読切(脚本)
〇渋谷駅前
賢治「赤い服が三人・・・今日はついてるかもな・・・」
会社に行く途中、俺は暇潰しに『五目並べ』で遊ぶ。
ただ人の服を見て、同じ色の人が三人以上並べばその日は幸運、それだけの遊びだ。
賢治「ははっ ホントについてんのかね・・・ あれ?」
これは珍しい 黄色の服の人が五人も並んでる
賢治「ははっ さいこうについてるな」
そう思いながら俺は並んだ五人を横目で見る
賢治「えっ、!! 上野さん!?」
驚いた!!中学で転校してしまった上野さんが歩いている!!
賢治「まっ 待って!!」
俺は走って探したが見当たらなかった
賢治「あるのか こんなこと・・・」
もう少し探したかったが 俺は会社に向かい歩いた
〇渋谷駅前
賢治「はぁ・・・少しぐらい話したかったな・・・」
俺はため息をつきながら帰路につく
賢治「夢だと思って諦めるしかないな・・・」
俺はそう考えるうちに交差点に差し掛かる
賢治「上野さん!!」
気づくとすぐに俺は走った
今度こそ見失うものか!!
賢治「・・・だめか」
また逃した・・・2回もチャンスがあったのになんて情けない・・・
賢治「あれっ!?」
俺は来た方角を振り返った
すると黄色の服の人間が四人並んでいる
賢治「まさかな・・・」
俺は馬鹿な事だと思いそのまま家に帰った
〇渋谷駅前
賢治「おっ 今日は四人もか!」
俺は再び『五目並べ』で遊ぶ
別に会いたいからやってるのではない
これはただの日課 日課だからやっている
賢治「なんでだ もしやまた!」
俺は手前の人を確認した
青い服の人が四人いる!!
賢治「信じられない 三回も同じ事が・・・」
俺はとても困惑した しかし・・・
賢治「やった!これからも会えるんだ!」
俺は子供みたいに喜んだ
〇教室
上野さんは俺の憧れだった
けど仕事の都合ですぐ転校してしまいそれっきりだった
その上野さんにまた会えるんだ!
〇渋谷駅前
その日から、俺は何度か上野さんを見かけた
話すことはない ただ同じ場所で生活できていることがなにより嬉しかった
最高についていると思えた・・・
〇オフィスのフロア
「なんでこんな事もできないんだ!」
「お前のせいで皆が迷惑するんだよ!」
ははっ・・・
そんな事は・・・ないか・・・
〇渋谷駅前
その日は周りなんか見なかった
見なくても分かり切ってたから
賢治「けど 会いたいかな──」
そう思い前を見ると
黒い服の人が四人並んでいる
賢治「もしかして!!」
俺はその先を見るが誰もいない
賢治「ははっ まぁそうだよな」
賢治「今日の俺はついてないんだ──」
〇教室
「おい賢治!どうするんだよそれで!」
賢治「はっ!? どうするってなんだよ!?」
「なんでじゃないだろ!もう上野さん行っちまうぞ!!」
賢治「それがどうしたって──」
「あっ! 上野さん!」
賢治「あっ上野さん!? えと あの その・・・」
「上野さーん こっちで写真とろーよー」
上野「あっ 今行くー」
賢治「あっああ・・・」
「・・・おい いいのか?」
賢治「ははっ いいんだよ別に このタイミングで来たんだぜ? それってつまり──」
ついてなかったんだよ
〇渋谷駅前
賢治「いやっ!ついてないとかどうでもいい!」
賢治「彼女に会いたい! 会って話がしたい!」
そう思うと俺は彼女を探した。
遊びなんてどうでもいい
彼女は絶対この道を通って帰る
それを見つけさえすれば!
〇渋谷駅前
しかし どこまで歩いても
彼女はいなかった
けどまぁいい 必死な自分を見て思った
俺は 彼女が好きだったんだ
今更だが そんな事に気づけた
それだけでも俺は嬉しい
そうだ 今日は何か食べていこう
いつも節約しているんだしそれぐらい──
「あ あの すみません・・・」
賢治「えっ?」
「もしかして・・・賢治君・・・ですか?」
言葉の方を見て驚いた
話しかけてきた女性の横にスーツの男が『四人』並んでいるように見えた
賢治「ははっ・・・今日はついてるなぁ──」
昔から好きだった上野さんに遭ったのは偶然なのかそれともついてたのか。それは五目並べが教えてくれたのですかね。五つ並べはいい事があるんだと。
五目並べってタイトルになんのことだろうと気になりながら読みました。そういうことだったんですね。私は車の色でやってました。それにしても、偶然が続いたのか、神様からのサインだったのか、上野さんと会えてよかったですね。
確かに自分だけのルールを作って遊ぶ日常の他愛もない遊びわかる気がします笑上野さんに会えたのは偶然だったんでしょうか?とても気になりました!