6章 機械仕掛けの英雄(脚本)
〇大企業のオフィスビル
とある日の昼下がり・・・
〇道場
陸尾 航「はっ!」
空乃 快飛「ウグぅ・・・ ま・・・参りました・・・」
陸尾 航「あぁ・・・型はできてるが、 威力と素早さが足りないな・・・」
空乃 快飛「精進します・・・」
航たちは平和保護局にて
特訓を行っていた・・・
・・・その時だった・・・
菅田 隆「陸尾!空乃!居るか!?」
陸尾 航「・・・どうした?そんな血相変えて?」
菅田 隆「監視室に今すぐ来てくれ! とんでもない事が起きてる!!」
〇諜報機関
海世 永和「・・・」
陸尾 航「・・・失礼します」
空乃 快飛「し、失礼します・・・」
海世 永和「!・・・航!快飛! コレを見てくれ・・・」
先に監視室に入っていた永和が指した
モニターに写っていたのは──
〇丘の上
???「た、頼む・・・!!殺さないでくれ!! 俺には家族が・・・」
???「・・・『悪者ニ慈悲ナド要ラズ』」
???「がぁッ・・・」
〇諜報機関
そこには無慈悲に男性を痛めつける
”陸尾航”の姿があった──
陸尾 航「な・・・何なんだコレ・・・」
海世 永和「コレが撮られたのは、 2日前の午後7時・・・ 2日前は訓練もなく、俺らは家から 一歩も出ていない──」
海世 永和「──要は俺らの偽物が現れたって話だ」
陸尾 航「なっ・・・偽物って!? どう言う──」
菅田 隆「”精巧に造られたロボット” ・・・要はそう言う事だ」
航の言葉を遮るように、菅田が話す──
菅田 隆「ここ近年、人類の開発技術が凄い としか言いようが無い程に、 新たな最先端技術が出てきた──」
菅田 隆「そん中でもトップクラスにヤバいのが ”クローンの複製技術” ・・・聞いたことあるだろ?」
海世 永和「あぁ・・・ だがたしか、”クローンの造り方”は 発表されなかったんじゃ?」
菅田 隆「たしかに発表はされなかった・・・ だが、『研究所の襲撃事件』 ・・・覚えているか?」
陸尾 航「・・・2年ほど前のやつか」
菅田 隆「あぁ、その時の組織が絡んでいるんじゃ ないかと俺は睨んでいる・・・」
海世 永和「・・・何はともかく、あいつらを 何とかして止めないとな・・・」
陸尾 航「とりあえず情報ありがとう、菅田! あとはこっちで何とかしてみる・・・!」
〇高層ビルのエントランス
陸尾 航「・・・にしても、どうすっかな~・・・ 偽物たちが今どこに居るかも 分からねぇし・・・」
海世 永和「・・・とりあえず、町で情報収集だ 片っ端から聞いてくか・・・」
〇繁華な通り
福竜市中心街にて・・・
海世 永和「航は大通り、 快飛は『宇呂小道』の方を頼む! 俺は知り合いのヤツらに聞いてくる!」
陸尾 航「おう!」
空乃 快飛「はい!」
海世 永和「さて、行くか・・・!」
〇雑居ビルの一室
雑居ビル内にて・・・
海世 永和「・・・たしか、ここだったよな・・・ ・・・事務所の看板が出てないが・・・」
『コンコンコン・・・』
と、ドアをノックすると──
???「はーい・・・」
海世 永和「海世だ! ・・・話を聞きに来た!」
品田 信雄「おぉ・・・久しぶりだな!海世!」
少し爽やかな青年が現れた──
海世 永和「・・・探偵業を営んでいると 聞いていたんだが・・・」
品田 信雄「あぁ・・・ ちょっといろいろあってな・・・ ・・・・・・で? 話ってなんだ?」
海世 永和「ここ最近、俺たちの偽物が現れた らしくてな・・・ 何か情報を知っているんじゃないかと、 そう思って聞きに来たんだ」
品田 信雄「・・・偽物の情報? ・・・すまねぇ、どうやら力に なれそうにないみたいだ・・・」
海世 永和「分かった、ありがとう!」
品田 信雄「すまねぇな、ここまで来てもらって・・・」
〇黒
その後も・・・
〇シックなカフェ
篠田 桜「・・・ごめんなさい、分からないわ・・・」
海世 永和「あぁ、すまないな・・・ 貴重な時間を使わせちまって・・・」
近くの知り合いを訪ねるが、
新たな情報が手に入る事は無かった・・・
〇繁華な通り
海世 永和「・・・何か新しい情報はあったか?」
陸尾 航「・・・いや、無かった・・・」
空乃 快飛「・・・こっちも同じです・・・」
半ば諦めかけていた、その時──
『プルルルル・・・』
・・・と、携帯電話が鳴る
陸尾 航「はい、こちら陸尾です ・・・はい ・・・・・・はい、分かりました」
海世 永和「・・・何かあったか?」
