変わらない君を照らす星に(脚本)
〇裏通りの階段
ススム「寒いと思ったら、これか」
ススム「もう3月だってぇのに」
〇公園のベンチ
ススム「よっ」
エリカ「・・・暇なん?」
ススム「うっせ」
〇カラフルな宇宙空間
変わらない君を照らす星に
〇公園のベンチ
エリカ「今日はどうしたよ?」
エリカ「いいことでもあった?」
ススム「ん、別に」
エリカ「あいかわらず寂しい青春だねえ」
ススム「余計なお世話だ」
ススム「・・・」
ススム「やっぱ俺、東京行くことにしたわ」
エリカ「そっか」
エリカ「ま、それがいいと思うよ」
エリカ「色んな意味でね」
〇海辺の街
ススム「寂しがるなよ?」
エリカ「がらねーよ」
エリカ「つかアタシ アンタがいるときしか意識ないし」
ススム「ああ、そうだっけ」
エリカ「アンタ以外には見えないし」
エリカ「アンタ以外とは会話もできない」
〇公園のベンチ
ススム「オマエは幽霊とかじゃなくて」
ススム「単なる俺の妄想だって」
ススム「オマエの説だとそうなんだよな」
エリカ「アタシがここで死んじゃってから」
エリカ「ずいぶん長いこと会ってはいるけどさ」
エリカ「ま、それが妥当な結論じゃない」
ススム「・・・」
エリカ「アンタもこの町を出てくって言うし」
エリカ「いい区切りだからさ」
エリカ「アタシも今日で消えるのがいいと思うんだ」
ススム「!!」
〇公園のベンチ
ススム「消えるって」
ススム「どうやるんだ?」
エリカ「星になるんだよ」
ススム「星?」
〇宇宙空間
エリカ「そ、星」
ススム「空に浮かんでる星に?」
エリカ「そう、あの星になるんだよ」
ススム「どういう仕組なんだよ」
エリカ「さあねえ アタシにもわかんない」
エリカ「それ言い出したら この状態だって説明つかないじゃん?」
ススム「そりゃあ・・・」
エリカ「とにかくさ 何光年とか離れちゃうんだから」
エリカ「アタシのことは忘れてよ」
〇公園のベンチ
エリカ「アンタはアタシを助けられなかったって」
エリカ「責任感じてて」
エリカ「だから忘れちゃ駄目だって思ってない?」
ススム「・・・」
エリカ「事故でも事件でもなくて」
エリカ「単なる病死、心臓系の突然死なんだからさ」
エリカ「たまたま通りがかっただけのアンタが」
エリカ「責任感じなくていいんだよ」
ススム「けど」
ススム「あん時オレがケータイ持ってきてれば」
エリカ「どっちみち間に合わなかったよ」
〇幻想空間
どっちみち間に合わなかったんだ
もう駄目だなって思ったとき
最期にススムに会えたことは
私にとっては救いだったけど
結果としてススムを傷つけてしまった
〇公園のベンチ
ススム「違うんだ」
ススム「オレがエリカのことを忘れられないのは」
ススム「オマエのことを・・・」
エリカ「分かってるよ」
エリカ「そうでなきゃ6年も通わないでしょ」
ススム「・・・」
エリカ「アタシだって迷ってる」
エリカ「だけどいつまでも過去に囚われてるアンタを」
エリカ「見ているのだってつらいんだよ」
〇宇宙空間
ススム「なあ、星になったら」
エリカ「ん?」
ススム「もうオマエとは話すこともできないよな?」
エリカ「そうだねえ テレパシー的なものがあったとしても」
エリカ「光より早くはないんじゃないかな 重力だって光の速さだし」
ススム「なんでそんなとこだけ科学の常識内なんだよ・・・」
ススム「オマエ、宇宙とか科学好きだったもんな」
エリカ「まーね」
ススム「オマエに話しかけても返事は数年後か」
ススム「一番近い恒星ってどのくらい遠いんだっけ」
エリカ「プロキシマ・ケンタウリ 4.246光年離れてるね」
ススム「・・・・・・そうか」
ススム「じゃあ、オマエがその なんとかケンタウリになれたとしても」
ススム「返事を待つだけで8年かかっちまうな」
エリカ「そうだよ、だからアンタは」
エリカ「自分の幸せを見つけなよ」
エリカ「いつまでも妄想に頼らずにさ」
ススム「わかった 今までありがとうな」
ススム「好きだったよ、エリカ」
エリカ「アタシもずっと好きだったよ ・・・元気でね」
〇公園のベンチ
気がつけば雪は止んでいた
ありがとう、エリカ
オマエってやつは昔から・・・
〇教室
〇高い屋上
〇大学の広場
〇川沿いの公園
〇黒
〇お祭り会場
アユム「おかーさんも来れたらよかったのにね」
ススム「食べ物の匂いがつらい時期だからな」
ススム「来年は4人で来ような」
ススム「・・・」
〇宇宙空間
〇お祭り会場
アユム「お父さん、どうしたの?」
ススム「いや、なんでもないんだ」
アユム「ふーん」
アユム「あ! スーパーボールすくいやりたい!」
ススム「走るなよ、転ぶぞ?」
いつまでも君の幸せが変わらないよう
遠くから見守っているからね