52面 雨の日も風の日も(脚本)
〇郊外の道路
折中珠未「あーめのっひもー」
折中珠未「かっぜのひもー」
折中珠未「あなたのなつのいろー」
折中珠未「(シャツのいろー)」
折中珠未「あーめのひもー」
折中珠未「かーぜのひもー」
折中珠未「あなたのむーねーにー」
クリが後ろから左隣に来て、
歌いだして、一節歌ったところで
江藤鉱「おぼえたの?」
と聞くと頷いて、
さりげなく、どちらともなく
江藤鉱(まぁ俺は寄りたいんだろうけど)
江藤鉱(近く、クリの顔、頬・・・)
少し突き出た唇が、
俺の左頬に、ほんの少し触れる。
──久しぶりに見た、
クリの、当時のままの顔
やせ具合、色白でツルンとして
ちょっと儚げな感じ
えりあしが長めに首筋、
うなじから少し浮いて、うん。
〇郊外の道路
──最寄りの本屋辺りかな、
信号渡ってそこらまで歩いて
みんなで何人かいて、
クリは別グループで、
後ろからスッと来てくれて
〇カラオケボックス
カラオケ行ったなー
思い出だ
〇郊外の道路
触れた唇が
少し湿ってる感じが
肌に伝わる、クリ・・・
〇学校の部室
大判のノートの表紙開いて、
江藤鉱(何だ一行も書いてない)
江藤鉱(裏から書くか)
江藤鉱(裏から見ると ちょっと良いめのノートの冊子だな)
赤い線がノっと一つ入ってる
──交換日記するようにして伝言
要するに、今生では
もう会えないだろうけど
好きだった
江藤鉱(狂おしいほどなんてつけたら安っぽいか)
折中さん
ありがとうございました
また会う日まで
〇勉強机のある部屋
わたしだよ
らぶらぶあこちゃんだよ
「・・・わたしだよ」
と寝言いって目が覚めて、
江藤鉱(・・・あっ)
仰向けに寝ている両脇からフワッと
下に敷いているシーツの端から
包まれてきて
自分をやさしく包んでくれようとする
目を、涙拭くようにしてくれる
ティッシュがフサッと顔にかかる
江藤鉱(誰?何?)
超常的で怖い気もするけど
寝返りうって確かめると
上野さな。
目がいつもより切れ長で、
目やに少しついてる。
上野さな「らぶらぶあこちゃんだよー」
江藤鉱「何だそっか」
江藤鉱「ちょっと待ってね、書き記すから・・・」
江藤鉱(華奢で間近の顔もかわいい)
〇宇宙空間
江藤鉱「こんなに重なるの 珍しいからね、イメージが」
センター「そうだよね、すごーいっ こんなの初めてっ」
と、センターも興奮気味に喜んでる。
スポーツ系の有名人の
イメージの連鎖で意味になって、
それが一緒の夢を見れたんだからね
俺もセンターと一緒に見れてうれしい
エムもいて、コタツがあって、
夜空には星があって、いいひととき
〇体育館の舞台
卒業式の日に
センターに告白しようかな
連絡先渡して、
江藤鉱(もし受けてくれるんなら連絡してきて)
江藤鉱(駄目ならそのまま連絡しないで)
って、驚くかな。
センター「えーっ、あたしーっ」
センター「って、あたしにしてくれるの?」
なんて、喜んでくれるかな
悪くは思われてないと思うけど
江藤鉱(俺はああいう夢をいつも見てるんだよ なんていうのは野暮だな)
江藤鉱(もし付き合えたら みんなには秘密にするのかな)
江藤鉱(でもセンターだったら堂々と言いそうかな)
江藤鉱(俺はセンターと 付き合うに足る人だろうか)
江藤鉱(みんなはどう思うかな)
江藤鉱(アイドルだからとか、偏見はないよな)
〇宇宙空間
コタツがあって、自分がいて
センターがいて、エムがいて
布団敷いてあってコタツの
ニ辺がつぶれてて、
入れないから、
センターがどこうとして
江藤鉱「じゃあこっち来る?センター」
センター「うんー」
窓際の俺の方へ誘って、
でも一応遠慮したかな、エムいるから
(受け入れてくれた感じはあったかな)
センターは貞淑だから
人前でベタベタしないだろうけど
夢のことは、すごいんですよーって
言ったりするかな
〇勉強机のある部屋
登録してない電話番号で
着信あって、留守電に
「私、桜の木のあるところの 下で待ってますから」
現場でってこと?
マネージャーみたいな方なのか
留守電吹き込んだのは。
そこに行けばいいのか
何かいい知らせならいいけども。
(坊ちゃん的なこととかさ)
〇桜並木
江藤鉱「クリ大好きだ」
江藤鉱「クリ大好きだ」
そんなこといったところで
江藤鉱「それじゃそのデッキケースを」
──なんて
こんなこともいつかいった
〇事務所
江藤鉱「人を古い人みたいに言うなー」
川浦さんとクリさん。
川浦 凪「さっきは一命とか言って」
折中珠未「言いませんよね」
まぁウケてるからいいけど
(笑ってくれて)