陸尾 航「・・・あいつらの行方が判明した、 ひとまず平保に向かうぞ!」
空乃 快飛「・・・!! はい!」
〇諜報機関
福竜市平和保護局、監視室にて・・・
陸尾 航「・・・菅田! 行方が分かったって本当か!?」
菅田 隆「・・・あぁ! あいつらが写っていた監視カメラの 場所と時間を合わせたら、 定期的に同じ場所に来ていた! あと──」
菅田 隆「・・・この映像を見てほしい」
菅田が指すモニターに映っているのは──
〇丘の上
機械音声「『目的、宮下花奏ノ捕獲・・・』」
機械音声「『見ツケ次第、無力化セヨ・・・』」
〇諜報機関
堂々と花奏を誘拐する、と言う偽物たちの姿が写っていた・・・
陸尾 航「・・・なるほどな、 あいつらは花奏を・・・」
海世 永和「・・・こうしちゃ居られないな、航」
陸尾 航「あぁ、ありがとう!菅田!」
菅田 隆「頼んだぞ、航・・・!」
〇森の中のオフィス(看板無し)
その頃、航たちの自宅では・・・
???「・・・」
〇明るいリビング
宮下 花奏「ふんふーん・・・ 航さんたちまだかな~・・・」
『ピンポーン・・・』
・・・玄関のチャイムが鳴った
宮下 花奏「・・・? こんな時間帯に・・・一体誰?」
「俺だ! 家の中に鍵忘れちまってよ! ・・・悪いが開けてくれねぇか?」
宮下 花奏「・・・航・・・さん?」
宮下 花奏(・・・何だろう、この違和感・・・? ・・・航さんじゃない?)
宮下 花奏(・・・こうなったら・・・)
すると花奏は携帯電話で、
航に電話を掛けた──
???「こちら陸尾! 花奏!大丈夫か!?」
宮下 花奏「・・・はい!大丈夫です! ・・・実は今、航さんらしき人が 家の前に居て・・・」
???「・・・分かった! すぐに向かうから、 何もしないで待っててくれ!」
〇走行する車内
陸尾 航「・・・あいつら、既に来てやがった・・・ ・・・全速力でむかうぞ!永和!快飛!」
海世 永和「あぁ!」
空乃 快飛「えぇ!」
〇森の中のオフィス(看板無し)
???「参ったな〜、開けてくれねぇか・・・」
???「あんたらか、俺らの名を偽ってる ヤツらってのは・・・」
???「はぁ~あ・・・」
陸尾 航「随分と大した度胸だな・・・ 覚悟しろ!」
???「・・・しょうがないか・・・ ・・・ここでアナタを消シテ、 私が本物にすり替わるシカないデスネ!」
航ノ偽物「・・・貴方たち! あいつらを消シマスヨ!」
偽物がそう言うと、草むらから
仲間が現れた──
快飛ノ偽物「エェ・・・」
永和ノ偽物「あぁ・・・」
陸尾 航「こっちも全力で行くぞ! ・・・永和!快飛!」
空乃 快飛「はい!!」
海世 永和「あぁッ!」
空乃 快飛「・・・力を入れて・・・ ・・・もう少し早く・・・」
快飛ノ偽物「よそ見シテルようじゃ・・・」
空乃 快飛「・・・よそ見しているのはそちらの方では」
快飛ノ偽物「・・・調子ニ乗リオッテ・・・」
快飛ノ偽物「ハアッ!」
空乃 快飛「・・・そんなんじゃダメだ──」
──そう言うと、快飛は偽物の腹部に
銃を突きつけ──
──強烈な一発を放った
快飛ノ偽物「グッ・・・・・・・・・」
空乃 快飛「──やるからには全力でやらなくちゃ」
永和ノ偽物「──奥義『尼水』」
海世 永和「・・・トロいヤツだ、喰らいやがれ! 奥義──」
海世 永和「『漣ノ海峡』」
永和ノ偽物「うッッ・・・」
海世 永和「・・・悪いが俺の相手じゃ、 無かったみてぇだな・・・」
航ノ偽物「喰ラエ! ──奥義『庭炎』」
陸尾 航「食らうまでもねぇな・・・ ハァッ!」
航ノ偽物「シ、シマッ・・・」
「ガ・・・ア・・・」
陸尾 航「・・・はぁ、一度本気でやり合って みたいもんだな・・・」
──かくして、この騒動は幕を閉じた
〇黒
その後、偽物たちは平和保護局に
引き取られた──
また、平和保護局での研究により、
偽物たちの制作元が判明するのは、
別の話・・・
〇明るいリビング
別の日・・・
宮下 花奏「・・・本当に怖かったんですからね! あの時、近くに居るのが航さん じゃないって言われて・・・」
陸尾 航「・・・す、すみません」
空乃 快飛「・・・な、何があったんです?」
海世 永和「どうやら、この前の騒動で狙われて いたのがかなり怖かったらしくてな・・・ ・・・それを茶化したあいつが叱られてる」
空乃 快飛「はぁ・・・」
〇森の中のオフィス(看板無し)
「・・・だとしても正座で聞く必要って?」
「・・・ないな」
〇黒
第6章『機械仕掛けの英雄』 完