぱ」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「ありがとう」
クラスメイト「その本、私も好き」
〇本棚のある部屋
有川 詩子(ありかわ うたこ)「紫音、まだかな」
その日
〇黒
紫音は来なかった
〇綺麗な一戸建て
〇綺麗な一戸建て
次の日も
〇綺麗な一戸建て
〇綺麗な一戸建て
次の日も
次の日も
〇本棚のある部屋
有川 詩子(ありかわ うたこ)「紫音」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「なんで・・・」
紫音(しおん)「詩子!」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「どうして来なかったの!」
紫音(しおん)「来られなかったんだ」
紫音(しおん)「母さんが」
紫音(しおん)「迎えに来てくれて」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「・・・」
紫音(しおん)「きっと、『孤独』が条件なんだ」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「つまり」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「ここに来ないのは、 実生活が幸せってこと?」
紫音(しおん)「俺は孤独でいいから、 詩子と会って話したい!」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「・・・」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「ダメだよ」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「ちゃんと幸せにならなきゃ」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「私も」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「学校で友達ができそうなんだ」
紫音(しおん)「・・・!」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「応援してくれるよね?」
紫音(しおん)「もちろん」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「じゃあ」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「さよならしよう」
紫音(しおん)「絶対詩子をみつけるからな!」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「うん。 紫音がどんな姿でも見逃さない」
紫音(しおん)「幸せになれよ」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「紫音も!」
紫音(しおん)「おまじない、忘れるなよ」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「うん」
紫音(しおん)「最後にもう一度」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「うん、一緒に」
「せーの」
「ムニャ、ペケ、ボン!」
〇宇宙空間
〇本棚のある部屋
あれから
〇本棚のある部屋
彼には一度も会ってない
有川 詩子(ありかわ うたこ)「ムニャ、行ってくるね」
〇オフィスのフロア
でも
同僚「有川さん、彼氏いるの?」
有川 詩子(ありかわ うたこ)「大事な人がいるよ」
同僚「へー」
まだここに刺さってる
〇開けた交差点
〇開けた交差点
〇オーディション会場の入り口
有川 詩子(ありかわ うたこ)「あー、ついてない」
「ムニャ、ペケ、ボン!」
「・・・詩子?」
〇教室
〇一階の廊下
〇綺麗な一戸建て
〇本棚のある部屋
〇綺麗な一戸建て
〇宇宙空間
〇空
〇空
「みつけた」
〇宇宙空間
〇本棚のある部屋
紫音~カッコ良くなっちゃった~🥰
立ち絵のコラボとストーリーが最高でした✨
ピュアで可愛くて優しいお話にキュンキュンさせていただきました😁
始まって直ぐにわかりました。好きなやつだ──と😊
お互いがサヨナラするシーンはグッときますねー、それ以上にラストの出会うシーン!やられました☺️
三作品目は紫音サイドの展開も見てみたいけど、それは贅沢な悩みというところでしょうか😄
素敵な作品ありがとうございました。
これは泣ける😭
綾りんは、こういうか細い心に寄り添った物語がうますぎると思う。